ミッションインポッシブル・バースデーパーティ
お誕生パーティ当日の朝、部屋には白い生地に青糸で刺繍のしてある爽やかなドレスが飾ってあった。
アンナが起こしに来て
「お嬢様、今日は見習いはみんな裏方ですから!
サイモンさんと私はパーティが終わるまで厨房の手伝いと皿出しや皿洗いですって!
厨房の手伝いって味見もしていいって言ってました!
はぁ~、楽しみ!」
パーティに出れなくて寂しい思いをしてるんじゃないかと思ってたけど、楽しそうで何よりです。
ちなみにマリアンヌは部屋で待機だ。なんか文句たれてたけど、長くても夕方には終わるんだし?
どうにかなだめて待機してもらった。
『僕を放っておくなんて!この埋め合わせはしてもらうからね!僕のこともっと大事にしろよな!』
とか俺がデートをキャンセルしてしまった時の彼女の返事メールみたいなセリフをはいていた
「ハイハイ、お前が1番大事だよ、わかってくれよ?すまねぇな」
勘違いしないで欲しいのは、当時の彼女にはもっと丁寧に返事を返していたわけだ。
ちょっと、しつこくて重かったからさようならしたらストーカー子さんになってしまった。
コイツも同じタイプかもしれない。
まあ、上手に付き合っていくよ
朝一にヨハンの絵が仕上がったと言って、工房のスタッフさんが届けてくれた。ヨハンは徹夜で描いていたから眠たくなって寝てる設定だ。
ヨハンの性癖なんかな?白髪っ娘の絵を描きたがるんだよ。まあ俺も嫌いじゃないよ?
途中まで手伝って俺も描いてたんだけどな、隣国の洞窟のアバターの服を着せてみた。
ヨハンが「こんな修道女がいたら、懺悔に来たのに道を踏み外しそうですね」と喜んでいた。
俺の描いた聖女の装備はヨハンにも受けていたのが地味に嬉しかった。
ヨハンとは趣味が合うようだね!
描くぶんにはいいんだよ二度と着ないけどな。
スコットが絵を見たときに盛大に顔を赤くして吹いていた。この衣装に見覚えあるだろ?
へっ若いな。
アイザック殿下も食堂に来た事で、朝食を軽くすませた。
今日は酒も良いのを準備しているらしい。
主役は飲めないのにな?
この国はまだ飲酒に関する法律がない。作ったり売買の税金はとってるけど、早いと13歳で飲んでるやつもいるらしい。
洗礼式にも酒が出るしな。当然スコットも飲むようになっている。
異世界カルチャーショックだ!
俺の今日のミッションはアイザック殿下のお相手と、たまに化物様のお相手だ。
気をつけないといけないのは、公爵夫人になったのに、殿下と呼ばないと機嫌が悪くなるらしい。
いつまでも王女様気分が抜けない、とんだババアだ。
アイザック殿下が近づいてきてモジモジしながら
「マリー5歳おめでとう
本当のお誕生日は秋の中頃だと聞いた、そのとき改めてお祝いの言葉を贈ろう
今日のドレスはとっても素敵だよ。エーデルワイスの花のようだ。その、まるで純白の花の妖精のようだと言いたいんだ。
初めて会った時から僕は君に夢中だよ
その、君ほど素敵な女の子は他にいない。
この国にとって君は宝だ
会場までのエスコートをしてもいいだろうか?」
と朝から美辞麗句がロイヤルレベルだ。
しかも、しっかり手の甲に口付けして紳士の挨拶をかます。
まだ小さいのにしっかり教育受けてんな。
教育費がそのまま教育レベルだなアンナと大違いだ。
客の人数が多いから、扉を全部開放してガーデンテラスと屋内の会場を全部使うことにした。
ちなみに、魔ウンテンことロバートさんには、今日は来なくていいよと説明しといた。
すでに街の近くの宿に泊まっていたけど
