隣国のダンジョン生贄編3
俺が助けた人が襲いかかってきて、マリアンヌがそいつを横から蹴り飛ばして、俺を抱えて飛び上がった。
『どうなってるんだ?なんなんだ?
お前、振るえてるぞ?僕がいるから大丈夫だ!』
俺をギューっと抱きしめてマリアンヌがなんかカッコイイこと言ってる。流されてしまいそうだ。
さっき助けた人が他の誰かを襲ってる。
騎士っぽい人がボコって動けないようにしていた。
なるほど、ああやって無力化してたのか。
コロッセオをみると、4メートル級の巨人が2体いて騎士達と戦っていた。
「あの巨人がこの階層のボスだろうか?
誰が味方で誰が敵かわからないな、巨人はサイクロプスだ。この世界のサイクロプスも目が弱点かな?」
スコットが目立つ炎の全身鎧で闘技場を飛び回る。トモエをお供にしてるから人々からの注目を総なめにしていて、巨人に攻撃をしかけていた。
すでに混戦になってしまっていて、他のみんながもうどこにいるかわからなかった。
「祭壇で生贄にされてる人は無事かな?」
『あ、巨人がこっちに気づいたぞ、なっ!クソっ』
巨人がコロッセオ内の瓦礫や時には人間を投げてくる。ぶつかったらひとたまりもない!
「うわぁ!だ、大丈夫か?」
マリアンヌが俺を庇って、とんできた瓦礫で頭を打ち付けた。
旋回してコロッセオの柱の影に入る。
ヒールをかけたけど効果がない
「ヒールが、何で?血が・・・」
俺は手でマリアンヌの頭を抑える
『お前さえ無事ならそれでいいんだ
僕らは精霊だよ?ヒールって肉体の回復でしょ?聴くわけないじゃん、馬鹿だなぁ』
そんなこと今になって初めて知ったよ。
今まで、酷使してきといて、勝手なことしといて、俺は最低かもしれない。
いつも適当に思わせぶりな事を言ってコイツちょろいとか、思い上がりも甚だしいな。
あれ俺ってろくでなし?
「ごめんな?庇ってくれてありがとう、でも俺はヒールでなおせるから。どうしたらお前は治るの?」
俺はマリアンヌの頭を押えて聞くと、罪悪感から思いのほか切ない声が出た。
マリアンヌがびっくりした顔をして
『なんだ?いつもより優しい!どーした?
別にほっとけば治るし、人間と一緒にしないでよ。
でも、僕を心配してくれるのってなんかいいな!
うん、そうだもっと心配してよ。
いつもお前からエネルギーが流れてきてたけど今はあの鳥にけっこう流しただろ?
こっちに来る量が減って弱体化してるんだ。
お前は、僕以外にも鳥・ムラマサ・トモエ・王子様・温泉姫・花魁と出費が多いからな。
魔力って、毎日使って鍛錬して総量を増やすんだ。
あのロバートとか言うやつみたいに収納してなくて、外に送ってるだろ?その分の燃費も悪いし。
常に見えない力で僕らは繋がってるからな!
それにお前に触れてる分、いまは流れてくる量が増えるから』
そう言って、俺の頭に頬摺りして猫のように甘えてくる。
「なんだ良かった、このままほっとけば治るんだな?
じゃあトモエちゃんも弱体化してるの?
ってか色々と初耳なんだけど?何それ!俺って毎日鍛錬してるんだ、知らなかった」
柱の影で話してるからこちらも向こうの様子に気が付かなかった。
ここは戦場だった、のんきに話してる場合じゃなかったんだ
俺が気がついた時にはマリアンヌが俺を突き飛ばして
『お前は逃げろ!』とサイクロプス一体を相手にしてムラマサ振り上げていた。
ズゥンと足音がして、柱から顔を出したもう一体と目があった、俺は走って逃げた。
ムリィ!
俺みたいなクソザコあんなん相手に出来るかよ!
ムリムリ助けて!
きゃあ!追いかけて来るぅ!怖い!
はっ!そうだ光の矢を太もものガーターベルトにクナイのように装備してたんだった。
俺は太ももから全部引き抜き投げた。
おりゃ、しにさらせ!
ひぃ、全然当たらない!
俺は必死に走った。オッパイがポヨンポヨン痛いとか、そんなんどーでもいいくらい走った!
