城の茶会とチョコ
慣れたとは言え
今までフランス人形と一緒に寝ていたんだけど今回からフィギュアに変わった。
朝起きたら隣に大きめのフランス人形が目を開けて寝ているのは実はストレスだったようだ。
フィギュアと寝るのもどうかと思うけど、心理的にとても違う、何故なら俺のフィギュアは野郎でも可愛いから、自画自賛だ。
中身マリアンヌでもムラマサ並に大事にしようと思う、フィギュアになった小さなマリアンヌが可愛く見えてしょうがない、ヤバいなぁ
『何だ、どーした?僕へんなとこあるの?』
そういって、俺の頭に乗ってくる。妖精に懐かれてるようで、もう可愛くてしかたない。
あれー?人形ごっこは卒業してるはずなのに何でだろう?不思議
「何でもないです、おはようございますマリアンヌさん、ずいぶん馴染んでますね?」
『お前が僕のために作ってくれたんだろ?居心地いいぞ、前の依代よりもいい感じだ!まるで自分の体のようだ。
お前は凄いな!こんなこと初めてだ。僕たち相性がいいんだ本当に、もう絶対に離れないからな!』
わぁ俺の作ったフィギュアが動いてるぅ凄い!
はっ!そうか、ようやく思い至った。
俺は自分の作品を愛してるんだ、納得した。そうか、そうだよな。
あっぶねー、勘違いするところだった、思い違いとも言うか。
「あ、うん、依代気に入ってくれて嬉しいよ。壊さないでね?」
俺の作品を大事にしろよ?
スコットが起きてきて、アンナが来る前に着替えさせてくれた。
ピッピが子どもの産毛のままバレーボールくらいになってる、デカいよな。
相変わらずマリアンヌが嫌いらしいけど、前より怒らなくなったとおもう。
今日はお母様と一緒に茶会だ。
お母様は昨日も行っているから、なんともお疲れ様です。
朝食の時に隣のコーネリアスが機嫌よさそうにしていて、昨晩の事を自慢してきた。
「昨晩は父上とシェフの勝負をしたのだ!
羨ましいであろう?
まだまだ私の力では勝てぬが、お前には勝てるようになった気がする!今夜は私の部屋に来るがいい、この偉大なる兄が勝負してやろうハハハ」
俺は墓穴を掘ってしまったようだ。
お父様が、全く仕方ないなぁ、みたいな顔してる。
「私はまだ一回しただけなので、ルールを忘れてしまいました。スコットおにーさまとしてくださいませ。見ていたら覚えるかもしれませんわ」
「そうか、それもそうだな!たまにはスコットとも遊んでやらねば強くなれぬからな!」
話を振られたスコットは、嬉しそうに返事をしていた。
茶会に行くのに湯浴みして、お母様のバラのシャンプーで洗ってもらい、城に着ていく豪華な服に着替えて、お母様の侍女に髪をセットしてもらった。アンナのスキルはおいおい伸ばそうと思う。
俺からお母様と同じバラの香りがした。
コーネリアスとスコットとアンナとヨハンに見送られて出発した。
サイモンは俺の従者として付いてくる。城へ上がるには男爵家三男の肩書きは無いよりマシなのだろう。
ちなみにマリアンヌはステルスモードでも俺の服のリボンの中に隠れている。
お母様が馬車の中で静かに話す。
「マリーウェザー、今日の予定を話すわね
レイナルド殿下が久しぶりにお会いしたいそうなのだけど、王妃様もご一緒されると思うわ。気を引き締めなさい
サイモンはマリーウェザーから離れてはいけませんよ」
お母様はニコリと笑っているが、緊張感が伝わる。
「承知致しました」
サイモンも緊張してるようだ。
馬車が城に付き、案内人の後をついて行き城の豪華な茶室に入った。
テーブルに何故か、殿下は殿下でもアイザックが座っていた。
アイザック「コルチーノ夫人とマリーようこそ。兄上は遅れて来るので僕がお相手を致しましょう。どうぞおかけください」
お母様「アイザック殿下、ごきげんよう
お言葉に甘えて席につかせていただきますわ、マリーウェザーご挨拶なさい」
俺「アイザック殿下ごきげんよう
お誕生会以来でございます、お会いできて嬉しく思いますわ」
サイモンがスッと俺の後方に控えた。前回よりも成長してるようだ。少しは見直そうかな
アイザックは、キラキラした顔で
「マリーウェザー会いたかった、君を思い出さない日など1日もない。今日は来てくれてありがとう
どうだろうか、兄上がくるまでの間、私と庭を見ないかい?温室があるのだ、行こう」
と言うとアイザックは俺の手を取って立ち上がらせて、お母様を見た。お母様はニコニコしたまま小さくため息をはいてから了承した。
そしてサイモンをチラッとみて小さく頷く。
サイモンも小さく頷くとスッとドアを開けて部屋の外に出た。
サイモンがいつの間にか出来る従者になっている、お勉強が出来たら完璧だな。
部屋からすぐ近くのテラスから外に出て城の庭を案内してくれる。相変わらず広くて迷いそうだ。
アイザックの従者も3人ほと付いてくる。
アイザックはエスコートしてくれていて、俺と手をつなぎゆっくり歩く。時々、チラリと俺を見ては嬉しそうにはにかんで笑う。
傍から見たら小さい子達が手を繋いでお出掛けしてるように見えるだろう。
歩きながらアイザックがモジモジして
「マリー、その息災であったか?
