隣国のダンジョン エジソンと教皇の手記編
エジソンは雪の積もっていない日は馬車で来るけど、積もった日は俺が迎えに行こうかな?
俺は落し穴に入ってトーマスを迎えに行き、ワザワザ門の外で彼を出している。
門番はわざわざ歩いてきたトーマスを見ると
「今日もお嬢様のためにすまないな」と声をかけている。
前回は俺の部屋から直接自宅に送ってしまったから、門番がトーマスが帰ったか確認しにきたんだ、ちゃんと出入りを見てるんだな。
そして、俺の話で盛り上がってしまいトーマスが雪の中ワザワザきた理由を聞いてなかった。
エジソン「教会が新たに規制線をはったのだ、ルーン文字全体が禁止されるかもしれない。
研究者側は猛反発している、ルーン文字は既に街灯に使われているからな。
国側は研究者寄りだ、国で管理してるルーン文字が実は他にもあったのだ。
国境を管理していたと新たに発表されてな、おそらくまだ隠しているだろうと研究者側は思っている」
俺「それは、なんと言うか
国は技術の独占と流出を防ぐために黙っていたけど、路線を変えたのでしょうか?
教会が禁止するのは、ルーン文字が何かを既に知ってたからですかね?」
エジソン「あれだけ研究者の目にさらされたのだ、もう隠してはおけぬだろうと思ってるハズだがな。
そうか、教会は最初から知ってる可能性もあるな・・・
あの爆発がルーン文字の可能性があると、公表したのは教会だ。
ガスだまりだと言っておいたほうが、人々は安心するだろう?鉱山もそうだからな。
国の公式発表と意見が割れておる」
え、俺のルーン文字爆破がバレたの?魔力痕のようなものが検出されたのか?
それとも、ルーン文字を詳しく知ってる奴がいるのか?
エジソン「その顔は何か知ってるな?
やはり、あの爆破はダンジョンの主がおこしたものなのだな?
ああ、聞いてはいけないタブーなら言わなくてもいい」
爆破したの俺ですなんてさすがに言えない。
俺「規制されるとなると残念ですね。
ルーン文字の解読が進めば、メールや電話みたいなのが出来たかもしれないのに残念ですね」
エジソン「メール??」
俺はメールや電話の説明をする。大昔の電話の初期の頃は間に繋ぐ人がいたらしいけど、多分あのダンジョン・コアのルーン文字はパソコンのような使い方が出来るはず、一般化まで遠いな。
俺「トーマスさんがいずれ作ってくれると信じてますわ」
エジソン「君じゃなくて私が作るのか?
君の方が詳しいだろう?それにダンジョンの主の声も聞けるではないか」
俺「わたくしのような子どもが作ったところで、インチキ扱いされますし。最悪は異端児として処刑なんて怖いですもの。
研究者として認知されてるトーマスさんが主導で進めたほうが良いのですわ。それにわたくしは、ライバルと喧嘩なんてしたくありませんものフフフ」
エジソン「もう既に異端児としてミネルヴァの天才と呼ばれておるぞ?
しばらく領地にいたので噂が独り歩きしてもう別人のような話になっているがな」
前にそんな噂があるとヨシュアから聞いたな。
昼食だけど、コーネリアスがうるさいから部屋で2人で食べることにした。
食べながら盛り上がれるのは楽しいよな。
アンナが運んできて
「テーブル開けといて下さいって言ったでしょ!あなた達聞いてなかったんですか?もう!」
すみません
アンナにチョコを一粒あげると、るんるんで出ていく。一日一個までと約束させた。
エジソン「前のメンタイコォ・オリジジ殿は隣国に拠点を移したのであろう?
他にも有資格者がいてそのチョコは、また別人からもらったのであったか?」
"明太子おにぎり"さんな。
俺「ルーンダンジョンにいた御方は、ダニエルと言う別名も持っていらっしゃるのよ、教会から睨まれると厄介だから身バレを防ぐために通り名を使っているのね。どちらが通り名かしら?どちらも本名では無いかもしれないわね。
私達も別名で活動しますか?フフ」
エジソンがソワソワしだした。
どうしたんだ?