するとアリーナが崩れて廊下が途中でなくなっていた。
後ろからムラマサが烏天狗の姿で追いかけてきて『ご主人様とんでください』と言って崩れて瓦礫になった向こうから手を伸ばして言ってくる。
下をみると、飛べなくも無いけど転けたら痛そうだと思って二の足を踏んでしまった。
でも意を決しとんだんだ。
でもモタモタしてるからサイクロプスに追いつかれて
『ご主人様!』
「ムラマサ・・・きゃぁ!」
俺の聖女のぱっくりしたスカートがサイクロプスの手にかかり。
俺は引っ張られた、そして両手で体を捕まれサイクロプスの1つ目と向かいあった。
女子みたいな悲鳴あげちゃうくらい怖い、気分はキングコングに攫われた美女と言うより、有名な人を食べるヤバい巨人に攫われた感じ?
ムラマサがウロチョロ飛んでいて、サイクロプスに鷲掴みされて地面に叩きつけられ動かなくなった。
「ムラマサ!この1つ目野郎!フィギュアは雑に扱うなよ」
サイクロプスが俺を見た。
俺このまま食べられるの?
うぇーんムリムリ助けてマリアンヌゥ
巨人の向こうがわを見ると、マリアンヌはもう一体を相手に派手な立ち回りをしていた。
あかん、詰んだ、終わった!
すると、巨人が俺を両手で捕まえたまま、コロッセオの広場へ向かい出した。
ズゥンズゥんと足音を響かせながら歩く、漫画の読みすぎは否めないけど、その時は食べられちゃう恐怖しかなかったんだ。
「離せ、グッ、痛っ!」
俺がジタバタ暴れるからサイクロプスが俺を掴みなおしたら強く握られ過ぎた。
俺、このまま握り殺されるのか?
恐怖しかなくて、回りや状況をあんまり見てなかった。
「マリー!今助けるから!」
スコットの声がして上からファイアジャベリンが降ってきた。
マジか!あのクソ鳥!俺ごと焼き殺す気か?
上から火の矢が降ってくる恐怖も重なった。
「聖女様をお助けするぞー!」
そんな声が聞こえてきて、いつの間にか回りを騎士達に囲まれていた。みんなが剣をこっちに向けて振ってくる。
先端恐怖症じゃなくても怖いんだよ!剣をこっちに向けんなや!俺が切られるやろがい!
俺の防御力を舐めんなよ!お前らに瞬殺じゃボケ!
サイクロプスは俺を片手で抱えて、近づく人間達をなぎ倒す、もう一体が来て、そのデカくて丸い1つ目で俺を見た。
一瞬緊張が走った。
マリアンヌ!
バッと振り向きマリアンヌがさっきまで戦ってた場所を見ると瓦礫の山と化していた。
ドクンと心臓がなって嫌な汗が出る。
あいつ、やられたの?
いつの間にか、回りに囲む人間が増えていてサイクロプスが俺を抱えたまま立ち回る。
ブンブン振り回されすごく苦しい。肋骨折れてない?
「グッ、ぐえ! くっ、いっそ殺してくれ!」
自分でくっころ言うと思わなかった。
どうして、そんな余裕な事を考えていられるのかと言うと、何となくだけどサイクロプスに庇われてる気がしたからだ。
上からたまにファイアジャベリンが降ってきたり、スコットが炎の剣で切り掛かって来た時にサイクロプスは俺を守って攻撃を食らってたように見えたんだ。
今のところ食われる事はなさそうだ。
でも、たまに投擲武器とか矢がとんでくる。超絶怖いんだよ!
俺は自分の頭を抱えてサイクロプスに抱えられてた。
そーいえば、俺が幼稚園の時に歌った"きよしこの夜"って賛美歌じゃね?簡単だし。あったの忘れてたわ。
きらきら星は違ったかな?
俺はねーちゃんと一緒にピアノ習わされてたからな。まだ指動くかな?
そんな妄想の中で目がさめた。
サイクロプスに振り回されてるうちに俺は何かで頭をぶつけて気絶してたんだ。
気が付くと、冷たいコロッセオの地面に寝かされていた。
トモエがそばで安心安全のミラーフォースを展開していてムラマサが俺を庇うように覆いかぶさっている。
サイクロプス2体が俺を盗られないように立ち回っていて1つ目のオオカミみたいなのもいて騎士とやりあっていた。
『ご主人様お気づきですね?ご自身にヒールをかけてください』
ちょっとボロボロのムラマサが俺からどいて、俺の手を引いて上半身を起こしてくれた。
「ヒール」
頭の違和感がなくなってスッキリした。手を見ると血糊がついてた。
これ俺の血か?誰だよ俺を攻撃したやつ!許さん!
