おにぎり転んだ(パート3)
第三話 おにぎり(パート3)
〈今日も、はげ頭でちっこい目のゲンさんと、おかっぱどんぐり目のちび助シュンちゃんが、仲良く高原へピクニックに出かけました。第二話の続きです〉
「大丈夫ですか?」とご婦人が丘の上から顔を覗かせ言いました。犬の手綱をつかんでいます。察するところ飼い主でしょうか。
ゲンさんとシュンちゃんは倒れたまま、顔を見合わせました。
「ええ……、何ともありません。ふざけていただけです」とゲンさんが誤魔化します。
女の人は、犬を連れて去っていきました。
本当に散々な日です。でも元はと言えば、ゲンさんが間違えたせいです。
まだ上には、お弁当が残っていました。
2人は急な坂をひたすら登って「ゼーゼー、ゼーゼー」やっと頂上に戻ってきました。
そして残りのお弁当を食べようとしました。
この時、シュンちゃんがお尻に敷いていたビニールシートの隅に〝かりんとう〟のような物を見つけました。
それを箸で摘まんでから、「ゲンさん、かりんとうがあったよ。持ってきたの?」と訊いてみました。
するとゲンさんは顔を歪めたかと思ったら、慌てた様子で両手を前後に振りながら言ったとさ。
「違うよ! それは犬のオトシモノだー。汚いから早く捨てなさいー!」