02話 憧れの異世界生活 その1
何も無い草原を歩いている。全く人気がない。
「どうしてボクがあの時間にあの場所に転生して来たのがわかったのですか?」
ふと気になった事を聞いてみる。
「俺らもさ あの場所に転生してきたんだけど 塔をよく見てみ」
「!?」
よく見ると塔が半透明になっていて後ろの景色が透けて見える。ボクが目を覚ました時にはそんなことはなかったはず・・・
「塔は転生者がやって来るとあの場所に出現してしばらくすると消えてしまうんですよー」
「うーん そうなんですか・・・」
今さらながら完全にファンタジーの世界だな。
「あの大きさやから 塔が出現したら俺らの家からわかるんよ んで 翼ちゃんをむかいに行ったってわけ ちなみに俺ら転生者しか塔を見る事はできないみたい」
「へー あの塔はどのくらいの高さがあるのですか?」
「正確な高さは私達にもわからないですねー ただ空の果てまで続いているらしいですよ いろんな伝説を聞いたことがあります」
「こちらの世界ではあの塔を天冥の塔と呼んでいるようです 世の中が乱れた時 神の使いである救世主が誕生し その時に天冥の塔は姿を現す 救世主は塔を登り困難に打ち勝って天界に辿りつき そして神の力を授かり世界を平和にした とかなんとかそんな話があるんです」
「まぁ どこまで本当かは分からないですけどー ただ 転生する前に翼さんも神様に会ってますよね その後 あの塔の下で目覚めたという事は塔と天界は繋がっていて あの塔が天冥の塔なんじゃないかなーって私は睨んでます」
「世の中が乱れた時って言ってましたが悪魔とかこの世界にはいたりするんですか?」
「もちろん 悪魔やモンスターはうじゃうじゃいますよ それに人間同士も戦争してて超危険でヤバヤバです」
「でも心配しなくて大丈夫ですよー 私達といれば安全ですから」
「そうそう なんかあったら 俺が翼ちゃんを守ってあげるから 安心して!」
「あ ありがとうございます」
「翼さんも日本人だったんでしょ 同じ国で生まれた転生者同士 仲良くしていきましょーね♪」
「はい!よろしくお願いします」
本当にこの人達と出会えてよかった。
「ちなみにですけど あと家までどのくらいかかりそうですか?」
だいぶ歩いて足がクタクタになってきた。こんなに歩いたのは久しぶりで疲れた。体調もイマイチだ。
「そうですね あと3時間くらいはかかると思いますよー」
マジ!?これは結構きつそうだ。車に乗りたいな。異世界にそんなものはないだろうけど。
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とにかくツラくてまだかな?まだかな?と思いながら歩いていたら海が見えてきた。
透明で澄んだ青色の海とまっ青な空そして眩しい日差し。地中海みたいだな。行った事はないけれど。
「もうちょっとで着きますよ!頑張って下さい♪」
みうに励まされつつ。海岸をしばらく歩いていると街が見えてきた。
城壁に囲まれている。街は白を基調としていてなかなかの景観だ。青い海とのコントラストが美しい。
「なんという街なんですか?」
みうに尋ねる。
「ここはラァツェイという街ですよー」
門番の横を通り中に入る。ここがメイン通りだろうか。商店が立ち並びそれに加えて屋台や露店もあってかなり賑やかだ。
「港街で活気があるんですよ〜 家はコッチです ついてきてください!」
言われるがままにヒロ達の後を追う。大通りから脇に入り進んでいくと、大きめの屋敷が並ぶ閑静な住宅街が見えてきた。その中でも特に立派で木々が鬱蒼と覆い茂っている屋敷を見ていると・・・
「ここがウチです♪」
って言われた。かなりデカい家だ。何の仕事をやっているのだろうか。やっぱりアニメみたいに冒険者でギルドとかに入っているのかな?
立派な門には門番がおり直立不動でヒロ達を迎えいれる。中は見事な庭園になっており少し歩いてやっと屋敷にたどり着いた。豪華そうなドアを開けるとメイドがズラリと並んでいる。
「おかえりなさいませ ご主人様!」
一斉に頭を下げる。凄いホントにアニメの世界だ。しかしずっと待機していたのだろうか。そんなハズはないか。門番が何かしら合図を出したのかな?
「お疲れさまです 翼ちゃーん♪」
みうが抱きついてきた。ドキッとした。女の子に抱きつかれたのは生まれて初めてだ。まぁ僕は今は女の子だから同性になるけど・・・
「ヒロさん ツバサさんとお風呂入ってきていいですかー?もー疲れちゃいました」
「いいよ いいよ いってきな」
ヒロが応える。
「ウチも行く!」
「たぶん ツバサさん驚くと思いますよー お風呂すっごくおーきいから♪」
「だよね きっと驚くよ〜 マジで」
みうもエリカもフレンドリーに接してくる。人にそういう態度をとられるのは本当に久しぶりだったのでボクは嬉しかった。