『気づいたの馬鹿!
ビックリさせるなよ!お前がし、ぬ、かと思って、くぅっ!目覚めてよかった。
もう全部破壊してお前をどこかに連れ去ろうか迷ったんだ』
上から声がしたから顔を上げたら、誰おまなマリアンヌさんがいました。
明らかに大人なムキムキな体に、胸元が全開(乳首隠れてるけど)の服を着ていて。チラ見える腹筋がエグい。
目が赤黒くて、中学時代に俺が書き溜めた妄想ノートから出て来たような厨二病全開な風貌だ。
いかにもなクソダセェ入れ墨が顔と胸元の半分まできて髪の毛がボサボサ長くて、白かった背中の羽がコウモリみたいでとにかく魔王様みたい。
どことなく、乙女ゲームにデザインされてそうなイケメンだし!
こいつこんなイケメンになるの!
中防の見た目のときも小綺麗な顔だったけどさぁ!
なんだろう、この負けた感って言うの?いや俺そこまで自分を格好いいとか思ってないけどさ?
腹の底に溜まるイラ立ち!
俺の中で色々な感情が一瞬で通り過ぎ、口からポロリと出たのは
「どちらの魔王様ですか?」
『な!おまっ僕だよ!なんだよ!』
「冗談だ、魔王様!
じゃなかった、どーしたん?お前のソレ
イメチェンか?
あ、大人になったらお前そんなんなの?うわぁ」
悔しくてダサッっと口に出てしまいそうになったけど、俺を心配して黒い涙でも流しそうな顔を見たら、なんか可愛そうに思えて黙っておいた。
マリアンヌが指さした方を見ると、依代のフランス人形が壊れていた。
人形なんて持ってきちゃ駄目でしょ!そうアンナにそう怒られそうだ。
『僕の依代が破壊されたんだ、だから体を保つために気合い入れてたらこうなった。
僕、今、お前にどう見えてるの?僕って魔王みたいなの?僕のこと・・・怖くなった?ィャダ』
大人になっても泣きそうな顔して、置いて行かないでとか寂しいとか恐怖にも似たようなそんな感情が伝わってきた。
「怖くないよ」
『本当?』
そう言っても俺に触れて来ない。
何を恐がってんだこのイケメンが!いちいち顔が良すぎて腹立つ!
なんなの?ギャップ萌えなの?くっそー
「あ、アトリエにお前のフィギュアあるだろ?受けが悪かったのか売れ残ってたじゃん、あれを依代にしたら?
取ってこい!」
『・・・はっ?
僕が今取ってくるの?後でもよくない?
状況わかってる?戦場だよ!ここ戦場!コロッセオの中!何をのんきなこと言ってるんだ?
あの化物や人間にお前どーにかされるよ?何とかしないと!
僕が全部壊そうか?』
「何言ってんだよ。ここは隣国のダンジョンだよ?
なんかもう帰って風呂入りたいわ、見てよ血糊で髪がベトベト、ほっとくとカピカピになる
俺どのくらい寝てたの?また夜明け前とかやだよ?」
『あれ?・・・そうだった。ここダンジョンだった?』
ちょっと落ち着いてきたのか、マリアンヌの目の色が普段のものになったけど、なんかぼーっとしてる。
やっぱコイツちょっと変だよな?メンタル不安定って感じがするし
「ねえ、トモエちゃん達は大丈夫なの?」
『我々は、アウェイ。他所のダンジョンの異物でございます。こちらの精神魔法は管轄外でございました』
「え?トモエちゃんはミラーフォースこっちで使えるのに?」
『あれを使っているのはご主人さまにございます。
いつもわたくしを通して発動ありがとうございます。わたくしは借りてるだけに過ぎません
今はご主人さまから溢れてた魔力が兄上殿に向かっておりますのでマリアンヌ殿は不安定かと存じます』
え!俺がスコットに鎧着せたせいなの?俺のせいであいつあーなったの?うわぁ
黙っておこう
「知らなかった、俺がミラーフォース使ってたの?でも可愛いから次からもトモエちゃんに使ってもらうよ。ヨシヨシ
的確な説明ありがとう、精神魔法なんていつの間に?どこのどいつだ?」
『あちらの祭壇で生贄にされた娘が依代になり何かを降ろしております。そこから精神魔法が拡散しております』
・・・あーわかったかも
これって、ダンジョン・コアの筋書きじゃね?