俺「トイレなら部屋を出て奥の・・・」
エジソン「違う!いやその、私も他のダンジョンに行ってみたいのだが駄目であろうか?
私が行っても禁忌に触れないだろうか?
無理にとは言わぬ、君の負担にはなりたくないからな」
流石エジソン!やっぱり興味あるんだな
せっかく身近なミネルヴァにダンジョンあるってわかってるのに行けなくなるなんて、つまんないよな。
俺「フッ、トーマスさんの頼みですけどね」
エジソン「いや、分かってる。無理な事だと思っていたのだ、無理強いしない」
俺「いえ、アリバイ工作が必要ですわ。わたくしたちが2人して急に消えたらすぐに見つかりますもの、アンナがお茶を持って来ますから、先日のわたくしのようにすぐに居ないことがバレます。何かいい考えはないかしら?」
エジソンは賢かった。
城が管理する図書館へ行こうと言われた。
貴族街は除雪されてるから今日くらいの雪なら馬車で行ける。
お供にアンナを連れて行くけど、図書室外の暖炉のある待ち合い部屋で使用人が待ってたりするらしい。
お茶とお菓子が食べ放題なんだとか、ダンさんとアンナにはそこで待っていてもらう。
ちなみに建物に入るのは有料で本や資料の貸出は不可だ。
一組4人まで利用が出来て一律銀貨5枚らしい。
お母様に図書館に行きたいと申告してアンナとダンさん合わせて全員でちょうど4人だ。
貧乏人は本に触ってはいけない世界らしい。
俺「トーマスさんのおかげで図書館に行けますわ。わたくし一度行ってみたかったのです」
アンナ「お菓子が食べ放題なんでしょ?凄いわ!とっても楽しみよ!」
キャッキャして喜んでる
アンナさん元を取って来てください
貴族の馬車には家紋がついていて、馬丁のダンさんがコルチーノのお嬢様と家庭教師が図書館に来ましたと門の所で受付していていた。
ちなみに、貴族は現金払いではなく後でまとめて請求が行くシステムだ。
極稀に商人も利用するけど、その場合は現金先払いだそうだ。エジソン詳しい流石。
マリアンヌにはフィギュアのステルスモードでポンチョの中に隠れてもらう。
アンナとダンさんに待ち合い室にいてもらい、俺達は図書館の方に入った。
談話室や個室もあるし広くてでかい、外国の図書館って感じ、俺は人知れず感動しつつ
俺「どちらのダンジョンに行きたいですか?
領地のダンジョンは人が増えているらしいので今なら人混みに紛れそうですけど?
隣国は・・・」
エジソン「隣国へ行ってみたいのだが!コルチーノ領なら、一人でそのうち行けるであろう?」
そうだね。
俺「では、先に言っておきますが死人が徘徊していて、少し危険なのですわ・・・
それに、わたくしは変身しますの!」
エジソン「そんなワクワクした顔で危険と言われてもな、楽しそうな雰囲気しか伝わって来ないのだが?」
俺「楽しくて危険でスリルがあって楽しいのですわ!トーマスさんとこんなに早く来れるなんて!感激ですわ!」
エジソン「なんて可愛い顔をするのだ!誘拐されるから顔を戻しなさい!普通の顔をしなさい!」
エジソンにほっぺをモニモニされながら落し穴にそのまま落ちて、隣国のダンジョンの神殿前に出た。
アバターを装着してドヤ顔でエジソンの前に出た。
どうだ俺様カッケーだろ?
フッ俺の格好良さに惚れんなよ?
俺「トーマスさん?」
エジソンかたまった。
エジソン「せ・・・いじょさま?
あの、貴方様は・・・聖女様ではございませんか?」
俺「アハハ!アハハハ!
トーマス、顔、面白ーい!アハハ!ゴホゴホッ笑いすぎてむせた、アハハゴホッアハハ!」
『お前笑いすぎだろ、コイツまた動かなくなったぞ?』
俺は無詠唱で自分にヒールをかけた。
俺「ハァハァ、トーマスさんわたくしですわ!
