見つからないと思ったの?
「ミネルヴァに行くまでは、誘拐犯は放置でいいわよ
それよりサイモンあなた、お父様の命令で勉強させられてるのよね?
ごめんなさいね、私に付き合わせてしまって。
その、勉強大丈夫そうなの?」
「あ、ハイ、勉強は、スコット様と一緒にします。その、遅れてる分は自分でやりますが、なんとか合格出来るように頑張ります!」
「サイモン、私も一緒にやりたいわ!
お兄様とサイモンが何を勉強してるのか気になるもの」
「え?ですが、お嬢様はすでに入学試験も・・・あっ口外禁止でしたね、えっと
ヤン先生と研究室に行かれますよね?」
「毎日研究室に行かないでしょ?
それに来るのはまだ先よ。
サイモンが合格出来るように協力するわ!私が責任を持って合格まで導きましょう!」
午前中のサイモンとスコットの勉強時間には、先生が来るので邪魔をしないように言われてしまった
夕食後の寝るまでの少ない時間に勉強会をしてもらう
湯浴みまで済ませて、俺の部屋にスコットとサイモンが来てくれて勉強をする
疲れたらそのまま寝れるように、俺への配慮だろう。サイモンは、何気なく、はじめての女の子の部屋にドキドキしてるようだったが
俺とスコットが一緒に寝てるのを知って、ショックを受けていた
あれ、知らなかったの?周知の事かと思ってた
俺も3年生くらいまで姉と一緒に寝てたからな
(※本当は5年生頃まで)
「マリーが本当にカレッジに合格してるの?
疑うわけじゃないけど(にわかに信じられない)マリー、この計算出来るの?」
「簡単な文章問題ですわね、式は(3+5)×2=16 こうなります」
小学生レベルだな、小手調べか?
実を言うと、カレッジの入試問題なんて知らないのだ
色々とやらされた中にあったらしいけど、どれが入試問題とか書いてなかったからな
税の収支の計算とか試験にあるとは思う、将来必ずいるだろ? 特に領地を継ぐ奴らは必須科目じゃないかな?
「本当に、サラッと見ただけで式が出来るんだね、よく読まないと、いらない数字もあるから間違ってしまうんだよ」
「確かに、いらない数字もありますね。
問題文に関係ないです。何で記載があるのかわかりませんでしたが、引掛けのつもりだったのですね!」
ヒクッとスコットの笑顔が引きつる
「サイモンは、どれ程出来るの?書いて」とスコットに問題用紙を出されて、半分ほどしか埋まらなかった
「すみません、半分も出来ませんでした
文字も読めない所がいくつかあります、うぅぅ
受験までに間に合いますか?」
「半分ほど出来てるじゃない、間に合うわよ。一緒に頑張りましょう。サイモンは、問題が読めないと困るから、まずは読み書きからしましょうね。好きな物語を丸写しするとすぐに覚えるわよ?」
「あまり、本を読んでいませんでした、お恥ずかしい限りです」
そこで思い出した、サイモンの実家は貧乏男爵、本棚がスカスカだったことを
「私が研究所の図書室で見たレポートの中で短いのを書くわ」
面白そうだったから、覚えてたのだ
「え! マリー、教授達のレポートを覚えてるの?」
「はい、書いちゃいます」
自分で考える訳じゃなし、サラサラと書き終えてサイモンに読み聞かせる
スコットもサイモンもお互い顔を見合わせ、変な顔をする
え、たった5枚だよね? 難しい言い回しとか、いらない文は多少省いてるけど、要点だけなら書けるよ?
「文字が書けるようになったら、読めるようになりましょうね」
サイモンに軽い気持ちで言った
初日は、これくらいにして今日は解散とスコットが言って
サイモンは、宿題にしますと自室に戻った
寝る前に、ベッドの中でスコットと少し話す、俺はこの時間を何となく懐かしく思う。小さい時にしてもらった事は、大人になっても覚えてたりするものだ。
「マリーは難しい事がたくさん出来るんだね、全然知らなかった。僕もしっかりしないと
王妃教育をすぐに城でさせようとしてた貴族達の気持もわかるよ、僕も早いうにって思うもん。
ミネルヴァは楽しい?ヤン先生と勉強してるんでしょ?」
「ヤン先生の論文は、まとまっていて読みやすいです。春は忙しいから、少ししてから迎えに来てくださるそうですわ」
春は、前世の職場でも社員の移動とかあったからな
それとも、新年会とかしてるのかな?
スコットからスウスウ寝息が聞こえたきた
『サイモン少年の夢を壊したな、まあ、現実を受け入れるなら早いほうがいいかもな』とマリアンヌから黒いモヤかでて喋る
コイツも構ってちゃんなんだよな、夜中は自分の時間とばかりに出てきやがる
「素の俺に引いちゃったかな?昼間は過激なことを言ってしまった」
『そっちじゃねーよ、いや、そっちもか
あの少年は、お前は自分には優しいことしかしないと高を括ってたんだよ』
「はあ?俺、優しいじゃん?」
『無自覚かよ!』
「そんな難しい事なんてしてないだろイージーモードだよ」
くだらない事を話して、コイツも添い寝を始める真ん中に俺を挟んで右にスコット左にコイツ
どいつもコイツも乳離れ出来てないのか?俺の腹の肉や二の腕やほっぺをムニムニしてくる
幼児ボディはどこもかしこも柔かいからな、若いしお肌もぷるぷるプリンだろ?
