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三話 久々の再会に

この作品は再度掲載になります

なろうの別サイトになります⇒https://ncode.syosetu.com/n9450ca/51/

 それから二、三日後。ようやく私と(りゅう)(すけ)は幼馴染みの(しゅう)が働いている病院に行く事が出来た。

 あれから、龍輔の熱は翌日まで続いて体調の様子見として時間が掛かってしまった。今では龍輔の体調はよくなったものの咳が続いていた為、マスクを着用していた。

 そして、今ちょうど病院の待合室にいるんだけど。

「おい、ここで待ってろ。ゴホッゴホッ」

 待合室の椅子に一緒に座っていたのに、龍輔が立ち上がって診察室のほうに向かって歩いていた。

 あれ、もしかして呼ばれたのかな?

 色々考え事をしていたから気が付かなかった。

「まっ、待って。私も行く」

 ついてくるなとは言わなかったので龍輔の後についていった。

「ゴホッゴホッ」

 待合室から診察室はそんなに距離は無いのに、診察室の前に辿(たど)り着くと、龍輔は咳き込んでいた。おそらく、まだ風邪が治っていなくて咳き込んでしまったんだろう。

 扉を開けて中に入ると、幼馴染みの秀が椅子に座って何か書いている様子だった。


「秀ちゃん!」

 私は久々に秀に会って思わず声を上げてしまった。

「すーちゃん、どうしてここに? あ、」

 秀は私を見ると、首を傾げていた。けれど、私の後ろにいた龍輔を見て、何かを察したのか黙り込んでしまった。

「懐かしがるのはあとにしろ。ゴホッ。それより早く診察してもらって帰りたいんだが。ゴホッ」

「こりゃまた珍しいね。龍輔が診察に来るとはね。それもすーちゃんと一緒にね」

 秀が冗談交じりっぽく笑顔でそう言うと、龍輔は機嫌が悪そうな表情を浮かべた。

「はっはは、龍輔怖いよ。そこに座って。すーちゃんは待ってて」

 手際よく私達に指示をする秀。そうして、龍輔の診察が数分で終わった。


「すーちゃんの言う通り風邪だね。風邪薬出しとくから、それと咳をしているから咳止めも出しとくよ」

「ありがとな、秀。ゴホッ」

「礼なんて要らないよ。これが僕の仕事だからね」


「風邪で良かった」

 私はホッと溜め息をついて言った。


「こいつ、風邪くらいで心配してやがるんだ。ゴホッ」

「だって、龍輔が体調崩したの初めてだったから」

「心配してたんだよね、すーちゃん」

 秀の言葉に私は頷いた。だけど、龍輔は怒っているような(いら)ついているような、そんな気がした。

「それで、二人はどういう関係までいってるの?」

 突然の秀の言葉に沈黙が流れた。

「どういうって幼馴染みだろ」

沈黙を破ったのは龍輔だった。

「そうじゃなくて、その、付き合ってるの? 結婚、しているの?」

「なんだ、その質問」

「付き合ってるよ。多分、近々結婚すると思う」

 私は龍輔の言葉を(さえぎ)って堂々とそう言った。

「おい、待てよ。どうして話を進める? 結婚しねえよ。ゴホッゴホッ」

「嘘吐き。約束したじゃん」

 私は龍輔の言葉に肩を落とした。

「まあ、後で。次の外来の順番だからね」

 秀はそう言って、苦笑いしていた。私と龍輔は黙って診察室を退出した。


 私たちは再び待合室の椅子に座る。

「龍輔?」

 私は龍輔の顔色を(うかが)わずに真っ直ぐ見て呼びかけた。

「さっきは悪りいな。ゴホッ」

 龍輔が小声でそう言っていたような気がした。その言葉に驚いて思わず龍輔のほうを向いた。

「なんだよ。見るんじゃねえよ。ゴホッゴホッ」

「大丈夫⁉︎」

 心配になって、様子を伺う。

「だから、見るんじゃねえって。ゴホッ」

 それがかえって龍輔の気分を悪くさせてしまった。黙って受付の人に呼ばれるのを待った。


石渡(いしわたり)さん」

 数分経つと、龍輔の苗字を呼ぶ受付の人の声が聞こえた。私と龍輔は立って受付の方に向かった。

 診察料を払うだけの会計を直ぐに済ませ、薬をもらう。病院を出て、歩き出す前に龍輔が一度立ち止まって、私の方を向き直った。

「さっきは悪かった」

 今度は、はっきりと聞こえる声で龍輔は口にする。

「いいよ」

 私は笑顔で答えた。私たちは手を繋ぎ歩いた。

 幸せの私たちに迫ってきてるとは知らずに。

作者のはなさきです。

三話目投稿完了しました。アドバイスなどありましたらよろしくお願いします。

よければブックマークもよろしくお願いします。

次話更新は4/25(水曜日)の予定です。

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