無事に貧民の子を押し付けられた
朝、アンナが起こしにきた。
「お嬢様!スコット様も今日はよく寝てますね!
起きて下さい!
わっピッピがいる!なぁに?一緒に寝てたのね・・・外に出たいの?」
アンナがカーテンを開けて窓を開けると、ピッピが飛んでいった。
朝日が顔にあたって眩しい。
めっちゃよく寝れたみたいだ、体がす~っと軽い。
「マリー お、おはよう
よく眠れた?・・・あ、あの、その、じゃぁまたね」
スコットも起きたようだが照れて恥ずかしそうに笑って、俺の頭を撫でてから部屋に戻った。
いつもならオデコや頭にちゅうしてから行くのに。
昨晩のことをまだ引きずってんの?
初心だな!お兄ちゃん
朝食をモリモリ食べる
沢山動いていてお腹すいたみたいだ。
俺は貧民の子ども達をどうしたものが考えていた。
「王都から貧民が働きに来てるって聞きました。皆さん寝るところとか、どうしていますの?」
おばあちゃまが楽しそうに説明してくれたのは、貧民が全員、開拓区に寝泊まりしてる訳じゃなくて、温泉の川を少し下ったところに
公爵領とこちら側を隔てる大きな川があって、そこに小さな船着場を管理してる極小村があったみたいだけど、人が増えてきて、ちゃんとした村になっているらしい。
おじいちゃまが時々見回りに行っていて
何人かで住める家が増えていて、魚をとったり畑を増やしたりして
商人が時々船に乗りにくるから、小さな商店とかも出来ているときいた。
そこに貧民の子たち置いてもよさそうかな?
「あの、おばあちゃま
体を洗う用のシャンプーってほしいですか?
体を洗う泡になる液体です。ネットや目の荒い布で泡立てて体を洗います。いりますか?」
「欲しいわ!」圧が凄いな
「あ、あのヨシュアが探してくれるそうですが、見つかったら温泉街で使いましょう。
髪を洗うのは女の人が多いですけど
体を洗うのは男女両方だと思います」
「まあ!マリーウェザーちゃんよく見てるのね!欲しいわ!」
「材料になるのは、木の実なのです。乾燥した状態だと長期保存が可能です。小さな茶色い物で中の種は使いませんが皮と実が泡になるようです、泡で洗うと気持ちいいですよね!
植物性だから臭くなくてべっとりしませんよ。」
「まあ!それは欲しいわ!」
おばあちゃまにムクロジの事を話しておけば、後でもしもあの隣国の人達が来ても邪険にしないだろう。
スコットがこちらを見ていた
俺が顔をむけるとスコットは露骨にそらして横顔が照れていた。
あれ?こんな隠し事下手なの?
ポーカーフェイス頑張って身につけてくれよ!
朝食が終わると、皆で勉強会だ
オースティン先生が知らない人を連れて来ていた。
「皆さん初めましてオリバー・ブリランテです
マリーウェザー様お久しぶりでございます
ミネルヴァで一度だけお会いいたしました」
覚えてませんよねアハハと笑っているけど本当に覚えてない。
いつ会った人だろう?
オースティン先生はみんなの授業をみてくれていて
俺は、オリバー先生の話し相手をするのかな?
「マリーウェザー様、鮭の養殖の論文を書いて下さい、下地はオースティンさんからいただきましたから
養殖場を整備してさっそくはじめましょう。
最初は小規模でかまいません
成功したら国に申請して予算をもらい大規模に開始しましょう。
鮭以外も色んな魚で養殖の可能性を確かめてみましょう!」
オースティン先生に何を?
昨日のあれか、養殖の説明書きのことか?
「養殖はいいですが、あの、場所は?」
「川沿いに養殖場を作れたらいいのですが、伯爵領に詳しくありませんからね
なんでも、足湯?が有名じゃないですか!
王都でマークフェルド司祭が時間があったらまた行って癒やされたいと言ってましたよ。
私も先日寄ってきました。足湯は人で混んでて入れませんでしたが・・・ってそんなことはいいです、あのあたりならまだ養殖場を作る余裕ありませんかね?」
温泉街に養殖場なんて作ったらおばあちゃま怒るだろうな、領主夫人に反対されたらやりにくいねぇ?
「温泉の川を少し下ると、大きな川沿いに村があるようですわ
私は行ったことがありませんけど
もしもですよ?