君と離れてから私の心におかしな事がおこるのだ、胸がドキドキしてキュッと握りしめられるように苦しくなるのだが、少しも嫌じゃないのだ。マリーを想わない日などない。
その、この胸の甘く痺れる心地よさは、君が私にくれたものだとお祖母様はおっしゃるのだ。君に聞いてみよとも・・・マリーもこんな気持ちは知ってる?」
胸がドキドキ、キューなんて
これは、アイザック恋しちゃってるね甘酸っぱい初恋かな?ハハハ
え、誰に?
まさか、えぇ、相手って俺なの?違うって言ってくれよ!
うわぁ
初恋のフラグ折ったら不敬罪になるかな?
なんて答えたらいいかわからないときは笑って誤魔化そう。
ニコニコしてみたが、ひきつって上手に笑えんわ!
「マリーも同じ気持ちなのだな、その嬉しく思う。
ハァ、胸のこの鼓動を君も感じていたならその・・・兄上との婚約は、あ、いやまだいい。忘れてくれ、はやる気持ちが抑えきれなかった」
はにかんだり悲しそうにしたり忙しそう。
何が言いたいかさっぱりわからん。
マジのやつかな?
ありゃりゃ、もしや兄から俺を奪うつもりか?略奪愛的な?やめろー!
一家揃って斬首じゃねーか? ヒィ破滅フラグか!
クソババアめ、幼気な少年に余計なこと吹き込みやがって!
早々に折っとこう
「アイザック殿下・・・初恋とは実らぬものでございます。どうかわたくしを糧にして前を向いて下さい貴方はまだ若いのです」
「マリー・・・想い合う2人が結ばれる運命もあるのだ。物語りは、いつだってそうだ、私は私に出来ることがしたい。今はまだこのくらいで」
アイザックは、マリーウェザーの指に口付けた
アイザックは、決意を新たにした!
ひぃ、バカじゃね!
現実と物語りの区別がついてないのか?手を払い除けたい!不敬罪になっちゃう?くぅー、誰か助けて!
視界の端にいたサイモンと目が合った、サイモンは動こうとしてる。
馬鹿野郎!お前は助けに来ちゃ駄目なんだよ、本当の不敬罪になるだろが!
もう、バカ、ムラマサと違って止まらない!
すると、温室の扉がバンっと勢いよく開いた。
サイモンは驚いて止まり、逆にアイザックの側近が庇うように出てきた。
サイモンやっぱりポンコツだった。
「あらまあ、皆さまごきげんよう!
どこのご令嬢かと思いましたが、もしやコルチーノ伯爵家のおチビではございませんこと?
レイナルド様だけでなくアイザック様にも手を出していたなんて、その見た目とその年でいやらしいこと!淑女にあるまじき行為ですわ!はしたない!身の程をわきまえなさい」
えーっと、バカ娘で、東の公爵令嬢で、偽聖鳥使いで、えーっと全然名前が出てこない。
「マディリーン・ミシェランド公爵令嬢ごきげんよう。急に出てくる君の成長ぶりに感心するよ」
そうそれ!ナイスだアイザック
色んな意味で助かったぁ
俺は公爵令嬢好きじゃないけど応援してるからな!頑張れー負けるなー!
