花咲じじい
第六話 花咲じじい
〈今日も、はげ頭でちっこい目のゲンさんと、おかっぱどんぐり目のちび助シュンちゃんが、仲良く花見に出かけました〉
夕方過ぎ、にぎやかな公園でたくさんの人が花見を楽しんでいました。通りでは露店が開かれていましたが、それだけでなく、大道芸人たちも駆り出されジャグリングやアクロバットを披露しています。
「結構、大掛かりにやってるね。サーカスみたいだ」ゲンさんが周りを見て言いました。
「そうだよ。ここは有名なんだ」シュンちゃんが答えます。
彼らは見物しながら暫く進みました。
とここで、何やら数人の人たちが集まって一本の大木を見上げては、しきりに話し合っているのが目に入ります。
ゲンさんはそれに気づいたため、シュンちゃんに言いました。
「ほら、見てごらん。あの木の上。凝った演出もやってるみたいだねー。ちゃんちゃんこ着て頭巾を被った爺さんが、わざわざ木に登って『花咲じじい』を真似ているよ。いやー、それも見事に花を咲かせているねー。花びらが綺麗に散って、あっぱれ、あっぱれー」
すると、側に立っていた、大道芸の業者らしき人が言いましたとさ。
「お客さん、違うんです。あれは猿まわしのサルが逃げ出して枝を揺すっているだけなんです……」
――キキッー――(サルも笑う)