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救いの手?

「住民からの要請で駆けつけた、魔族国家デモン王国国立騎士団のケリー、階級は三番隊隊長補佐だ。

貴様らは包囲されている、おとなしくすれば手荒な真似はしないが……抵抗するなら切るぞ」


現れたのは国の騎士団、日本で言うなら軍隊と警察のが一緒になったものだった。

言葉の通り広場から伸びる道の全てを騎士が盾と槍を持って塞いでいた。

ちょっとまずい、状況では俺達が多勢に無勢で絡まれていたと思えるけど俺の場合目の前にいるおっさん爆散させちゃってるからな……。

というかこの騎士さん、ケリーさんだったかな?あの長い口上よく噛まずに言えたな。


「特にそこの黒髪!お前は絶対に動くなよ!絶対だぞ!」


ご指名ありがとうございます。ものすごく警戒されています。

しかも何かいい方がフリっぽい。


「抵抗しないから座ってていいですか~?」


となりでレンが声を張り上げる。

なんというかどこまでもマイペースよのうこの娘。


「君は被害者だろう、こちらに来なさい保護するから」


何か勘違いされてる、さっき煽ってた姿を見なかったのだろうかケリーさんとやら。


「自分の旦那が犯罪者扱いされてるのにノコノコそっちに行けますかっての」


レンが再び声を張り上げた。

まだ旦那じゃないけどうっかり涙ながらに抱きつきそうになった。

泣くのも抱きつくのも我慢したけど。

その代わり頭はなでた。


「旦那だと……?」

「あんな可愛い女の子の旦那?誰だ!」

「ゆるせねぇ……」

「旦那が!ミンチになるまで!殴るのを!やめない!」

「誰か火の魔法!目標旦那!」


なんか騎士さんたちが騒がしい。

元の世界で言うところのリア充爆発しろ精神だろうか。

よく考えれば騎士なんて普段は訓練で、住まいは規則の厳しい寮、休みも少なくて、命の危険があるから恋人がいても結婚を許してくれない可能性も大きい。あげく職場に同性が少く、いても見た目が少々アレな方が多い職場で出会いもない。

独り身が多いのだろう。


「この人が私の旦那でーす」


そうこう考えているとニヤニヤしながらレンが俺の腕に抱きついてきた。

ちょっとはあるんだよな胸……やわらかい小さな山を二つ感じる、小さな山を。


「各自武器を持て、奴を敵と判断しろ、魔力を込めて全力で葬りされ!」


なんかケリーさんが一番ノリノリだしほかの人もそれに応じて魔法俺めがけてぶっぱなしてるしいいのかこの国こんな人に隊長補佐なんて立場くれてやって。


「レン、俺の後ろに……て、お前も魔法はきかなかったっけか」


レンはセカンドワールド唯一無二のチートスキル【魔王】というスキルを有している。

取得条件はすべてのモンスターを従えて大進撃イベントでモンスター側を勝利に導くこと。

このすべてのモンスターの中にはプレイヤーが操作するものも含まれるため取得は難しい……はずだったのだがレンがこのスキルを手に入れたとき、モンスタープレイヤーは連しかいなかった。

攻略サイトではドМや廃人すら裸足で逃げ出す、苦痛に苦痛を重ね、苦労に苦労を重ね、恥辱と屈辱を味わい尽くした先に【魔王】のスキルがあるはずだった。と書かれている。

あるはずだったというのは連が手に入れてしまったためもうないということ。

仮にレンを倒せても【魔王】のスキルは無くならないと言われているためモンスタープレイヤーは今でもほとんどいない。

そんな唯一絶対なスキルは内容も豊富で、敵物理攻撃九割減、敵魔法攻撃九割減、自分の魔法攻撃三倍、自分の物理攻撃三倍、武器技能全MAX、状態異常無効などなどが有り、他にもモンスター召喚やモンスター作成、武器防具の精製なお浦東にまおうか?と聞きたくなるようなおまけが存在する。

ついでにレンはあらゆるモンスターの特性を得たため魔法攻撃も物理攻撃も百%無効化される。

製作者もスキル【魔王】は冗談で作ったもので本当に取得する輩がいるとは思いもよらなかっただろうし、さらに物理魔法共に効かなくなるとは考えていなかっただろう。

さすがに宇宙空間とかに投げ出されたらやばいかもしれないと以前言っていたが大丈夫かもしれないのが怖い。


とか考えているあいだもヒュんひゅん魔法が飛んでくる。

あの山賊もどき御一行はさっさと降参して反対側の騎士に捕縛もとい保護されてるし今この場で弾幕にさらされているのは俺とレンのみ。

持ち前の素早さ生かしてどうにか避けているけどもともと俺はそんなに素早さのステータス上げていないから本当にどうにか程度でしかない。

対するレンは……あっさり避けているがお俺の顔をじっと見ている。


「守ってくれないの?」


うるうるとした目で俺を見てくるレン、だが俺はそんなに甘くないぞ!


「俺の後ろにいり!絶対守る!」


うん、甘くはないんだけどレンには弱いんです……ゲーム時代から。


「イチャイチャしやがって死ね!」


ケリーさん、あんたは自分の立場を見直したほうがいい。

そう考えながら飛んできた火の魔法を握りつぶした。

魔法を放つのに使われた魔力が体内にめぐるのを感じる。

俺がありとあらゆる手段で死んでいくうちに、あらゆる属性ダメージを吸収してしまうようになったため魔法はきかないのです。

ほら、太陽の中心目指したりとか、氷のブレス使うドラゴンと裸で殴り合いしたりとか、上級魔法レベルの電気を放つ電気ウナギ抱きしめたりとかいろいろとね。


「抵抗したな?よっしゃ!者共ひっとらえゲぺ!?」


ケリーさんが声を荒げた瞬間、ゴンッという鈍い音と共にケリーさんが倒れた。

その後ろにはケリーさんやほかの騎士より上等な鎧を身にまとった騎士が拳を握り締めて立っていた。

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