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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
104/132

第104話 セビオの『自滅』✿とファランクス

 セビオが、青ざめた 顔でポツリと言う。


「モ……モンスタートレイン!? 『今』じゃないだろ……。」


「え? 『今』?」

 ローズヒップが、驚いたように聞き返す。


「ローズ君。ここは逃げ――『 ”先輩” あの迷宮探索家フローター助けますよ!』

― ☘

 逃げると言い出すセビオを、ローズヒップが言葉を被せてその言葉を無効化する。

 そして、一度、”心を殺した” ような目となり、『今ね』と、セビオに甘えだす。


 ✿


「流石ですぅ~、セビオさんの慈悲深い判断が~あの迷宮探索家フローターのピンチに間に合わせたのですね~。私~『ほれ・ちゃい・そ♡』です!」


― ☘

 加えて、下目使いでセビオに色目を使い、耳元で囁きながら、「妖艶な香り」と共にセビオの頬を優しく撫ではじめるローズヒップ。


 そして、彼の首元に軽くキスをして、耳をペロリと舐める。


「え? はぅん……聡明な僕に任せれば万事、OK、ん……。」


 彼女の柔らかい体を胸元で、滑らかなぬるりとした感覚を首筋と耳元で感じ、感応の声を漏らしながら、興奮が隠せないセビオは、彼女にキスを迫る。


「せ・ん・ぱ・い、それ~は、帰ってから……ゆっくりとね。」


 ローズヒップは、指でそれを塞ぎ、頬を再び、ひと撫でする。


「あぁ、そうだね……それじゃあ、君は盾で彼を。うん、大丈夫、大丈夫なんだ。だって、これは……。」


― ☘

 ブツブツと話しが止まらなくなった彼の『証言』を聞きながら、ローズヒップは、舌なめずりをして、無邪気に笑みを浮かべる。


「(何となく全部)分かりました~。身も命も「お預け」くださいねぇ♡」


「うん……。君も身も心も……僕に……。」(ブツブツブツ)


 トロリとした顔で言う彼の言葉を聞いて、彼女はニヤリと笑い、

 数十体は居るであろうモンスターの大群に、大盾を構えて突進していく。


 ✿


『ハァアアッ!!!』

 大盾で突進をして、ローズヒップは、逃げてくるE級ランク1位『シドニー・スカルゴン』の横を通り過ぎる。



「――感謝します」

「引き付けるから、体制を立て直したら直ぐに――」


― ☘

 すれ違い様に言葉を交わし、パーティ申請を済ますローズヒップ。

 少しだけ進み、足を止め、回復薬を飲みモンスターの方に振り向くシドニー。



 大盾の突進が、先頭の『ジャイアントレッドスコーピオン』にぶつかり、赤蠍それが吹き飛ぶ。


 同時に、彼女が大盾を地面に差し込むと、盾の上部が撥ね出し、更に大きな盾へと変形をする。


 その体制のまま、盾に頭を付け『気』を練り込みスキル名を叫ぶローズヒップ!


「スキル盾受拘束(バインド)、スキル絶対認識アンカーヘイト、重ねスキル……、」

― ☘

『―――絶対拘束盾受(ファランクス)


 赤いオーラが盾に宿り、そのオーラに目が釘付けになるモンスター達。


 ✿


『シーシィイイイ、ジャアアアア――――』

『ギュウウウー』


 モンスター達は目が赤くなり、明らかにその盾に対して怒りを募らせている。

 そして、一斉にローズヒップの『盾』に襲い掛かる!!!