もしも、おばあちゃまの許可が出て領地内に作ることになったら、そちらのほうが作りやすそうですし管理もしやすいのではなくて?」
「さすがマリーウェザー様ですね!
既に候補地を見繕っていたなんて!なるほど確かに養殖場の秘密保持や利権なんかは隠したいですもんね!
いやぁ、流石ですね!
私なんかよりも現実的に考えているなんて!
今日はこれから用事がありますか?
見に行きませんか、その候補地に、是非ともどうでしょう?」
どうでしょう?っていわれても
「お母様かおじいちゃまに聞かないとなんとも・・・」
「ああ、マリーウェザー様はまだお小さいですもんね、保護者の同意がいりますよね?
私が今から前領主様に聞いてきます」
と言って、スタスタ部屋から出ていった。
フットワーク軽いな。
しばらくすると、おじいちゃまを連れて帰ってきた。
「マリーウェザーちゃん、ワシも行く!」
じーさんがなんかやたら乗り気に見えるんだけどなんでだろう
地図を持ってきてあーだこーだオリバー先生と話してる
俺も地図を見る
「このあたりまでが伐採がすんでおる、多分、3年後にはこのあたりまで道が出来るじゃろ。
ヨウショク?するなら水場の近くがええんじゃろ?
でもなぁ、雪が積もるからのぉ
川の水は雨がふるとたまに増水するから近すぎると怖いぞ?」
「そうですねぇ、こちらの開けた土地は?村から少し距離があるように見えますが」
「そこは、隣の子爵領との境目じゃよ、作ってもええじゃろうが、一言断りを入れりゃええけど村からちょっと離れておるぞ?
雪が積もると孤立してしまう」
などと話が進んでいる、去年の大寒波ではお父様が雪で街道からぬけられなくなったからな。
今は夏だが、雪の恐ろしさ、じーさんはそれを心配してるようだ。
この距離ならダンジョン認定されるんじゃないか?ここも温泉が湧いたりしてな。
秘境の湯とかマニアは好きそうだ
俺は、さらってきた貧民の子どもたちを早く穴から出したいんだ!
食料援助も提案して、馬車で皆で行くことにした。
今日は工房に行けないと伝えに、屋敷の馬丁が行ったんだがヨシュアがついてきた。
「マリーウェザー様、僕も行きたいです!
船着場の小村ですよね?スチュワート商会の商品も一部置いてもらってます!」
ヨシュアお前も行きたいのか!スチュワート商会すごいな、狸の慧眼の良さにしびれる。
ヨハンもアンナも行きたいって言い出した。
まあ、旅は道連れって言うし
ちなみに、サイモンとスコットは最初からじーさんにくっついて行くつもりだったらしい。
俺は、昨晩ちょっとだけ貰ったムクロジをヨシュアに押し付けたかったから、ちょうどいいと思った。
昼食をオリバー先生とオースティン先生も一緒にとり、ヨシュアもついでに小村の話に加わった。
その間に馬車の準備してもらい、食料を積んで
アンナに頼んで厨房からすぐに食べれるお菓子を包んでもらった。
アンナと料理長はピクニック感覚で用意してたけど、貧民の子供に食べさせようと思ったからだ。
アンナに
「沢を歩いたりするとお腹空くかもしれないわね」
と言っておけば、ノリノリでたくさん詰めてくると思った
お母様はもちろんお留守番で、俺たちは出発した。
オースティン先生とオリバー先生は自分達が乗ってきた馬車だ。
スコットとサイモンはじーさんと馬で行くらしい。
俺・アンナ(アンナが持ってるマリアンヌ)・ヨハン・サイモン・ヨシュアが伯爵家の馬車だ。
馬車がもう一台あって食料の荷台の分だ。
道中の農村に寄って、野菜をもらって荷台をいっぱいにするようだ。
開拓区から川沿いに下りて行くには馬車だと不便だから、回り道をして平坦な場所を通った。
小さな船着場と村が見えてきた。
確かに、木を切って開けば養殖場に出来そうだな
馬車から降りようとしたらじーさんがエスコートしてくれて
「マリーウェザーちゃんは、開拓区久しぶりじゃろ?