訳分からん新スキルが来たと思ったんだよな!
だって俺がいるここってステージっぽいもんね!
ここはコロッセオってか古代のライブ会場じゃね?
アメージング・グレースの時もエフェクトがマジ良かったもんなぁ。
大天使とか神殿とか、あのダンジョン・コアってあのカタギのような見た目でサンクチュアリ的なん好きなんかな。
サイクロプスって固いし精神魔法に強いな、何とかしてほしくて俺をここに置いたんだな。
「歌ってやんよ野郎ども!
お前ちょっとこっちに来なさい!いいから早くしなさい!」
オドオドしつつも困惑顔で近づいてくるマリアンヌ。デカくなったから再び見上げないといけない。
「正座!」
黙って言われた通りしてる。コイツもたいがい状況わかってないもんな。
俺は正面から見下ろして、マリアンヌの耳のあたりを両手で包み込むようにして喧騒を消す。
顔を近づけて視線を合せてゆっくりしゃべる
「落ち着け、精神干渉されてんだよ。入って来た時に狂ったやついただろ?
あそこの祭壇で依代にされた娘が精神魔法使ってるんだ。
お前、依代ないからダイレクトに精神干渉を受けてるんじゃないの?
今から俺が新しいスキル使うから、祭壇の依代から出て来たやつをムラマサで切りなさい。
わかったな?」
『わかった
口付けしてくれるのかと期待したのに、しないの?』
「は?しないよ?」
まあ可愛らしく頭突きコツンとしといた。
『痛っ!全然優しくない!いつものお前だ!
ああ!あの優しいお前って精神魔法だったの?』
「失礼な!俺はいつでもイージーモードだ!優しいだろ!
さあ、始めるぞ!お誂え向きにもピアノが置いてある!きっと調律済みでダンジョン・コアの趣味だろう全く!」
本当に全く趣味が合いますな!
さて、奏でるのはエリーゼのためにだ指慣らしも兼ねて。
「ひけるかな?」
『お側におります』
俺のトモエなんて可愛いんだろう頑張るからね!
俺はゆっくりとひきはじめた。
緊張すると焦っちゃうんだよな。
ピアノって習ってると舞台発表させられるんだ、別に出たくもないのに。その時の課題曲
ねーちゃんがオルゴール持ってて好きだったやつだ。
そーいえばロバートさんはどうしてるのかと見回すと、リカバリーかけたり魔法の草の蔦でオオカミを押えてた。
多少ミスったけど一曲終わってもまだ戦いが続いてた。引き歌いしなきゃだめ?もうきらきら星でいい?
「歌うからスキル発動してください。
スーハースー
キ、ラ、キ、ラ、光るぅ♪」
もうめちゃくちゃ恥ずかしいけど、引き歌いをはじめる。
歌は早くおわっちゃったけど、変奏曲は最後までやる、こっちはマイマザーが大好きな曲でよくやらされた。
でも最後にひいたのっていつだろう。いつの間にかピアノにほこりがかぶってた。もっと練習しとけば良かった。
ミスりまくったけど原曲なんて知ってんのロバートさんくらいでしょ。
するとロバートさんがフライで飛んできて
「シスコンさん、間違いだらけじゃないですか!
かわりにひくので歌って下さい!
スキル発動にいるんでしょ?
縛っていた狂人が大人しくなったんです、カヤックさんも何かの暗示にかかってしまって」
と言って指差したほうをみると、カヤックが縛られてたおれてた。
「あそこの祭壇で依代にされた生贄の娘が精神魔法を使ってるんです。歌うと憑依の解除ができるんですけど。
魔ウンテンさん弾けるんですか?」
「アニソンなら引けます、1番だけでいいので
残酷な天使のやつ
シスコンさんなら歌えますよね?」
「・・・歌えます」なんでわかったの?
「本気で歌って下さい!私も頑張ります!あの礼拝堂の時みたいに本気で歌って下さい!」
すると、いつの間にか後ろにカインがいて
カイン「ステージのあそこです、あそこに魔法陣が仕込んでありました。
たぶんあそこで歌うと隠しアイテムが出てきます、あの、さっきはすみませんでした」
俺「さっき?・・・・フッ
もう気にすんな。忘れてた、むしろ思い出させんな!」
ロバート「歌と同時に伴奏をします」
ロバートさんがピアノの準備をして、俺たちは見つめ合い頷く
そして、大きく息を吸って俺の胸が膨らみそれに合わせてロバートさんが俺の歌に合わせて同時にピアノをならした。
伴奏を聞いて鳥肌がたった
めっちゃ上手やん!引くほどうまいし!
