涙の数だけ大人になるの?
屋敷に戻ると、使用人達とスコットとコーネリアスが出迎えてくれた。
「おにーさまただいま戻りました」
スコット「マリーお帰り、ほっぺが赤いよ寒かったの?」
「おにーさまの手は温かいです。ホッ」
コーネリアス「なんだ、私にも触らせよ!ほぅなるほどな、ワハハプニプニだ!ホラホラ」
ほっぺをギュウギュウ触るけど我慢してやるよ。地味に痛いんだぞ?
夕食の時も隣でコーネリアスが絡んでくる。
でも公爵令嬢の気狂いぶりの後では、普通の人に見える。うちのコーネリアスまだマシだったわ
コーネリアス「城で粗相はしておらぬか?お前は口が悪いし生意気だから心配しておったのだぞ!」
俺「ご心配には及びませんわ。私より粗相してくださる方がいましたのよ。
ミシェランド公爵令嬢が乱入して下さって、ずーっと道化を披露して下さいましたのよ。面白すぎて笑いが堪えきれませんでした」
コーネリアス「はっ?ミシェランド公爵令嬢が乱入?なぜそんなことに?それに道化とは?」
俺「迷子になったそうですわ。多分アイザック殿下が温室でお茶の用意をすると知って先回りしたのでしょう、温室から勢いよく彼女が飛び出して来ました。
そこから、笑ってしまいそうでした。
彼女は、常に鼻息荒くこちらを睨むのですが、私の方が背が低いので彼女の鼻の穴がぷくぷく膨らんでる様にしか見えなくてフフフ
ずーっと面白いお顔でこちらを見ますのよ?私が喋ると怒るので彼女の自画自賛話しに適当に相槌打つだけの楽なお茶でしたわ。
殿下達は少々狭量ですわね、あの程度を子どもの戯れ言だと流せる器もない・・・これは失言ですわホホホ」
コーネリアス「はぁ?さっぱり意味がわからん!お前はレイナルド殿下とお茶しに行ったのではないのか?」
俺「アイザック殿下が兄を出し抜いたのでしょうね」
コーネリアス「はぁ?何のことだ?出し抜いたとは何をだ?」
俺「私もそこらへんは理解したくないので分からないふりをしますわ」
コーネリアス「分かるように説明せよ!何がどうなっておるのだ?」
俺「レイナルド殿下が最後は粗相を不問とするとおっしゃったのです、無事にお茶会を終えましたわ」
コーネリアス「それは無事とは言わぬ!粗相があった前提ではないか!お前は馬鹿なのか?」
俺「粗相したのは公爵令嬢ですもの、とばっちりを受けずに済んだのですよ?上出来ではなくて?」
コーネリアス「ぐぬぬ、お前は本当に大丈夫なのか?その減らず口で殿下に不快な思いをさせてないか不安だ!」
俺はちゃんとPTOを弁えてるぜ?
「心配して下さってありがとうございます」
夕食後にコーネリアスの部屋でスコットとコーネリアスがチェスもどきのシェフをするから見に行かなければならない。
俺「私は部屋で湯浴みしてから参ります、スコットおにーさまはまたコーネリアスお兄様のところで湯浴みしますの?」
スコット「ご迷惑じゃないかな?」
コーネリアス「構わん!またこの兄が洗ってやろう!来るが良い!ハハハ」
拗らせブラコン兄が嬉しそうにスコットを連れて行った、お互いに風呂で洗いっこしてるって・・・俺の知らない世界だ。
俺は部屋でアンナに洗ってもらって、アンナが片付けしてる間にダンジョンメッセージを確認する。
カインとカヤックはハッサムのツテでこの前送って行った街の近くに引っ越す予定だと教えてくれた。
お母さんの具合も良くなってきたらしい。
そしてダンジョン宝箱から出てきたコーヒー豆のようなものの正体がわかった。
コーヒー豆だったらしい。
豆が白いからおれ分からなかった、ローストしたのしか見たことなかったから、粒も俺の知る小粒じゃなくて大きめにおもえたし。
メッセージに
"ブラジル農園のように、コーヒー農園作ってよ!コーヒー飲みたい"と無茶振りしといた。
俺は美味しいコーヒーが飲みたいのだ。
『お前今日も楽しそうだな、この前の豆が何かわかったの?センジュだった?』
「コーヒー豆な!紅茶に次ぐ大人の飲み物だよ。俺も好きだったから、ダンジョン産だし美味いといいな。
量産できたらお前も飲んでみなさい」
『ふぅーん、まあ飲んであげてもいいけどね!』
俺の頭に乗ってくる可愛いフィギュアのマリアンヌ。
見た目が中学生だからな、まだコーヒーは苦いかもな。
ロバートさんにもメッセージでダンジョンからコーヒー豆がドロップしたことを知らせる。量産できたらレンジ・マミィに頼んでフロートとかフラッペにしてもらおうかな。
将来的には多分温泉街で受けるはず!
コーネリアスの部屋に向かった。
相変わらず2人してモジモジしていて、照れている。
本当に事後にしか見えないんだけど?え、違うよね?