ずいぶん様変わりしとるんじゃ。元は寂しい貧民保護区なんて誰もわからんようになっとる。
後で美味しい串焼きでも食べさせてやろうかの
癒やしの足湯なんて言われて、今は毎日人が来とるんじゃ」
と笑っていた。
俺はたまに夜中に抜け出て串焼き食べたりしてるんだが、みんなは知らない。
スコットがプッっと吹い顔を赤くしてしまい、みんなに見られていた。
リアクションが若いぞ!
いつの間にかいたピッピが誤魔化すために「クワァ スコット 面白いぷっ」とかやってた。
俺たちの馬車に気がついて、村の人が出てきた。
今は開拓区に働きに出ているからこの場にいるのは女、子どもに畑の仕事をしてる人や船着場の管理人だ。
荷馬車の食料を出すのを村の人に手伝ってもらい、船着場の管理人が村長も兼ねているのか、じーさんと話してる。
薬の類も一応持って来ていたけど、病気の人はいなかった。
「足湯が無料なんて、本当に領主様には感謝してます、たまに行って使ってますよ」
と村の女の人達が笑っていた。
あの足湯は
作ったのはおばあちゃまで、癒しの効果を発動したのはマークフェルドで、効果の持続はダンジョンだ
俺は言い出しっぺで何もしてない
オースティン先生とオリバー先生は沢のあたりをみてまわっていて
アンナは村の女の人と後ろの森で採れる木の実の話をしていて、お礼にと一緒に採取に向うらしい。
ヨシュアは商店に顔をだしている
俺の側にはヨハンとサイモンとスコットがいる。
この3人は俺の不思議体験を一部知ってるメンツだ。
サイモンは、城で誘拐未遂と犯人確保しそのままアイテムボックスに放置した話をしてる。ちなみに犯人は入れっぱなしだ。
ヨハンはあの仄暗い泉に落ちた事は夢だと思っていそうだから、外そうかと思ったけど、ハブると仲間はずれみたいで可哀想だからな。
スコットが何か言いたそうにしているが、昨日の事だろう。俺はこのメンバーなら聞かれてもいいと思ったんだ。
「おにーさま、昨晩見つけた貧民をここに開放したいと思いますがどうでしょうか?10人くらいいましたよね?」
「え!あ、そ、そうだね
あの貧民の子たちだよね?
とりあえずお祖父様に報告しない?僕たちには手に負えないかな?
この村も人が増えたとは言え、急に10人も子どもが増えたら困らないかな?
あ、そのために食料を一緒に持って来るように提案してたの?
え、もしかして話してた養殖場で貧民の雇用も考えてるの?
あ、薬って貧民の子ども用?
それから、オヤツを多めに持ってきたのって、その子達に食べさせるためだったの?
す、凄いね、マリーは色々と考えてるんだね」
スコットが感嘆のため息を吐いて俺の頭を撫でてくれた。
「養殖の雇用は、すぐの収入ではないですからね
ムクロジのボディーソーブ作りをさせようと思っていました」
俺はアイテムボックスから出したムクロジをスコットに見せた。
「これって、昨日のやつ?やっぱり夢じゃなかったんだ・・・
これが泡になるの?へぇー、宿に売るため?」
「売るためでもありますし
汚いまま湯に浸かるのを防ぐためでもありますが、問題は輸送にコストがかかるんですよ
乾燥した状態で運べるので腐る心配はないですが、隣国って遠いですよね?」
「・・・あの人達、本当にここまで来るかな?」
「もし、来なければ現地で直接買い付けますか?一度行った所ならまた行けると思いますが、あの洞窟私は、年齢制限がありますから、おにーさま買付にいきますか?」
「買付にですか?おまかせ下さい、スチュワート商会がします!」
いつの間にか後ろにヨシュアが来ていた。
サイモンとヨハンがなんの話か不思議そうにしていて
「その木の実は?そこの森で拾ったのですか?」
とヨシュアがムクロジを見て聞いてくる
「ムクロジよ
昨日言ってた泡の実よ。この黒いのが種だけど、南の暖かい地じゃないと育たないかもしれないわね」
「こ、このカサカサが泡になるのですか?」
まあそうだよね、ヨシュア驚いてる。
そこらで桶を借りてきて、水を汲んでもらって
そこらの目の荒い布でゴシゴシ泡立ててみる。
俺も使うのは初めてだけど、あの騎士隊長も泡になるって言ってたしな。
「おお!本当に泡になった!すっごいです!
