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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
領主の娘 領地に行く
57/372

ダンジョン踏破

続きです

俺はダンジョンハイになっているのかもしれないと思った。

アバターに精神が引っ張られてるかもしれん。

ダンジョン・コアの借り物だしな。

ふぅ~、と深呼吸して気をしっかり持つ。


「すまん、言い過ぎたようだ。

ここダンジョンだから、冷静でいられなかったみたい。

それで、そのお前を拉致した若者は、今どこにいるんだよ?」


『教祖達が連れて行きました。拷問にかけられてるかもしれません

お願いします、あの人を救って下さい』

と花魁が涙を流して懇願してきた。


ぶっちゃけ、この花魁がすっごい可愛いのだ。なんせこの俺が作ったし?

おっぱいなんてお母様より大きく作ったし?


「美女の涙ってズルいな」俺はボソっと呟いた


何をどう助けたらいいか、わかんないんだけどね?

このアバターだって、ダンジョン内しか使えないし?


「おにーさま、ダンジョンの外に向かいましょう。ここにいても教祖はこないでしょうね。

花魁のいい人を助けて、それから2人で駆け落ちですか?

ハッピーエンドなんて、そんなの自分たちで勝手にやれよな!

助けた後は知らないよ?」



「・・・うん、そうだね。どうするのが正解かわからないよ」

とスコットも溜め息を吐いていた。


スコットもそろそろ疲れてきてるかもしれないと思い、アイテムボックスから

いつか、トモエちゃんがくれた串焼きが入っていたから出して渡した。


「串焼き?!そんなのどこから出したの!

え、僕が食べていいの?

う、嬉しいけどマリーはいらないの?僕だけ食べるなんて悪いよ」

とスコットが遠慮するから

「じゃあ、2人で半分ずつしましょう」と半分食べてスコットに渡した。


「開拓区の屋台のです。美味しいですね今度行ったときにまた買って食べましょうね、おにーさま」


スコットが嬉しそうに照れて笑って、串焼き美味しいと喜んで食べてた。


兄妹っぽいことをしてたら、なんとなくだけどムラマサとトモエも同じ事をしていて

串焼きが一本余ったんじゃないかと思い至った。店のおっちゃんが渡すなら、普通はそれぞれ一本ずつだろ?

最初は3本貰ったのかと思ってたけど、一本を2人で分けて食べたんだろうな。

なかなか仲良くしてるじゃないか。

そうまでして俺に一本食べさせたかったと思うと嬉しすぎて泣きそう。


全部俺の勘違いかもしれないけど、胸が温かくなった気がした。



花魁の依代フィギュアを持って、反対の手にマリアンヌの依代にんぎょうを持って歩いて出口をさがす。


ボス部屋の隅に、本気の宝箱を見つけたけどクリア特典じゃなくてダンジョン・コアが融合しに出てきたら嫌だったから

「おにーさま、その宝箱は偽物かもしれませんわ!中から毒ガスとか毒虫が出てくると嫌なので放置して帰りますよ!」


うっかり、ハシゴを先に登ってしまい、スコットが恥ずかしそうに

「マ、マリー、本当にごめん、上を見ちゃいけないのに・・・ごめん」

と顔を真っ赤にしていた。

俺もうっかりしていた、先に登っちゃったよ。


俺たちは、出口を目指して歩いて行く。


さっき来たところの厳かな古い神殿を通り抜ける。ゾンビがわいてこないから

今は次のボスやモンスタースポンまでのインターバルなのかもしれない。


洞窟の先に巨大な門みたいなのがあった。

まあ、開けるよ。

マリアンヌにゆっくりそーっと開けさせた。何が飛び出してくるかわかんないじゃん?


『迷路?っぽいのと、あと、人がいたんだけど戦ってた』


門の向こう側には迷路が広がっていて。迷宮じゃなくて迷路だ。

人の高さより大きな壁でテーマパークとかにある迷路の本気バージョンだった。


門の前は広場っぽくなっていたんだけど、どこかの兵士?騎士っぽいのとゾンビが戦っていた。


「おにーさまはここにいて下さい。

トモエちゃん、ピッピ、お兄様を守ってね?