翌日、サイモンが自分は全然駄目です勉強が出来ません
とかなりイジケていた
見かねたスコットが
「マリーは、とても4歳とは思えないスパルタぶりだった、君の事を思ってのことだから
サイモンはよく頑張ってるさ」
とフォローを入れていた
え、俺がスパルタなの?
サイモン8歳くらいだろ?今時の小学生が何してるのか知らないけど、出来そうだと思ったのに、あれ〜?
と、そこで日本の小学生は進んでることに思い至った。このままじゃイジケたサイモンが勉強嫌いになっちまう
しかたない、かくなる上は・・・書くならコレだ!
趣向を変えてみた、こっちの8歳の勉強レベルはわからないけど
小学生の好きそうなものは、わかる
紙を2つに折り、半分に絵を書いて半分に文字を書く教科書を作ったのだ。
問題も( )に当てはまる言葉を下から選びなさいを1ベージに1つ2つ程度。
俺の画力が真の力を発揮する時がきた!
ほぼ1日を費やし、幼児の集中力とは思えないほどの力作が出来た
今晩もやるのかと、スコットが憐れむように聞いてきた
え、サイモンそんなに落ち込んでんの?なんかごめん
だがしかし、せっかく作ったのだ、やるでしょ!
「サイモン、昨日の問題はごめんなさい、難易度を調整したわ!今日1日私が作ったの
見てくれるかしら?」
「お嬢様が僕のためにつくったのなら、見ないわけには・・・」
力なく受け取り開いた
さあ、見て驚け!
「ぶはぁ! お、お嬢様?!」
バシンと閉じてサイモンが真っ赤になって振り返る
お、元気になったな?
古今東西津々浦々
小学生くらいの男の子は学校帰りにエロ本が落ちてたら見てしまうだろ? その習性を利用し、俺はちょっぴりエロい絵を書いたのだ。
一人でもんもんと部屋で勉強出来るようにした。
ゲームキャラ定番の水着の戦士は書いてないが
薄着の妖精がいても良いと思ったのだ
きこりの泉もメインの絵は金銀の斧ではなく、薄布の谷間だ!
色鉛筆がないからカラーじゃないけど、頑張った(ドヤ顔)
スコットが
「サイモン? 見せてくれ、何が書かれてるの?」
「いや、これは、その、き今日は、お先に失礼します」
俺の力作を胸に抱き走り出した、頑張れ少年
「マリー、今度は何をしたの?」
「きこりの泉ですわ、お兄様」
きこりの泉を話して聞かせる、簡単なストーリーで、欲張ってはいけないと教訓もあるしな
「お兄様も欲しいの?」
「1日ですぐに作れるなら欲しいかも、だけど僕までいいの?」
作りますよいくらでも
その日もベッドに入って3人川の字で寝る、慣れてきたら何も思わなくなるな
既に定位置となった隣でマリアンヌが話す
『昼間机でゴソゴソしてたのはそれか、よく見えなかった何を書いた?』
「明日もやるから、まあ見てろ」
翌日、人魚姫やりました、きこりより大作になった。夜の勉強会にスコットに渡すと
「ぶふぁ! マリー!」
ギョッとして、スコットも赤くなり振り返る
俺からしたら、人魚の山頂に小さなほたて貝を描いた程度だ
人魚の話は元からこんな感じなんだけどな?
人魚のお姫様は、箱入りの世間知らずだろ?ちゃんと今度はちっぱいにしたし
敵は、山が大きすぎて少し垂れてきた熟女手前の美魔女だけど下は軟体類にしてある
ハッピーエンドより、最後泡になるほうを採用した。
実は、あの物語は泡になって終わりじゃなく続きがあるのだ
人間の魂を得られなかった人魚姫は楽園には行けずに精霊となる。彼女は悪い聖霊ではなく、300年経てば楽園に行けると説明を受ける。良い子と触れ合えばその日は1日早くなるが、悪い子に会えば1日遅れていく。著者の子供たちへのメッセージは、
人魚姫が一日でも早く楽園に行けるように、良い子でいましょう
そういう教訓なのだ。
姫のちっぱいは、泡になって消えた後は哀愁漂うボインの大人に描いておく。
俺の性癖ではない、スコット用だ
「スコット様も聖なる本を頂いたのですか?」
サイモンの中でエロ本が聖なる本になってる! エロ本じゃなくて教科書だった
「人魚の話の方が問題が難しいね、僕の為に作ってくれたんだ、色々言いたいことはあるけど・・・嬉しいよ!ありがとうマリー
こんなことまで出来るんだね!凄いよ!」
「スコット様、隠し場所に難ありです!人目にはちょっとその」
お互いに見せっこして楽しそうだ微笑ましい。
作って良かった良かった、へへ
ここは、年長者として忠告しとく、大事な事だ!
