01話 天蓋ベッドで気分はお姫様!?
翼が目を覚ますとそこは天蓋付きのベットの上だった。首輪や手鎖は外されボクは魔女の格好をさせられている。でも服の色は白色だ。とんがり帽子まで白い。なんか違和感を感じる。てか気を失っている間に服を脱がされたのか・・・あんまりいい気分じゃないな。
「よし二度寝しよう」
と言いたいがそういう訳にはいかない。今の状況を考えなくちゃダメだろう。どうやらボクは助かったようだがなぜあの状況で助かったんだ?あの時にボクはなんて言われていただろうか・・・
「まずボクを白き魔女だと言っていたな 神の使徒で世界を平和に導く救世主だとかなんとか・・・」
確かに転生した時に神様には会っているけどその時に世界を平和に導くようになどとは言われてない。白き魔女という言葉も初耳だ。でもそう言えばみうがこの世の中が乱れたら神から選ばれた救世主が世界を救うという伝説があるって言っていたな。
「ボク 伝説上の世界を救う救世主だと勘違いされたのかな!?」
そんな間違えをするかな。だけどとりあえずは白き魔女だというフリをしよう。そうしないと王様殺しの罪で処刑されてしまうかもしれない。でも白き魔女は世界平和の為に働かなくてはならないのかな。世界の平和なんかにボクは興味はない。なんでこんな散々な目にあっているのに人のことを考えなければならないんだ。ボクはボクの事で精一杯だ。何はともあれ自分がどういう立場におかれているのかをキッチリと見極めなくちゃならないな。
「コン コン コン」
ドアがノックされる。翼はドッキっとする。
「どうぞ」
ヨハン17世が入ってくる。
「お目覚めになられましたか?白き魔女様」
「あ はい」
「少しお話をお聞きしたいのですが 貴女様は神に何を言われてここにこられたのですか?」
何も言われてないよ。
と言ったら殺されるよね?初っ端から答えに窮する質問だ。ある程度事実も入れつつ誤魔化そう。
「ボクはここの世界の住人ではありません 他の異なる世界から神様によってつれてこられました」
うん。嘘はついていない。
「ほほう 確かに異世界から人が来るという話は聞いたことがあります」
そう言えばこの人は奴隷制度を非難していたはずた。
「この世界に来てボクは奴隷がいるのはおかしいと思いました 人を差別するのはよくないと思います でもその人の立場になってみないと本当の気持ちはわからないと思ったのでボクは自分から奴隷になってみたのです そして奴隷をやってみてやっぱり奴隷は間違っていると思って王様に天罰を下しました」
うーん・・・アホの子だな。でもボクの頭ではこれが精一杯だよ。それに奴隷は間違っているというのは本心だ。
「なるほど 私も奴隷制度は廃止すべきだと思っております ただすぐには難しい 貴族の反対も根強いですし 少しづつ変えていくということになるかと思います」
なるほどってマジですか?こんな嘘を信じるのか。この人チョロいかもしれない。
「ところで貴女さまが神の使徒であるその証拠のようなものはございますか?」
そんなもんないよ。そもそも使徒じゃないし。
「王宮に来た時に着ていた服と持っていた杖は神様から貰ったものです」
服はトイレに脱ぎ捨てたし杖はいまどこにあるかもわからないけどね。
「おお そうなのですね」
そうなのですよ。
「神の使徒である白き魔女様には世界を平和に導いて頂きたいと思っております 我々に救いの手を差しのべてくださいませんか?」
やっぱりそうなるんですね。てか白き魔女ってそもそもなんなのかな?
「その白き魔女とはなんなのですか?ボクこの世界に来たばかりでこちらの事がまだよくわかってません」
別に来たばかりというわけでもないけどね。
「白き魔女とは神によってこの世界を救う為に現れる使徒様の呼称です 前回はおよそ1000年前に顕現されました 伝承では白い服を着て貴女のされているその五芒星のペンダントをしていたと言われています」
それはたまたまだよ。
「この国は白き魔女様が建国された国です ですから新たな白き魔女である貴女様がこの地を治めるべきかと存じます」
存じる言われてもね。この地を治めるなんてめっちゃ面倒くさそーなことは一切したくないのだけども。
「とは言っても貴女様はこの世界にこられて間もないということですのでこの私が貴女様の補佐をさせて頂きます ですのでご安心下さい」
やってくれるなら全部おまかせしますよ。
「えと 今さらですがあなたは誰なんですか?」
本当に今さらだな。
「これはこれは失礼しました 私は白き魔女様を信仰している聖法教会の教皇をしておりますヨハン17世と申します」
「あ ボクは翼といいます」
話をしてみた感じだととりあえずヨハンさんは味方のようだ。何よりあの時に救世主だと言ってくれなかったらボクはあの場で殺されていただろう。つまりは命の恩人だ。教会にいた神父様も命懸けでボクを助けようとしてくれたしここの国の聖職者はみんな本当に親切でいい人たちみたいだな。少しズレてはいるけれど・・・
「補佐という話ですがさっき言ったようにボクはこの世界のことがまだよくわかっていませんし たいした力を持っているわけでもないです それにまだ子どもです 国を治めるのは無理だと思います なのでそういったことはあなたにお任せできませんか?もちろんボクにできることはやりますので」
面倒なことは全部この人に押し付けてしまおう。
「わかりました 全てをこの私におまかせ下さい 白き魔女様の役にたてるのでしたらこれ以上の喜びはございません!」
ヨハンさんは凄く嬉しそうにしている。良かった良かった。不安はもちろんあるけどこれでとりあえずはなんとかなりそうだ。翼はほっと一息つくのであった。
明日も更新の予定です。よろしくお願いします。