「ヤバい人きてるからもしも、万が一粗相があった場合や、逆にシャンプー欲しさに捕らえられて、王都に監禁とか怖いから、化物が帰ってから明日にでも改めて」と言っておいた。
怖いもの見たさで身を滅ぼすことないよう引きこもると言っていた。
領内の親戚貴族がチラホラ来ていて、久しぶりにツァネフ叔父さんに会った。
ベビーチェアが届いたと喜んでいた
来た客人が挨拶しにきていて、スコットの時に見た覚えのある親戚や近隣領地の貴族が多かった。
黒塗りの豪華なマージョリー殿下の馬車が到着して、じーさんとお父様とスコットが迎えに出ていた。
「お祖母様が来たみたいだ、僕はここでマリーのエスコートしていても良いかな?」
とアイザックが言うので横にいてもらってる。ウロウロされると皆が困るからな。
「アイザック殿下にエスコートしていただけて嬉しく存じますわ
今日は、どうかわたくしの側にいてください」
こう言っとけば、勝手にいなくならないだろう。もちろん殿下の側近たちが近くにいるのだが、どう見ても酒飲んで食ってるんだよ。
何かあったら伯爵家の責任になりそうだ、仕事しろよ!
スコットが小走りで焦って戻って来て、隣のアイザックに遠慮してこそっと教えてくれたのは
「あの元教祖がいたんだ!」
「え?」
「マージョリー様の同伴にいたんだ!
お祖父様がエスコートしようとドアを開けたら出てきたんだ!口から心臓が飛び出るかと思った」
3人とも声にならない悲鳴をあげていたらしい
「マリー宛の手紙に隣国の王弟だとあったでしょ?
マージョリー様に昔、あの王弟殿下との婚約の打診があったんだって。それなりに仲良くしていた時期もあったって言ってた。
結局、結婚してないけど、今は仲睦まじく腕を組んでた!」
うわぁー、元教祖と化物の仲睦まじい姿なんてみたくないわ!
ひぃ!お祝いの挨拶しにこっちくるじゃん!
きゃあ! おばあちゃまが! 顔が般若のようだ!
元教祖すげえ根性だな
七転八倒とは、まさにこの事だ敵ながら天晴じゃ!って思ってたら
王子様がいつの間にか背後に控えていて
「お客人が来ました、お目通りされますか?」
と言って、手の平に泡の実と香辛料とバター?みたいなのを見せてきた。
嫌な予感しかしない。
泡の実と香辛料なんて、もう隣国からの使者じゃね?
いや、言ったよ?
コルチーノ伯爵家に来いって、でも今なの?
元教祖とマージョリー様がすぐそこにいんのに、行けない無理!
「お前は、おばあちゃまに知らせろ!
丁重にもてなせ!絶対に帰らせるな!いいな?行け!」
俺が小声で言うと静かにうなずき、スッとさがった。
そして、俺には豪華な金髪が光る金の化物に見えていたマージョリーが今は人間に見えていた!
驚愕だ!人間になってる!
いや、もともと人間だけど、俺には金のイボイボゾウガエルだったのに!
頬を少しばかり染めた貴婦人だ、隣の元教祖もシャキッとしてる!はぁ?なんなの?
「マリーウェザー
5歳おめでとう、あなたの髪は今日も輝いてるわね。素敵よフフフ」
と言って、マージョリーが自分の髪をフワァサァとかきあげた。
「マージョリー殿下の御髪も輝いておりますね」
おばあちゃまがシャンプーを餌に街の宿に追い出したのが仇となった。
「本当に偶然お会いしたのよ?
運命かしらね?わたくしたちはこんな歳になっても昔を懐かしむことしか出来ないわね」
「マージョリー殿下
わたくしは、自分の女神を失ってから次を得ることが出来なくなってしまったようです
諦めなければ、叶ったのでしょうか?
今も貴女に白いカーネーションを贈りたいと思っています」
温泉姫にしても、花魁にしても逃してるもんな?
