04話 幽体離脱
聖法教会の教皇であるヨハン17世の前には翼の姿があった。翼はぐったりと倒れている。ヨハンは魔法耐性が非常に高い翼に秘法をかけるために特殊な薬を使って翼を意識がない状態にしたのだ。この状態であれば魔法が弾かれることはまず無い。
ただ念の為に翼には大きな拘束具を首と手と足の4箇所に付けている。拘束具には気休め程度にしかならないだろが高位の魔法封じの呪いが付与されている。
ヨハンの後ろには5つの影があった。彼らはヨハンが呼びよせた『救いの会』のメンバーである。『救いの会』は暗殺やテロ活動などの表には出せない仕事をおこなうヨハンの私設部隊だ。翼の専用の侍女をしていたアルナも『救いの会』の一員であった。
ヨハンはリーダー格である両腕のない男に話しかける。
「ガジャよ この者を十字架に磔にしろ」
ガジャは魔法で翼の身体を宙に浮かす。
『神を縛る鎖』
空間から無数の鎖が発生し魔法陣の上に建てられた十字架に翼は縛りつけられる。その小さな身体にいくえにも鎖が食い込む。
これからするのは翼の身体から魂と身体を切り離す聖法教の最奥の秘法である。
「アルナ 準備はいいか?」
「はい」
アルナは銀の柩の中にいた。周りには魔法陣が描かれている。ヨハンは呪文を唱えだす。アルナの身体が光ったと思うとスーと白い火の玉のようなものが抜け出しふわふわと宙に漂っている。これが魂だ。
まずは分離した翼の魂がアルナの身体に入れないように柩を封印しなければならない。ガジャは柩を宙に浮かし蓋を閉めると再び空間から鎖を発生させる。そして大量の鎖で柩をがんじがらめにした。さらにヨハンが魔法陣の力を使い柩に強力な魔法をかける。柩は赤い光に包まれる。これで柩は完全に封印されたはずた。
ヨハンはさらに呪文を唱える。翼の身体が光りそしてその光が消えると同時に魂が取り出される。素早くアルナの魂を翼の身体に入れ込む。翼の身体は再び光りそして再び光りを失った。ヨハンがゴクリと息を飲む。これでアルナの魂が翼の身体に入ったはずだ。
「気分はどうかね」
翼の目が静かに開かれる
「はい 何も問題ないです ヨハン様」
「ヨハンさんだ 白き魔女様は私をヨハンさんと呼ぶ」
『神を縛る鎖』が解かれる。翼はストンと十字架から着地する。
「わかりました ヨハンさん」
翼は拘束具を外しながらそう言うのであった。
法皇→教皇 秘術→秘法に変更しました。
てっぺんは越えると思いがこの後また更新する予定です。よろしくお願いします。