俺「シェフ(チェスのこと)はしませんの?」
コーネリアス「お前も見てる間は退屈であろう?何かないのか?この前のスゴロク?みたいなのはないのか?遊んでやろう!」
スゴロクにマイナスのマスを書くとコーネリアス泣くだろ?
寝る前に癇癪とか嫌だからな、さてトランプみたいなのは作るのに時間がかかるし・・・
俺「謎解きをいたしませんか?」
スコット・コーネリアス「「謎解き?」」
俺「はい、そうです。問題をだしますね。
お兄様達2人がそれぞれ自分の馬に乗っています。
そこでお父様が
"2人で馬に乗ってレースをしなさい。勝った馬の主の方に宝を与える。ただし後でゴールしたほうの馬を勝ちとする"
お兄様達は相手より先にゴールしないようにのろのろと走りいつまでたっても勝負がつきません。
そこで、たまたま通りかかった私がある助言をします。するとお兄様達は相手より早くゴールしようとします。
私はなんと言ったでしょうか?」
スコット「僕は別に兄上に勝とうと思わないよ?」
まあスコットならそう言うと思ったけどな。
コーネリアス「それでは勝負にならぬではないか!」
スコット「マリーはなんと言ったの?」
俺「互いの馬を入れ替えるのです。先に自分がゴールしたら自分の馬が勝ちますから」
コーネリアス「フン!インチキだ!」
俺「謎かけですわ、コーネリアスお兄様は頭が硬いのです。では、やめますか?」
コーネリアス「フン!まだあるのか!今度は面白い問題にしろ!」
俺「では問題です!
金持ち公爵が家督を譲らずに、息子の二人に財産を分け与えます。長男は子爵家の第二夫人の子で次男は伯爵家の第一夫人の子です。
力関係は微妙な2人ですが、頭の良さは同じくらいです。喧嘩をせずに分け合うにはどうしたらいいでしょうか?」
コーネリアス「長男に分けさせたら良いではないか!」
スコット「それでは次男の実家が文句をいいますよ?実家の力を借りて財産を分けたら喧嘩になるし・・・難しいね」
コーネリアス「どう分けても文句がでるではないか!」
俺「正解は、どちらかに分けさせて、余った方に先に選ばせるです。均等に分けないと損ですから」
スコット「なるほど!それなら文句は出ないね!当人達は」
コーネリアス「フン!実家が出てくるではないか!」
俺「では、実家が伯爵家次男にわけさせて、長男が先に選べばよろしいのですわ」
コーネリアス「フン!次だ次!もっと面白い話はないのか?」
コーネリアスにはちょっと難易度が高かったかな?
うーん、面白い話なぁ
俺「では、平民の3人の兄妹のお話です。それぞれ実家を独立します。
スピード重視の長男は藁で家を作ります。無難な次男は木の家を作ります。賢い末の妹はレンガのお家を作ります」
三匹の子豚の話を少し変えてしたら
コーネリアス「私はワラで家など作らぬわ!略奪者なんぞ捻り潰すからな!フン!」
スコット「兄上、平民の話ですから」
俺「もう眠いので続きをベッドでしませんか?」
眠くなりそうな話をしないとなぁ、コーネリアスなんでこんな元気なの?
俺は白雪姫を話した。
実母説もあるけど継母にして、キスして手っ取り早く起こして、確か継母を拷問死させるけど、寝られなくなると可哀想だから、王子が悪霊化した鏡をたたき壊す話に改変しといた。
俺「昔、とある国に女王様がいました。
黒檀の枠で出来た窓辺で縫物をしていて、指を刺てしまいます。
積もった雪に真っ赤な血が落ちて綺麗に見えました。
そして"この雪のように美しく、この血のように赤く、この黒檀のように黒い子どもが欲しい"と願いました。
気まぐれな大精霊が願いを叶え、しばらくしてから願った子どもが生まれました。
雪のように白く美しい肌に、血のように赤い唇で、黒檀のように艶のある美しい黒髪の女の子が生まれました。
ブランシュネージュ(白雪姫)と名付けられました」
微睡みの中で最後まで話す。
俺は頑張ったよ。
コーネリアス「なかなか面白い話だが、なぜ王子の口付けで目が覚めるのだ?」
とか質問してくるんだよ、もう眠たいのになぁ
俺は適当に話を作って答えた。
俺「王子は人と精霊が交わって出来た子どもなので不思議な力がありました」
コーネリアス「人と精霊が交われるのか?そんな話があるのか?」
スコット「それって人魚姫のお話の事?」
コーネリアス「なんだそれは?」
スコットが昔俺が適当に書いた人魚姫の物語りをコーネリアスにしてる間に俺は寝てやった。
変な話をしたせいで変な夢を見たようだ。
ピンク髪の女の子が何処かで見たような魔王をやっつけて金髪碧眼の王子様と素敵な仲間達とハッピーエンドの物語りだ。
ご都合主義のいかにもな話で興味も無かったし、全然面白いとも思わなかった。
「移植するなら他の企画にしろよ、ないわー」
そうだ、オンラインの掲示板に書いてあったやつだ。
パッと目が覚めて、窓を見るとまだ外が明け方の空だった。
早く目が覚めてしまったようだ。
コーネリアスの反対側を見るとマリアンヌがフィギュアじゃなくて、実体化して俺にくっついて寝てた。
精霊も寝るんだなぁと思ったら、マリアンヌの目がゆっくり開いた。
『なんだ、起きてたのか?お前が寝る前にしてた話が面白かったぞ、また聞きたい。王子の両親の話が聞きたい』
「・・・?寝る前って白雪姫の話しだよな?」
『王子は人間と精霊が交わって出来たんだろ?どうやって交わったの?』
「さあ、物語りの中では語られてない」
だって俺が適当に作ったんだもん、知らないよ。
『そうか、人魚姫みたいに願いを叶えてくれる魔女がいたのかな?でも声を取られたら嫌だなぁ』
「声が出ないなら紙に書いたらいいじゃん?」
『みんなお前やヨハンみたいに絵が上手くないんだよ、僕この国の文字よく解らないし』
「お前、絵下手そうだもんな」
『描いたこと無いから・・・
もし、いつかお前が他のやつみたいに僕の事が見えなくなったり、僕の声が届かなくなったりしたらと思うと怖いよ。
お前といるとたまにそんな怖い夢を見るんだ、今が楽しくて幸せだって思うけど・・・
お前に触れてもらえなくなると思うと、それがずっと怖くて、胸が締め付けられて張り裂けそうだ。
言葉も交わせない黒い影なんて、お前も怖いだろ?