「まあ、アイザック様に私の努力を認めていただけるなんてホホホ」
ドヤ顔してこっち見てるけど、貶されたのわかってないの?
うわぁコーネリアス以上だな。
「マリーウェザー・コルチーノでございます
ミシェランド公爵令嬢にご挨拶申し上げます」
カーテシーして挨拶する。
「ふん、わたくしはまだ貴女の返答を許してないわ!無礼な、生意気そうに挨拶しないで下さる?」
この場で1番偉いのはアイザックだ、その許しもないのに発言かまし、無遠慮に会話に入ってきて、未だに挨拶してないお前は何なんだ。すっげーな!
ここまでくると俺の存在感薄くなる
ちょっと癖になりそう面白いわこの子!頑張れ!
俺「粗相いたしました。申し訳ございません」
素直に謝るのがいいのかな?
アイザック「マリー、君が謝る事はないんだよ?
さあ、温室はやめて私の茶室に行こう」
マディ「まあ!わたくしも、ぜひアイザック様の茶室に行きたいですわ!ご一緒してもよろしいかしら?
マリーウェザー?」
俺にふるなよ!
俺「伯爵家のわたくしに断るだけの理由はございませんが、殿下の許しもないのに発言は控えさせていただきます」
アイザック「マリー、君は」
マディ「まあ、物分りがいいじゃないの!そうよ貴女はね、伯爵家なんだから!公爵令嬢の私に従いなさい!
さあアイザック様わたくしをエスコートなさって!さあ!」
ドヤ顔で手を出して待ってるマディリーン嬢。
でもアイザック怒ってるよ?
殿下も大人気ないね。フォロー入れとくか。
俺「アイザック殿下どうぞご令嬢がお待ちです、わたくしはサイモンと参りますわ」
俺がサイモンに手を伸ばすと、スッと来て俺の手に手を重ねる。
そのまま手繋ぎして待機だ、早くしろよとニコニコ笑っておく。
アイザックはぐっとこらえて一度目を閉じ、再び開いた時にはロイヤルスマイルが張り付いてた。
ちゃんと教育されてるお坊ちゃんだな、令嬢に恥かかせてはいけないと教えられたのか?偉いな。
「ミシェランド嬢どうぞ」
アイザックがマディリーンをエスコートして歩き出した。
マディリーンは、フンと鼻息荒くドヤ顔で俺を見下してから進んだ。
あかん笑っちゃいそう、お前は俺のツボだ!
「お嬢様や殿下に対して不敬がすぎませんか?公爵令嬢とは言え礼儀知らずにも程がある」
サイモンが悔しそうに言うけど
あれ?コイツは俺がこの公爵令嬢を応援してるって言ったの忘れてんのかな?
仕方ない、優しく教えてやらねばなるまい。
勉強中でもないので、繋いだ手を撫でて殊更優しく諭すように小さく言う
「サイモン、わたくしはあの公爵令嬢を応援しているのよ?嫌われてる事など最初からわかってるじゃないの。
わたくしの事など、どうでもいいのよ。彼女が癇癪を起こさないようになるべく刺激しないように、いいわね?
サイモンなら出来るわよ、それに必要な時は今みたいに私からサイモンを呼ぶわ。
従者の辛いところは主人より上位の人がいたら何も出来ないところね。
仮に私が殿下に斬り殺されても涙をのんで耐えなければならないの、反撃でもしてしまえばアンナまでが連座で死罪なのよ?
そんなのわたくしは嫌だわ。」
「そんな、お嬢様、くっ」
サイモンが繋いだ手を強く握りしめた。あんま痛くない握力弱っ
「こんな所で泣きそうな顔しないで?
大袈裟に言ったけど、そうならないように立ち回るし、私は気をつけてるわ。
仮によ?もしそうなったら斬り殺される前にちゃんと逃げるわ」
「その時は一緒に逃げます、僕の手を離さないで下さいね!」
仕方ないから連れてってやるけど、お前の善意と忠誠心から来るポカが1番怖いからな?
頼むから余計なことしないで
「こうしてお嬢様と2人で歩くのは久しぶりですね。僕は領地ではスコット様のお供をしていましたから」
サイモンから話しかけてきて、ちょっとドキっとする。聞かれても大丈夫な話題を選んでね?
殿下と公爵令嬢と殿下の側近が数歩先にいるからね?