ってか、白いカーネーション?
なんだよ・・・あ、花言葉か!
どういう意味だよ!わっかんねぇよ!
ジジイとババアのピンクの雰囲気とかごめんなさい、どっかで勝手にやってくれよ?
その時だった、あのどこぞの騎士隊長が帯剣してる姿が見えた。あ、手にかけた!
もう、斬り殺す!みたいな顔でこっち来た!
やべぇ!
うぉぉ!元教祖が挑発してる!
馬鹿野郎、簡単にのせられてんじゃねーよクソが!
「殿下はここにいて下さい」
俺は走りだした
「アブドゥル騎士隊長さん!」
名前がうろ覚えだったけど、ちゃんと言えたわ。
俺はもう必死も必死に喋った!
ついでに元教祖を睨んでおいた、お前の痴態をバラされたくなくば下れと念を送っといた。
効果は特に無し。
カーテシーして、騎士隊長の手を掴んでその場から離脱した。
さっきみたバターみたいなの、昔見た事があるってか使ったことあるんだよ。
ハンドクリームになってて、ねーちゃんが途中で飽きたから押し付けられたんだ。使わないで飾っておくと怒られるんだ。懐かし、じゃなくて
あれって、カカオバターだ!
カカオバターって言うのに、チョコの匂いがしないんだ、なんか独特な匂いがして全然甘い香りとかじゃない残念感を覚えてる。
つまり、荷物の中にカカオがあるんだ!めちゃくちゃ欲しいです!
ああ!ロバートさん今日来てないからなぁ、カカオもらったらチョコレートにしてもらう!開発するだろあの人!
絶対に儲るやつだ!カカオが欲しい!
スコットが追いかけてきたから、カカオがあるんだと説明してチョコレートの重要性を教えた。
聖女とか聖鳥とか言わないでってスコットが口止めしてた。
俺が部屋まで案内しようとしたら、主役が不在は良くないと最もなことを言われたからスコットにお願いした。
部屋に食べ物を運ぶようにアンナとサイモンに頼んで部屋でどちらかに待機してもらって絶対に帰らせないよう伝言を頼んだ。
戻ると、おばあちゃまがマージョリーの所で元教祖の挑発を受けていた。
アイザックちゃんといたわ!居なくなってたらどうしようかと思った。
「伯爵夫人はマージョリー殿下の側近ではなかったのですな?
それでも、知り合いならおっしゃって下されば、勿体ぶっておられたのか?」
「殿下はお忙しい御方ですから?
田舎の伯爵夫人ごときがお手紙を出したところで検閲にひっかかりますわ」
「あら嫌だわコンスタンツェ
わたくしは田舎の伯爵家だろうと手紙は読みますわ。
アルフレッド様(元教祖のこと)がいらしてるなら知らせてくれれば会いに行きましたのに
貴女は昔からわたくしの婚約者に横恋慕するのが好きなのね?
略奪愛はよろしくなくてよ?」
「なんですって!わたくしがいつ「おばあちゃま!少しよろしいでしょうか!殿下、お話し中に大変申し訳ございません!おばあちゃまをお借りいたしますわ
今日の為に特别に美味しいマカロンをご用意いたしましたの、もう召し上がりまして?
ピンク色が春の花のようですのよ」
「あらそうなのね、まだだったわ」
「マージョリー殿下、ブーゲンビリアの花を贈りたいと思っています、許されるでしょうか?」
「まああ!フフフ」
マージョリーが顔を赤く染めて2人が腕を組んで歩いて行った
またか、異世界の花か?
何かの隠語か花言葉か意味があるんだな、後で誰かに聞いておこう。
「おばあちゃま、隣国の荷馬車にカカオが積んであるそうですわ!