 そこには、モンスター同士の秩序などない。


「軽いわね。」

 不敵に笑いながら『全モンスター』の攻撃を一手に受けるローズヒップ。


 この大盾の形状は、女性の腰のくびれのように、真ん中よりやや下あたりが窪んでいて、その窪みから彼女は狂ったように剣を突き刺しまくる。


―――シュン

 その時、彼女が突き刺した『砂リザ』とは別の『砂リザ』が泡と化す。


「おまたせしました。」

「早い! やるじゃん。」


 その一閃。黒ずくめの装備を身にまとったシドニーが、大剣で『砂リザ』を一刀両断にしていた。


 ❀ ❀ ❀


「『砂リザ』からッ 攻めるなんてッ 分かってるぅ!」

「いえ、 あなたのッ 誘導がそう見えたッ からですよ。」


 流石、E級と言えどランキング1位の孤高の戦士。

 実力の差は歴然な『三つ葉』の絶対拘束盾受(ファランクス)ローズヒップに、しっかりと合わせてくる。


― ☘

「あんた、本当にE級なの!?」

「いろいろありまして『都落ち』した口です。」


 ズカ、ズカズカズカ―――。


― ☘

「あぁ……成程ね。怪我?」

「はい。でも幸いにも『賢者様』にお会いできて、E級からですが復活です!」


「ふーん。面白いわね、シドニー・スカルゴン。担当は?」

「えーと……そこの、セビオさん?」


 ズカズカ―――。


― ☘

「あぁ……あれもう『詰んでる』から、明日私のところいらっしゃい。」

「え?」


「いずればれるしいっかー。このモンスタートレイン、あれの仕業よ?」

「え? えええええ!?」


「『幻惑貝の魔香水』で幻惑なうよ。

 彼、何故か持っていたのよね……。だからクスねて、こっそりとゆっくりと~」


 彼女は、今までのうっぷんを晴らすように、思いを「間」に込める。

― ☘

「―――それを、使ってあげたの。そしたら、無意識に全部ゲロッたわ♪」

「あなた、悪い人ですか?」


 ズカ、ズカズカズカ―――。


「うふふ。そうかもね~♪」

「あ……後ろから一体。」


 この数のモンスター達を会話を交え一蹴していた彼女達であったが、後方から現れた『ジャイアントレッドスコーピオン』が、幻惑中のセビオの背後に迫っていることに気が付く。


「あ、ヤバ。生ける証人が……でも動けないし、まぁいいか!」

「いや、だめっすよ。僕が行きます。」


 呆れながらも、シドニーが助けに向かう。


(しかし『幻惑貝の魔香水』は恐ろしいなぁ。だって、セビオさんむっちゃ『空気』と戦ってるもん。 あ……。)


 シドニーがセビオの『素振り』に辿り着く前に、赤蠍の毒尾が……セビオの背中を捕らえているのを彼は見て、間抜けな声を出す。


 ◇


『ひぎゃあああああーーーー!!! 溶ける~溶ける~~。』


 『幻惑貝の魔香水』が見せる幻惑が、受けた痛みと毒の効果を、数倍誇張したイメージとなり、セビオの脳裏に猛威を振るう。


「やめろーやめろー。」

 剣をぶんぶん振り回すセビオが、彼の足元にあった素材袋に手をかける。


― ☘

 中にあったのは、『爆弾ワームの破裂殻』を『硬ゴムの実』でコーティングした爆弾が……いっぱい。


 それを思いっきり遠くに投げ、火の魔法『火の粉(リトルファイア)』を放つ。


―――ドゴォォォォン、響き渡る爆音と爆炎!!!


「あ、やばぁ……。」

「まじか……。」


 慌てて後ろに飛び、身を屈めるシドニー。

 『絶対拘束盾受(ファランクス)』を解き、シドニーの元に大盾スキル『カバーリング』で飛ぶローズヒップ。


 拘束が解け、爆音に慄き、逃げていく残り数体の赤蠍達。


 そして―――。

 悪運強く、自分を刺している赤蠍が盾となり、吹き飛ばされるも致命傷を免れ、泡を吹いて気絶しているセビオ。


― ☘

 『何処から』であろうか、彼の計画にズレが生じて、ボロを出し。

 それを利用され、幻想の中で全てを語った後、自ら用意した爆弾で、自分に止めを刺す……。


 そんな彼の『誤算』から生まれた「第2の爆発」。


― ☘

 それは、ローズヒップも、フィオレすらも気が付かない中で、エヴァ達を砂の底へ誘う引き金となったのであった……。

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