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元々"差"はゼロだった。

20xx年 ___ 夏。

雨の音が一層うるさく鳴る頃。


「佳奈〜!どうだった!?」

「え、待って!彩が先に言ってよ!」

中学三年生。

高校受験を控える彼女ら、水島みずしま 佳奈かな井本いのもと あやは返された成績表を見て軽く興奮していた。

テスト返しは怖いけれど楽しい。 その理由となっていたのが互いの存在だった。


「じゃ、せーので言おう?」

「いつものね!」

彩の提案に佳奈が乗る。

「せーの!」

「イチハチナナ!」

「ひゃくはちじゅうなな!」

毎回点数の言い方は揃わない。

だけどお互いそれに慣れているからなんとも思わない。


「また一緒か〜」

「じゃあまた順位も同率かな」

佳奈の言葉に彩が でしょうねぇ… と少しつまらなさそうに肯定した。

187/250。少しずつだが2人の成績は伸びていた。


佳奈と彩は小学生の頃からの仲だ。

互いに通じる点も多く、成績もいつも互角。

差が出たとしても1~2点だった。


「なんだよ〜…またお前ら同じ点数?

もう双子なんじゃね?生き別れの」

2人の様子を見てクラスメートの中谷なかたに 将馬しょうまが会話に参加してきた。

「故意に同じ点数なんて出来ないからね〜…」

「そうそう、ホンットに偶然!凄いでしょ!」

佳奈に続いて彩が誇らしげに言った。

(確かに凄いけど、誇ることなのかな…。)

佳奈は心の中で首を傾げる。


「そういう中谷はどうなの?」

「あ、聞いちゃう?」

ふふん、と鼻を鳴らした彼の姿を見て佳奈は 聞かなければよかったかな、と少し後悔した。

「俺はね〜…199点!」

「うわあと1点かわいそ。」

「おい!それを言うなって!」

彩の言葉は将馬の心を抉ったらしく彼はわざとらしく顔をしかめてみせた。

それが面白くて佳奈と彩は同時に吹き出した。

「なんだよ!俺だってダメージ食らうっつの!」

「…?」

「え、そうなの?みたいな顔やめろ!」

「え、そうなの?」

「だーもう!お前らなぁ!」

「あははっ…!中谷おもろ!!」

3人で笑い合うその瞬間が、佳奈は好きだった。

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