マリーウェザー様、泡ですね!これをどこから?」ヨシュアが答えにくいことを聞いてくる。
「お、温泉姫に貰ったの・・・夢に出てきて・・・
アルラシード王国に生えてるそうよ・・・って言ってたわ」
スコットと俺が同時に顔をそらした。苦しい言い訳だ!
「は?あの疫病が流行ってて、去年から続く大凶作に重税に徴収で村が燃えたと聞く、あの国ですか?」
え、あの国ってそんな悲惨なの?
「この乾燥した状態で輸入は簡単にできると思いますがあの国に行くのは・・・しかし、逆に狙い目か?安く仕入れが、でも・・・」
とヨシュアは思考の渦の中に
するとオースティン先生とオリバー先生が戻ってきて
「大人は頭が硬いから、出来るだけ若い労働者が欲しいですね
開拓区で募集をかけましょうか?」
「あそこは充実してるから、誘っても来ないかもしれないですよ?」
「マリーウェザー様、いい場所ですね
雪がどのくらい積もるかによりますけど実験するにはうってつけの場所です。
そこの川で網を投げただけで魚が大小4,5匹撮れました」
鮭が一匹いたけど小ぶりだったから全部網焼きにしてもらってるらしい
じーさんが戻ってきて、村長との話し合いは、養殖場にするのは大歓迎だし、船着場をもっとしっかりしたのに作り替えたいと要望があったようだ。
「おじいちゃま、どうせなら、しっかりした寄合所兼宿屋を作るのはいかが?
普段は寄合所で、お客が来たときだけ宿屋にして。
素泊まりでもあったらいいと思うの。
上のほうの温泉宿が混んでて泊まれないお客が降りてくるかもしれないわ」
「そうじゃの、素泊まりなら布団を積んで置くだけでええからの、村長どうじゃ?」
「その村長っての、まだ私には慣れないですねぇ」
村長さんとじーさんが話し始めた。
宿屋にするには、商業組合に登録とか色々とあるだろうが、寄合所の仮宿舎なら勝手に作ってもいいらしい。
俺も詳しく知らなかったが寒村ルールがあるらしい。
すると後ろの森からアンナの声がした。
「魚の焼ける匂いがするわ!どこかで魚が焼けてるわよ!お嬢様行きましょう!」
アンナの嗅覚凄すぎる。
アンナの後ろから、ボロボロの服を着た少年が2人村の人に連れられてきた。
「また、森で彷徨ってたみたいです。
王都からここまで頑張ってやってきたけど、上の開拓区は大人が多いでしょう?子どもは足りてるのよね」
うぅ、俺の預かってる貧民を出し辛いじゃないか
上の開拓区は大人で足りてるのか。
マークフェルドのせいでこんな子どもまで王都から来てるのか!歩きかな、けっこうな距離だぞ?
川から水を汲んできて、さっそくムクロジで泡立てて洗うけど汚なすぎて泡が負けちゃう。
アンナとヨハンが面白がってモコモコ泡立てて、サイモンがせっせと泡をかけて女の人がゴシゴシしてる。
ヨシュアが「泡イケる、これは売れます」と呟いた
川の水は冷たくて気持ちいいのだが、貧民の子たちがガリガリで爪も割れてて、道中の苦労が伺えた。
オースティン先生とオリバー先生が貧民をどうするのかじーさんにきいていて
「養殖場の従業員に育てたいのですが、村で面倒をみてもらえないでしょうか」
と提案していた。
じーさんは、養殖場になぜか乗り気で快諾してた。魚が好きなのかな?
だったら、俺の貧民も連れてくるぜ!
「おにーさま、森の中にまだ子どもがいるかもしれませんわ
それに、わたくしお花をつみにいきたいの一緒に来てくださる?
アンナは、そこの子たちを連れて魚が焼けたか見て来て?」
こう言っておけば他は遠慮してついてこなくなるだろ?
アンナが「早く行きましょう!魚が焦げるわ!」とみんなを急かしてくれた。
森に入り、みんなから見えなくなるまで歩く、そして誰もいないか確認する
「マリー、お花をつみにきたんじゃないの?」
「方便ですわ
おにーさま、昨晩の貧民を出します。
子どもたちが慌てるかもしれないのでまとめて下さいね?」
「まとめるって、
もしかしてオースティン先生たちに押しつけるつもり?」
「はい、今出さないと出すときがありませんわ!わたくしは普段は工房にしか行きませんもの
あそこも子どもは仕事がありませんわ。」
スコットが緊張してきて俺は穴から全員出した。
出して気がついたのは、子どもたちが無傷だった事だ。
服こそボロだけど、昨晩の大天使の息吹の効果かな?
