トリップにおかしな事件はつきものだ
さて、この街について一時間ほど商店を見て回り満足した俺は宿屋に向かった。
正直店にはろくなものがなかったのは完全に余談であるが。
それはさて置き宿屋、一泊食事付きで100Sと言われ何も考えずにその額を支払った。
100Sだから月々の収入の50分の一、日本円換算で創づき30万が平均だった場合およそ6000円程度になる。
セカンドワールドの影響でほとんどなくなってしまったラブなホテルよりも安い値段だ。
ちなみに金はまとまった額をポケットに突っ込んである、こちらの金は全て紙幣だからこういう時は楽でいい。
金貨や銀貨?遺跡に財宝扱いで設置されてるけどぶっちゃけトレジャーハントよりモンスターをハントしたほうが儲かる。
話はそれたが、そんなこんなで部屋に荷物を置いて夕食にありつける、そう思った時だった。
すっかり忘れていた、トリップ三大イベントの一つ、酔っ払いに絡まれるというあれを。
実を言うとこのイベントはゲーム時代から存在した。
セカンドワールドには二種類のモードとたぎに渡るスタイルがある。
片方はご存知ゲームモード、もう一つはワールドモードで買い物やら仕事やら学業やらをこなす場だ。
そんなセカンドワールドの中で気分だけ酔うことができる、その弊害が気が大きくなって乱闘騒ぎを起こすというもの、現実を再現しすぎたのである。
これがワールドモードでの酔っぱらいイベント、つまり人為的なもの。
もう一つがゲームモードないのプログラムによるイベント。
補足は特になく酔っ払ったNPCに絡まれるだけ、俺が最も苦手としていたイベントだ。
理由は……すぐにわかるだろう。
ひとまず俺は今酔っ払いに絡まれているわけだ。
「お~い兄ちゃん聞いてんのかよ」
「ハイハイ聞いてますよ」
「そうか?それでよぅ、俺の娘がパパのパンツは自分で洗ってなんて言っててよぅ」
お分かりいただけたであろうか、見ての通り絡まれているのである。
酔っぱらいイベントの八割は[こういった]絡みかたになる。
違う場合はあるにはあるが高レベルプレイヤーに力技で絡んでくる酔っ払いはいないので俺は問題ないわけだ、いや訂正しよう。
問題なかったんだ、ゲーム時代は。
今はゲームじゃない、つまりそういう酔っぱらいに今後絡まれる可能性がある、気をつけなければな……。
「おい兄ちゃん聞いてんのかよ」
その前にこの酔っぱらいをどうにかしないとな。