07話 王子様に見初められて その6
翼はユリウスの前に引きずり出された。首輪には再び鎖がつけられ手も背中の後ろで拘束されてる。ユリウスは自室で2人の魔法使いに治癒魔法をかけてもらっていた。
「やってくれたなぁ お前 名はなんという?」
「・・・」
「おい!ユリウス様が聞かれているだろが 答えろ」
そう言って横にいた兵士が翼をおもいっきり蹴り飛ばす。
「ゲホッ」
翼はバランスを失い床に這いつくばる。その様子を見たユリウスはすぐさま剣を抜くといきなりその兵士を斬りつけた!?
「ズバッ」
血しぶきが上がる。兵士は床でのたうち回る。
「下郎が!コイツを傷つけるんじゃねえよ んで 名前は?」
「・・・翼」
「翼か 俺様はユリウス・レオンハートだ」
「知ってるよ」
ユリウスは大笑いする。
「お前は面白いな 翼」
そう言ってユリウスは翼を蹴り上げる。翼はむせ込む。
「アンタ ボクを傷つけるなって言ってなかった?」
「俺様はいいんだよ お前を傷つけていいのは俺様だけだ」
ユリウスは翼に近寄るとアゴに指を掛けくいッと持ち上げてボクの目を覗きこむ。
「いい目をしてる 不安も怯えもない強い意志をもった目だ」
「これからその目に苦痛や恐怖そして絶望を浮かべさせてやれると思うとゾクゾクして笑いがとまらんわ」
「みんなすぐ壊れてしまうから 丈夫なオモチャが欲しくてな この俺様を失望させるなよ」
そう言ってボクの顔を手でむぎゅーとする。ボクの脳裏にシュリの顔が浮かぶ。
「ぺッ」
ボクはユリウスの顔に唾をかけてやった。その唾をペロリとユリウスは舐める。
「なかなかいい味だ」
そう言ってボクに再び蹴りをいれる。
「コイツを拷問部屋に連れていくぞ」
ユリウスは上機嫌でそう言った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
拷問部屋はかなり広かった。翼はかなり大掛かりな器具で吊し上げられていた。足がぷらんぷらんと浮いている。華奢な手首は自分の重みに耐えきれずくくり付けられた鎖が擦れて血が滲んでいた。
「いい格好だな 翼」
「じゃあ アンタもやればいいじゃん」
「口のへらないヤツめ」
「なんでお前は俺様を殺そうとした?誰かに命令されたのか?」
「別にボクは殺そうとはしてない あの場から逃げたかっただけだよ アレは全部ボクの意思だ」
「ここから逃げたかっただけだというのか そもそも逃げたいならなぜもっと早く逃げなかったのだ?」
「・・・こちらにも事情があるんだよ」
「だいたい貴様は人の命をなんだと思っておるのだ 打ちどころが悪ければ死んでいたかもしれんではないか 次期皇帝であるこの俺様になにかあったらどうするつもりだ」
「何を言う シュリをあんなに酷い目にあわしておいて」
「シュリ ああ あの餓狼族の娘か あれは人じゃないからなにをしても構わんだろ」
「そんなこと誰が決めた?」
「誰が決めただと この俺様がそう決めた」
「お前はあの犬とこの俺様が同じだとでもいうのか お前ら奴隷は俺様の所有物にすぎん」
「ボクは決してアンタの所有物なんかじゃない」
「本当に口だけは達者なやつだな 四肢を拘束されているお前にいったい何ができるというのだ」
「翼 お前にはこれからゆっくりと拷問してやろう 殺してくれと懇願するまでな そしてたっぷりと犯して女に生まれたことを後悔させてやる 予言してやろう貴様は泣いて俺様に許しを乞うことになるだろう!」