第1話 世界樹の迷宮の国
新緑の季節に、宜しければ新緑の世界樹の冒険にお付き合い頂ければと思います(*'▽')
「― ☘」は、そのページの重点に目印として付けているつもりです。
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エトルリーニア大陸のほぼ中央にある国フィデニア王国。
大陸内での争いは終結し、世界樹によりもたらされた平和が訪れて、200年あまり――。
フィディニアを勝利に導いた英雄、第4代フェディニア国王女帝エミリア=ロマーニエとの盟約により、世界樹は迷宮となり、試練となり、その強大な力は、天高く浮遊する巨大な球体(ジオデシック構造)の『架空都市グランドセブン』となる。
世界樹の迷宮は、その迷宮から産出される豊富な資源を人々にもたらし、大戦により壊滅した王都アウロの復興の礎となり、「巨大迷宮都市王都アウロ」として、王国は復建される。
王都アウロは、由来となる「知性の光、創造性の光が到来する曙の神アウローラ」の名に恥じない街として栄え、その栄華を支える迷宮資源を採取する者達のことを、人々は、浮遊都市を目指す者『迷宮探索家』と呼び、街の誇りとしていた。
※ ※ ※
「エヴァちゃん。今月分のお給金!毎日頑張ってくれてありがとう。」
娼館の女将ルイゼは、秋の夕日に染まる小麦の様に美しい髪、大きく澄んだ瞳をした小柄な少女、娘のように可愛がっている住み込むの従者エヴァを部屋に呼び、給金を渡し労う。
「女将さん。ありがとうございます! わぁ、こんなに?」
少女は支給された給金と女将からの心付けを見て、欣喜雀躍し声を上げる。
「今回だけさ。これで溜まるんだろ? 迷宮探索家になる資金。」
「女将さ~ん大好き~!!!」
少女は、ルイゼに抱き着き、少し甘えながらそう言う。
「私としては、大きな痛手だけどねぇ。こんな色町の娼館兼酒場で、我儘な娼婦と客の痒いところに手が届く大事な逸材を失うんだよ?」
「でも、お前は……かわいい私の娘さ。夢に向かって頑張った娘を応援するのも親の役目さねぇ。 あ、でも。用意を整えるまでの間は、しっかり働くんだよ!」
優しい目をしながらルイゼは、少女の頭を撫でる。
「ふぇええん。女将さん~ありがとう。」
―――そう、遂に溜まったのだ。
念願の迷宮探索家になる為に必要な登録試験の資金が!
これで、お父さんと同じように、世界樹の迷宮を冒険・探索することが出来る!
その為に頑張ってきた。
それを、ずっとずっと、近くで見続け、支えてくれた女将さんに……
私は、心からの感謝を込めて、ギュッと抱き付く。
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私の名前は、エヴァ・グリーンウェル。
唯一無二のレア魔法、『花』魔法を操り、何時か父親が目指した『架空都市グランドセブン』に辿り着くことを夢見る15歳の女の子。
初回の投稿は4話までさせて頂いております。
少しでも、面白かった、気になった方は4話まで読み進んで頂ければ幸いです<(_ _)>