トリップしたけど
幸いというべきなんだろうか、学生生活中俺はゲーム内での死亡記録更新か適当な小説を読みあさるという二種類の行動しかしていなかったためこういった状況に陥った場合どうなるかある程度知っている。
つまりテンプレというものを理解しているというわけだ。
なので今は街を探して放浪している。
ぶっちゃけた話をするとVRでいくらしのうが実際死ぬのは怖いから生き延びるために頑張るというだけのことなのだが今後どうすべきか困る。
俺はいわゆるチートスペックというものがある。
なんと言えばいいのだろうか、セカンドワールドのステータスパラメーターの中には【耐性】というものがある。
例えば状態異常【骨折】となった場合、治癒後【骨折】した箇所はその後折れにくくなる、などが【耐性】である。
つまり、ありえない話ではあるが攻撃を受けまくると防御力が低くてもダメージが通らなくなってくる。
ありえないというのは【耐性】というものの本質が【ある程度ダメージを受けるたびに防御力を上げる】というものでもあるからだ。
例えば魔法攻撃を受け続ければ魔法防御が強くなるし、物理的ダメージを受け続ければ物理防御が強くなるといった感じである。
さて、では俺はどうなっているか。
死亡回数から予想できるかもしれないがカンスト済だ。
そして残念なことにセカンドワールドにおいてカンストは文字通りカウンターが止まるだけで実際の数値は肥大し続けていく。
マックス数値は9999だが俺がこの数字に達したのは2000回ほど死んだあたりだったと記憶している。
今では想像するのも恐ろしい数値なのだろうよ。
話がだいぶそれたが俺がいたのはリスポン地点に設定した【終わりの草原】というところ。
さきほど書いたとおり俺は【耐性】によってあらゆるダメージを無効化してしまい、また超防御とそのおまけの超高HPでどうあっても死ねないので太陽の中心に生身で特攻してどうにか体力を削り終え、リスポンした瞬間トリップしたというわけだ、熱かった。
ここ【終わりの草原】のリスポン設定地点は近隣に町や村がない唯一のマップで、最も近い街まで徒歩で三日というふざけた場所だった。
というのもここには魔王の住む城があるから誰も近寄らない。
そして一番近いのが魔王の棲む城という謎仕様。
残念なことに俺のステータスで壊れているのは数値上分子のが大きいという状況に陥ってしまっている体力こと【HP】124525/9999。
いくら魔法を使っても分母以下の数値にならない【MP】424517/9999。
魔法に対する防御力を示す【魔法耐性】これは数値ではなくくらった属性ダメージによって依存する、俺の場合【全属性吸収】太陽に特攻したことで最後の火属性もマックスになった。
物理防御を表す【防御】数地上は9999だがおそらく二桁ほど違う、今は関係ないので省くが防御関係で特殊技能を持っていたりする。
魔法による攻撃力を示す【魔術力】と物理的な【攻撃力】それぞれ9999これも桁が違う。
【害無効】毒、病気、ウィルス、寄生虫、殺意、そう言ったあらゆるステータス減少系効果を無効化。
極めつけが俺が登録時に選んだ種族【魔人】。
最も防御力が低く、魔法耐性も初期の状態では皆無、魔力切れかHPが0になれば死亡扱い。
その代わり攻撃関係と最終段階での戦闘力はは全種族トップクラスだった、不人気だったけど。
せっかくのゲームで魔法乱発したら死にかねない、攻撃力が高いけど防御が紙、そのくせ速さのステータスも全種族中最低 (俺の場合5000くらいで止まってる)育てるには根気が必要な廃人向けの種族だった。
その分極めたら恐ろしいことになる。
例えば【パッシブスキル】、常時発動しているスキルの中に【魔力変換】と【大気魔力常時吸収】いうものがある。
これはどちらもレベルがカンストして初めて手に入るものだがその効果は絶大、【魔力変換】は【HPが0になった時MPの半分がHPに変換される】というもの。
もう一つは【常にMP回復】と考えてもらえれば問題ない。
そして、設定上魔族は不老、不死ではないが寿命というものが存在しない種族の一つ。
ほかにはエルフやらがそのたぐいだがそちらは大人気種族だった。
最初から最後まで近接も魔法もヤリ放題だった。
一部では魔族の上位互換とまで言われていた。俺がその概念を潰しちゃったけど。
ひとまずそんなわけで俺はほぼ不老不死、さっき死ぬの怖いとか言ってたけ死のうにも死ねないからだとなりました。
さて、今後俺はどうやって生きていこうか。