18話 修行 その2
ボクはルネ導師の愚痴を言うために友だちで皇帝のアルナの部屋に押しかけた。
「っていうわけなんだよ ヒドくない?」
アルナは慣れない皇帝という重責から疲れきっていて今日はもう寝たかったのだが無理して翼の話しを聞いていた。
「でもそういうものよ 普通 自分の魔法を人に教えたりはしないわ 下手に教えて 自分より強くなったら困るもの」
「それにルネ導師は自分が一番じゃないと気に食わない人だって聞いたことあるよ もしかしたら翼のことをライバル視しているのかも」
「そうなのかなぁ ちょっと偏屈で寂しがり屋のお爺ちゃんにしか見えなかったけど てか誰かに何かを教えたりすることはこちらの世界であんまないことなんだね もしかして学校もなかったりする?」
「学校?なにそれ そんなもの知らない」
え!?学校がないんだ。じゃあ魔法学園で俺TUEEEEしてハーレムを作ったりはできないのか・・・まぁボクは今は女の子だからハーレムにはならないだろうけど。
「学校っていうのは・・・ 社会にでる前の準備をする場所?みたいなところだよ 子どもは大人にそこで色々と教わるんだ」
「へー そうなんだね ここではそういう場所はないわ 子どもの時から大人の仕事を少しづつ手伝って 覚えていく感じだよ」
アルナが眠そうにあくびをする。数えていたけどこれで10回目だ。
「ごめんなさい 疲れてるよね ボクももう寝るよ 明日はルネ導師と朝の4時から散歩だから」
「了解 おやすみなさい!」
「おやすみ〜」
翼はそう言って部屋を後にした。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
侍女に身体を揺らされる。
「翼様 朝4時ですよ 起きて下さい」
なんだまだ眠いのに・・・そうか散歩か。てか朝4時とか頭おかしいだろ。
「あ・・・起こしてくれてありがとうございます」
「私には、もったいないお言葉です ではお着替えを」
この人は昨日ボクが明日の朝の4時に起こしてほしいと言ったら凄い嫌そうな顔をしていたけどちゃんと起こしてくれてよかった。
眠気と戦いながら何とかボクは待ち合わせのセイントパレスの前の庭園についた。まだ辺りは薄暗い。見回りの兵士の人もおらずルネ導師以外に人は誰もいない。
「おはようございます」
「おはよう 3分遅刻ですぞ まったく近頃の若いもんは・・・」
「ああ すいません」
うぜぇと思いながらもとりあえず翼は謝る。
「まぁ まぁ 素直に謝るならいいでしょう」
そう言ってルネ導師はその場で魔法陣を描きだした。
「では ここに来てくだされ」
ボクはいわれるがままに魔法陣の上に立つ。すると一瞬で翼は見知らぬ場所へと飛ばされてしまった。