マリーウェザーです!こっちの相棒はあのお猫ちゃんですのよ?多分トーマスさんには影にしか見えないと思いますけど15歳くらいのおぼこい少年ですわ」
『おぼこいは余計じゃない?相棒ってのはいいね!そうだ僕はお前の相棒だな!』
俺「ハァー!トーマスさんのボケ顔も見れましたし、せっかく隣国のダンジョンに来ましたのよ?
攻略して行きませんこと?
召喚 トモエ ムラマサ!
トモエ、トーマスさんを守って差し上げて?」
エジソン「・・・・」
俺「トーマスさん!いつもみたいにたくさん質問してください!聞きたいことに答えて行く方が楽なのですわ!
それとも、もう帰りますか?大丈夫ですか?」
エジソン「あ、いや、あー、君は確かにコルチーノ令嬢だ・・・その、顔やしぐさが似てるし
私を見るときの柔らかい眼差しがそのままだ」
俺「ビックリさせてしまって、スミマセン、大笑いしてすみません。
ここのダンジョンは年齢制限がありますの、私は5歳ですのでここの主に15歳にしてもらってます。この洞窟内限定措置ですわ。」
エジソン「その姿は15歳なのか!それにその装いは?」
調子を取り戻したエジソンに質問されて、俺は質問に答えて行く。
そして、歩きながら話して神殿の中に入って行く。
ゾンビが出てくるとエジソンが驚いて叫んで、ターンアンデッドを発動すると座ってへたり込んだ。
エジソンに手を貸して立たせると、ワクワクした顔をしつつ緊張したような顔でまた質問してくる。
好奇心が恐怖を上回っている。流石エジソン!
エジソン「その光る御業はどうなっているのだ?回数制限はないのか?尽きた場合はどうなるのだ?」
俺「この技こそがダンジョンの主から賜ったもので、発動するたびに魔力が減って行きます。
もし、尽きそうになった場合はすぐに離脱しますわ
わたくしはビビリですからフフ」
魔力値がそろそろ2万を超えそうだ。多分今回で超えるだろうな。
エジソン「笑った時の顔が幼い容姿とかぶる、本当に君なのだな・・・その、その姿が神々しくて跪きたくなるぞ」
俺「アハハ、正真正銘わたくしですわよ?
トーマスさんも跪いて騎士の誓いでもしますか?
・・・あ、有資格者に自力でなれた方がいますわ!」
エジソン「え!?どうやるのだ、条件はなんなのか?私もなれるのか?」
俺「えーっと、わたくしの加護?でもどうやるのかしら?加護なんて与えた覚えないのに」
俺はアブドゥル大使におきた現象を話す。
アブドゥル大使は元から保有スキル持ってたしな、ヤツは普通じゃないなかも?
ここまでターンアンデッドを発動しつつ、この前のように完封目指して敵を消しまくる。
マリアンヌにはムラマサを装着させて、俺は白銀の細剣を装備しつつ、敵を切っていく。
ゾンビって軟らかそうだしな、ラミアもそこまで固くないし折れないだろう。
宝箱の部屋を目指す。
『また宝箱が出てる、あけるぞ?』
俺「お願いしまーす!
トーマスさん、ダンジョンから稀にでる宝箱です。ダンジョンの主が落とした奇跡のお宝ですわ。
この白銀の剣もそうですのよ?」
宝箱からは、【教皇の手記】が出てきた。
わぁ面白そうだ!こういうの大好きワクワクする
エジソン「全く君は!その顔でこちらによるなよ?幼い容姿の時より破壊力があるのだ!」
『全くだ!なんて可愛い顔晒してるんだ!』
俺「何々?えーっと
"私の知る全てを記す
この手記を手にした君へ"
だって!ひゃー、いかにもな手記が来たなコレ!皆の者読むぞ!」
手記には、大昔の教皇の懺悔のようなものが書かれていた。
元王弟殿下で、母親の実家も大物貴族でそれなりに地位もあって順風満帆に過ごしてきたけど、幼馴染の王太子妃に恋していた事を自覚する。
諦めきれない思いが募り、また兄の出来がそんなに良くないから自分の方がと思ってしまう。
そそのかされたとは言え、その心の隙を悪霊につかれて、悍ましい契約をしてしまう。
後悔がつらつらと書かれていて、もう戻れないと苦悩して、自分の過ちで信者もろとも邪神に取り込まれていく所まで書いてあった。
神殿の近くの井戸から隠し通路に入れて、地下に何かがあるらしい。
なんて面白そうな地下室なんだ!