マリアンヌ行くぞ、お前はムラマサを装備してついてきて!」

とマリアンヌと一緒に前に出て

「ターンアンデット!」

と叫んでから一気に距離を詰めたんだけど、ゾンビが消えないんだよ!


ここに来て、スキルが聞かないモンスターが現れただと?

ゲーム序盤のモンスターより強敵か!

ふん、片腹痛いわ!屠ってくれよう!フハハ


とか思ってたけど、HPヒットポイントと攻撃力がクソザコだったのを思い出して泣きそうになった!


うわーん、俺弱すぎて勝てないじゃん!

詰みだ!もう無理!

盾は、お兄ちゃんのところだし剣がいるんだよ!


「マリアンヌゥ ムラマサ!行っちゃダメだぁ!帰ってきてぇ!」


今、まさにゾンビを切ろうとしてたけど、帰ってきた。

『おい、お前も気がついたのか!

こいつらは、ただの人間だ!さっきまで神殿の奥で戦ってたゾンビと違うみたいだ。

血が緑色じゃない!』


「へぅ?」


よく見ると、ゾンビだと思っていた塊は赤い血を流して倒れていて「ゔぅ、たすけて」とかそこかしこから聞こえてくる。

これって、花魁の話に出てきた信者じゃないか?


ぞーっとした、何で人間の騎士が切りつけてるんだ?

まさか、ゾンビと間違って信者殺してたの?

うわー、悲惨すぎる!


すると、地面が揺れて凄い地震がおきたと思ったら、ゴゴゴゴと音をたてて迷路の壁が天上に向かってボロボロと崩れだした


「ど、どうしたの?何があったの?」

振り返ると、巨大化したピッピの背中にスコットがのっていた。

そして、その近くを烏天狗のトモエが飛んでいた。

え、ちょっと羨ましい!俺も大きな鳥の背中にのって飛びたい・・・。

じゃなくて

「迷路が上に向かって崩れだした、何があるかわからない、お兄様気をつけて!」


戦ってた騎士の人たちも

ゾンビじゃなくて多分花魁教の信者の人たちもみんな戦闘を一時中断しているけど

阿鼻叫喚地獄とは、このことだろうな、みんなパニックになっていた。

トモエとムラマサが烏天狗の姿で俺を抱えて飛んで上ってくれた。

上からみたらよくわかる。

巨大な迷路に人が何人も押し寄せていたけど緑色のモンスターもわいていて信者の人が襲われていた。

はたからみたらゾンビの共食いに見えなくもないけどな・・・


「本物のゾンビモンスターも湧いてる、壁の上昇が収まってきたな。2人とも大丈夫?俺、成長して重くなったでしょ?

もうちょっと前まで進んで?

もうちょっと、もうちょっと、あーもうちょっと、ここらへんでいいかな?

ターンアンデット!」


俺が放った光に触れたゾンビが光の粒になって消えていく。

噛まれた人たちもいるなぁ、「キュア」ちゃんとかけとくぜ。

ゾンビパニック定番、敵を倒して大丈夫だと思ってたら、仲間がゾンビ化あるあるだよな!


一瞬だけ静かになったと思ったら

おお!

そこかしこから、感謝の声とか聞こえる。ほかにも何か聞こえるけど皆わーわー言ってて何言ってるかわかんないわ。

元教祖くそじじいはどこだ?

あ、今は花魁教の教祖か。

騎士っぽい人もあわせると1000人超えてるんじゃないか?人が多くて見つけられんわ。


『あ、さっき僕が切ったやつだ!

血が赤いし、消えてないってことは人間だったのかぁ』

間違えちゃったと横から、とんでもない事が聞こえてきた!

マリアンヌ人間を切っちゃったらしい。下を見ると足が両方バイバイして、大量出血して転がっていた


「え、切っちゃったの?」

サァーっと血の気が引く。


『ああ、何てことを あのお方でありんす』

と花魁が震える声で呟いた。

あの切られてるのって、花魁教の信者だったの?!