やる!俺はやる!だって今の俺アバターだし!
魔ウンテンさんの伴奏に引き出されるように歌が出て来た。
魔法陣が光り隠しアイテムが出現する
にゅっと出てきたのはスタンドマイクだったけどそんなことはどーでもいい。
めちゃめちゃ気持ちよかった!
俺の頭の中ではアニメが走馬灯のようにかけめぐり、胸が熱くなり歌に感情がこもっていた。
自分から出てくるの女の子の声だし、もう気持ちよくて最後まで歌いました。
だってほんと心踊る聞いていたい伴奏だったし、ロバートさんも止まらなかったんだよ。
歌い終って静かになった。
ロバート・俺「「綾波ぃ〜」」
俺「魔ウンテンさんはミサトさんだと思ってました、ピアノ神レベルでしたね鳥肌がたちました!」
ロバート「シスコンさんこそアスカだとばかり、相変わらず聖女の衣装と相まって手が震えそうでした」
カイン「魔ウンテンにシスコン?もしやシリウスコーンフレーク?オンラインの?」
俺「さて、お前は誰だよ?」
カイン「ASUKA300」
俺・ロバート「「あ〜」」
ガチ勢の人だ。そこまで仲良くないし付き合いもあんまないかな。
ロバート「アスカさん?あなたも真実の瞳装備してますか?」
カイン「してます!魔ウンテンさん、その
俺、今まで勝手にライバル視してました。現実はこんなにいい人なのに!
すみません大人気なくて、あの暁の塔の時ありがとうございました。」
ロバート「・・・いえ、こちらこそ。
その、真実の瞳が異世界転移の原因かもしれませんが推測の域を出ません。
持ってても使わないと装備されませんからね、シスコンさん2つありましたよね?誰かに1つあげてます?」
俺「あの時って、ねーちゃんが勝手にプレイしてたんです。んでレイドバトル終わってから勝手に2つとも装備しちゃって・・・ってか2つも装備出来るって知らなかったし」
ロバート「なんと言うかご愁傷様です。
ああ、だからシスコンさん見え方が変なんですね?便利と言うか不便と言うか」
カイン「あ、あそこ!見ろ!」
指差す方を見ると、今まさにマリアンヌが幽霊みたいなのをムラマサで切っていた。
依代にされた生贄の娘に取り憑いてた何かだな
ロバート「マリアンヌくんが切ったのシスコンさんの指示ですね?リーダー出来るじゃないですか」
と満足そうに笑ってた。次からも押し付けられそうだ。次なんて無いがな!
操られてた人が目覚めはじめる
オオカミが光って消えて、サイクロプスがボロボロと崩れて中から女の子が出て来た。
赤い服の女の子
『助かりました。魔女の呪いで化物にされていたのです』
青い服の女の子
『清い賢者と聖女よ、あなた方に感謝いたしますこれをどうぞ』
宝箱が出現して、女の子達が光の粒になって消えた。カインがいち早く開けてた。
関係ないのによく開けられるな、図太すぎないか?
中身は金貨だった。アイテムじゃなかったのか残念だ。
民衆が金貨をみてドヨドヨと声を上げていた。
俺の手を見ると、指輪がパキッと割れてしまった。スコットを探してみたけど見当たらなかった。多分、スキルの解除効果でアーマーが脱げたのかもしれない。
騎士がやってきて
「聖女様、賢者様
私は王国の第三騎士隊隊長バルサ・ミコールでございます
我々を救っていただきましたありがとうございます
どうかご挨拶をしてもよろしいでしょうか?」
そう言って俺の手を取って指先に口付けた。
前にアブドゥル隊長がしてたのと違って簡易のやつだ。隊長の後釜に入ったやつか。
ニヤニヤ笑って、気持ち悪い髭面のブサイクだ。
ロバート「それで私たちに何か用かな?」
隊長「どうか我が城で王に謁見を賜りたく我々と来ていただけませんかな?聖女様も城でおもてなしいたしませんと。
我らの感謝を受け取っていただきたいのです」
俺「しばし待たれよ!