「おにーさまと駆け回るのは楽しく見えましたよ?時折、街でお菓子をもらっていたではありませんか。
ほとんどアンナの口に入りましたけどフフ」
「お嬢様はいつでも楽しそうにしていますから、スコット様のお供をしていたとき、僕はいらないのかと思って苦しかった時もありました。いつだってお嬢様は僕を見つけると笑って下さるので僕は勘違いをしていました」
え、何の話し?
「お嬢様が慈悲深いのは知っています、僕に優しくして下さるのはお嬢様だけだったのです。でも違った・・・」
スパルタ教育の話しかな?
勉強させすぎて泣かせてしまったからね・・・スマン
「サイモンに辛い思いをさせて、ごめんなさい
私もまだ未熟なのです。貴方を想ってのことだったけど・・・そう言えばサイモンの望みを聞いたことがなかったわね。
今になって気づくなんて、貴方の望みは何かしら?」
「僕の望み・・・ですか。それは、叶うならお嬢様のお側にいたいです。死が2人を分かつときまで」
サイモンの手が熱くなり汗かいてる、とても緊張してるんだろう。
マリアンヌの捨てないでって表情に似てる気もするし、大使の唯一無二とか言ってる時の勇ましい姿にも見えた。
繋いだ手がサイモンの手汗でベチョベチョなのは黙っておく。
一瞬だけ大使のトラウマがよぎったけど、サイモンの握力は女子並みで俺は安心して笑顔がもれていた。
「サイモンの望みが聞けてよかったわ」
俺の言葉を聞いて、サイモンが輝くように笑っていた。コイツも女の子みたいで可愛いんだよな
それに俺は望みを聞いただけで叶えるとは一言も言ってない、もし王太子妃になってしまえばお前は城にあがれるかギリギリの成績じゃね?
アイザックの茶室に着いたのに、中に入らず何をしてるかと思えば、中からレイナルド殿下がでてきた。
レイナルド「アイザック、やあ、やっときたね?
珍しい組み合わせだ、ミシェランド公爵令嬢ごきげんよう。君はアイザックといたんだ」
アイザック「兄上なぜここに」
マディ「あら、レイナルド様ではございませんか!
ごきげんよう
今日お会いできて嬉しく思います。私達は出会う運命でしたのよ!」
マディリーンはアイザックから離れるとレイナルドの横にピタリとひっ付き腕を絡めた。
アイザックは、公爵令嬢の振る舞いに驚いていて、レイナルドは眉を寄せて腕を振り払った。
レイナルド「君は謹慎が終わったのかい?偽物聖女の狂言に私達への不快な態度で領地送りになったはずだろ?」
マディ「あら、嫌ですわ。私の変な噂が多くて嫌になりますわ。きっと私を妬んだライバル達の仕業でしてよ!キィ」
キィと俺を睨んだけど、もしやそのライバル達のうちの一人になっているのでは?
最近まで俺等も領地にいましたよ?王都から遠い領地まで噂が来てるから国中にお前の噂が届いていそうだけどな。
たくましく生きてるな、俺ならとっくに出奔してるぜ。
頑張れよ。
「私達は最近まで領地にいたのです、噂の出処とは無関係です!」
サイモンが反論した。
お前は!さっき大人しくしとけって言ったのに!
俺「サイモンやめなさい、従者の無礼お詫び申し上げます失礼いたしました」
マディ「躾のなっていない犬を飼ってるようね、私に無礼な振る舞い許さなくてよ!」
レイナルド「許さなくてどうするのだ?君は従者も連れていないではないか。
大方、監視役から逃げて来たのだろうけど、立場ある公爵令嬢が一人でフラフラなどはしたない、身の程をわきまえよ!」
マディ「そんな、わたくしは迷子になって、従者とはぐれただけですわ。
そこのちびがアイザック様に擦り寄っていたので、注意しましたのよ!今から茶室で己の非を認めさせてやろうと思っておりましたの!ねぇアイザック様!」
アイザック「はっ?そなたは頭がおかしいのか?兄上、事実無根です。聞捨てなりません!」
レイナルド「この娘が虚言癖の妄想狂人なのは国中に知られていることだ。アイザックも虚言を間に受ける必要はない、落ち着くように」
マディ「違っ、ぐぅ~」
俺はサイモンの口元を抑えるだけで、特に何も言ってないのだけどマディリーンは物凄く睨んできた。
殿下達マディリーンを追い詰めすぎなんだよ、いいじゃんか一緒にお茶して帰れば!
