02話 王子様に見初められて その1
翼は馬車に揺られていた。となりにはオークション会場で見かけた獣人の女の子がちょこんと座っていた。獣人といってもケモ耳があるだけでそれ以外の見た目は人と変わらない。翼は首輪こそつけられたままだが手錠と鎖は外されているがケモ耳の子は手錠をつけられたままだ。手前には身なりのよい初老の男が座っている。この男がボク達を競り落としたのかな。
これからボクはどーなるんだろうか?
でもみう達の時より酷い事にはならない筈だ。大丈夫さ。もっとマシだよ。翼はそう思い込むことにした。
馬車は水路を抜け都市の中央に位置する建物の巨大な門の前に止まる。
「降りろ」
あたりを見回す。巨大な門の上を衛士が巡回しておりその後ろにはさらに見上げるほどの高い建物が聳え立っている。
「ここはどこですか?」
「王宮だ」
王宮!?王宮に来たのかボク達は・・・そもそも王宮で奴隷なんか使うのだろうか?使うにしろ異世界人と獣人なんて場違いな気がする。
「早くついてこい」
急かされるままについていく。
「この奴隷達が例の2人だ よろしく頼む」
気の強そうな女性に引き渡される。
「またですか?あの方にも困ったものですね」
「私は侍女長のロゼッタ あなた達 名前は?」
「・・・」
「とろい奴隷だねえ 言葉も喋れないの?」
「すいません 翼です」
「・・・シュリ」
「お前達はユリウス・レオンハート殿下のお側づきとなる 部屋を用意してある ついてきなさい」
2人は簡素な部屋に通された。二段ベッドが2つある。
「同居者が2人います あなた達はこちらのベッドを使いなさい 仕事の時は声をかけますので それ以外は基本自由にしてもらっていいです」
そういうとロゼッタは部屋をあとにした。
「ボクは下のベッドをつかいますね」
「・・・」
とりあえずボクは下のベッドで横になる。シュリは無言で上のベッドに行く。
「・・・」
部屋の中が無言になる。
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「ガチャ」
ドアが開けられ侍女の格好をした2人の女の子が入ってきた。
「あ〜 マジ疲れたんだけど」
ドキッとして慌てて立ち上がり挨拶をする。
「あ あの今日やってきました 翼といいます よろしくお願いします」
「奴隷が喋るな!どうせすぐいなくなるんだから」
「なんでウチらの部屋にくるかね ウザいんですけど」
「・・・」
不穏な空気が流れ翼は黙り込む。どういうことだろうか。翼の中で不安が募る。
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ユリウス・レオンハート・・・この神聖ミライリアの皇帝グラム・レオンハートの第一子であり皇位継承権第一位の皇太子である。
文武に優れ国民からの人気も高いユリウスには2つの大きな欠点があった。1つは少女が好きなこと。もう1つは女性に暴力を振るうのが好きなこと。つまりユリウスはロリコンでリョナ好きのド変態の鬼畜ヤロウであった。もし日本で未成年者に暴力を加えながらエッチしたら速攻でお巡りさんに逮捕されるがここは異世界でユリウスは皇太子である。
ユリウスは王宮にまだあどけない美少女を集めてはオモチャのようにとっかえひっかえ遊んでいた。皇帝の息子という権力を持っているし未来の皇后候補ということで美少女はたくさん集まってくるが流石に自国民に対しては度が過ぎる暴力行為はできない。悪い噂が立つことを恐れたユリウスは国民じゃなければ大丈夫だろうということで奴隷を集めては思う存分暴力を振るい楽しむようになった。
そういう訳で翼達は選ばれて王宮に来たのであった。
明日も出来れば更新の予定です