俺「手記はここで終わっている・・・あら?
トーマス大丈夫か?顔色が悪いぞ?」
よくある手記だよな?
隠し部屋はゲームだと研究室だし、漫画とかだと実験場とかだな。
『何でお前は平気なんだよ、僕は邪神とか怖いよぅ!嫌だ、取り込まれたくない!心が暗いところに落ちそうだ』
え!?
ばっとトモエを見ると
『手記には精神系デバフが仕込まれております』
フフフ、仕組まれたギミックか!なかなかやりよるな!
俺「今歌うぜ!」
なんでかマリーゴールド歌っちゃったよ、あれぇ?
冒険アニメの歌を考えてたのになぁ
なぜか日本語で歌うと意味が伝わっちゃうんだよ、異世界言語機能か聖女のスキルか知らんけど。
『お前の歌う姿は輝いてて綺麗だ、僕の心がフワフワ温かい。お前に抱かれて眠る時のように優しい温もりに包まれる・・・ハァーお前の魔力が気持ち良い
もう僕は離れないからな!』
抱かれてるって、猫になって幼女の小脇で寝てる時の事だよな?変な表現ヤメてよね!
マリアンヌは俺にしなだれかかりながら、アンニュイなため息を吐いてる。
エジソンは跪いて目をキラキラさせながら俺に祈りを捧げるポーズで話す
エジソン「君は・・・本当は聖女なのか?
黒い影に纏わりつかれているのに輝いてて美しい」
俺「違います、ただの聖女風な服です、立って下さい!
トーマスさん大丈夫ですか?あの手記にはデバフ効果がありました。確かに気持ち悪い内容でしたね。
また具合が悪くなったら教えて下さいね?
あ、甘い物食べといて下さい。ハイあーんして」
エジソンにチョコ一欠片食わせる。
俺「さて、手記には井戸から地下に降りれるとありました。行きますか?
イベント用の隠し井戸が神殿の近くに出現してるハズですわ!」
エジソン「君はこんな時でも輝くような笑顔で希望に満ちているのだな、私は怖気付いて足が止まってしまうところだった。
君となら先へ行ける気がする、私が君の手を取ってもいいのだろうか?」
俺「流石エジソン!
トーマスさんなら好奇心が勝つと思ってましたわ!
さあ、行きましょう!神殿から出ますよ!私に付いてきてください!」
部屋を出たら、神殿の雰囲気が変わっていた!
厳かな神殿の波動だったのが、薄汚れた血の跡が残る魔王城っぽくなっていた!
イベント発生してる!井戸を見つけるぞ!
俺「ここからはもしかしたら、悪霊のような敵が出たりスケルトンが出るかもしれないわね!
フフフ」
『お前って本当に楽しそうだな、なんかお前見てたら不安が消えるよ』
新たな敵ってターンアンデッド効くかな?
邪神の神殿ゾーンだしな、行けるかな?
俺「ターンアンデッド!」
早速、レイスのような幽霊が出て来た。
ターンアンデッド効果抜群でよかったぁ。ヨッシャー!攻略するぜ!
俺「なあ、さっきの悪霊ムラマサで切れるか試してみてよ?多分切れると思うけど、一応?」
ムラマサでも切れた、良かったぁ!
俺のターンアンデッドは光の粒になって消えて、ムラマサだと消滅するように溶けて消える。
細かい仕様だな。
神殿の中の地図が変わってた。
迷子になるやつだ!いつもの出口だと思ってた廊下の先の扉が無くなってた。
俺「詰んだかもしれない、迷路の脱出方法は壁を触りながら移動すると最後には出口へ向かっているらしいけど、1階に降りたら適当な部屋の窓壊して出ようか?
