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泡沫の恋  作者: 雨宮 桜
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プロローグ

 私は人間が憎い。私達の海を汚すし、何より私のお姉ちゃんを殺したんだ。小さい頃から人間ってのが嫌いだった。原因はある童話に影響される。それは『人魚姫』。私の母は人間に好意的だった。だから、人間の本を沢山持っていた。その中に人魚姫って題名の本を見つけた。題名を見たときは人間に好意を寄せた。けど一瞬でその好意は消えることになる。あの時の私を今では殴ってやりたい。だって、人魚姫は人間の王子を助けて、声まで失う決意をしていざ王子に会ったのに王子は人魚姫に気付かず別の女と結婚して、人魚姫は最終的に泡になっちゃうだなんて。これがお伽噺だってことは頭では分かっているけど、絶対に許すことが出来ない。こんな噺を書くんだから人間ってモノの性格が歪んでいるのが見え見えよ。私だったら、王子にナイフを刺して人魚の姿に戻る選択をしたはず。どうして、この人魚姫は泡になって消える選択をしたのか分からない。人魚に戻れば不老不死。老いることも死ぬこともない。得だらけの生物なのに……何故……?


「皆さん、席に着いて。ほら、早くして!この後大事なデートが……ってゴホン!ほら座って座って」


「せんせー、これからデートなんだー」


「うるさーい‼今から皆に大事な話があるからよく聞いて。これから皆さんに課外授業の説明をします。皆さんには陸に上がって、人間と生活していただきます。いわば社会勉強ね~。え~っとこっちで皆が学ぶ場所決めたから名前呼ばれたら取りに来るように‼」


「ねぇ、美海‼課外授業だって‼楽しみ」


「一切楽しみじゃ無いよ。なんで、人間なんかと一緒に暮らすわけ?」


「美海ってなんで人間が嫌いなわけ?会ったこと無いのに……」


痛いところを突かれた。端から見れば、人間に対して偏見を持ってこうして嫌っているんだから。周りの子は疑問しか無いだろう。


「……ぅ……」


「ねぇ、美海呼ばれてるよ?」


考え事していたら私の番が来た。出来ればあんまり人に関わらないで過ごせる様な場所でありますように……


「あっ、美海は大学行きだからな。大学卒業出来るまで海に帰れないから」


嘘でしょ?嘘だと言ってください。なんで私だけ特別だよ?みたいな設定出してくるんですか?先生だって知っているでしょ?私、人間嫌いなんですよ。そんな私に4年間下手すれば8年間人間界で暮らせと言うのですか。周りの皆は2年すれば帰れるそうな課題なのに私だけ酷すぎません?


「美海いいなー、長く人間と一緒に暮らせるじゃん。」


「全然良くない。ねぇ渚、私と行き先交換しよ。そうすれば……」


「これだけは言っとく、行き先交換は出来ません。美海、交換出来ないからな」


先生が私を名指ししながら全体に言った。なんとなく無理だろうとは思っていたがやっぱりダメなんだ。


「美海、話があるからちょっと来い。」


先生に呼び出されるし……私ってそんなに問題児?このクラスの仲だとまともな方じゃ無いの?


「美海、お前を大学に行かせる決定をしたのは叔父さんの意向だ。お前は学校創立以来の天才だ。その頭のよさを活かして大学への推薦を決定した。大丈夫、その大学の理事長は元人魚だ。君のことを理解してくれるはずだ。」


そんなこと言われたって、ヤル気なんか1ミリも湧かない。寧ろ先生に殺意が湧いてくる。なんなら、お祖父ちゃんが私を人間の大学に行かせるだなんて……一番の理解者だって思ってたのに……。


「美海、3日後に出発だからしたくしとくんだぞ~基本生活の荷物はもう用意してあるから。それ以外で必要なもの有れば揃えとけ。」


唐突な出発日に驚きを隠せない。今日、大学行きを知り、3日後には人間の世界に?心の準備出来てないし、納得すら出来ない。もしかして、人魚の方がタチ悪いんじゃないかって疑いたくなってきた。

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