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この恋に殉ずる  作者: 冷暖房完備
接近ちゅ
15/55

No.7 友達の彼氏の友達

調理場で五目チャーハンを作っていると、オバチャンズの山口さんが声をかけてきた。

「なんか張り切ってるわね〜」

「そう見えます?」

ニカッと笑う。

「今日は友達が遊びに来てくれるんですよ!!」

「あら〜。もう免許とったの?その子」

「いえいえ。彼氏が年上だからデートの帰りに寄ってくれるみたいです」

やっと辰吉さんが盆休みに入ったとかで約束通り夏樹が遊びに来てくれる。

「あら、いいわね〜。ところで神楽ちゃんは彼氏いるの?」

「へ?ははは…」

いたら こんなにバイト入れてないでしょ?(泣)

「神楽ちゃんイイ子なのにね〜。世の男どもは分かってないわね〜」

オバチャン(泣)

慰められると余計ツライ(泣)


「神楽〜」

「夏樹〜!!」

サーフィンで日に焼けた夏樹が手を振りながら近寄ってきた。

「神楽ちゃん、久しぶり」

その後ろから人の良さそうな笑顔で辰吉さんも手を振る。

「辰吉さん、お久しぶりです!!」

「今年も皆を集めてバーベキューやるからバイトなかったら神楽ちゃんも来てね」

「ありがとうございます!!」

二人は冷やし中華とカレーを頼んで空いてる席を探すべくフロアに戻った。

「親子?」

オバチャンズの佐々木さんが声をかけてきた。

「彼氏らしいけど、ずいぶん年上ね〜」

一回り以上年上ってのもあるけど、かなり太っちょな辰吉さんは実年齢以上に見えてしまうかもね。

でも、親子って…。

昔は痩せてて、そりゃあ格好よかったんですよ?

辰吉さん泣いちゃうね〜。

「新垣さんの彼女もそうだけど、綺麗な子って趣味悪いのかしらね〜」

「でもスゴイいい人なんですよ!!」

「うんうん。分かるわ、それ。スゴイいい人臭が出てるもの〜」

「匂いだけじゃなくて ホントにイイ人なんですよ〜!!」

えへん!!と胸を張る。

て、私の彼氏と違いますけどね!!

「なら、休憩あげるから二人のとこ行ってらっしゃいな」

ええ!?

「でも昼時ですよ!?」

「今日はフルメンバー揃ってるし。たまにはイイわよ〜」

「そうね〜。神楽ちゃん頑張ってくれてるから ご褒美よ〜」

調理場のメンバーがニコニコしながら 頷いてくれた。

わ、わ〜(泣)

「じゃ、じゃあ、二人がゴハン食べ終えたくらいに休憩入らせてもらいます!!」

一生懸命やってて良かった(泣)




「神楽が可愛がられてて安心したわ〜」

店の裏手にある小さな公園のベンチに三人で座って缶コーヒーを飲む。

「うん!!皆お母さんみたいに色々助けてくれるんだよ」

そう言うと、二人は心底嬉しそうに笑った。

「こりゃ、卒業したら見合い話とか持ってきそうな雰囲気だよね」

辰吉さんが のんびり言う。

「ええ!?」

「だって料理も上手で頑張り屋さんの神楽ちゃんなら誰に薦めても恥ずかしくないよね?」

「悪かったね、料理できなくて」

夏樹が拗ねた!!(笑)

「ははは」

辰吉さんは笑って夏樹の頭をなでた。

…夏樹は辰吉さんの前ではホント可愛くなるな〜。

「で?あの人どこにいるの?」

照れ隠しに夏樹がぶっきらぼうに聞いてきた。

「ああ。今日は遅番だから、そろそろ来ると思うよ?」

「あの人?」

「神楽の好きな人だよ」

ぎゃっ!!

そこは隠密に〜(泣)

「28歳のクール(鬼畜)なフロアマネージャーなんだって」

言外に不穏な言い回しがありましたがスルーで!!

「へ〜…」

ちょっと辰吉さん!!

その、振られちゃうね(泣)みたいな顔やめて!!

ギャーギャー騒いでいると向こう側から新垣さんが歩いてきた。

「あ、きた…」

そう言うと二人が私の視線を追った。

「おはようございます」

立ち上がってペコリと頭をさげた。

「おはよう。…家族の方達か?」

けして父親と姉ではないですけどね。

「初めまして。神楽の友達です」

夏樹も立ち上がって頭をさげた。

「はじめまして」

ニッコリと営業スマイルに早変わり。

…従業員の友達も お客様ですからね!!

「神楽さんには、いつも一生懸命働いていただいて助けてもらっています」

わ、わ〜(泣)

嘘でも嬉しいわ〜(泣)

「また遊びに来てやってくださいね」

「はい、もちろん!!」

そんな二人のやりとりをジッと見つめていた辰吉さんが

「征二…か?」

ポツリと聞いた。

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