カカオとは、500年先も世界に君臨するお菓子の女帝チョコレートの材料です
泡の実より価値がありますのよ?取引きできるようになりたいですわ」
おばあちゃまが、ちょっと興味深い顔をして伯爵夫人の顔が戻ってきた。
「カカオと言うのね?」
アイザック殿下が不思議そうな顔をして
「マリー、500年も先のお菓子がわかるのですか?」
と聞いてきた。
「ふふ魅惑の味ですのよ、殿下もきっとおきに召しますわ。もし開発に成功しましたら贈りますが、甘いものはお好きですか?」
「マリーがくれた、赤い実はとても甘くてとろけるような味でした。生涯忘れられません」
「では、マカロンを食べに行きましょうか?
あの赤い実でピンクに色づけしましたのよ、丸くてかわいいお菓子ですの」
「マカロンは食べたことがありません、僕に教えて下さい」
マカロンを取りに行くと、元教祖と王女様がお互いにマカロンを食わせ合っていた。
うわぁ、やめてくれよ、見たくねーよ!
隣を見たら、アイザックも顔を赤くしてそむけていた。自分の祖母のは特に嫌だろうな。
マカロンをメイドに適当にとってこさせて、アイザックに皿を差し出した。
「お好きなのをどうぞ。こうして並べてもらったら、色とりどりの花束のようですわね?」
「この白いのを、丸くてかわいいお菓子だ
その、マリーは何が好きですか?」
「わたくしはこの黄色いものを、クチナシで色をつけるそうですわ鮮やかな黄色ですね」
なぜか、照れだしてモジモジしながら喜んでた。今のやり取りのどこに萌ポイントがあったんだろう?
気の利く屋敷の使用人にイスとテーブルを出してもらって、紅茶が出てきた。
おばあちゃまからの伝言で
殿下といると目立つから、そのままそこで大人しくお茶しておけばミッションクリアだそうだ。
マカロンだけじゃなく、適当なお菓子を持ってこさせて座って過ごした。
「わたくしたちが来たらお邪魔かしら?
若いあなた達が眩しくて引き寄せられてしまったわ」
蛾っぽいもんね。
「お祖母様、いえ、どうぞ、ご一緒に紅茶を」
メイドに椅子と紅茶を持ってこさせた。
ロイヤル感が増してしまった。
にこやかに話し始めたから俺は、聞きに徹する。
基本はオウム返しだ
「異国を放浪の旅に出ておりました、自分探しを1度してみたかったのです
わたくしの女神を探しておりましたが、ついぞ見つかりませんでした
貴女様はカトレアの花のような方だ他にはないのです」
「まああ、お上手ですこと」
カトレア?って喫茶店とかの名前になってそうだけど何なの?褒め言葉なのはわかる。
俺の淑女教育が足りんのか?
そこから花に例えてババアを喜ばせる、やべぇ花言葉知識自慢大会になっちまった!
やい、くそじじい余計なことしてんじゃねーよ!
俺は黙ってニコニコしながら
リアクションはアイザックの真似をして切り抜けようとしたが、話を振られてしまった。
ドヤ顔で意地悪してくる元教祖
「マリーウェザー様にはまだ早かったようですかな?高貴な御方にふさわしい花は何かな?」
ぶっ転がすぞコラ!
俺は控えめに笑って
「では一句
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は雪の花」
噛んだぁー、最後の雪の花ってなんだよ!
百合の花だろうがぁ!終わったー!
と思って内心冷や汗たらしていたら、マージョリーから華やかな声が聞こえた。
「あらまあ、賢い子だこと。ホホホ
本当に、コンスタンツェの孫だとは思えない優秀さね。
母親に似て賢いのねフフフ
アカデミーで優秀だったときいてるわよ
貴女は白いアネモネのようだわ」
ホホホと笑って機嫌良さそう、あれ外してなかったのか?
「雪の花はこちらの国花でしたな
わたくしの勉強不足を認めましょう。国賓として我が国で初めて見かけた時の歩く姿が国の象徴そのものでございました」
くそじじいが、いやぁ~参った一本取られたみたいな顔して語ってる
「お祖母様、マリーは僕に向日葵の絵をくれたのですよ、絵も嗜んでいるのです。
普通は作者が何かしら意図を伝えようとしますよね?