きゃあ!スプラッタ!いあああー!

ヤバっ!何してんの!切っちゃったの?

ひぃ!


ムラマサが!俺のフィギュアが本当の人斬妖刀になってしまった!

やっちまった!うわー、どーしよー


焦りまくってダンジョンボードを開くと

ダンジョン・コアがなんの冗談かキャンペーンかしらんが、おまけ機能が目に入った。


【大天使の息吹】

欠損部位超再生


使いました。もう見つけた瞬間、オリャって使いました。


『大天使の息吹 効果発動します。

指定区域または人数を選んでください

指定範囲魔力感知  指定「そんなんいいから早く発動して!もうそれでいいから!あの人死んじゃうじゃん早くしろよー!うわーん!」


すると、多分、俺のMPがガリガリ削られてんだろうね

体から何かがズルズル抜けてくんだけど、フッと止まったと思ったら


後ろに超絶カッコイイエフェクトが展開されて

翼が6か8枚の大天使が顕現していた。


『貴女の魔力おもいを受取りました 願いを叶えます』


大天使さんが光り輝くとフヮ〜っと生命力溢れる春の風みたいな暖かな風になってダンジョン中に吹き抜けて消えた。

風がメチャクチャ気持ち良かったです。


見ると、ムラマサが切った血だらけの人の体が光って足がくっついてた。


あっぶねー、助かった!


すぐ下の方に騎士が数人いた。

見ても、どこの私兵だろうかわからない。

公爵領かな?隣国と接してる大領地だから私兵多そう。

あ、隻眼の騎士だ!リアルでいるんだぁ、へぇー。

眼帯をかけた渋めのおっさん騎士が眼帯を外して俺を見上げて涙を流していた。

おっさんの涙とか誰得だよ!

あ、目が再生したんかな?スゲーな!


ダンジョン・コアの機能半端ないな。

改めて人外の恐ろしさというか、畏怖の念が湧いてくる。


そこかしこで、体が癒されていたらしくて、歓喜の声があがった。

ビリビリと人々の声がダンジョンの洞窟の中にこだまして、とてもうるさかった。


もう、ここのダンジョンお腹いっぱい。疲れたしめっちゃ怖いし、もういい、二度と来たくない。

あ、だからR指定だったのか。


まったく、とんだ目にあったぜ、自領ホームのダンジョンのほうが気が楽だよ。


地面におろしてもらう。忘れてたけど俺の衣装って下から丸見えだった。

さっきの風でヒラヒラはためいていたはず。

恥ずかしいよ、自分で作ったけどね!後悔してるさ!


「マリー!

泣いてたけど大丈夫?怖かったよね!

あの天使みたいなの何?

すごかった、マリーの力なの?

そ、それに、とにかく下着が丸見えだったんだ!」

ピッピから降りてきたスコットは、自分の着ていたカーディガンを俺に着せてくれ、抱きしめて頭を撫でてくれた。


「すべて、ダンジョン・コアのせいです。

おにーさま!うわーん」

俺は、小さな子どものようにスコットにしがみついて涙した。

俺の作ったフィギュアが人殺しになるところだった。それはとても恐ろしいく思えた。

まだ容姿の幼いムラマサが、将来、小汚い落ち武者になったらと思うと、恐怖でしかない。


「大聖女様!

愚かな我々をお許し下さい!」


さっき見た、元隻眼の騎士が跪いて臣下の礼をとっていた。

この人隊長っぽいな。

その背後には、たぶんコイツの部下らしき人達が大勢跪いて皆頭を下げていた。

そして、そのさらに後には、たぶん花魁教の信者かな?ボロボロの服でいかにも貧民みたいなやつらが跪いていた。


ギョッとして、急いで羽織っていたカーディガンをスコットの頭に被せて顔を隠そうとした。

俺はアバターだからいいけどさ、スコットが身バレするじゃねーか!