「うわっ、痛っなんだ? ここは?」
「え、洞窟じゃ?森?」
「なに?あ誰?エ?」
「あ、聖女さま?」
「聖女さまちっさい!」
「聖女さま縮んでるぅ!」
「聖女様は子どもになったの?」
こんな感じで子ども達が騒ぐ。
スコットが「えっと、みんな静かに!」と言って落ち着かせようとすると
「あ、鳥だ!あの時の鳥だ!御使様じゃないか?」
「こっちもちっさい!」
「別の鳥じゃない?」
「同じ鳥だよ、御使様だよ!」
「御使い様は大きいままだ!」
「寝間着じゃない!」
ヤバいな、鳥の御使様再び!になる前になんとかせねば
「オホン 私の話を聞きなさい!
わたくしはマリーウェザー・コルチーノ
コルチーノ伯爵領主の娘よ
こっちはおにーさまの
スコット・コルチーノよ
御使様でも聖女でもないわ!間違えないで!
領主の子どもに無礼だわ!
聖女だの御使いだの絶対に言っちゃ駄目よ?いいわね?
あ、そうだ、あの聖女は温泉姫様よ!
あなた達は温泉姫の力で導かれたのよ!
ここは温泉姫の守る土地なのよ!」
俺は出来るだけ偉そうに、ない胸を張って言う
「いいか、よくお聞き!
今からあなたたちを人のいるところへ連れて行くわ!
そしたら"働きたい"とだけ言うのよ!
帰りたいとか嫌だとか言うと、怖い魔女があなた達を動物に変えてしまうわよ!
"働きたい"とだけ言うのよ。
聖女とか御使いとか余計な事は言っては駄目よ!
いい?わかった?」
どっかのアニメの有名なセリフをパクらせてもらった!
みんな無言になって、首を縦にふっていた。
「マリーそんなことを言っちゃ・・・
でもまあ、そうだね、そう言うしかないかな
みんな、昨晩の事は誰にも言わないで、ダメだよ?」
スコットの言いたいこともわかるけどさ。
子どもって正直じゃん?
本物の聖女とか御使いとか騒がれると面倒だよ。本物でもないしな?
「クワァ 言っちゃ ダメだよ?」
ピッピがインコのモノマネしてる。怪鳥だとバレないようにしてるんだろうな。
「そうだ、マリー
気になったんだけど、あの温かくなる魔法で泡の実って育てられないの?」
目から鱗だ!
俺は持ってた黒い種を出して、試してみた。
1度やってみても変化がない
2回、3回としてみる、変化なしだ・・・効果がないのか?と思ったら
種に日々が入り芽と根がヌロンと出てきた!
「芽が出てきた!
やっぱり!いけそうだと思ったんだ」
スコットの目がキラキラしてる
スコット兄さんやるじゃないか!あんたは天才か!
根が手のひらをつついて種がコロンと転がって地面に落ちてムズムズ動いている。そのまま草の分け目から土にたどり着いて芽が上に伸びてきた。
凄い!
「わぁ!魔法だ!」
「凄い!芽が出た!魔法凄い!」
「この種って、植えても芽がなかなか出ないのに凄い!魔法使いだ!」
「聖女様は魔女様だったの?」
「白魔女様?良い魔女?」
「魔法使いだ!」
子どもって何でもいいふらしそうだ。
「わたくしは魔法使いじゃないわ!違うわよ!二度と言わないで!
今のは、わたくしではなく、えーっと・・・温泉姫の祝福よ!温泉姫よ!温泉姫!
このことは誰にも言ってはいけないわ!
もし、言うなら温泉姫の祝福よ!」
「ハハハ、みんなごめんね
誰にも言わないでくれると助かるよ。言ったら僕らが連れて行かれちゃうんだ。
さあ、森を出ようか、魚が焼けてるよ」
スコットが苦笑いしながら優しく諭すように言う。さすがお兄ちゃんチビッコの扱いが上手いね
俺は歩きながら、温泉姫物語を聞かせて、どうにか聖女から離した。
それからじーさんに、ウロウロしてる子どもがいましたー、とラサっと子どもを引き渡して
持ってきたオヤツと焼き魚を食べさせた。
森の実を食べたのだろう、さっきまで果物の香りがしていたアンナは今は焼き魚の匂いがした。
ヨシュアが指摘する
「彼らは、南国の民とのハーフですかね?珍しい顔立ちです」
そうなのだ、ほとんど黒髪か焦茶髪でみんな黒目だった。
堀が深くてエキゾチックな顔立ちだ。
さっき保護した2人と一緒になってバクバク食べている。
最初の2人を綺麗にしといて良かった。俺の連れてきた貧民と変わらない。
腹が減ってたんだな。魚の頭まで食べてる。小骨刺さるぞ?