俺は何か言いたげなサイモンの口にロバートさんからもらったチョコのキャンディを放り込み黙らせると、一歩前に出て
俺「発言をお許し下さい両殿下
こんなところで立ち話などせず、公爵令嬢の従者が迎えに来るまでお茶をいかがでしょうか?わたくしは珍しい隣国のお菓子を持って来ております。どうぞ皆さんご賞味下さい」
そう言ってアイザックの茶室に待機していたメイドにチョコボールを渡した。
小さなチョコの小粒の中はクルミだ。
レイナルドが頷くと側近の一人が公爵令嬢の従者を探しに行った。
レイナルド「賢いレディの提案にのるとしよう。
久しぶりだね、マリーウェザー息災であったか?
領地に行っていたんだね、君の1番上の兄君がなかなか教えてくれなくてね。私だけ出遅れたよ。
しばらく見ない間に大きくなったね、さあ中に入ろうか」
俺に近づき、俺の手を取って指先に挨拶を落としてそのままエスコートする。レイナルドも大きくなっていて、スコットより少し背が高い。俺がチビだから跪く感じて挨拶をした。
さすが第1王子、動きがスムーズだ、まさにロイヤルエスコートだぜ。
サイモンは壁際で飴をコロコロしてる。
俺「ご挨拶が遅れました、ごきげんようレイナルド殿下」
マディリーンは一人でズカズカ入ってきて、部屋の主アイザックは最後にトボトボ歩く。
丸いテーブルの対面にマディリーンがきた。両サイド殿下だ。
マディリーンから熱い紅茶ぶっかけられたら嫌だなぁ
お茶が揃って、恐る恐るメイドが茶色いチョコボールを出してきた。
まあ知らないと怖いよな、チョコの甘い香りがほんのりするけど知らないと独特の香りだな。
毒見の側近が美味しいですと呟いた。
マディ「こんな茶色い菓子があるもんですか!
何かの糞ではなくて!気持ち悪いわ!こんなもの食べてはいけませんわ!」
見た目はそうだけど、口に出して言わないで女の子でしょ!
俺「アルラシード王国原産のカカオから作られたお菓子ですのよ、パク・・・んん〜、美味しい、甘いわ」
改めて毒見で一粒食べる。
アイザック「そう言えばお誕生会に隣国の親善大使が来ていましたね、ではカカオとやらはその時の土産ですか?
隣国にツテがあるなどコルチーノ伯爵家は顔が広いのですね、領地も潤っていて素晴らしいです。
僕も一粒パク・・・!わぁ、とろけるように口に広がる、この独特の甘い香りと、ハァ鼻から抜ける香りがたまりません。紅茶にもよく合う、もう一個」
アイザックはたまに僕って言ったりしてるな、幼い感じが抜けてない。
チョコ気に入ってもらってよかったけど、出して良かったかな・・・取り上げられないかな?
レイナルドも黙って一粒手にとり食べると、驚いていた。
「こんな美味しいお菓子があるなんて、知らなかったよ。
本当だ、この香りとコクが素晴らしい。中のクルミとも相性が良いね。
マリーウェザー貴重な品をありがとう、カカオと言うのかいこのお菓子は?」
俺「カカオを加工して作ったチョコレートですわ。
茶色いカカオに砂糖とバターなどで味をつけますの、作り方はわたくしもそこまで詳しくはホホホ」
ロバートさんの眷属レンジ・マミィありきのチョコだからな。
レイナルド「コルチーノ伯爵領は噂通り豊かな土地なんだね、こんな素晴らしいお菓子を開発する余裕があるなんて。アシュだっけ?恵みの温水が湧く泉があるのだろ?
アイザックはそこまで見てないのかい?」
アイザック「足湯です、足だけつける異国の作法だとか。まだ工事中なので、大勢で行くと迷惑かと気を使いました。すみません、ご報告ができなくて」
俺「アイザック殿下のご配慮に私達は大変感謝しております。
本当に工事中なのでお見せできるものがごさいませんのよ、出来上がりましたらご招待させていただきますわ。何もないところに街を作ろうとしておりますの。
家督を父に譲りましたが祖父母がまだまだ現役ですの、領地の安寧はあの方たちの手腕でございますわ」
おばあちゃーん・・・もう懐かしいな。
マディ「わたくしの知らない話しで盛り上がるなんて!キィ
私を仲間外れなんて、やり方がこすいですわね、さすが中領地の娘ですこと!
