【プレイボール】
完璧にこのめんどくさいキャプテンのペースに飲み込まれた。
それに由香先輩にまで笑われるとは。
しかも何故かご機嫌な樹の顔がもの凄く腹立たしい。
拓也「まぁ最初はボールを掴みづらいかもしれんが、遠慮しないで投げてくれ。」
丘山「はっはい。」
確かに野球のボールと違ってかなりサイズが大きいが、まぁ、掴めないって程でもなさそうだな。
まっ投げれなくもないだろう。
バシッ!
拓也「ナイスボール!いやぁ、いいねぇ!握力もありそうだし、肩も安定してるよ。さぁ、続けよう。」
丘山「あっ、ありがとうございます。」
まぁ、同年代でも握力はある方だと思うが。
肩は…
由香先輩「へぇー、丘山くんなかなかボールの投げ出しがスムーズねぇ、真矢、丘山くん真矢と一緒の野球部だったんでしょ?どうだったの?野球の方は?」
樹「まぁ、普通でした。ただあいつ、本気で野球やらなかったから。野球が嫌いだったせいか、目立つのが嫌だったみたいで。」
由香先輩「ふーん、マネージャーとしては、そういう子を見るのは辛いものがあるわね。」
樹「さすが由香先輩。いやぁ、そうなんですよ!ホント、バカなんですよ丘山は…」
拓也「ふぅー、肩も身体も大分暖まってきたようだね。それじゃちょっと待っててくれ。」
丘山「はい。」
拓也「全員集合。」
ういっす!
待ちますよ、なんなら練習が終わるまでここで待機してても、構いませんが。
それにしてもあまり人数が多いとは言えないな、だいたい、20人近くと言ったところだろう。
まっ、こうして見るとあのめんどくさいキャプテンでも、貫禄があるな。
おっ!終わったようだな。
拓也「ごめん、お待たせ!」
丘山「いやっ、待ってないので大丈夫ですが。」
拓也「良かった、嫌われたかと思ったよ。」
なんだよその言い方、初めてのデートじゃないんだから。
拓也「えっーと、これから紅白戦やるから。」
丘山「あっそうですか。」
やっと解放されるのか、あとは大人しく見学して帰れそうだな。ここは樹に近寄るふりして由香先輩の隣に座って見てようっと。
拓也「丘山くん僕の方のチームだから。宜しく。」
丘山「はいっ、わかりま…えっ!?えー!?」
拓也「いやぁ、その驚きはありあまる闘争心の現れかな。大丈夫本気でぶつかってきたまえ!青春、青春。いいねぇ!若いって!由香ぁ!丘山くんにゼッケン。」
由香「はいさぁ!」
うっ嘘だろ、どこが見学だよ、紅白戦って軽い試合じゃねーかよ。
由香「はいっ、これ、ガンバ!丘山くん。期待してるからねっ!」
丘山「はいっ!頑張ります。ありがとうございます。」
綺麗だぁ、素敵だぁ。
この汗臭い体育館で、唯一由香先輩の所だけとても華やかな香りがする。来世では違う形で出会いましょう、由香先輩。
樹「丘山どうした!紅白戦に緊張してるの?大丈夫何とかなるから。」
丘山「お前からは何の匂いも感じられない、失せろ。」
樹「失せろとは何よ!失せろとは!」
丘山「もとわと言えばお前が見学とか言って連れてくるからこんな事になったんじゃねーか。」
樹「暇そうなあんたを見かねて連れてきてやったのに何なのよ!その態度は!」
丘山「別に頼んでね…」
由香「あっ、それと丘山くん一応怪我しないようにね。」
丘山「はっはい!大丈夫っす。自分頑丈ですから。」
樹「自分頑丈ですから!だって。頭は弱いのにねっ!」
丘山「うるせーよ!」
拓也「じゃっ10分後にゲーム開始するから!」
ういっす!
何でここまで発展しちゃうかねぇ、由香先輩が居なかったら絶対無言で帰ってるな俺。
はぁ、やりたくねぇー!
つづく