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第八話 海沿いの事件!

 現場に急行した一行はパトカーの中でとある話題になった。

 アドラは窓を全開にして垂れ耳をパタパタとなびかせながらクインに質問する。


「そういえば、クインは泳げるのか?」


「正直、泳げない。嬢ちゃんは?」


「わ、わたしも泳げないです。」


「じゃあ、海上の事件だったら俺は泳げるけど、ニオイは追えないしな。」


 パトカーの中が落胆ムードになる。

 そんな中、備え付けの無線から音声が流れる。


『東南海岸地域にて事件の通報あり。クイン巡査長は直ちに現場へ急行せよ。』


「了解。事件は陸上か海上なのか?」


『不明だ。ただし、海上であれば海上警察が出るから、陸上で捜査してくれ。』


「了解した。現場へあと10分で到着する。」



 クインは無線を切るとパトカーの警告灯を光らせ、サイレンを鳴らして猛スピードで現場へと駆けていくのであった。


 §


 現場に到着すると広い広い海が見え、入江のようになっているビーチであった。

 その中パトカーの外と中で攻防戦が繰り広げられていた。


「アドラ!出てこい!」


「やだ!女の子いっぱい居るから怖い!」


「アドラさん……。この振り子を見てください。」


 ノナが取り出した振り子を見つめてみる。

 右に、左にゆっくりと振れていく。

 ノナはアドラが集中状態に入ったのを確認し、呟き始めた。


「『彼の者の意識を刈り取り、眠りへと誘え。』」


 呟き終えるとアドラの瞳は段々と重くなっていき、目は完全に閉じられる。そして間も無く寝息を立て始めた。


「おぉ、アドラが寝た。ノナさんも呪文使いですか?」


「はい、補助具がないと碌に睡眠を掛けることが出来ませんが……。」


「【耳】といい、呪文といい、貴女は素晴らしい才能をお持ちですね。警察志望でしたら直ぐにスカウトしたいくらいですよ。」


「……そ、それでは事件現場に向かいましょう!」

 

 警察官への道に勧められそうになり、ノナは急いで事件現場へと向かうことにした。

 クインはアドラをパトカーから引きずり出して担ぎ上げる。

 ノナを追うように歩みを進めていった。

 

 三人は現場に到着すると辺りには人が誰もいなかった。

 この冬でも気温は夏のように高く、海水浴に行く人は多い。

 ノナは聞き耳を立てて音を拾う動作に入るとクインに止められた。


「あなたの耳は確かにすごいものだ。しかし、使いすぎるとその機能は停止してしまう。肝心な時にだけ使うように心がけなさい。人を助けるのはいいことですが……。アドラ、そろそろ起きろ。」

 

 クインは砂浜に向かってアドラを雑に投げ飛ばした。

 アドラは眠ったまま投げられたので無惨に転がっていく。

 何が起きたのか理解できず、寝ぼけ眼で辺りをキョロキョロする。


「事件の現場に来た。とっとと捜査を開始する。準備するんだな。」


「い、行かないって言っただろ!」


「アドラさん……人がいないのです。」


「ひぇ……たたた確かにいない……。」


「この海水浴場はこの時期でも一日だいたい二千人くらいの客が訪れる。雨も降っていないし、時化ていないどころか今日は『凪』と呼ばれるほど風が来ない日だ。おかしくないか?」


 アドラはそう言われ、鼻をクンッと言わせて周囲の状況を察知する。

 するとアドラの表情が急に曇り始める。

 ノナはアドラの表情を見て少し不安な気持ちになり、胸に手を当てた。


「アドラ、何かわかったのか。」


「いや、断定はできないからなんとも……。クイン。ここは屋台とかないのか?」


 そう言われ、辺りを見渡すが屋台が一つも建っておらず、客の所持品も一つも見当たらなかった。

 ノナは携帯端末をジッと眺めていたが、情報がなかったのか二人の元へ寄る。


「目撃者の情報とかないか探してみましたが、ありませんでした。誰が、通報したのでしょうか?」


「確かに……。」


「潮のニオイで掻き消されるんだが、ニンゲンは海とこの下にたくさん居る。全員死んでいるけどな……。」


 アドラが下に指を指すとそこは砂浜だった。

 ノナは二千人規模の人間が死んだと聞いて口に手を当て、足が震えだす。

 クインは少し難しい顔をしていたが、何かを決めたのかアドラの方へと向く。


「アドラ、これから【眼】を使う。しばらくは何も見えなくなるけど、大丈夫か?」


「……だな。こうも潮臭いと俺は役に立てそうもない。俺から言えるのは今回は何やら海の水が怪しい。その近辺を頼みたい。」


 そう言われクインは頷き眼に集中する。

 ノナはそれを見ると、以前使った時よりも更に目力が強く感じた。

 時間にして五秒。

 たったそれだけ見たのだが、クインはギュッと目を閉じる。


「クインさん。これを使ってください。」


 目を閉じているクインの手に布を握らせる。

 それは目から血を流しているクインのことを思っての行動だった。


「……すみません。アドラ、海中に何やら太い紐みたいなものが沈んでいる。あと、何もない空中で突然爆発したのを見た。すまないが後は頼む。」


 そう言うとクインは仰向けになって寝転がる。

 アドラはそれを聞き、海の方へと向くと服を脱ぎ始めた。

 後ろを向いたまま、アドラはノナに一つ指示を出す。


「うさぎちゃん。クインに何かないように頼む。」


「あ、はい!任せてくだ――は、裸になってる!?」


 ノナの言う通りアドラは全裸になっていたのだ。

 一応この国でもケモセーフという言葉があるので直接見えるわけではないが、それはそれで興味のある者もいる。ノナもその一人であるのが伺える。

 アドラは準備運動を程々にして海へと飛び込んでいく。

 そしてある程度沖に出たら海中へと潜っていった。


(アドラさん……。どうか無事で……。)


 泳げないノナは祈るようにアドラの帰りを待つことにした。

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