ヒソヒソと

「おにーさま、顔を隠して下さい!

こんな所を見られたら今度はおにーさまが、あの公爵令嬢のように祀られてしまいますよ!」


「マリーはいいの?」

「私のはアバターですから」

俺とスコットがヒソヒソとしていると後ろの方で声がした。

スコットを巨大化させたピッピの後ろに隠して、警戒する。


「私はアルラシード王国の王国軍第三騎士隊隊長

アブドゥル・アルラフマーンと申します。

偉大なる聖女様

どうか、貴方様に挨拶することをお許し下さい」


え、何て言えばいいの?

「許します」

これであってる?


すると、そばに寄ってきて跪いたと思ったら俺の手をとって

おっさんが自分のおでこに俺の手を当てて何かをボソボソ呟いた。


これがこの国の正式な挨拶なのか!

ってか、このダンジョンって隣国だったの?


アルラシード王国って、南の方の隣国じゃね?

偽聖女ばかむすめの公爵領と一部接してる所だけど、北国のコルチーノ伯爵領とは真反対側の南国だ。

ハインツ辺境のどでかい山脈の向こう側に位置する。

平地だと偽聖女ばかむすめの公爵領南側から交易をしてるらしい。

じゃぁ、ここは公爵領と隣国の境目にあるどこかの洞窟ダンジョンなんだな。


「大聖女さま!

天上におわす偉大なる御方が

貴方様を地上に遣わしてくださったのですね。

我々を救うために顕現して下さった大天使様の尊い奇跡に感謝いたします」


そう言って騎士隊長おっさんが話しだした。


大凶作にみまわれて、貧乏人は木の皮とか泥水とか飲んでいて、口から血を流し、体が動かなくなるという恐ろしい疫病が流行っていたのはこの国だったようだ。

壊血病と脚気かな?


公爵領も凶作だったけど、前の年に野菜を干しておいて備えていたから脚気にはなってなかったけど壊血病がちらほら出ている。

干し野菜はビタミンCは減るけどBは増えるんだっけ?


端っこで丸くなって頭を下げているボロボロ貧民達は、ガリガリだったけど顔色はそこまで悪く無さそうだった。

こっちの国は本物マジモンの疫病も流行っていそうだと、ちょっと怖くなった。


「貴方様は我々のために天からきた、救いの聖女様ですね!

その奇跡の力でどうか、どうかこの国の民を救って下さい

ここにいるのは、疫病で死を待つばかりの者たちでございました。

我々は、村ごと焼いて疫病を防ぐしかありませんでした。

我々は・・・

村や民衆を・・・焼いても焼いても、防ぐことが・・・出来ませんでした、くっっ

それに、異国の宗教学者がこの地に根を張り、とても聞かせられない悍ましい事をしていて、民の貧しい金や食料までもを奪っています。

助けを求め彷徨う人々が辿り着くのは、この薄暗い迷宮のような洞窟です。

国王の命令とは言え、無垢な民に刃を向けてしまった・・・愚かな私をお許し下さい、くっ」

とおっさんが男泣きしてるが


ダンジョンを出たらアバター消えちゃうのに、どうする事も出来ないよ?

ムリムリ、だいたい俺は聖女じゃないし、この派手な衣装だって、ただのアバターだよ!所詮コスプレなんだよ?


ってかね、あの元教祖くそじじいどこいったんだよ!

こんな貧乏人どもから金をむしり取りやがって!花魁フィギュアは確かに俺が作ったけどね・・・

え、俺のせいなの?

貧民が更に大貧民になったのは、俺が花魁を元教祖くそじじいに渡したせいなの?


「ま・・・間違いは誰にでもあります、よね?」


俺は居た堪れなくなって顔をそらした。

そらした先に、ガリガリの子ども達が視界に入り、跪いて顔をあげていた子どもと目があった。

ごめんね!助けられないよ


「あの子ども達は、変な宗教にハマった親達が村を捨て出て行ったために、残され置き去りにされた子ども達です。

あんな痩せた子どもなんて、食い扶持に困るし、どこも荷物にしかならないため、この洞窟に捨てられました。」


ぐはぁ!