壊したところで、どうせ次来たらいつもの神殿に戻ってるしな」
エジソン「君の素の言葉が出てるぞ!聖女感が薄れるな、けど嫌いではない。急ごう!図書館が閉まると君の従者が困るだろ?アンナ嬢はすでに食べ終わってるかもしれないな」
本当だ!
ちょっとズルして、光の矢で床に穴開けて下に下りる。俺はマリアンヌに抱えてもらい、エジソンはトモエとムラマサが抱えた。
下に降りて適当な部屋に入るとゾンビとスケルトンがいたけど、ターンアンデッドと剣でチャッチャと倒す。窓を光の矢で破壊して外に出たら、いつもは金貨の湧く墓場なのに井戸に変わっていた。
俺「俺の想像した井戸って貞子の井戸なんだよな。流石にあの井戸は怖くて降りれないけどこれならいける!ターンアンデッド!
さあ、降りるぞ!下は水がない涸れ井戸だ!」
マリアンヌに抱えられて下に降りると影になった部分にレバーがあり押すと下に降りていく階段が出て来た。
階段を降りると井戸の上からゾンビが落ちてた
俺「トーマス!トモエ!」
『はっ、ミラーフォース』
エジソン「うわぁ!上からどんどん落ちてくる、急いで逃げろ!」
俺はマリアンヌに手を引いてもらい、さらに俺はエジソンの手を引いてターンアンデッドをかけながら階段を走った。
俺の目は暗闇に慣れて階段が見えるけど、エジソンの足取りはふらついてた。
俺「トーマスしっかり走れ!階段でコケるなんて痛いぞ?あ、多分あの部屋だろ、入ったら閉めるぞ、おりゃ!」
バンっと足で扉を蹴り飛ばして開けて部屋に雪崩込んだ。
『ミラーフォース』
部屋の中に入ってみるとそこは霊安室に見えた。外国のいかにもな棺桶が多数並んでいて祭壇が奥に組まれていた。
最奥の祭壇の手前に一際目立つ棺桶がありボスっぽかった!
俺「クククッ全ての棺桶からゾンビが出てきたら一溜りもないな!トーマス私から離れるなよ!守ってやるよ!
行くぞ! ターンアンデッド!」
エジソン「こんな時でも君はなんて楽しそうなんだ!信じられない!」
近くを通ると棺桶の蓋が開いて、ターンアンデッドに燃えるちょっと強めのゾンビが出て来た。
最奥のちょっと開けたとこにある大きめの棺桶の蓋が開いて中から教皇っぽい服を着た何がムクリと起き出した。
俺「強敵か!フッ、俺の剣の錆に変えてやるぜ!
行くぜボス戦だ!」
先手必勝!
完全に起き上がる前に白銀の細剣を教皇の胸に突き立てた。
なんか吸血鬼っぽい、棺桶だったからつい。
首を跳ねるか迷ったけどね。
教皇「これは、君は?
私はもう助からないハズではなかったのか?」
どうやら服が分厚すぎて心臓に全く届いてなかったらしい。
まあ、走って距離があったからな、急いで突き立てた細剣は届かなかったようだ。
俺「お前が手記の教皇だな!
独りよがりな横恋慕に、自分の行いに恥じて苦悩するだけで大したことしてない、気持ち悪い日記書いてたヤツはお前か!」
教皇「ぐぅぉぉ!」
『何だ?敵が苦しみだした!』
エジソン「全くその通りだけど、他に言いようがあっただろう!憐れな」
教皇「ぐっ、私を憐れむなぁぁぁ!」
俺「下がれトーマス! はっ!全ての棺が開くぞ!ターンアンデッド!
ハハハ!美味しい経験値いただきます!」
時間も無いしな、俺は光の矢を無数展開して威力を落とすようにするにはと考えて、天井から光の雨の様に降らせた。
エジソン「神々しい光の雨だ!なんて幻想的で美しいのだ!」
エジソンもまだ余裕あるな、トモエがミラーフォース張ってるしイケる!
