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十二話 ある決意と衝撃に

この作品は再度掲載になります(※加筆修正をしています)

文章加筆修正多々してますが

今回は特に"抗がん剤治療をやめる"という言葉に"もう少し続ける"を加えて意味合いを変えてます。

なろうの別サイトになります⇒https://ncode.syosetu.com/n9450ca/60/

別の話を含めた小説『イノセント クライム』⇒https://novel18.syosetu.com/n9450ca/


加筆修正済み再掲載『願いは遠くに消えて』⇒https://ncode.syosetu.com

 あれから、三ヶ月が経とうとしている時の事だった。私はあの時から一度も(りゅう)(すけ)には会っていない。どんな状態かも知らなかった。

 そんなある日のこと。

「あの、先輩やっぱり無理でしょうか?」

 私は、ある事で悩んでいた。その悩み事を先輩に持ちかけていた。

「んー、あなたの気持ちも分からなくないわ。けどね、そんな事を言われちゃね。可能性もなくはないけれど難しいわ」

「そこをなんとかお願いします」

 私は深く頭を下げてなんとか受け入れてもらいたい一心の思いで頼み事をしていた。

「もう少し待ってって、」

「はい」

 簡単じゃないとは思っていた。けれど、諦める事は出来なかった。だって、それが私の望みだから。


 時間が過ぎて、いつの間にか休憩時間になっていた。私は気分転換にと少しの間だけ職場の病院から外に出てみた。その瞬間だった。

「すーちゃん」

 見覚えのある声がしたと思っていたら、目の前に(しゅう)が現れた。

「秀、どうして?」

 突然の秀の訪問に不思議でならなかった。

「久々だね。龍輔が会いたがってるよ。お見舞いに来ないの?」

「もう二度と会いに来るなって言ってたくせに。なにが会いたいなのよ。馬鹿龍輔」

 その場に居るのは秀なのに、なぜかここに居ない龍輔に当たる言葉を口にしていた。

「龍輔がそんなこと言ったの?」

 私の言葉に秀が問い掛けた。

「でも、会いたがってるのは本当だよ。お見舞いに行ってみたらいいよ。きっと喜ぶよ」

 微笑みながら秀が言う。喜ぶのかな。龍輔のことだから強がって追い出そうとするような気がする。でも、許してくれるなら会いに行きたい。

「帰りに行ってみる」

 どうしようかと悩んだ末、たったの数秒の間で私が出した答えはお見舞いに行くという選択だった。私が言葉を口にすると、秀は安堵の溜め息をついた。

「秀はどうするの?」

「僕は今日、もう勤務終わりだし、すーちゃんがお見舞いに行く頃に一緒に行くよ」

「それなら、その前に相談があるんだけれどいいかな?」

「ん、いいよ。じゃあその時にまたね」

 背中を向けて、その場から離れようとする。

「えっ、それだけ? この病院に用事があったんじゃなかったの?」

「ごめん、寄るところがあるから。龍輔が会いたがっているだけ伝えに来たんだ。ごめんね」

「そっか、ありがとう秀。またね」

 私は手を振り秀と別れた。それから、外の空気をもう少し吸おうと、病院の外周りを歩いて仕事場に戻った。


 数時間後。私は仕事場を後にし、秀が働いている病院でもあり、龍輔が入院している病院へと向かった。

 あっという間に病院に着いた。秀に言われていた場所に来ると、秀が既に待っていた。どうやら秀は窓から外を眺めていて、私に気付いていないみたい。

「秀」

 呼びかけた私の声に気付くと、振り向いた。

「すーちゃん、話があるって言ってたよね」

 私が突っ立っていると、秀が思い出したように話を切り出した。

「うん。私ね、実は今の病院辞めて秀が働いているここで働こうと思ってる」

「え?」

 秀は私の言葉を聞いて驚く。

「どうしたの急に?」

 表情を真剣な顔へと変えていた。どうやって答えればいいのだろう。本当の事を言えばいいのに、上手く言葉が出ない。

「龍輔のところに行こう」

 私は自分から言っておいて、上手くその場を誤魔化そうと背を向けて逃げるように去ろうとする。私はそのまま、歩き出す。

「ちょっと、待って」

 秀が追いかけるように私の後について来た。歩いている最中に秀から何も聞かれず、直ぐに病室に着いた。


 病室の中に入ると、龍輔がフードを被ってベッドの備え付けテーブルに顔を伏せていた。

「龍輔」

 龍輔に呼びかけてみた。

「やっと、来たか」

 辛い中、少し顔を上げてくれた。龍輔は怒る様子もない。寧ろ、元気が無いというより辛そうに見えた。やっぱり、まだ……。

「ごめん」

 私が謝ると、龍輔は再びテーブルに顔を埋めた。どうも、秀から聞いていたとおりの会いたがっていた様子には見えない。いったい、どういうことだろう。

「龍輔、体調どう? やっぱり辛い?」

 不意に私の背後から秀が龍輔に問い掛ける声が聞こえた。

「辛いな。胸も痛えし」

 顔を上げて答える龍輔だけれど、その表情は歪んでいて、よく見ると胸を抑えていた。

「どうする? 言ってたとおり、抗ガン剤の治療やめる?」

 突然の秀の言葉に私は理解が出来なかった。

「いや、まだ、抗ガン剤の治療続けてみる。限界きたら、治療やめる。つーか、もう限界なんだが、コホッコホッ」

 秀の問い掛けに龍輔が答えるように言った。

「え?」

 私は聞いてホッとしたのも一瞬で、更に理解が出来ない言葉を耳にした。

作者のはなさきです。


十二話目投稿完了しました。


良ければ感想、ブックマーク、アドバイス、評価などよろしくお願いします。


次話更新は5/27(日曜日)の予定です。

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