表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女に転生したら〇〇されたww  作者: メろロメん
2章 王都にて
11/112

03話 王子様に見初められて その2


シュリは餓狼族の王女であった。餓狼族は北の大草原に住んでいて高い身体能力とその勇猛さで草原の一帯を支配していた。だがその広大な土地の資源を狙った神聖ミライリアにより滅ぼされ僅かに生き残ったものは奴隷とされた。


餓狼族は数こそ少ないが高い戦闘能力を持っていた。まともに戦争したら神聖ミライリアとはいえ多くの犠牲を生むのは明らかであった。


そこで神聖ミライリアの皇帝グラムは餓狼族の跡目争いに目をつけた。餓狼族の族長コムハンには3人の息子がいたがコムハンが亡くなった後に長男であるソウユンと三男であるジムタンがどちらが族長になるかで揉めていたのだ。グラムは不利であったジムタン側に軍事的な援助を送りソウユンと戦ってジムタンこそが族長となるようあの手この手でそそのかした。


そうしてジムタンとソウユンによる餓狼族の内戦が勃発する。均衡したまま3年もの間にわたり戦いは続きジムタンは兄であるソウユンを殺し多くの犠牲を払い餓狼族の族長となる。


内戦で弱体化させてから餓狼族を叩くというグラムの計略は見事にハマったのであった。しかし神聖ミライリアには餓狼族と戦争をする口実がなかった。


そもそも餓狼族は北の大草原からでることは考えてはいなかった。しかし先祖代々暮らしていた土地に人族が勝手に入って暮らし始めることを良しとはしなかった為に小競り合いはあった。ただ小競り合いくらいでは戦争の口実としては弱かった。餓狼族側としても神聖ミライリアと戦争をすれば敵わないことはわかっていたので極力問題がおきないように注意をしていた。


誰でも平和を望むものであるし死にたくはない。餓狼族も神聖ミライリアの国民も互いに戦争までは望んでいなかったのである。


そこでグラムは北の大草原にある人間の街を秘密裏に諜報部に襲わせその街の住人全員を皆殺しにした。そうしてそれが全て餓狼族の仕業のように偽装したのだ。


その事件を国のメディアを使って大々的に報じた後に皇帝グラムは国民の前で涙を浮かべながら演説を行った。


「無辜なる我らが同胞に対してておこなわれた残虐非道の数々を許すことが出来ようか?いやできるはずがなかろう!彼らの無念を思うと我は涙が止まらぬ あの野蛮なる犬どもに正当なる報いを受けさせる事をここに神に誓おう 皆殺しだッ!!!」


聴衆は叫び声をあげる。


「同胞の無念を忘れるな!」


「そうだ犬どもを殺せ!」


「皇帝陛下万歳!」


熱狂の渦に飲み込まれる。そうして暴走がはじまる。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



餓狼族と神聖ミライリアの戦争が始まった。戦況は一方的であった。長きに渡る内戦で疲弊し弱体化した餓狼族を神聖ミライリア軍は難なく蹂躙した。


シュリはジムタンの三女であった。


お父様はグラムの口車に乗ってしまった事を死ぬほど後悔されていた。ご自分の愚かさを呪っていたように見えた。わなわなと震え握りしめた拳から血が滴り落ちるそのお姿が私の頭から離れない。ご自分のせいで餓狼族が滅亡してしまうことになったお父様のお気持ちは想像することすら出来ない。


お父様は勇敢に戦った。しかし戦力差は歴然でどんどんと追い詰められた。遂に神聖ミライリア軍はジムタンを完全に包囲した。


「ここまでか・・・ しかしただでは死なん この身が滅びるまで奴らを殺す 殺して殺して殺し尽くしてやろうぞ」


お父様は私達を逃がすために残った部下達と銃を構えた神聖ミライースの大軍へと突撃していった。


「バァンッ! バァンッ! バァンッ! バァンッ! ・・・」


銃撃音はその後いつまでも鳴り止むことはなかった。


どれほど逃げたであろうか急にお母様に強く押され私は崖の小陰に押し込まれた。


「静かに ここで隠れていなさい」


神聖ミライリアの追手がもうそこまで迫っていた。奴らはお母様とお姉様を暴行しそうして無残に殺した。


私はその様子を最初から最後まで物陰に隠れて見ていた。


「この子だけは この子の命だけはお助け下さい・・・」


そう懇願したお母様を無視して兵士はその場にいた全員を笑いながら撃ち殺した。


許さない。許さない。絶対に許さない。みんなの死体を見て私は涙を流しながら復讐を誓った。


しかし程なくしてシュリは神聖ミライリア軍の手に落ちることになった。もう望みは潰えたかと思ったが神はまだ私を見捨ててはいなかった。奴隷としてまさかユリウス・レオンハートの側づきになるとは思っても見なかった好機だ。ユリウスは餓狼族討伐の総司令官をしていた。あの男だけでも絶対に殺してやる。


「ガチャ」


ロゼッタが部屋に入ってきた。


「上のベッドの餓狼族 ユリウス殿下がお呼びです ついてきなさい」


夢にまで見た時は来た。大きく深呼吸してシュリは身軽にベッドから飛びおりる。


「お父様・・・お母様・・・お兄様・・・お姉様・・・そして一族のみんな・・・見ていてください ワタシが必ず仇を討つからね」


シュリはそうあらためて心に誓い部屋を後にした。



明日も更新の予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