光の矢の雨に当たったゾンビやスケルトンがボロボロ崩れて消えていく。
俺「マリアンヌ!お前はうち漏らしたゾンビやって!俺はボスいただきます!ターンアンデッド!」
『この雨、お前の魔力で出来てるせいか?
ハッ、気持ち良すぎて逝きそう!ハァハァ、クッ』
ギョッ!
俺「こんな時にマジか!成仏するにはまだ早いぜバカヤロー!お前は俺と約束があるだろーが!」
『そうだった!最近甘やかされて気持ち良すぎて未練が無くなってたかも』
未練って、やっぱりコイツ悪霊だったの?
教皇「ええぃ!ごちゃごちゃとうるさい!私の前でイチャつくなぁ!許せん、そこの美しい聖女め!
我が憎しみを知るがいい!カオスサークル」
俺「はっ!何を・・・キャア!」
俺の足元に魔法陣が仕込まれてた!迂闊に近づいて罠にハマったようだ!
敵の魔法陣から出た鎖で祭壇に張付けにされてしまった。
俺「ちょっと縛り方が食い込んでないか?ヤラシイな、この変態!」
教皇「ぐはぁ、私を変態呼ばわりするなぁ!」
俺「くっ、このぉ 俺に近づくなぁ!ターンアンデッド!何!鎖は消えない!うわぁん、助けてマリアンヌゥー!」
『今行く!この野郎離れろ!』
マリアンヌが飛んできて教皇めがけてムラマサを振り下ろす。
焦ってるのかアクションが大振りで避けるか交わすかされそうだと思ってたら、案の定かわされて教皇に捕まった。ギリギリと首をしめられて苦しそうだ。
教皇2メール以上あってでかいんだよ。
170ちょいくらいのマリアンヌが小さく見えた。
『マリアンヌ!くっそー、ターンアンデッド!』
俺のターンアンデッドで教皇の素肌は焼けるけど、あの教皇の衣装の特殊効果かな、教皇にダメージが少ない。
俺は落し穴に落ちようと体の真下に穴を開けたけど、鎖で固定されてて穴に落ちれなかった。
詰みだ。
教皇「ハハハ、苦しそうだな!助けて欲しくば聖女よ私と契るがいい」
俺「お前も体目当てか、このクソ野郎が!
さっきから我が憎しみとか恥ずかしいことほざいてんじゃねーよ!
お前の手帳に書いてあっただろうが!横恋慕したあげく振られた腹いせに信者巻き込んで派手な自殺!
邪神とか中二病っぽい事言ってたけど、そんなのどこにもいねーじゃねーか!
お前は昔も今も結局一人なんだよ、この間抜けめ!
現実を知れ!」
教皇「ぐぅぉぉ!違う違う違う違うわ!
私はそんな惨めな男じゃなーい!見た目聖女なのになんて口悪いの!ぐぅぉぉ!」
俺「今だトーマス!そこの剣でこの鎖を切ってくれ!早く」
教皇が羞恥のあまり頭を抱えて転がり回っている
マリアンヌは離れて無事だ。
トモエに押されてエジソンが剣を拾うと、剣の柄がちょっとカッコイイデザインの劔になった。
お前もそーゆーお年頃なのね!
俺はお前の剣嫌いじゃないぜ
飛んできたマリアンヌと共にエジソンが剣を振るい、鎖を切った。
俺「マリアンヌ無事だったのか?」
『怖かったぁ!ふぇん』
マリアンヌが俺の胸元に顔を埋めて、抱きついてくる。一瞬だけ背中を撫でてやり
即座にムラマサを回収する。
俺「教皇!お前の羞恥地獄は俺が終わらせてやろう!あの世で悔い改めよ!ターンアンデッド!」
俺はムラマサを構えてターンアンデッドを一際輝く目くらましに使い、今度こそ教皇の首を跳ねた。
可哀想に、教皇泣いてたよ。
俺「色々とやらかした中二病って黒歴史だよな、そんなん宝箱にしまっておくなんてアホだよ。
せめてもの武士の情けだ、この手記は燃やしてやるよ」
教皇「見た目美しい聖女なのに、武士だったの?