こりゃアカンヤツやん!でもゴメンナサイ!本当にごめんね!


「疫病が蔓延していますから、貧民の子どもなど、どこも引取り手がないでしょうな。口減らししか・・・くっ

我々には救えません」


ぐふぅ!

俺には耐えきれない!罪悪感で胸が詰まる思いだ


「無駄に、死なせるくらいなら・・・」

くっそー!

なんなんだよ!わかったよ!とりあえず引き取って穴にでも入れとくよ!


手招きするけど、なかなかこっちこないから手のひらで器を作りアイテムボックスからフラグムの赤い実を出して子ども達を釣った


「あなたたちは、わたくしのところに来ますか?ここにいても良いのですよ?」


「ここにいたくない、どこでも行く。」

「な、何でもいいから食べたい、お腹すいた」

「僕らを連れてって聖女さま」

とわらわらと走り寄ってきて、汚い手で実をつかもうとしてたから「キュア」をかけてマリアンヌに頼んで丸ごと穴に落とした。


雑で、すまねぇ、後で忘れずに出してやるからな!


他の人たちが畏怖の目で俺を見て騒ぎ出したから、静かになるように俺は話して聞かせた。


「あなた方は、壊血病と脚気になってるんだよ」

俺は病気の説明をして、干し野菜以外も食べてねって説明する。


でも大凶作なんでしょ?そんなのどうにもならないよ。

俺はストックしてある残りのフラグムの実をすべてアイテムボックスから出した。

空間からたくさん実が落ちてきたけど、ここにいる貧民の分にすらならない。


「おお、こ、こんなことが!

何も無いところから!奇跡だっ!

はっ、これは!

北の大地に、大いなる寒い冬でも雪の上に咲くという幻の、赤い実をつけると言われている奇跡の木の実ではございませんか?

大昔に保存用ジャムになったのを食べた事があります!

あれは、忘れられません

まるで甘酸っぱい天上の蜜壺でした!

こ、これを我々に下賜されるのか!

これを植えたら、我々の枯れた国でも育つのでしょうか?」


たしか、国土の5分の1が砂漠だっけ?

育たないだろうなぁ、でもこれで納得して帰ってくれよ。夜が明けちゃう前に帰らないと屋敷で大騒ぎだよ!

え、天上の蜜壺ってジャムの事だったの?

隠語かと思ってた、俺の頭がエロいのか!


あ、そうだ暖かくなる魔法陣も教えておこう。

なんか副産物的な効果で成長するんでしょ?

俺はおっさんに、後の事をすべて押し付ける事にした。


「手を貸して下さい」


「は?」


「だから、あなたの手を貸してください

あなたは・・・アブドゥルさんは、自分の国のためにどれだけの事ができますか?」


「それは、その・・・」


「だから、手を出して下さい」

俺は、おっさんの手をとり、暖かくなる魔法陣を教える

こう描いてこうだ!わかったか?

と顔を見るとホケーっとしてた。


え、見てなかったの?もう一回やるよ?


「よく見て下さい!貴方の仕事です。

貴方がこれから国中を回って、今回の顛末(疫病の正体と解決・予防策)を伝えるのです」


何度も暖かくなる魔法陣を教える。

さっきから、俺の指先がピカピカ光っておっさんの手が熱くなってきた。

ポロポロと光の粒が手から零れ落ちる。


「覚えましたか?こうです!(ピカッ)

さあ、貴方もやってみてください!」

おっさんが震える手でぷるぷるやるから上手に出来ない。

何回も練習させる、出来るまでやらせるからな!


何回目かでようやく成功して、おっさんの指先が光って魔法陣が完成した。

「出来たじゃないですか、やれば出来ましたね、貴方なら、これからも頑張れそうですね!

ってか誰だって出来ます、難しい事ではありませんから!」

ついでに、甘くなる魔法も教えておいた。いまいち使い所がない上に微妙過ぎるんだよな。

おっさんが目から涙を流して、なんか震えてる。

さっきから涙腺弱すぎじゃね大丈夫か?


