おにぎり転んだ(パート2)
第二話 おにぎり(パート2)
〈今日も、はげ頭でちっこい目のゲンさんと、おかっぱどんぐり目のちび助シュンちゃんが、仲良く高原へピクニックに出かけました。第一話の続きです〉
さて、ゲンさんは急な坂を懸命に登って、「はあ、はあ、はあ」シュンちゃんがいる頂上に戻ってきました。
「ゲンさん、大丈夫?」シュンちゃんが心配して訊きました。
「何のこれしき。大したことないさー」息を整えたゲンさんは明るく言いました。
ところで、お弁当はまだ残っています。2人は、何事もなかったかのようにお弁当を食べ始めました。
するとここで、――ガサガサ――という音がうしろから聞こえてきました。
2人は、すぐに後方を見ます。
その瞬間、心臓が飛び出しそうになりました。目の前に大きくて狂暴そうな、毛むくじゃらの真っ黒い動物がいたからです。
「熊だ!」ゲンさんは慌てて叫びました。
「えーー!」シュンちゃんも驚きで目を引きつらせました。
これは大変です。襲われるのも時間の問題です。彼らはすぐに、下り斜面だろうと構いません、命辛辛逃げ出しました。
しかし思った以上に急な坂です。
「うわー!」ゲンさんは、またも転がり落ちます。
「ひいーー!」同様にシュンちゃんも転がりました。
その後、漸く止まったところで、元いた場所を仰ぎ見ました。
黒い動物がのそのそと動いています。そしてゲンさんたちを見詰め、威嚇するように吠えましたとさ。
「ウ~~ワン」