私は何をどこで間違えたのだ!」
俺「首だけで喚くな気色悪い!
お前の敗因は誰も信じて無かった事だよ、使える側近も役に立つ腹心も盾になる従者も愛する人でさえも
誰もお前の側にいないじゃないか・・・寂しい人生だったんだな?
来世ではまともな人生歩めよ?じゃあな!おりゃ」
教皇「無慈悲だぁ!」
ムラマサでどたまかち割り、教皇は断末魔を上げて消えていく。
『僕はお前が一番怖いよ、なんだよ使えるとか役に立つとか盾にとか形容詞が酷すぎない?
お前にとって家の奴らってそうなの?愛する僕意外はどうでも良かったのか?』
え!?何をとち狂ってんの?
俺「ちょっと!なんか俺が酷いやつみたいに聞こえるんだけどォ!あくまでゲームの話だからな?
そこの憐れな教皇役のキャラクターがそうだっただけだからね?
現実舐めんなよ!現実はもっと無慈悲だ!
ロバートさん見ろよ、あんなに気が利いたいいヤツが童貞だよ?
あの教皇は、人生それなりにハッスルしてて酸いも甘いも経験してんだよ!
ただのわがままだったの!生きてるだけで恥ずかしい事しか言えないなら早めに終わらせてあげようと言う俺の精一杯の優しさよ?」
エジソン「君の本質が伺えたよ」
俺「オホン
トーマスさん、現実のわたくしは心優しき幼女ですわ!ここはダンジョンですのよ?
普通じゃすぐに負けてしまいますのよ?
今日は楽しかったですわね、あそこの奥に登り階段が出現しました。ボスを倒したので新たな宝箱が出ましたわ。ドロップ品回収して帰りますわ。
アンナが待ってますわフフフ」
エジソン「君の控えめな笑顔は誤魔化すための笑顔であったのか!」
宝箱の中身は今度こそ!
【聖者のローブ1】
清い人が誰かの為に使うと効果抜群
精神攻撃無効 物理攻撃半減 自己修復
石化解除 状態異常・毒・麻痺・錯乱・解除
何となく温かいローブ
【石化解除のスクロール】
魔力値5千で実装可能
開くだけで石化の解除魔法が習得できるスクロール。
俺「やったー!石化解除のスクロールゲットだぜぇ!早速!」
スクロールを開くと光に包まれてダンジョンボードにはスキル石化解除が足された!
そして魔力値が2万超えてたグフフ
俺「トーマス、ダンジョン出るまでこのローブ羽織っておけ!帰るぞ!」
階段を上がると礼拝堂の中だった。
開放された信者の幽霊が席に座っていて、イベントまだ終わって無かったようだ。
エジソン「これは、いったい?この人達は?」
俺「ここは賛美歌歌うぜ!」
アメージンググレイスをノリノリで歌った。
今日はギャラリー多いからな。
祈るようなポーズで優しさ溢れる眼差しを作り、幼女の演技で覚えた嘘泣きで目に涙をためて。
歌い終わると瞳から1筋の涙を忘れない。
今の俺ってめちゃくちゃハマってて多分超絶カッコイイはず!
地面に落ちた涙から光の魔法陣が出来てサンクチュアリサークルが出現した。
それは光の柱になって亡者どもがふよふよ吸い寄せられるように集まり天に登っていく幻想的な光景だった。
エジソン感動して跪いて泣いてた。
多分今日の俺の言動に少なからずショックを受けてたと思うけど、これで帳消しになったはずだ!
終わり良ければ全て良し
『僕もこの光の柱に登っていけば光の粒になって消えるのかな?』
何言ってんだコイツ!俺の嘘泣き涙で昇天する気か?アホか!
この前から消えるだのなんだの・・・あっ!コイツ今になって中二病患ってんな!あいたたー!
