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平安幻想譚~源頼光伝異聞~  作者: さいたま人
2章 摂津争乱
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【渡辺綱】大江山の戦い その7

*人物紹介、用語説明は後書きを参照

*サブタイトルの【 】内の人物視点で書かれています

 平安4強――源満仲、源満頼、碓井貞光、そしてボク。


 誰が言い出したかは知らないけど、頼光が入ってない時点で実態からかけ離れてるわけだけど、もう1人入ってないとおかしいのがこの藤原保昌。ボクじゃ……いや、満頼でも勝てないだろうこいつが入ってない理由は至極簡単で他人に本気で戦う姿を見せないから。


 12歳の時、満仲おっさんに敗れて嵯峨源氏から追い出されたボクは盗賊に身をやつし、みやこ周辺で暴れまわってた時期がある。検非違使けびいしとも何回もやり合い、結構な数斬ってきたけど、本気を出した保昌にだけは勝てず逃走する。ま、速さだけはこっちが上だから確実に逃げ切れるもんだからこんな関係が保昌が九州に赴任するまで1年半続いた。



「頼光ガチ勢とくっつかせて満仲おっさんとの覇成死合はなしあいに利用するだけのつもりだったってのに。なーんでこいつ自身がガチ勢になるかなー?」


 そもそもここに来る途中から、あの謎空間を惜しげもなく披露してたから嫌な予感はしてたんだけど、面食いのくせにマジで保昌こいつ、頼光のこと気に入ってるのか。頼光なんて言っちゃなんだけど目はぱっちりと大きくて切れ長の目とは程遠いし、筋肉質でぽっちゃり柔らかとはとても言えないし、最近は日に焼けて白く透き通るどころか浅黒い。はっきり言って不細工もいいとこだから、どう考えても保昌の性癖に合わないだろうに。


 遠くで丑御前は全体の半分を1柱で無力化してるし、保昌もすでに撃破数が2桁を超えてる。致公は致公で未熟ながらも1柱の鬼をきっちり受け持ってる。ボクもなんとか6柱目の鬼を倒したのはいいけど、この程度のことで体にガタが来てるボクの立場って、今どうなってんだろ?


 夜這いかけてる旦那候補を殺して成り代わり、暗殺しようとしたボクを許して生きる理由をくれた頼光の第1の部下であることが存在意義だったのに、この1か月でその座が危ういことになってるのどういうことなの?


 嵯峨源氏の爺様たちに、清和源氏だけ――満頼だけを倒せばいいと仕込まれた闘い方は人間になら通用するけど、鬼みたいな人とは比べ物にならない剛力を持って着物をしっかり着る習慣もない連中には無力だと痛感しちゃうんだよね。……ましてや殺しはやらないと頼光が決めた以上、こっちも合わせなきゃいけないのが辛いとこ。


「頼光も色々変えるとこ変えてってるし、ボクも変わらなきゃいけないね」


 まったく、つい1月前に頼信相手に調子こいてたボクが、まさか仲間内で並の武士になってるとか笑うに笑えないっての。


「貞光と季武も合流したらどんな顔すんのかね。同情は禁じ得ないけど今は何より自分のことで精一杯だからなー」


 数十合の打ち合いの末、ようやく7柱目の鬼が膝をつき前方に倒れる。痛む体を支えつつ、すっかり数を減らしたなおも戦いの意思を見せる鬼に対して双刀を構える。


「さーて、少しでも役に立つとこ見せないとマジでやばいからね。悪いけどボクの立場のため土でも舐めててね」


 撃破数じゃすでに大きく水をあけられてるけど、少しでもそれを埋めるべく1番近くの鬼へと突っ込んだ。

【人物紹介】(*は今作内でのオリジナル人物)

【源頼光】――芦屋道満直属、摂津源氏の長。幼い頃の約束のため陸奥守を目指している。

【渡辺綱】――摂津源氏。平安4強の1人。源氏の狂犬の異名を持つ。

【藤原保昌】――藤原道長配下。異国かぶれの異名を持つ。

【源致公】――源満季の養子。本当の父は源忠賢。

【丑御前】――大江山に住む鬼。頼光を姐御と慕う。


【用語説明】(*は今作内での造語又は現実とは違うもの)

*【覇成死合】――源氏間で行われる最も神聖な格闘イベント。

【検非違使】――平安京の治安維持に従事する役人。当時の警察みたいなもの。

*【不細工】――平安時代基準だと頼光は不細工です(現代基準だと普通に可愛い)。

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