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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
領主の娘 領地に行く
30/384

閉話 塔の怪物燃ゆる想いを

僕は塔の怪物と呼ばれている


だけど、ただの人間なんだ

僕は、見た目が失敗してしまったのだと、ここに閉じ込められてる

ここには鏡がない、窓もない、お皿も木の皿だ。僕がどんな姿なのかわかるものは何もない


塔の中には、本がたくさんある。たまに勉強の先生も来るし、ご飯は隊長が持ってくる。

隊長って呼ばれてたから、隊長なんだ。名前は知らない、今度聞いてみようかな


春になると、鐘の響きが聞こえて、風に乗って優しいバターの匂いがする。

1年に1度だけお父様が会いに来てくださる

いつもお外に出たいとお願いするんだけど、僕は出られないんだって。

外に出たら、僕は死んじゃうからダメなんだって・・・

今読んでる物語のお姫様も塔に閉じ込められてて、お姫様のために勇敢な騎士様が悪いやつと戦ってる

けど、僕は悪いやつに閉じ込められてる訳じゃないから誰も助け出してくれない。


「妖精さん、お願いします

どうか外に出たいです、僕をここから出して下さい誰か来てください

夜が怖い訳じゃないけど、一人はつまらないんだ、誰か来てください」


毎日お祈りしてるけど、掃除とご飯と先生以外は来なかった


カラーン カラーン―――・・・


春の鐘がなる

小さな覗き窓から、外を見る

外の木は赤い実がなっていた、酸っぱくて美味しいから僕は好きだ

たくさん食べたいけど、数がとれないのかな?

外にあるのは酸っぱ過ぎて食べれないのかな?


夕方になって、隊長さんが早めにご飯を持ってきた

「今日は、ご飯早いね

そう言えば隊長さんのお名前は何だった?ごめんなさい忘れてしまったの、教えてください」


「俺、じゃなかったワタクシは、ドルトンでございますアイザック殿下

今日は、今からまだ仕事がございますので、すぐに行かなきゃならねんです

部下とメイドを置いて行くのでご用は何なりと」


「そうなんだ、ドルトン隊長ありがとう」


ドルトン隊長が帰って、いつもよりも豪華な食事を食べた

酸っぱくて美味しい赤い実が僕は好きだ



ガタン、ガタン


ビックリした、掃除道具やシーツの替えがある部屋から音がした


『――――、―――、―――――』

扉の向こうから、何か声がしたけど、何て言ってるのかわからなかった。

「痛った、なんだよここ? 暗くて見えない」

今度はよく聞こえた。高くて幼い声だ


ドキドキして、僕は扉を開けた


「うわぁ!」

僕は叫んでしまった口をあわててふさいだ

中から妖精の女の子が飛び出て来た。

美しく輝く髪にぷっくりした唇と白い頬を少しピンクにして、夜空のような「急に開けるなよ、ビックリするだろ、なんだよ?・・・・オホン、どちらさまですか?」

妖精が喋って僕の惚けた思考を遮る


「僕は、えーっと、僕は、と、塔の、ア

アイザックだよ。 君は月の妖精さん?」


『―――――、―――――!』(人形が喋る)

「いやいや、早く帰ろう、やっちまったー!」


「待ってよ!帰らないで!お願いします!」

僕はあわてて、女の子の腕を力いっぱい掴んだ


「痛っ、わかったから引っぱらないでくれ!アイザック?だっけ?」

『―――――――――!』

「やめて!なにもしちゃいかんぞ、本当にやっちゃダメだ!もう勘弁してくれ」


「その人形が喋ってるの? なんて言ってるのかわかるの?凄いね、本当に妖精さんなんだね!

僕のお願いを聞いてくれたから来たんでしょ?

ありがとう、とっても嬉しいよ。君の名前は?」


妖精が目を丸くして、アワアワしてこっちを見てる。慌ててる姿も可愛いくて面白い


「えー?あー、マリーゥ『――――!』(人形が妖精の顔に飛びつく)

んん、マリーちゃんだよ!(キャピ)」


「妖精のマリーちゃん?

はじめまして、僕はアイザックだよ

この塔から出られない僕に会いに来てくれたんでしょ?」


「・・・・ん?えーっと? そ、そうだよ!でも、マリーは早く帰らないとママが心配するから、少しだけだよ!」


「少しだけでも嬉しいよ!マリーちゃん何して遊ぶ?僕の部屋にはボードゲームもあるよ?

そうだ、お話しよう!

外の話を聞かせてよ!あの赤い実は好き?僕は好きなの、それから―――――」

妖精のマリーちゃんとたくさん話した。

僕と目が合って楽しそうに笑っている


マリーを見てると僕のお腹のあたりが暖かくなって、胸がギューッと苦しくなった

こんな時に、僕の体は病気になってしまったみたいだ。

嫌だ、もっと一緒にいたいのに。考えれば考えるほど胸が苦しくて、手のひらまで汗が出て来た

お願い僕の体!しっかりしてよ!