・・・あの(小声)
ロバートさん、そのホストの衣装ってダンジョン出たら消えちゃいます多分。
俺もダンジョン出たら幼女に戻ります。ここから出るならマリアンヌの落し穴魔法で温泉に直接行きますから」
ロバート「え!それは、そうかこの装備借り物でしたね」
俺「スーツ似合ってますけど、なんか謁見とかイヤなんで適当な事言って逃げましょう」
ロバート「でもどうやって?」
俺「まかせて下さい」
俺は隊長を通り過ぎて後ろで怪我をしてる騎士のところへ行き「ヒール」をかけた。
隊長「これは!奇跡の力だ!凄い!欲しい!」
この隊長いちいち気持ち悪いなぁ
俺「そこの元気そうなあなた、そう、もう誰でもいいから!怪我人を集めて下さい」
その辺のモブに声をかけて一箇所に怪我人を集めさせる。
布で顔を隠したハッサムとカヤックが柱の影からこっちを見ていた。お前らも見つかるとヤバいよな。
俺はアイテムボックスから聖杯を出す、俺が持つと溢れてたけど今は大丈夫みたいだ
魔力量に関係してるのかな?
俺は聖杯を持って跪いてロバートさんにうやうやしく掲げた。
俺「偉大なる大賢者様
その尊くて清らか御心で我らに癒しの水を!
聖水を下さいませ!
傷付いた民に癒やしと祝福を下さい!」
ロバート「え?は?え?シスコ、マリ、聖女様?」
俺はロバートさんが困惑顔で聖杯を受け取ろうとしたからわざと傾けてこぼした。
隊長「あ、聖水が!」
俺はサイクロプスを倒した経験値で新たにエリアヒールをゲットしていた
ここぞとばかりに発動した。
俺「まぁ!こぼれた聖杯から地面に大賢者様の奇跡の御業だわ!
凄いわ大賢者様の祝福よ!まあ、私の傷も癒やされたわ!
大賢者様すごーい!私のような小娘よりすごーい!
大賢者様のきせきすごーい!」
俺の大根演技が炸裂した。
エリア内にいた群衆がヒールで治ってザワザワしながら「大賢者様の御業だ!」みたいになった。
ロバートさんが「ちょっと、まって下さい」とか言ってたけど、そのまま聖杯を押し付けて、傾けたままの聖杯からは聖水がとめどなく流れていた
「聖水が流れ続けてる、奇跡だ」
その水を浴びた人がさらに怪我が癒えて人が押し寄せ揉みくちゃになり
俺は押し出されるようにフェードアウトした。
多少乳や尻を揉まれた気もするけど。
そしてカヤック達の所に行き「帰るぞ!」と声をかける。
カヤック「え、ロバートさんは?」
俺「後で回収する。以後は賢者の噂になるだろう。
聖女と聖鳥の噂は消しておきたかったんだ。
あの聖杯、あのまま置いてもいい?次からはみんな聖杯に祈るかもしれないけどさ。
清い人、処女とか童貞じゃないと効果がないし、宗教関係者ってみんなそーゆー意味じゃ汚いでしょ?
多分ただの置物になっちゃうけど、お前らが困った時に正しい使い方したらいいんじゃない?
マリアンヌ!困ってそうなロバートさん助けてあげて?」
『仕方ないなぁ、まあ、お前が僕の為に歌ってくれたおかげで精神干渉がおさまったからね。
お前の熱い気持ち、ちゃんと受け取ったから
でも僕は流石に神話にならないからね!へへっ』
マリアンヌがとち狂った事を言って機嫌がいい。
俺は白いブラウスの女の子を想って歌ったんだがな、すっかり元に戻ったマリアンヌがロバートさんの所へ行った。
カイン「あの、にーちゃん帰るって?」
あ、ちゃんと弟キャラで行くんだ
カヤック「俺たち今は隣国にいることになってるんだ、大使はコルチーノ伯爵領だし。
一度そっちに行ってから戻るから、ごめんな置いてくことになるけど、また帰ってくるから」
カイン「にーちゃん!置いて行かないで!シス・・・
聖女様、僕も連れて行って下さいお願いします!」
と言ってどさくさにまぎれて抱きついてこようとしたけど避けた。
俺「お前は、その年齢でハッスル出来ちゃうほど人生謳歌してるんだろ?
その金でカヤックのかーちゃん治して土地買うって言ってたじゃん?
それにその生贄の子って彼女?置いて行くなんてするなよ?