一気に人数が増えたけど、押し付けるしか無かった。俺は無力な子どもなんだ、みんなスマン。
じーさんが張り切って養殖場の話を詰めていて、村長とオースティン先生達と色々と話してる
「お祖父様は、たぶんコンスタンツェ様と張り合いたいんだよ」
スコットが苦笑いしながら教えてくれたのは、開拓区を取り仕切っているのはおばあちゃまで、領民や商人達からボスだと思われ慕われていて輝いて見えるそうだ。
お父様がまだ帰って来ないから、じーさんが開拓区へ助っ人に行っても、特にすることが無いらしい。
仕方なく見回りして帰ってるんだと。
じーさん、寂しかったんだろうな・・・
そこに養殖場の話が来て、ミネルヴァの学者のパトロンなんて注目度も優良領主度もうってつけだった。
失敗してもそんな損じゃないし、村の開拓も出来て一石二鳥だったようだ。
養殖場の負担は、損でもないの?
伯爵領って儲かって潤ってんだな!
オースティン先生達はそのまま帰って
じーさんが馬車を開拓区にまわしてもらって、俺達は歩いて沢を登った。
スコットがエスコートしてくれるらしく、手を引いてもらって歩く。
15歳のアバターの手と違って、今の俺の手は小さいからスコットの手が大きくて力強く感じた。
スコットを見ると、少し照れてるように見えなくもない。
今更気がついたけど、アバターのあの衣装はノーブラだったんだ。
だから胸がポヨンポヨン揺れていたに違いない!
今も昔もつけたこと無かったから、失念していた。
ってかね、5分じゃそこまで無理。
10分ほどで開拓区に着いて、足湯に向かったら大勢のひとが足湯にいた。
みんな足だけじゃなくて、手を突っ込んでいたりして足湯のご利益に預かってる。
じーさんに気がついたのか、皆が左右に寄って花道ができた。
「みんな賑わっとるようじゃの
ちょっと、今だけすまんが孫達に足湯を一度で良いからさせてやりたいのじゃ
なに、すぐ帰るからな、あけてくれんかの?」
「ええ、もちろんです領主様
温泉姫の巫女様ではないですか!どうぞどうぞ皆さん座って下さい
巫女様の座った足湯を我々も使えるなんて誉れですなぁ」
俺とスコットが座らせてもらい、アンナやサイモンたちも皆に押されて座らせてもらった。
悲しいことに、俺の幼児体型では足が届かなくてつま先が湯に浸かるくらいだった。
じーさんが屋台の串焼きを買ってきた。
いつも、夜中は営業してない店のだ!大きい!
なるほど、デカくてちょっと高いのな。
「おにーさま、はんぶんこしましょう
これを一本食べてしまうと夕食が食べれなくなりそうですわ」
「!
そうだね、半分くらいでちょうどいいかもしれないね、ハハハ
もう、色々と思い出してしまうよマリー!
残りは、母上に持って帰ろうか」
スコットが照れてニコニコしながら半分ほど食べて、俺は残りをもらった。
アンナは一本食べてた。
ヨハンとサイモンも半分にして分け合っていて。アンナが一本食べてたので、ヨシュアは一本食べることになった。
そこらへんから
「まあ!仲が良い兄妹ね」とか
「分け合って微笑ましい」とか
「巫女様なんて言うけど可愛らしい子ね」
と聞こえてくる。
そうだ、おばあちゃまがいつぞや宣言したけど俺は至って普通の子どもだ!
最後に足湯に立って温かいのを堪能してから足を拭いてもらい馬車に乗った。
見送ってくれる民衆の中に温泉姫とトモエとムラマサが見えた気がしたから、笑って手を振っておいた。
はやく出来るといいな温泉
帰りの馬車はもちろん寝た。
温泉姫・お団子屋トモエ・巫女様
知らない間に3代マスコットになっていた




