心臓に針が刺さって
誰かが言っていた
人は心臓に刺さった針を抜いてもらう旅をしているのだと
誰かが言っていた
人は心臓に刺さった針を誰かに押し付けるために生きているのだと
どちらが正しいんだろうか
そんなことはわからないが
僕の心臓には沢山の針が刺さっていて
4月君の笑顔に見とれ
5月雨と共に散る桜と一緒に
散るかのように何処かへ
6月針が留めていた傷口から
流れ出るものは悲しみじゃなくて
それは君への愛で
とてもじゃないけど収まりそうにない
7月僕の目は君に釘付けで
簡単に水着姿さえ妄想できるくらいで
(笑)
とにかく君を見ていたかった
8月暑苦しく気分がもたれるから
とにかく何かしたくなって
君へ積極的に話しかけた
些細なこと
最近辛かったこと
嬉しかったこと
驚いたこと
すべて君への思いだったが
わかってるかわかってないのか
君はずっと微笑んでいた
9月 ようやく暑さから解放され僕は
君を赤と黄色で染まった町へと誘う
赤くなってしまった顔を
落ちる夕陽のせいにして一緒に笑った
10月 僕は賭けに出た
きっと外れてしまうのだ
でも35億人の誰かよりは勝率はあるつもりだ
1%の数千万分の一
きっと宝くじも真っ青な確率だ
でも心だけは前を向く
11月 少し寒くなってきた
でも僕の心は熱を帯びたままだ
賭けは当たったとも外れたとも言えず
君は逃げた
顔を赤らめた君が可愛くて
嬉しいような…
やっぱり少し寒いかな
12月 僕は知らない誰かに嫉妬に狂う
だから家からでない
炬燵から出ない
ホワイトで染められた軒並み
涙が出るくらいに綺麗だ
震える着信
バッテリーをはずした
1月 賽銭に投げ入れる四枚のご縁玉
振り替えるのはとても気持ちいいけど
だんだんと身動きがとれなくなる
だから
神頼み
1年の荷物を下ろす
何だか身軽になったみたいだ
2月 僕の心臓にまた刺さる針
どうやら僕の正体はハリセンボンみたいだ
何もすることもなく
新たに出来た厄を引きずりすぎていく
3月 また桜が咲いた
別れ
下ろした荷物は
散った針と桜は
流れたはずの君への愛の湖に全部浮いてた
人は一人じゃ生きられないが
人はそのままじゃただ人を傷つけることしか出来ない
いつか我慢をしないでもよくなったとき
自然とひとりぼっちじゃなくなるんだ
走れ
前に足をだす
自然に声が溢れて
溢れた声は僕の勇気になって
見ろ
意地を張って見上げた空には星が見せる幻想があるだけで
落とし物はいつだって下にある
感じろ!
僕の気持ちは伝わったのだろうか?
君はどんな顔をしてた?
頬を赤らめた
声が上擦っていた
「…ねえ!最後に言いたいことがあるんだ!そして聞きたいことがあるんだ!」
諦めるには未だ早い
悪あがきくらいして見せるさ
男の子だろ?