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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
102/132

第102話 『無自覚』ふたつ目の爆発音

 対峙している巨大な蟻は、『サンド働き蟻』という。


 蟻の密というスイーツに欠かせない甘味のひとつを落とすモンスターで、『アリ穴』が、迷宮探索家フローターや冒険者に、そこそこ人気のあるダンジョンであるのはこの為である。


 最も、迷宮探索家フローターとしては、最低でもD級以上の実力が必要であって、そこで出現するモンスターは最上層の第1階層であっても、世界樹の迷宮の20階層以上、いわゆる『中層』と呼ばれる階層程度の強さを誇る。


 ✿

― ☘

 その中層レベルのモンスターという、興味津々ワードに目を輝かせるエヴァ達であったが、リンデンが目の前に現れたこの蟻のドロップ品『蟻の密』について、説明をしてしまったことが、彼女達の目の色を更に戦闘狂の如きそれにしてしまう。



「蟻の密! 『ハニビーの蜂蜜』と双璧をなす甘味。弟達も大好き。」

 フリージアが、手に持つ刀を下段にゆるりと構える。


「見せ場に加えて、蟻の密なんて。わたくしテンションマックスですわよ!」

 手に持つ5本の矢に魔力を込め、マーガレットも狙いを絞る。


「ここは出し惜しみなしだよー!」

 エヴァも、華のタリスマンを手に魔力を込める。



(あわわわ……余計な事を言ってしまった。)

 と、リンデンは狼狽するも、それは既に後の祭りである。


 敵は強敵。だからこそ、混乱している場合ではない。

 リンデンも、一番得意な武器である槍を構え、まずはエヴァに指示をする。


「エヴァさん。まずは、皆さんに『ガジュマルの花』を、そして僕に『アキノキリンソウ』をお願いします。」


「了解だよー!!!」



 隠頭花序の隠れ花の如く、示す者の活力を内より活性せよッ―――

―― ✿『花』魔法 ガジュマルの花 ×3


 花よ舞え、わたしと共に理を解き開けッ―――

―― ✿『花』魔法 アキノキリンソウ



 何時もと比べて『8割』の持続時間と効果であることを、リンデンはしっかりと頭に刻みなおす。


 「ガジュマルの花」と「アキノキリンソウ」の効果を計算しながら、彼は戦いの指揮に努め出す。


「今です! マーガレットさん。「クインテットアロー」で先制を!」

「フリージアさんは、前に出てくる蟻をまず優先的に殲滅!」

「エヴァさんは剣に持ち替えたら、フリージアさんの援護に向かってください。」


「「「了解!」」」



 マーガレットの「クインテットアロー」を皮きりに、戦闘が動く。


 だが、やはり中層レベルと言われるモンスター達。

 しっかりと「連携」をして戦ってくる。


 これにより、エヴァ達であっても、苦戦を強いられることとなる。


― ☘

 だが、この厄介この上ない「連携」をしてくる蟻達に対して、特にフリージアを筆頭に同じ連携をしてきた敵「クイーンラミア」との戦いが経験がとなり、徐々に生きてくる。


 それに併せて、時間が経つに連れて、キレッキレとなっていくリンデンの指揮。


 少しづつ数を減らしていく蟻の数。

 これなら何とかなる! と、皆がそう思ったその瞬間であった……。



― ☘

―――再び……。 『爆発音』が、砂漠に響く!!



 残り半数程度となった蟻達が、一斉に砂の渦に逃げて行く。

 足元は、クラクラと揺れたかと思うと、グラグラと揺れが強くなり……。


『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ―――ッ!』

 地鳴りと共に、砂の渦を中心に割れていく砂地!!!!


「皆さん、やばいです! ここから離れてください!」

「エヴァ、早く!!」


「ふ、ふええ? あ……足元……ふわぁあ。」



『きゃ、きゃああああああああああ………!!!』


― ☘

…………地割れで生まれた亀裂が、『砂漠の底』へ、彼女達を飲み込んでいく。




 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

― ☘

 その頃、フィオレは、賊を追っていた。

 恐らくはセビオと密会したであろう男、動きに無駄がない。


 元々、砂漠の入口付近で爆破によるモンスターの誘導を行っていたようで、数人が扇状に散開して砂漠の奥へ向かって追い込んでいる感じであったが、その中で一番の手練れ、多分『ビー・ディー』の手の者、フィオレはこの男を追っている。


(足だけは速いわね……。でも、私に気が付いていないのは、まだまだね。)


 他のものは、ぺスカに任せればいい。

 彼女の力は、むしろそっちに特化している。そこは、安心できる。


― ☘ 

(しかし、妙ね。先程の大きな爆発があってから、こいつの動きがおかしい。)


 もう少しで追い付く、その手前でフィオレはこの男の動きが鈍るのを感じていた。


(まぁ、いいわ。捉えて吐かせましょう。) 


 じりじりっと、詰める距離が彼女特有のあの技の射程範囲に入る。

 そして、男の影が砂山の影に重なったその瞬間。


『影縫い』


 その男の影の奥から、黒の服に銀のマントの妖艶な女性が影とともに現れ、神速とも思える手刀で彼の意識を奪う。


― ☘

 その影は、その男の体を包み、そして砂山の影の中に消えていった―――。

 その男が、セビオから託された『爆弾ワームの破裂殻』と共に……。


 ✿


 では、エヴァ達が感じた『2度』の大きな爆発は何であったのでろうか。

 ひとつは、『勇者』ニューの笑顔の狂気によるもの。


 そして、もうひとつは……

 ひとつめの爆破により生じた、セビオの誤算によるもの。

― ☘

 ニューによる、砂漠に砂の渦『大穴』を開けたその行動は、無自覚にも、セビオと組織の計画を『破綻』へと導いていくのであった。

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