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欲望の果てに……  作者: T隊長
始まり始まり 千葉編
20/21

邂逅 三

 市川駅前 飲み屋街 表通り


 彼は爪楊枝(つまようじ)を口に加えた片桐蒼次郎(かたぎりそうじろう)という殺し屋を尾行していた。


 少しでも楽になれることを願いながら。


 ただただ、尾行していた。


 今彼が出来ることはそれだけだった。


 本来己の中にある『欲望』を押し殺しながら。


 ただただ、いつものように尾行していた。


 そして彼の頭の中に、いくつかの疑問が浮かび上がる。


 一つ目は、片桐が己の存在を認知していること。


 二つ目は、存在を認知しているのにも関わらず、距離を空けることなく、ずっと同じペースで歩き続けていること。


 三つ目は、己の姿を見ても、片桐から決して緊張感というものが感じられないこと。


 彼は思考するも、全く整理が追いつかない。


ーー怖い、怖いよ。


 出来ることなら、こんな『任務』など投げ捨てて、自分の居るべき場所に帰りたいと願う。


 だが、その願いなど通じる(はず)がなかった。


 彼は逆らうことは出来ない。


 彼は、『欲望』のままに生きることを許されないのだ。


 そんな恐怖に怯えながら、片桐を尾行していると、一通りの中にやたらと男性が多くなっていることに気が付く。


 男性と女性の比率が合わないことに疑問を(いだ)いていると、片桐が足を止めていた。


 片桐はある一定の方向に目を向けている。


 それに連れられて見てみると、彼の視界に移り込んで来た光景は、多くの男性が(むら)がっていた。


 そしてこの男性達は、あるきらびやかな外装の店の周りに集っていることが分かった。


 彼は何がどうなっているのか理解出来ず、気が付けば棒立ちになっていた。


 すると尾行していた相手の片桐が、加えていた爪楊枝(つまようじ)をポイッと投げ捨てると、(むら)がっている男性達が居る店の方に歩き出す。


 片桐が向かって行った店の派手な看板には、『To Heaven』と書かれていた。

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