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六話 謝罪と検査結果

この作品は再度掲載になります(※加筆修正をしています)

なろうの別サイトに掲載されてます⇒https://ncode.syosetu.com/n9450ca/54/


他の話を含めた『イノセント クライム』⇒https://novel18.syosetu.com/n9450ca/

「ねえ、すーちゃん。龍輔(りゅうすけ)の事だけど、呼吸困難の後に意識を失って運ばれたけど、最近変だと感じた事はなかった?」

 私はその言葉に衝撃を受けた。

「最近、なんだか息苦しそうにしているよ。でも、まさか呼吸困難で意識を失うって、」

「そう、ありがとう。検査してみないと分からないけど、最悪の事態も考えといたほうがいいかも」

 (しゅう)は真剣な表情でそう言った。

「え?」

 私は秀の言葉に恐怖を覚えた。

「ごめん、龍輔をよろしく」

 秀はそう言って行ってしまった。私は(うつむ)きながら龍輔がいる病室へと戻った。


 戻ると、龍輔は背中を向けて横になっていた。

「龍輔」

「話、終わったのか?」

 龍輔は私の声を聞くと、私のほうを振り向いて問い掛けてきた。その際に外されていた呼吸器が再び(そう)(ちゃく)されていたことに私は気付いた。

 前々から苦しそうにしていたし、呼吸困難で運ばれてきたと秀が言っていった事もあるから、苦しいのかな?

「そんなに苦しいの?」

 思った事が口をついて出てしまった。

「秀が付けろと言ってただろ? また何かあったら()(まえ)に迷惑かけるしな」

 冷静に答える龍輔。

「そっか」

 それから私達は数分間だけ会話をした。


 翌日、私は職場の病院に着くと最初に今回の事で(あやま)った。なぜなら、昨日途中で早退してしまったから。

「昨日はすみませんでした」

私は頭を下げながら言った。しかし、私の言葉が届いたのか分からず、沈黙が流れる。

「いいわよ。婦長から聞いたわ。大切な人が倒れたらしいじゃない」

 少し悲しそうな顔で先輩は言う。

「え、それは当たってますが、そんな事は一言も言ってません」

「あら、そうなの? でもお大事にね」

 厳しい注意が返ってくるかと思っていた。でも、先輩の暖かい言葉が返ってきた。私はこの職場に来てよかったと改めて実感した。

 私はホッと溜め息一つして仕事に取り掛かった。でも、私は大切な人が倒れたなんて、この職場の人たちには一言も言っていない。どうして分かったんだろう。理解してくれたのはなぜだろう。もしかして、電話していたのを聞いていたとか?

 そんな疑問が次々と浮かんできて頭の隅に残った。やがて、仕事はいつの間にか終わっていて、龍輔のお見舞いに行った。


 それから、三日後の事だった。

「すーちゃん。龍輔の検査の結果だけど、」

「もう検査結果が分かったの? どうだったの?」

「それが、(はい)(えん)だったよ。(しばら)く入院になるけど、龍輔の場合重症化しているから最低一ヶ月半以上はかかるよ」

『肺炎』という言葉に気を落とした。でも、どこかで予想はしていた。あの時から龍輔の様子がおかしかった。

「そっか。多分、龍輔が聞いたら二週間、いや一週間が限界だと思うから私から説得しておくよ。ありがとう秀」

「僕はなにもしてないよ」

 私は秀に仕事を増やしたように感じたけれど、秀は気にしていない様子を見せて、微笑んだ。

「ごめんね。僕行かなくちゃいけないから後で龍輔の病室に行くよ」

「忙しいんだね」

「すーちゃんのところより人数が少ない分ね。じゃあまた」

 そう会話した後、私達は別れた。秀は外来のところに、私は龍輔の病室にそれぞれ向かった。私は龍輔の病室の前に着くと、すぐに中には入らずに立ち止まって考えた。検査の結果をどうやって伝えよう。普通に言っては納得しないだろうな。

 入院が一ヶ月以上も掛かると言ってしまったら、龍輔の性格上「今すぐ退院してやる」とか言い出す。私が考えていると、不意に病室の扉が開いた。目の前に龍輔が現れた。

「おい、突っ立ってんじゃねえよ」

 私を見た龍輔が大声を出した。

「ごめん。って呼吸器外してどこ行く気なの?」

「どこでもいいだろ」

「呼吸器外してまで行く場所あるの?」

「トイレだ。退()け、(じゃ)()だ」

 私を押しのけて龍輔は行ってしまう。遠くに行ってしまう前に私はある事を思い出した。言わなきゃと口を開いたけれど、言葉が出てこない。いつの間にか龍輔が遠く離れていた。

作者のはなさきです。

六話目投稿完了しました。良ければ感想、ブックマーク、アドバイス、評価などよろしくお願いします。

次話更新は5/6(日曜日)の予定です。

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