第103話 ローズヒップの『我慢』
話は、2度目の爆発の前にさかのぼる。
『三つ葉』のローズヒップは、自身のグラマラスな体に刺さる目線を感じながら、心の中で、大きな大きな溜息を付く。
後ろから、ワザとなのだろうか?
「ぐふふ……ぐふふ。」 と、嫌らしい笑い声が聞こえてくる。
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(絶対《《これ》》で泣かしてやる! だから今は……。)
彼女は後ろから感じる目線の主、セビオに対して誓いを立てる。
「どうだい? 砂漠を歩くなんて経験はまだ積んでいないだろ?」
「あ、は……は~い。歩きずらいですねぇ~。きゃ!」
ローズヒップから100点の回答が返ってくると、うんうんと嬉しそうにセビオは笑う。
「僕が、先に歩いてもいいのだけれど、これも経験経験 ♪ ぐふふ。」
「(はぁ、)えーとぉー。取り合えず1組見えてきましたよー。」
(心底呆れている)彼女が指を刺す方を見て、セビオが前に出る。
◇
「僕が行ってくるよ!
『彼女』達を安心させるのは上司の僕の仕事だからね。」
「あ、はーい。まっかせましたー。(棒読み)」
(『彼女』……達ね。
男性が3人のパーティに彼女達とかないわぁ……きもっ。)
そう思いながら、彼の説明に付き合う彼女であったが、
その説明がまた……酷い。
ちょっとした手違いだから、僕に任せて安心してギルドのコテージで休んでいれば良いと女の子にいいながら、男のリーダーから、試験はどうなるのか聞かれると、これしきでは内容を変える訳がないと豪語して、反感を買う。
それに対しても、「君達ならできるさ!」と、女の子に向かって笑顔で言い切り、男性陣の反論は全て無視を決め込む。
ローズヒップは、どうしたのかと頭を悩ませながら、緊急事態の状況次第では、当然試験内容も考え直さなくちゃいけないルールだから、安心してと『彼等』を諭し、
リーダーの迷宮探索家の耳元で……
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(私も、この『暴挙』は、やりすぎだと思うわ。最悪の場合はギルドに訴えて、その時は、力になるわ。)と、優しく囁く。
その囁きに、リーダーの男の子は頬を少し赤らめながら、「一旦戻るぞ」と、指示を出すと、彼等はギルドのコテージを目指して歩き出す。
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彼等と別れ、セビオとローズヒップが他の迷宮探索家を探すべく、砂漠を歩き進めると、もう一組もすぐに見つかる。
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だが、間が悪く男性4人のパーティは、戦闘中であった。
ここでもセビオは、「戦闘を止めて直ぐに、コテージに戻るんだ~」と訳の分からないことを言い出す。
満身創痍で戦う彼達である。
流石に……直ぐに戦いを止めれば逆に、赤い蠍の餌食である。
「流石に、それさせたら彼等死んじゃいますよー。」
と、ローズヒップがセビオに言うと、彼は ”チッ” と舌打ちをして、
「じゃ、ローズ君、止めさしちゃって。」
と、彼女に指示を出すのだが……。
彼が小声で、
(こんな野郎だけのパーティ、どうなってもいいだろ。)
と、ボソリと付け加えた言葉が、彼女の我慢の限界を超えそうになる。
だが、そのタイミングで、セビオの言葉に困惑したパーティは、盾役が蠍の猛毒の攻撃を受けてしまい、戦いの均衡が解かれてしまう。
(クッ……)
無言で蠍に近づくローズヒップは、得意の大盾を構えて、蠍の攻撃を受け止め、剣を使って蠍の胸元を刺す。
蠍は、弱点をあっさりと貫かれて泡と化す。
「あ……ありがとうございます。」
毒の回復を必死にしながら、回復薬の男が礼を言う。
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彼女は、怒りの表情が隠せていない中、表情をセビオからの死角に隠し、迷宮探索家達に毒消しと回復薬を渡す。
そして、ひとこと、
「ごめんね。ちょっと「きな臭い」からコテージに避難していて。」
と、その形相をそのままに、彼らに言う。
彼等は、その表情から察したのであろう。
頭を下げて、黙ってコテージに向かっていく。
(はぁ。もう、殺ってしまいたい……。
けど、そうなると試験は中止よね。それでは……彼等が余りにも報われない。)
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息を大きく3回吸って、吐き出すと同時に、何時もの作り笑いに顔を戻す。
「セビオさーん。怖かったです~。次は助けて下さいねー。」
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その作った笑顔に、何も無かったようにデレデレとするセビオの姿は、全くもって……本当に御し難く、本当に反吐が出ると彼女は思う。
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再び、迷宮探索家達を探すセビオとローズヒップ。
「残りは、チーム『大空』の4人と、1位と7位のランカーふたりですよね~? どうします?」
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「『大空』……は、サーシャさん担当の『特S級』上がりの子達が3人でしょ? どうせ強いから何とかなるんじゃない? それより、もう少しで爆破のあった場所だから、そっちに行こう。」
「え?」
「あ……いや、単独行動のふたりの方を優先という意味でだよ!?」
「そう……ですか。それならいいですが。」
確かに、2組目の迷宮探索家達から別れてから、セビオが前を歩いていて、一直線で爆破のあった場所に向かっているように思える。
そして、その場所はローズヒップの計算からも、もう少しで到着する。
筈だった……。
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その方向から130°右前方から、E級ランク1位『シドニー・スカルゴン』が、10を超える『ジャイアントレッドスコーピオン』と、20を超える『砂リザ』を引き連れて、こちらに向かて走り込んでくる。
それを見たセビオの口元が三日月のように釣り上が……らない。
逆に口元が下がり、真っ青な顔でこう呟いた……。
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「モ……モンスタートレイン!? 『今』じゃないだろ……。」っと。




