第4話 ★スキルの少女
ここまで読み進めて頂きありがとうございます(^^♪
担当官サーシャは、エヴァから預かった神殿の証明であるカードを、机の上にあるカードと同じ形をした窪みに入れ込み、机の下から引き出したキーボードのようなものを操作をする。
すると、机の中央付近が一瞬光り、対面で座るエヴァとの丁度中間辺りに、ディスプレイのようなものが現れる。
「はい。無事に表示が出ましたね。これで神殿からの証明カードが本物であることが確認できましたので、次は一緒にあなたの確認をさせて頂いてよろしいですか?」
無表情な顔で、カタカタと操作する音を立てながらサーシャが確認を取る。
「大丈夫です。何でも答えますので聞いてください!」
「はい。 それでは、あなたのステータスを表示します。」
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▶▽迷宮探索家テータス▽
[エヴァ・グリーンウェル 迷宮探索家LV 未登録 ]
等級:未登録 等級ランキング:未登録
体力:D 魔力:B 力:D 硬さ:D 敏捷:B 賢さ:D 運:S 魅力:S
取得スキル:★花魔法LV3、風読みLV1、影縫いLV1、強運LV3
「こちらで間違いがありま……え?花魔法? ★ ?」
『花魔法』の表示を見て、サーシャが一瞬固まる。
それもそのはずである。
★のつくスキルは唯一無二。彼女以外取得をしていないスキルを示す。
世界樹が迷宮となり、ギルドが出来て200年弱――。
★ の付くスキル所持者は、その時々に一人しか存在しない。
その所有者が死ぬか、何らかの事情で、そのスキルを手放さない限りは、少なくともこの大陸に限っては、一貫して「所有がひとり」しか現れていないスキルが ★ である。
― ✿
『花魔法』もそのひとつで、ギルドの記録では、50年程昔に存在が確認されて以降、ここ半世紀の間、確認がされていなかったレアスキル。
「えっと。エヴァさん。あなた、花魔法と ★ スキルが、どのようなものかを理解しています?」
サーシャは、この言葉を口に出しながら、心の中では「知らないわけがないよね」と思っている。何故なら、花魔法の他のスキルに「風読み」と「影縫い」があったからだ。
「あ。はい。唯一無二のレアスキルだと女将さんや姐さん達から聞いています。」
やっぱりそうだよねー。
サーシャはそう思いながら、これらのスキルを使い、S級迷宮探索家まで昇りつめた、ふたりの人物を思い浮かべる。
❀
――伝説の元S級迷宮探索家最高ランキング3位「風読み」のエルフ「ルイゼ」
――その弟子、元S級迷宮探索家「影縫い」のダークエルフ「フィオレ」
◇
そういえば、「気が向いた時しか塔頂しない迷宮探索家」で有名、「龍殺しによる王宮からの勲章授与者」で名を馳せている迷宮探索家コンビ、気分屋A級迷宮探索家「双舞子」カイトとフローラも一緒にいたよね……。
彼女の素養は、素質や強さも、バランスよく申し分なく、何より、運と魅力が飛びぬけている。 成る程ねぇ……。ルイゼさんが珍しく「頼むよ」なんて言葉を使うわけだ。きっと愛されているんだろうな、「華の蝶」のメンバーに。
サーシャは、エヴァに多くを聞くことなく、彼女を理解して納得していく。
(迷宮探索家になる素質は合格だ。最後に、スキルのことを少しだけ聞いて、迷宮探索家志願の目的を確認しよう。)
彼女は、そう思う。
― ☘
「ふたつお伺いしても宜しいですか?」
「はい。」
「ひとつ目、あなたの取得しているスキル「風読み」と「影縫い」はどのように……いえ、その聞き方は意地悪ですね。このふたつのスキルは、ルイゼさんとフィオレさんから教えて貰ったで宜しいですよね?」
「はい! 私の大切な家族からの贈り物です!」
自分の ★ スキルよりも、何十倍も自慢げに胸を張って答えるエヴァに、サーシャはトキメキを覚える。 これも彼女の持つ魅力Sによる効果なのだろか。
「素敵な答えですね。では、最後にあなたが迷宮探索家になる動機をお答えください。」
「はい! 父を……迷宮探索家として、登頂中に行方が分からなくなった父を捜すことです!」
その。真っ直ぐ、凛とした決意の籠るその瞳に、サーシャは完全に惹き込まれる。
何故だろう。 この子を導いてあげたい。力になってあげたい。
― ☘
この時点で、何故か、エヴァの迷宮探索家試験の合格を確信してしまった彼女は、「彼女の父である迷宮探索家について調べなくては」と、実技試験を前にして、早くも明日の仕事のことを考えていた。
読者様
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