まあ、このチャコは美味しかったけど、こんなもの私ならもっと美味しいものが作れるわよ!」
俺「チョコですよフフ
20年後には公爵領のほうで取り引きしたり、50年後には公爵領でチョコ専用の菓子職人ショコラティエを育てたりしてるのでしょうね。なんだかんだ大領地ですもの隣国とも接していて羨ましいですわ」
マディ「え?はぁ?言ってる意味がわからないわよ!わかるように説明しなさいよ!なんなのよ!」
俺「チョコお気に召しまして?また差し上げますわ」
マディ「今すぐよこしなさいよ!ケチケチして出し惜しみ?」
そうだ出し惜しみだよ、ここぞと言うときに交換条件付きで差し上げるぜ、お嬢ちゃん?へへ
レイナルド「手持ちがないのだ、見たらわかるだろ?それに立場も年も上の君が幼いマリーウェザーから物をたかるなんて品位に欠ける。全く成長してないな」
マディ「アイザック様には先程わたくしの成長を褒めていただきましたわ!」
アイザック「褒めてない!」
マディ「まあ!マディの事が好きだからって意地悪なさらなくてもよろしいのよ?真っ赤に照れて可愛いですわアイザック様」
アイザック「全然違います!辞めてください!」
面白いなぁこの子、やだ癖になっちゃいそう。
顔も性格も全然タイプじゃないけど、俺は嫌いじゃないぜ
俺がクスクス楽しそうに笑ってる姿をレイナルドが眺めていたけど、気付かないふりした。
喋る話題ないし仲良くしたいとも思わないから。
マディ「貴女もちょっと顔が可愛いからって、笑いすぎよ!私の方が可愛いってお父様もお母様もおっしゃったのよ!」
俺「はい、私もそう思いますわ。わたくしは自分が可愛いなどと思っておりませんでしたもの。お褒めいただき光栄ですわ」
マディ「貴女は可愛いわよ!何言ってるの?貴女の家族は誰も褒めないの?可哀想ね!でも私の方が可愛いわよ!」
俺「ホホホ、兄や家族はみんな褒めてくれますが身内だからですわ。小さい子はみんな可愛いと言って育てるものですよ。お褒めいただきありがとうございます、アハハ。
マディリーン様は楽しい方ですのね。
私は嫌いじゃないですわフフフ」
マディ「な、何よぅ!私は貴女なんか嫌いよ!可愛い顔で笑わないでよ!ムカつくわ!何が可笑しいのよ!笑わないでよ!キィ」
俺「アハハ、何度もお褒めいただき光栄ですわ、ハァもうやめてくださいまし笑いを堪えきれません、マディリーン様は真っ赤になって可愛いですわフフフ」
マディ「褒めてないわよ!何よぅ!笑わないでよ!」
アイザック「マリーはこんな風にも笑うんだね、可愛いよ」
いやぁ、公爵令嬢には嫌われちゃったけど楽しかった。
マディリーンのお迎えが来たのだろう部屋に従者と公爵かな?飛び込んできて娘を回収してった。
マディ「お父様!この子が私を苛めるのよ!私をえーっと面白がって笑ったのよ!お父様いつもみたいにやっつけて!」
お父さんに出てこられると困るわぁ
俺は立ち上がり、謝罪する。
俺「申し訳ございません公爵様。どうぞ罪は私1人でお許し下さい。家族は無関係でございます」
レイナルド「マリーウェザー、君は何もしていない。それどころかマディリーンの無礼を煙に巻く手腕は見事だ。君の笑顔で全てが丸く収まった。君は賢い人だよ。
ミシェランド公爵殿、娘の非礼を詫びよ!
躾をし直せ!今回は彼女に免じて不問とする。」
公爵「コルチーノ令嬢感謝する。両殿下、娘の無礼申し訳ございませんでした
マディ駄目じゃないか、勝手にいなくなったら!心配したんだよ?」
お母様「マリーウェザー迎えに来ましたよ、さあ私達も失礼いたしましょう。
ごきげんようミシェランド公爵にお嬢様
ごきげんようレイナルド殿下、アイザック殿下
御前を失礼いたします」
俺達は無事に城から脱出できた。
「お嬢様、大変でしたね!もう城は懲り懲りです」
サイモン、お前は修行が必要じゃね?




