No.7 新垣さんの彼女
「で?アタシが聞いてたのって、好きな人の話だよね?」
バイトの休みに久々に親友の夏樹と会った。
「え?そうだけど?」
何を今さら。
私の片思い歴3年目突入だよ?
耳にタコってくらい聞いてるでしょ?
「いや、ね?今まではクールで格好いいとか、仕事の流れがスマートとか、笑顔が素敵(おもに客相手)とか色々聞いてたけどね?夏休み入ってから、あきらかに内容が変わってきてるよね!?」
「そ、そうかな…?」
会えば必ず新垣さんの言動とか話して聞かせていますがね、そんな違いないよね?
「目を冷ませ神楽!!そいつ、ただの暴君じゃね?」
ぐふっ!!
「で、でも、昨日だって仕事帰りにチョコもらったもん」
「甘いの嫌いだからだろ?それだって客からの貰い物の横流しじゃん」
「そ、そうだけど チョコくれたの初めてだし…」
「でもチョコと引き換えにサービス残業させられたんだろ?」
…夏樹さま(泣)本日も切れ味抜群な言葉のナイフ。
ドMには たまりませんな〜(泣)
「人の恋路にとやかく言うつもりないけどさ、神楽には難易度高いよ その人…」
「う、うん。私もね、やめた方がイイのは分かるんだよ。けどさ、やめ方が分からんのよね」
第一印象で好きになって、本性知ってガッカリしてるとこも沢山あるんだけどさ。
なんだろ…。
「性格悪そうな笑顔とか、えらそうに話す態度とか、なんか逆に可愛く見えちゃうんだよね〜」
いい大人が建前忘れて本音だだ漏れってどうよ?と思わなくもないけど、気を許してくれてる証拠じゃない?
つらつら語っていると、残念なものでも見るかのように夏樹の顔が曇ってゆく。
「…あんたの人生だから好きに生きてけばイイけどギャンブラーとDV持ちだけは やめときなよ?」
「う、うん?」
あれ?私、いま好きな人の話してたよね?
夏樹と話して久々に若いエキスを堪能し、翌日元気に仕事場に向かう。
「おっはようございま〜す」
「神楽ちゃん!!遅かったわね!!」
オバチャンがスゴい勢いで歩み寄ってくる。
「え!?いつも通りですよ?」
10分前に入ってますが?
「違う違う(笑)もう少し早く来てたら見れたのになって話よ!!」
「何をですか?」
「新垣さんの彼女!!」
え……
「彼女いたんですか!?」
「ね〜。ビックリよね!!あの性格で女がいるなんて。どうやって騙したのかしら…」
ああ…論点ずれてる〜(泣)
「いえ、あの。それホントに彼女ですか?前にいないようなこと言ってましたよ?」
「あら?そうなの?でも高校から付き合ってるって言ってたわよ?」
ええ!?聞いてないよ〜!!
いや、でも私もちゃんと確認した訳じゃないからな〜。
「ど、どんな人だったんですか?」
「綺麗な人だったわよ?ふわっとした感じで どっかのお嬢様みたいな。あんな人を10年も束縛しといて結婚もしないなんて悪い男よね〜」
「人聞き悪いですね」
背後で低く唸るような声がした。
「夢があるからって待たされてるのは俺のほうですよ。それに あいつはお嬢様じゃない、ただの庶民です」
「あらそうなの?でも美女と野獣みたいで お似合いだったわよ〜」
それを言うなら美女と鬼畜…て、いやいや!!
冷静に分析してる場合じゃないよね?
なに私、告白する前に失恋決定!?
確かに本題「この恋に殉ずる」だけどさ(泣)
7話にして早々と殉職!?
ご愛読ありがとうございました?
新キャラ夏樹の立場は!?
てか、オバチャンたち名前も出てきてないですけど!!