マリーの絵は見るものが自由に考えてよいと新しい発想をもたらしてくれました」
「まあそうなのね謙虚なのもよろしいこと、押し付けず好きに受け取ってよいと言うことね?」
「見てみとうございますな」
昨晩描いたから乾いてるだろうと、大急ぎで額縁に入れて持って来させる
俺の絵はそこそこ受けたと思う。
昨日適当にぶっこいた説明をアイザックが語って聞かせ、そこから絵の鑑賞会が行われた。
ヨハンの描いた絵と俺の描いた絵がギャラリーにあるからと見て回った。
絵の横に落札者と金額があった。おばあちゃましっかり商売してる!
伯爵家お抱えの絵師の絵として、ヨハネスの名前でサインがあった。
俺もペンネームにしとけばよかった。
調子にのって格好いいサインを考えてつけていたのだ。
「これもマリーの絵なの?
あ、こっちもある。大人っぽくて素適な絵だね」
アダルトな混浴露天風呂のポスターもしっかり売られていた。
まあ裸婦画の枠で許容範囲内だろう。
元教祖が目ん玉飛び出そうなほど驚いてる。
今更だが、温泉姫の作者が誰だかわかったらしい。
あの事件でバレてると思ってたが、ボケて忘れてんのかな?
ついでにフィギュアも売ってた。
アトリエに飾ってた俺の秘蔵のトモエちゃんフィギュアが並んでいた。
ファ!
お母さんに"ホコリ被ってたから捨てたわよ"とプレミアムフィギュアを勝手に売却された時の衝撃と同じものがあった。
叫びそうになったが、値段見て息を飲んだ。
小金貨8枚だった。俺のフィギュア金貨で売れるのか!
くそじじいも息を飲んでいた。
フィギュアを作ったのが誰だったのかもわかったようだ。
ってか、今更だがじじいあの洞窟の中にいなかったんだな!
そりゃそうか、軍隊が来る前に信者を捨ててトンズラこいたんだな。ひでー奴だ!
「石像と違っていて、なんと言うか、まるで今すぐ動きそうな躍動感がありますね!髪がなびいてます。
こんなものまで用意するなんて、お祖母様がおっしゃった通り伯爵家は領地に余裕があるみたいですね」
「ええ、本当にね
金の卵を産む雌鶏がいるのね、羨ましいですこと」
と言って俺を見ていた。
その目が化物じみてて、とって食われそうだと身がすくんだ。
ギャラリーにいたら、親戚貴族や近隣貴族がマージョリー殿下にご挨拶をと寄ってきて、俺とアイザックは少し離れた。
おばあちゃまが俺を見て疲れはじめたと気がついて、次の手に入ったのだ。手札が多いのな。
日が傾いてきて、俺的にはもうお開きでいいんじゃね?と思ったけどまだ終わらないようだった。
「マリー庭を見せてくれませんか?2人で少し歩きましょうか」
と言って手を差し出すので、エスコートだなと思って合わせた。
俺が成長してて、アイザックが小柄なんだな、歩く歩幅もちょうどいい。
そして、アイザックの側近がだれもついてこない。みんな何してんの?飲み過ぎの酔っ払いか!
庭の庭園用四阿のベンチに腰掛ける。
「マリーは兄上の婚約者候補ですが、その心の内を、本音を聞いたら教えてくれますか?」
政治的な話だな小さななりでも第2王子
さて、どういったものか
王太子妃とか嫌です絶対になりたくねーよ!ってか王族に嫁ぐのもやだね城に関わりたくねー
とか本当の事を言っねもなぁ
「わたくしのような小娘が何を言っても変わりませんわ」
「それはそうだけど」
「仮にですよ?