じゃあな、もう会うこともないと思うけど達者でな!」
カイン「あんたな!その見た目で無慈悲だ!なんなんですか!
それにハッスルって、確かに僕も汚れてますけど・・・その、僕、奴隷だったんです
前の持ち主に・・・」
え!まさか後ろ掘られたの?うわぁ悲惨すぎる。
俺「なんかごめんなさい、上級ヒール
その(ケツ穴は)大丈夫ですか?
なんて言うか、この国って本当にどうなってんだろうね。とりあえず一緒に来る?」
すっごい微妙な空気が流れるなかスコットが来て
「マリー、大変なんだ!ピッピが卵になっちゃったんだ!どうしたらいいの?」
もっかい温めれば?
俺「おにーさま、ピッピの卵を持って帰りましょう、しっかり持っていて下さいね」
『ほら、連れてきたよ!』
ロバート「うおっ、ちょっと、ちゃんと降ろして下さい!あ、シスコンさん!ちょっとあれ、どういうことですか?」
俺「みんな揃ったところですし、ここにいても見つかったら面倒ですから。とりあえず帰りましょうか」
全員落し穴に入れた瞬間に俺のアバターが剥がれ、ロバートさんはホストのスーツがはがれスッポンポンになり
カイン、ロバート、俺、マリアンヌが穴の中でも動いていた。
カインがビックリしてたけど、そのまま混浴露天風呂に直行した。
カヤック「あ、あの時の洞窟の温泉だ!俺ら帰って来たんですね?」
ロバート「ここは?」
俺「ここは、あの足湯を川沿いに降りてった所にある船着場の秘湯です
もう少ししたら混浴露天風呂として、無料で一般公開します。足湯が人気ですしね
せっかくなんでそのままロバートさんはどうぞ
わたくしも入りますわ!」
スコット「マリー本当にみんなと入るの?
マリーは女の子なんだよ?いいの?」
俺「混浴露天風呂とは、そういう作法ですわ
ねぇロバートさん?」
ロバート「フハァー、気持ちいい
マリーウェザー様、そこで私に振らないで下さい。
スコット様もうほっといて一緒に入りましょう。どうせ洗礼式前までは、母親が公衆浴場に連れて行ったりしますよね?
同じだと考えて下さい。」
スコット「マリーは洗礼式終わってるのに・・・ハァー」
カヤックとハッサムも入って
カインが生贄の女の子を寝かせていて本人も温泉に入ってる
俺とマリアンヌはその辺の石に腰掛けて、まずはマリアンヌの頭を洗う。
ついでにトモエとムラマサも呼んでお互いを洗わせる。
『ふん、ご機嫌とり?そんなことしなくたっていいのに。何だか、今日は優しいね?本当にどーしたの?僕が変になったから心配になったの?』
「ちょっと自分を振り返ってみてな、俺ってろくでなしのクズ野郎じゃないかと、ほら労いだよ?
いつもありがとうってこと、助けてくれて感謝してるよ」
ロバートさんも自分のシャンプーを出して使ってる爽やかシトラス系の香りだ!
バラじゃないのな。
ロバートさんが皆さんどうぞとシャンプーを置いてカヤックとハッサムとカインも自分で洗ってた。
その頃にはスコットも裸になり
「次は、おにーさまの頭を洗いますわ」
「うん、ありがとうマリー
今日は大変だったね、マリーが僕のことスコットって呼び捨てにして庇ってくれたでしよ、あの時嬉しかったよ」
と少し恥ずかしそうにしてたけど、大人しく洗わせてくれた。
そしてスコットを洗ってるときに『僕がお前を洗ってやるよ!』と、ニコニコしながら俺の頭を泡だらけにしてた。
めちゃめちゃ顔に垂れてくるんだよ。
アイテムボックスから適当な布とって顔拭きまくったけどな。
桶を一個しか持って来てなかったんだけど
ロバートさんのアイテムボックスから出てきて、酒もつまみもお菓子も出てきた。
カヤック「夕食早かったから、はら減ってたんです!ありがとうございまーす」
とみんな食べながら風呂に入ってた。
さすが魔ウンテンさん!
カイン「さすがです!魔ウンテンさん!
アイテムボックスなんて持ってるんですね!」
ロバート「え、カインくんないの?