「お兄様たち、ベッドの下なんて真っ先に見つかりますよ!掃除が入ります。埃が溜まっていないでしょ?」
「しかし、マリー
もし見つかったら・・・どうしたら良いのだ!」
「隠すからいけないのです、堂々と置いておけばよろしいのです
何のために表紙を小難しい硬いタイトルにしたと?」
【泉における環境考察】
【海洋生物学の理論と概念】
「マリー!さすがだよ君は!」
「お嬢様、凄いです!タイトルの意味が全然わかりませんでした!」
エロ本のカバーを変えるなんて朝飯前よ!
エロ本じゃなくて教科書だった!
ワイワイ楽しくお勉強しました。難易度の高めの問題も2人で考えて楽しそうに話していた。
寝る時になりマリアンヌが
『あれは、アンダインの話だろ?面白かった、そんな話なんだな』
「何のこと?」
『だから、人間に騙されたアンダインの話だろ?騙されて成長したやつだよ』
「あぁ、最後のボインボインの絵のこと?なんだお前も好きなのか」
『いや違う、あ、違わない、ボインは好、そーじゃなくて!
人間に騙された精霊の話だよ、お前にしただろ?』
「あれか、魔法陣で呼び出されて人間に有利な契約で、少ない魔力で酷使される暴利にあう話か」
『僕そんな説明したっけ?まあ、それの事だよ』
「元ネタが違うと思うぞ、異世界の話だからな」
『異世界の精霊も騙されてたんだな』
「安易に変なのと取引きしてはいけません、騙される方が悪いとは言わないけど、人魚姫は好奇心旺盛で幼かったんだ」
『人間のエゴだよな』
「今回は、婚約者のいた人間の王子様に横恋慕した人魚姫が化け物とアホな取引して王子を殺そうとした話じゃない?
精霊目線だと人間が悪いの?」
『お前が言うと身も蓋もないな、幼い精霊が可哀想だと思わないのか?』
「ああ、別の会社が作ったハッピーエンドもある。泡にならずに、人魚姫は王子様と結婚するんだよ」
『精霊と人間が結婚できるのか!』
「人魚姫は人間になるんだよ。たしか、続編で子どもいたな。そっちは見てないからよく知らない」
『なかなか夢がある話だな!俺はそっちのがいい』
「夢の国の話だから・・・スゥ~、スゥ~」
『なあ、僕が人間になったら一緒にいてくれる?なんてな・・・寝たか。
我が愛し子に安らかな夢と祝福を おやすみ』
毛布をかけておでこにキスを落とす
俺は寝ていて何も知らなかった
翌日、今日も1人おとなしくお絵描きです。
制作は楽しいからいいけど、何となくアンナに見られたくないのだ
わかるかな、お母さんや姉妹に見つかるなんとも言えない感じ
兄弟ならいいのだよ、ただ兄や弟の性癖までは知りたくないけどな!
俺は知らなかった、サイモンもスコットもソワソワモジモジしてたらしい
そんなんバレるに決まってるだろ?お前ら馬鹿なの?
お母様の部屋には、スコットとサイモンと俺の3人。
アンナのリークにより俺もお母様に呼ばれてしまった。
書きかけのエッチなのはクローゼットに隠して、以前アンナに見られて丸めて隠した貞子とゾンビを提出した
「マリーウェザーこれは何かしら?」
「おばけですわ おかあさま」
「スコットさん、サイモン、あなた達は何か言いたいことはないかしら?」
「マリーは、お絵かきが上手ですね・・・
お話を作るのも上手です。母上、みんなで仲良く勉強しています。サイモンは、だいぶ文字の読み書きが出来るようになりました」
目が泳いでるぞ、頑張れお兄ちゃん!
「はい、ここ数日でかなり進みました。お嬢様のおかげです」
あ、馬鹿やろう俺のおかげとか余計なこと言うなよ
「マリーウェザーのおかげで何をしてるの?サイモン」
ヤバいサイモンが崩れそうだ、汗が尋常じゃあねー!くっ、もうもたない
「は 母上、カレッジに関係ない話でもないので一度父上と相談しましょう、僕から話を通しておきます」
お兄ちゃんが勇気を振り絞る
「カレッジの事なのね? そう、分かったわ・・・
もう、戻っていいわ
この気持ち悪い絵も持って行きなさい
どうせ描くなら可愛らしいのにしてちょうだい」
「はぁい」
失礼しますとそそくさと部屋を後にした
「おにいさまは勇者ですわ」
「スコット様ありがとうございます」
「後は、僕にまかせてほしい。父上をこちら側につける・・・・母上たちやメイドに知られるよりマシだろう」