わたくしが殿下に王太子妃とか興味もないと言ったのがバレたら色んな人から怒られてしまいますわ。
聞かないで下さいまし」
「あはは、なるほどそうだね
僕も聞かなかった事にするよ、少し意地悪な質問でしたね
君の立場では答えられないような質問だった
マリーは母君のように美しく成長するだろう
その時までに僕も自分の立場を少しでも固めておくよ」
「わたくしに羽があったら飛んで逃げたかもしれませんわ」
「それ、僕も塔にいたころはよく思っていました。自由って憧れますよね
でも実際は塔から出て自由になったら、城の教育とかやることがいっぱいで、下心を隠しもしない貴族達に会ったり
友達と言っておきながらマリーはちっとも会いに来てくれないし。
ねぇ、マリーに特別にお祖母様から教えてもらった祝福を教えてあげよう」
そう言ってアイザックは魔法陣を指で描き始めた
俺も知らない魔法陣だ。
でも書き終わる前にパチっとはじかれ不発に終わった。
「あれ、お祖母様がしたときは出来たのに」
なんとも言えない気まずい雰囲気になり、かわりに暖かくなる魔法陣を教えといた
「殿下、手を貸して下さい、こうです」
アイザックの手をとって、指先に集中して暖かくなる魔法陣を描いた。
今度は成功して指先から光が弾けてジンワリ暖かくなった。
「やっぱり、マリーは魔法使いなの?凄い!奇跡だ」
「魔法使いじゃないです」
反射的に答えてしまった悪気はない。
アイザックが何度も練習して指先がキラキラして、いつの間にか周りで雑草が伸びて春に咲く花の蕾がたくさん出来ていた。
「殿下、春の花を夏の終りに咲かせてしまいました。やり過ぎ注意のようですわ」
「雑草までもが伸びましたね、やり過ぎ注意ですね」
カワイイ小鳥や蝶々が寄ってきて、よく見たら妖精っぽいのもいてとても幻想的だった
『幼子よ歌えよ春のように』
『聞きたいなぁ歌ってよ』
肩に乗った小鳥が可愛く頬すりしてくる。
どこかの怪鳥とは大違いだ!
「マリー歌ってよ」
トロンとした顔のアイザック殿下の無茶振り入りました。
はい歌いました!
英語でフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンやりました。
昔、少女の歌う動画を見た事あったから、今の俺がやると様になるだろ?
別に英語が得意なわけじゃない。好きな歌だけは聞いてたら覚えただけだ。
妖精たちが拍手し酔っ払いのように絡んできた。
「まるで妖精の歌のようだった 君は素敵だよ
マリーは異国の歌が歌えたんだね、なんて歌ったの?」
「私を月まで連れてって・・・ですわ」
意味が!訳したよ大昔だから忘れちゃったよ。
笑って誤魔化しといた
スカートを引っ張ったり、まくったりするイタズラ妖精がいて、よけてまくっていたら
「マリーは妖精に好かれてるんだね、その周りの光は花の精かな?
君は円舞曲は踊れるかな?」
踊れねーよ
殿下の無茶振り再び
すると妖精達が足を支えて腰を支えて俺の体を動かそうとする。
まあ、わかると思うけど恐怖だ!
だって転けるじゃん!ワルツなんて知らないよ足が浮いてんだよヒェッ!
「緊張してるんだ?」とアイザック楽しそう俺頑張った誰か褒めて
殿下の側近がようやく、ようやく探しに来た。
「こちらにいたのですか、びっくりしました。急にいなくならないで下さい心臓に悪いです
騒ぎになる前に会場に戻りましょうか」
その後、無事にお開きになり
街の宿にシャンプー置いといたから、マージョリーがそっちで一泊してから帰ると言ってアイザックを一緒に連れて帰った。
多分だけど、元教祖を洗いたかったんだと思う。
親戚貴族が残って後始末の手伝いしてる、ツァネフ叔父さんがいたからすぐわかった。
さてと、ミッションインポッシブルは終わった!
カカオを手に入れる!荷台の中身が楽しみだ!