それから、こっちではロバートだからね
グスコーブ商会の職人ロバートだよ・・・あ、マリーウェザー様にハイ」
そこから出てきたのは、潰れたはずの依代フランス人形だった。
俺「これは?え?」
ロバート「拾って直したんです、マミィが直せるわよって言うからチンしたら直りました。うちの彼女凄いでしょ?」
俺「あ、ありがとうございます。チンしたんですか?
よかったなマリアンヌ!ハイ
あ、そう言えば、三種の神器でもう一つは?彼女じゃなくて嫁になったんですか?」
ロバート「あー、あれね・・・ハハハ
その、朝起こしたりご飯用意したりする彼女を想像したんですけど、妄想が現実を超えていかなくて・・・」
俺「えっと?
あ、もしかしてお姉さんキャラが本物の姉みたいになったんですか?」
ロバート「まあ、そんな感じです、身内になっちゃいまして。
マリーウェザー様のように連れ歩く事も出来ませんし?ハハハ」
カイン「三種の神器?」
俺「ここもダンジョンですわ、街作りのダンジョンなのよ」
カイン「他にもダンジョンがあったなんて」
ロバート「あ、ここに来たからこっちのダンジョンメッセージ使えると思うよ」
俺「クリア特典じゃなかったですか?ダンジョンマスターの」
ロバート「あれ、ご存知ない?追加でグループ登録がアップデートされてましたよ
皆さん登録しますね。これでチャットが使えるとおもいます
ただ、私は昼間忙しくて多分夜しかInできません」
俺「知らなかった、ありがとうございます。
多分わたくしも夜しか確認出来ませんわ」
カイン「僕が暇人みたいに見えてませんか?こう見えて忙しいんですよ!」
すると、今まで全然喋ってなかったハッサムが真っ赤な顔で急に立ち上がった。
色々と丸見えで、前を隠せよと思ってしまう。
みんなが注目する中
ハッサム「マリーウェザー様、私ともお友達になって下さい!
友達でいいです、私のようなブ男と友達なんて心苦しいかもしれませんが・・・
このまま、明日、国に帰ってしまうと、私なんて忘れられてしまう、くぅっ イヤだぁ
そんなの寂しすぎます、私は忘れられないし
貴女に忘れられたくないです。
あ、聖剣お返ししてませんでした」
カヤック「酔っぱらってんのか?ハッサム?大丈夫か?」
俺「ハッサム全然ブサイクじゃないじゃん、何なの嫌味?
お前みたいなバチクソイケメンムカつく、絶対お友達になれないわ!」
ロバート「ブフッ!ゴホッゴホッ
マリーウェザー様だけですから!
ハッサムさんがイケメンに見えてるのマリーウェザー様だけですよ?彼の本質はいい男なんです」
俺「え!じゃあ本当はブサイク?
・・・そうか、なんかごめんなさい?いいよ全然友達になるよ。
あ、いやブサイクだから友達になるとかじゃないけど。ハッサムがいいヤツなのわかってるし。
その剣いらないからあげるよ。重たいし持てないから。ダンジョン出たら消えると思ってたし」
カヤック「アハハ、ブサイクって2回も言われてるハッサムそこまでブサイクじゃないですよ!
マリーウェザー様ブサイク好きなの?アハハ」
俺「カヤックも酔ってんな?
わたくしもう出る。のぼせるから。」
ハッサム「家宝にします!
私もお友達にしていただいてありがとうございます!」
カヤック「ハッサムよかったねーアハハ」
俺が体を拭いてると酔ったハッサムが来て跪いて俺の手を取った。
どう見てもイケメンで細身の腹筋バキバキ
しかも下半身がデカい!お願いします隠して下さい!うぇ、視界に入れたくない。
握手?あ、手の甲にする挨拶かな?
そのまま、手を引っ張られて抱き寄せられた。
俺「ぐえぇ」ミシィ
ハッサム「はぁ~、小さいですね。早く大きくなって下さい。私も抱きしめておけばよかった」
スコット「わあー、マリー!」
カヤック「ハッサムやめろ!マリーウェザー様が伸びてる。あ、力強い!こらやめろ!」
『離れろこのっ、僕のだぞ!触るな!今助けるからな』
3人がかりで離してもらえた。
力強くて死ぬほど怖かった。
サイクロプスがかなり手加減して掴んでいたことがわかった。
ロバートさんの三種の神器
レンジ・マミィ
冷蔵庫・トウコ
マリアンヌとほぼ同じ型の人形
朝起こしてくれてご飯を作ってくれる女性を想像したらお母さんになってしまった
普段は本邸で侍女のパート




