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テンプレのギルド

そういうわけでトリップ系ファンタジーのお約束、ギルドにやってきた。

ここはモンスター討伐の依頼や家事手伝い、ボディガード、その他なんでも仕事のお願いが集まる。

そして、ギルドは身元不明でも雇ってくれる。

たとえそれが他国の犯罪者でもだ。

理由は簡単、役に立つならゴミでも使えという精神でギルドは成り立っているからだ。

そのためゲーム時代はA国で事件を起こした奴がB国に逃げ込みギルドを通して国に貢献、そのまま王族に取り入って爵位をGETなんてこともあった。

まぁ爵位なんかもらってしまうと自堕落な生活は出来そうにないので今回はほどほどにするつもりだが。

ひとまず登録をしてしまおう。

登録に必要なものは二つ、身分証と金だ。

身分証がない場合は本来必要な金額の倍出せば問題ない、結構お高いけどね。


「すまない、登録を頼みたい」


ギルドに入ってすぐのカウンターで女性スタッフにそう話しかける。

トリップものだとこういうスタッフは美人が多いが残念なことに今目の前にいるのは中年のおばちゃんだ。


「身分証と1000S、身分証がなければ2000S」


接客にはあるまじき態度だがこちらも敬語は使っていないので特に文句は言わない。

そして身分証なんか持っているはずもないのでおとなしく2000Sをおばちゃんに渡した。


このギルド登録がこんなに高い理由は犯罪者であっても雇ってもらえるということと、今後宿屋や飯屋での支払いが少しではあるが安くなるということ。

そしてなにより、この登録料もギルドを支える収入の一つということだ。


「登録完了するまで一時間ほどかかるから奥で待ってな」


ゲーム時代は一瞬だったがやはり勝手が違うのだろう、おとなしく奥の酒場で待たせてもらう。

ただ……この酒場好きじゃないんだよな。

昨夜のとは違った酔っぱらいイベントや、ギルド初心者強制勧誘イベントが存在するから。

暴力的に絡んでくるというもの、後者は面倒見てやるよと言いつつその実ただの囮やエサとして扱われる。

そして断ると戦闘という厄介なものだ。


「おい、お前新人だろ。しばらく俺達のチームで面倒見てやるよ」


後ろから肩を掴まれてそう言われた。

今回は初心者強制勧誘イベントだったみたいだ。

それにしてもイベント発生早かったな。


「断る」


振り向きもせずに手を払って奥に歩を進める。

このイベントはフィールドに出てから事故を装ってやっちゃても構わないけど、きっぱり断って戦闘に勝利すれば今後絡んでくることはなくなる。

ただしこれはゲーム内でのことなのでどこまで通用するかはわからないけどね。


「いい気になってんじゃねぇぞ新人」


今度は腕を捕まれ無理やり振り向かせられた。

そこにいたのは某世紀末覇者のやられ役のような男だった。

わかりやすく言うと筋肉質ででかくて怖い顔、極めつけに持ってる武器は斧だった。


「見るからにやられ役じゃないですかヤダー」


おっとつい本音が漏れてしまった。


「このガキが!おとなしくしいてりゃ調子に乗りやがってっ!」


おとなしくはなかったと思います、現に今おの振り上げてるし。

どんだけ短気なんだよこのやられ役。


「どうした?ビビって声も出ないか?今謝って仲間にしてくださいといえば許してやらんこともないぞ。もちろん詫び金はもらうがな!」


普通におのを見ていたら何か勘違いしたのかニタニタと笑っています。気持ち悪い。


「いや、気持ち悪い顔だな~と」


おっとまた本音が、いかんなしっかありオブラートに包まねば。


「しねえええええええええええええええええええ!」


反省していたらおのが振り下ろされていた、けど俺にはきかない。

予想通り、俺の頭に当たったおのは粉々に砕け散り、男の右腕ではあらぬ方向に曲がっていた。


実を言う昨夜ある実験をしていた。

いらない武器で自分の腕を切ろうとしてみた。

いくらゲーム中でスキルが高かろうがそれが反映されている保証はないからだ。

結果、剣は半ばから折れ、権を持っていた方の腕に結構なダメージを負った。三分で治ったけど。


武器の破壊度はたぶんグレードと持ち主のレベルの違いだろう。

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