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欲望の果てに……  作者: T隊長
始まり始まり 千葉編
9/21

ごく当たり前な日常 七

 ザ タワーズ イースト 楠木の部屋


 優越感に拘っている楠木翔太(くすのきしょうた)の視界に映っている夜景の中に、自分自身が見下ろされている建物が一つ存在していた。


 ザ タワーズ ウエスト。


 四十五階建てのタワーマンション。高さは、地上百五十メートルと市川市内でもっとも高い場所に位置しており、このザ タワーズ ウエストと楠木が住んでいるザ タワーズ イーストの形は殆ど同じである。


 楠木はこの二つのタワーマンションの内のザ タワーズ ウエスト、正確に言えば、その上に存在している『アイリンクタウン展望施設』の方に顔を向ける。


ーー本当はあそこから見下ろした方が景色はいいんだろうが、あんな『災害』があった場所何か住めねーよ。お化けとかぜってーいるし。


ーーもうあの事件から年か。今じゃ何もなかったかのようになってるし、時間の流れってもんは残酷極まりないな。


 十分に市川市の夜景を眺望(ちょうぼう)し、優越感に浸った楠木は部屋の中に戻ろうした。しかし、部屋に戻ろうとしたと同時に、ズボンのポケットに入っていたスマートフォンが振動し始める。


 楠木は誰からの着信かとスマートフォンの画面を見ると、そこには見知った人からのものであった為、すぐ様電話に出る。


「もしもし? 何かあったのか?」


『……』


「!?」


『……』


「その情報は確かなのか?」


『……』


「分かった。ありがとう。引き続き頼むよ」


 楠木は電話を切り、スマートフォンをポケットに仕舞い込むと、再び市川市の夜景を眺望する。不敵な笑みを見せながら。


「フフッ。面白いことになりそうだ」


 楠木は手すりに両肘をついて手を組み、その手を組んだ輪の中に口元を収めると、ある一点の方向に目を凝らす。まるで獲物を見つけたハンターのように。


「さて……一狩り行こうか」


 今宵の情報屋の夜はまだまだ続く。


 ゆっくり、ゆっくりと。

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