さっきの黒歴史見て感化されちゃったのかな?
「フッ、お前は死に場所を求めるほど強くなってないだろ? 何かを成し遂げたのか?
お前はそんな薄っぺらいヤツじゃないだろ?」
多分これでいいはず。
『弱い僕が側にいてもいいの?お前となら、こんな僕でも何かを成し遂げられる気がする』
最強落し穴持ってるくせに弱く無いだろが!
実はムラマサの装備が合ってないのは何となく知ってた。だってムラマサ使ってる時は俺の方が強いんだよ?
いや、ムラマサって元々俺のための刀だし。
攻撃力クソ雑魚の俺より敵が切れないなんて、マリアンヌは装備が合ってないんだよな。
でも黒の剣嫌がるし、装備出来るのがムラマサくらいしか無いんだよな
全く、わがままな奴だ。
俺は両手を広げて"俺の胸に飛び込んで来なさい"ポーズをする。
幼気な顔で泣いてたのに、嬉しそうに飛び込んできた。
俺「ヨシヨシ飼ったばかりの猫ちゃんがいなくなると俺が寂しいだろ?俺の気が済むまで可愛がってやるよ。
俺の猫は死ぬ最期の時まで可愛がってたぜ」
『うん僕が死ぬまで可愛がってね』
礼拝堂で歌ったからまた宝箱が出て来た。
ここのダンジョン素敵!ドロップし放題だ!
ドロップしたのは不思議な便箋10枚だ。
【必ず届く便箋】
相手が生きてる限り必ず届く便箋
どれだけ離れてでもどこにいようとも一晩たてば必ず相手の元に届く。
相手が読んだかは分からない。
読まずに破られたら出した人のもとに破られた状態で戻る。燃やされた場合は半分焼けた状態で戻る。
(隠し要素)捨てられた場合は戻らない3分の2の確率で他の誰かに読まれる
俺が4枚もらって、エジソンに3枚マリアンヌに3枚を渡しておく。
マリアンヌと俺の落し穴は共有されてるけど、アイテムボックスの管理は俺がしてる。
エジソン「私がこれをもらっても良いのだろうか?」
俺「フフフ今日は特別なイベントで楽しかったですね、トーマスさんまた誘っても良いですか?」
エジソン「・・・ああ」
礼拝堂が光り輝く大理石に変わり、とても格好いいエフェクトで終わりを迎えた。
本当に趣味が合いますな!
落し穴に入り図書館に戻ると
エジソン「この前のミネルヴァのダンジョンもそうだが、このローブと便箋が無ければとても現実とは思えぬ体験であった!」
俺「楽しんで頂けたのなら、ようございましたわフフ」
エジソン「君は幼なくても成長しても同じ顔で笑っていたぞ!可愛い顔してとんでもないお転婆であった!」
俺「トーマスさんこそ、楽しそうにワクワクしたお顔でしたわ!今も人の事言えないですよ?」
俺はエジソンに貸したローブをアイテムボックスに入れると本棚の間を歩く
エジソン「私の他に誰が知っているのだ?」
俺「身近な人だとスコットおにーさまですし、後はチョコの人と隣国のお友達ですわ」
エジソン「・・・そうか」
適当な本を手に取り開いてみる。
エジソンがおすすめの本を教えてくれたので座って読んだ。
夕暮れの前の斜めに入る光が指していた。
早く帰ってこれたようだ。
俺「ふぁ〜、眠たいです
5歳だと体力がないのが難点なのですわ。もう帰りましょうか?馬車で寝てしまいそうですわ」
エジソンを見ると一瞬だけ眩しそうな顔をしていたけど、すぐに笑ってそうだなとアンナの元に戻った。
アンナは元を取れたらしい。
馬丁のダンさんが離れたところにいて他人のような顔をしていた。
アンナ「ゲップ、お腹いっぱいです!
お嬢様!また来ましょうね!」
あ、ハイ。
こうして俺とトーマスの冒険は終わったのだった。
お土産にロバートさんの料理を持たせて帰した。
エジソンの胃袋を掴んでることに気づいてない。