俺はふぅ~っと息を吐くと後ろから


「奇跡だ!奇跡がおきた!

こんな光のない洞窟に!奇跡がおきた!赤い実が!種から芽が出てる!」

と跪いていた騎士たちが騒いでいた。見ると足元に転がっていた赤い実から芽が出ていて既に苗木になっていた。


え!ダンジョン効果?

あ、暖かくなる魔法陣の効果か?こんな所でも芽が出るなら、荒野でも芽吹きそうだ!


確かこの木は、寒くないと花をつけなくて、暖かくならないと実をつけないとか聞いたような・・・。

まあ、全く実らないなんて事はないだろう、多少なってくれたらいいのだ。

しかも落葉樹だから落ち葉が腐葉土になるはず!だと思う。


「これがあれば我々の貧しい国が少しは豊かになるでしょうか?

我々の国だと、こんなものしかとれないのです。腹の足しにもならないですが」

と見せてくれたのは、欲しかったムクロジの乾燥した実だった。


「これは、売れますよ?

水で揉むと泡になるのですが知ってますか?」


「はい

聖女様も我々の国の事をご存知なのですね?

確かに水が貴重なので素早く洗うために洗剤として使っていますが、こんなどこにでもある実が・・・売れる?とは?」


「ここより北の地に温泉がわく豊かな場所があります。

開拓区では毎日人々が働いています。各地から人が集まり商人が集まり賑やかな場所です

湧き出る湯は人々を癒やし、冬でも雪が積もることなく温かいでしょう」


「まさか、そ、そんな場所が?

信じられない!でも、まさかこの実が売れると言うのですね?」


「はい、売れるでしょう。

あの地は、この実を求めています。売ってお金にするもよし物と交換するもよしです

バラのオイルとか香油があればなお売れるでしょうね」


すると、洞窟に朝日が差し込んできた


え、ヤバっ夜が明けちゃった!

スコットを見ると同じように焦っていた


「夜が明けてしまったようです!

すみません、私達もう帰らないといけないんです!長居しすぎました

スチュワート商会かコルチーノ伯爵家に会いなさい、悪いようにはならないでしょう!」


『おい、戻るなら穴を通って行け!

こんなとこ、もうおさらばしよう!

周りを見ろ!お前を狙ってるやつがいる!こんな所、もう帰るぞ!』


「大聖女さま!

待って下さい!待って下さい!」


「ゴメンナサイ!帰ります!

長居してはいけなかったのです!後のことは、任せます、よろしくお願いしまーす!」


後ろでわーわー騎士たちが騒いでいたけど、無視した。

ピッピにまたがり空を飛んだスコットの所に行く前に俺は、花魁を置いて行く事にした。


「お前も自分の道は自分で切り拓け!甘えんな!創造主だからって、何でも叶えてやれると思うなよ!」


花魁が、迫りくる騎士たちの前に邪魔をするように、立ちはだかるようにフィギュアから顕現して

『此度の事、肝に命じます 創造主マイロード

そう言い残し、三つ指ついて俺たちを見送ったのだった。


マリアンヌに壁に落とし穴をあけてもらって、キュアをかけてから飛び込んだ。

本物の疫病が貧民から感染してたら怖いと思ったからだ。


穴に入った途端、俺からアバターがポフゥと煙のように剥がれて消えた。


俺の部屋に無事に戻ってきて、トモエとムラマサは開拓区ダンジョンへ戻して

俺たちはベッドに潜り込んだ。

スコットは、変に疲れて変に興奮してて眠れないようだったのでマリアンヌに仲良く睡眠アシストしてもらい。

アンナが起こしに来るまで爆睡した。


俺の冒険は一応ダンジョン踏破して、宝箱は開けなかったけど無事に終わったのだった。

ダンジョンのゾンビに噛まれてもゾンビになりません。多少雑菌だらけですが。

主人公が勝手に思ってるだけです

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