実体化してこうして触り合えるなんて奇跡なんだ、今までお前みたいなやついなかった。
声だけ聞こえたり、姿まで見えたヤツはいたけど誰も僕に触ってくれなかった。お前だけなんだ』
「精霊同士でもか?」
『・・・そうだよ
僕みんなに嫌われてるの知ってるだろ?』
「お前、友達いないもんな」
『お前さえいればいいんだ他に何もいらないから、ずっと僕の側にいてよ、もう一人に戻りたくない』
「寿命あると思うから、多分80年くらいで俺死んじゃうと思うけど、まあ生きてる間はいてやるよ。だからそんな泣くなよヨシヨシ」
『80年後に僕はまた一人になるの?』
「流石に俺も人間だからね?不老不死って俺の世界でもよく聞くけどさ、最後はみんな安寧を求めるわけだよ。人魚の肉を食った八百比丘尼さんも長生きしんどいって言ってたと思うよ?
ってかお前まだ160歳とかだろ?俺以外にもそのうちまた出てくるよ。多分ね。
だから80年で我慢しなさい!」
『何だよ!何なんだよ!僕はお前がいいの!
それに、もしいなかったら?他にお前みたいなやつが現れなかったら?僕はその先ずっと後悔することになるじゃん!嫌だ!僕はお前がいいの!僕が消えるまでずっと一緒にいてよ!』
「お前ってさ、1000年くらい平気で生きてそうだよな?流石に無理!俺は100年でもボケそうだわ。
アレだ、悪さしないなら子孫に取り憑いていいから俺のこと80年で諦めなさい」
『嫌だ!僕お前がいいの!イヤだよ!
何でそんな事言うの!僕を大事にするって、僕の事が大好きだって言ったのに!嘘だったの?』
「えぇ?あー嘘じゃないけど・・・
なら、お前が頑張って人間になって俺より先に天寿を全うしなさい。ちゃんと最後は看取ってあげるよ?多分女の俺のがいけしゃあしゃあと長生きすると思うし」
『どうやって人間になるの?僕人間になりたい!人間になってお前の側にいたいよ!お前の兄のようにお前を温かい手で包みたい!僕を一人にしないで』
知らないよって言おうと思ったけど、あんまり泣いて可哀想だったし、ここで拒否るとなんか不老不死にされそうだったから
「なら、お前が人間になれる方法を探そうぜ?何となくだけどダンジョン・コアって物語りの魔女とかのポジションじゃね?
いそうだけどな、お前を人間にしてくれそうなダンジョン・コア」
探しに行けるかわからんけどな。
『約束してよ』
「指切り?」俺は小指を出してみた
『違うよ・・・んん』
マリアンヌが目を閉じて待機していた
ハイハイ、プチュッとな。
『へへ//約束な!』
照れても満足そうに笑ってて、元気そうになった顔がほんの少しだけ可愛く見えた。
コイツが可愛く見えるなんて目がイカれてるらしい。
俺の方が恥ずかしいわ!また眠たくなったから遠慮なく寝たった。
人魚姫も人間になる夢をみたけど、叶わなかったからな。
人魚姫と同じ結末をたどる可能性の方が高いのにと思わなくもない。
可哀想だから、もう少し優しくしてあげようと思った。
再び朝起きたらマリアンヌが少しだけ成長していた!中学生男子が高校1年生くらいに見える。
しかもちょっと筋肉ついてる感じ?いつの間に鍛えたの?
『お前といると不思議なことがおこるから、なんか希望が持てたよ!僕絶対に人間になるよハハ』
そう言って顎クイってしてぷちゅっとされた
余計な知恵をつけさせたのは俺か!




