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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
領主の娘 領地に行く
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アンナ

馬車の中でもアンナは、元気に今まで出会った嫌な貴族のことをここぞとばかりに愚痴る

「上から目線で私たちのこと見下してる」だの

「ゴミのように蹴飛ばされた」とか

「床に食べ物を落として、這いつくばって食えこの乞食どもが」とか

そして、涙ながらに語りだした

自分は本当は、貴族の子だと青い血が流れてるのだと

貴族の館で働いていた母が身ごもり

本妻と腹違いの兄姉に意地悪され、母子ともども追い出されたと

そして、自分は孤児院に捨てられていたのだと言う


お母様は

「まあ」 「そうなの」 「大変だったわね」

の3パターンで会話してる

話がつまらないのだろう、よくある話だしな

ひとしきりグチグチ喋ったところで疲れて寝たのか静かになった


静かな馬車のなか無言の圧力がかかる

「本当に連れて帰るの? まだ、間に合うわよ?」

そう言われた気がした


屋敷に戻り、とりあえず客間にアンナを寝かせてもらった

私が使用人の部屋に押しかけてもいいのかと聞いたら、「お嬢様が来るところではありません」と渋々客間になり

お医者を呼ぶ程ではないと判断され、心得のある執事さんに、診てもらう事になった


「全身の打撲と擦り傷、足の捻挫に肩の脱臼です 打撲で腫れ上がってますが骨までは大丈夫でしょう治してしまいます」


「痛い!痛いって触らないでよ!

うぇーん、痛いよー、せんせぇー助けてよー」

ギャーギャー言って元気だな


厨房に行って、パンとスープと

レモンの輪切りとはちみつと塩で簡易ポカリを作って侍女に持ってきてもらった

自分で運ぶと危ないからな


ベッドサイドに置いて声をかける

「お腹すいてるんじゃないの? 昨日から食べてないんでしょ?」


「フン!あんたの施しは受けないわ!

感謝なんてしないんだからね!偽善よこんなの!

でも食べ物を粗末に出来ないから、私が食べてあげるわ!」

しっかりパンを握りながら強がってる


「・・・・」


「何よ!」


「泣くほど、お腹すいてたの?」


「ちが・・・うぅぅ

うぇーん、えぇーん、うぅ」

グズグズ泣きながら、一生懸命食べてる



「よ〜しよし、泣かないの

あ、やっぱりいっぱい泣いちゃえ

泣いたほうが疲れて寝れるよ?

嫌な事はいったん、涙と一緒に追い出してしまいなさい」


「もう!何なのよあんた!偽善だわ!どうせ捨てるくせに、優しくしないでよ!嫌いよ!」

ひとしきり泣いて力尽きて寝た

おでこを触ると、熱があるのか少しジトっとしてる


水分補充しようと、簡易ポカリの残りが入った水差しを見ると、上を光る虫が飛んでいた


「あ、妖精だ!

そのレモン水が欲しいの?」


『あら、お嬢さんこんにちわ』

懐から小さなカップを出してきて

『これに一杯 この味のついた水が欲しいの』


「いいよ、入れてあげる

こんなに小さなカップでいいの?」


『いいの 入れて』


あら、びっくり

四次元カップかよ、水差しのレモン水のほとんど入ったじゃないか!スゲー!

ファンタジー定番のアイテムボックスか?


「たくさん入ったね、それはどうやって作るの?

私も欲しい」


『お嬢さん欲しいの?

もう1つあるからあげるよ』


テッテレー!

ガチャカプセルの景品のような小さなカップGETだぜ!

「嬉しい!ありがとう妖精さん

レモンの輪切りも持っていく?」


『酸っぱいより甘い方が好きなの 甘くなれ甘くなれ』

と光る指先で簡易魔法陣?のようなものを空中に描いて指を弾いたら

光る粉がレモンに落ちた


「え、これ 甘くなったの? 『食べてホラ』ーむぐっ」口に入れられ


『へへへ、甘い?』ドヤ顔


「ムグムグ、ゴクン、甘い!妖精さん、すごい!すごーい!凄すぎる!」


『へへへ♪へへへ♪照れちゃうまたね』

ぱっと消えていなくなってしまった

部屋が少し暗くなった気がした


確かこんな感じで「甘くなれ甘くなれ」

今しがた妖精がしてたように指先で同じように絵を空中に描くと魔法陣が出来た

出来た魔法陣に触れてみると、ぱっと弾けて光る粉が落ちてきた

さっきより少し甘いレモンが出来た

水差しにポチャっとレモンを入れて、もう一回試しにやってみたら、また出来た


ヨッシャー!魔法きたー!うおー!やったー!

内心歓びに打ちひしがれていると


「うぅ、寒い・・・ママ」

毛布を蹴飛ばしていたアンナが寝言を言った

汗をかいて熱が下がったのな


取りあえず

服を着換えさせようとしたけど、脱がした所でなかなか着せることができず、疲れて(面倒くさくなって)自分も寝てしまった

良い夢が見れそうだと思うほど気持ちの良い眠りだった


妖精の魔法の効果なのだが、俺はまだ知らなかった

小さなカップはいつでもどこでもどんな服でもポケットをまさぐると出てきます

妖精のアイテムです

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