人形が『――――――!』何か言ってて


「時間が来たみたいなの、ごめんね。帰らなきゃアイザック会えてよかったわ。さようなら」


「マリー待って、まだ行かないで!僕と友達になってよ!」

咄嗟に服を掴む


「ごめんなさい行かなきゃ」と妖精が困った顔をする

困らせたい訳じゃないのに・・・


「友達も駄目なの?もう二度と会えないの?そんなの・・・グズ、グズ」

堪えきれなくて、涙が溢れる

駄目だ、泣いたら駄目なのに涙が勝手に溢れてくる。

涙を拭おうと顔に手をあてて思い出した、僕の肌はボコボコのザラザラだった

僕は、怪物と呼ばれてた事を


「こんな、僕みたいな怪物と友達なんてイヤだよね・・・ごめんなさい」

今まで、このザラザラの肌の事なんてちっとも気にしてなかったけど今は嫌になる


「アイザックが怪物? こんな所に閉じ込められてるけど、いたって普通の少年に見えるよ?」


「前にメイドが言ってた」


「意地悪なメイドね! じゃあ、その悪い奴に、そんなふうに言われて閉じ込められてるの?

ネグレクトか?可哀想過ぎるだろ!

ここは離宮だよな?お部屋がうちのより豪華な作りだわ!もしかしてやんごとなき方の落胤か?」

(※思ったことが口から出てる)


僕は、物語の閉じ込められてるお姫様を思い出した、マリーが騎士様なの?僕を助け出してくれるの?嬉しくて涙がまた出て来た

「ち、違うの、涙が止まらない」


「わぁ、そんなに泣かないでよ友達くらいならいいかな?ヨシヨシ(僕の頭を優しく撫でる)

あれ、急に可愛らしく見えてきた、もう泣くなよ!

そうだ、今日の出合いに感謝をこめてこれをどうぞ。フラグム好きでしょ?サービスサービス特別だからね!」


僕のカサカサした手に妖精の手が重なる、柔らかくてスベスベで暖かい、小さな白い手だ、そうしたらモリモリっと手のひらに何かあたる

あの赤い実だ、妖精の手のひらから赤い実がたくさん落ちてきた!

僕の両手で受け止めきれない、ポロポロと手からこぼれ落ちる

拾うつもりで、しゃがんで手がいっぱいなのに気がついて、入れ物を探そうと振り向いた一瞬に

「じゃあね」と聞こえて、妖精がフッといなくなった


部屋がシーンとする

まるで初めから何もなかったみたいに静かに

目の前には、赤い実と、あの子がいた微かな温もりと僅かに漂うあの子の香り


妖精のマリー

何もない灰色だったぼくの世界をマリーが、君が色鮮やかにしてくれた

僕の胸に甘い疼きが残る。こんなに胸が締め付けられるなんて初めてだ、苦しいのに、少しも嫌じゃないなんて

しびれるよマリー


静かな部屋で一人で考える

マリーは、ママの所に帰ると言っていた、僕の帰る場所はここだ

誰もいない、ずーっと誰もいなかったのに、一人が落ち着かない

そうか、僕は寂しいんだ。僕は、孤独を知ってしまった。

君がいた時間が夢のようだけど夢じゃないんだ。君が残していった赤い実は、僕が今まで食べていた実よりもぷっくら赤くて、口に入れると、ほんの少しの酸味、そして蕩けるように甘かった


肌寒く感じて暖炉に火を入れる

顔が熱くなって、手を見るとカサカサが少し減っていた

妖精の赤い実を食べるとカサカサが減るんだ!

凄い!妖精の実って凄い!


次はいつ会いに来てくれるだろう

もう君の事しか考えられない、早く会いに来てよ


マリーのお話に出てくる、木に登るのが上手なお猿のように赤い実をパクパク食べていたら

僕の肌はすっかり良くなった


春の挨拶に来たお父様が「奇跡がおきた」と僕を抱き上げてくれた

後の人達が僕をみて驚いていた


「お父様、毎日お祈りをしていたら妖精が現れたのです。僕にこの実を授けてくれました。

お父様に一つ差し上げます、フフ特別だからね!」

お父様は目を開いて「お前はこんなふうに笑うのか、アイザック今まですまなかったな」

そう言って僕を外に出してくれると約束してくれた。

僕の新しいお部屋をお城に用意してくれるんだって

ドルトン隊長がそのまま僕の近衛護衛騎士になり、従者と侍女の選別をする


マリー、君のおかげで僕は外に出られる

お父様の言う準備が終わるまで、あの本の続きを読んで待つ

塔から出たお姫様は勇敢な騎士様と結婚して末永く幸せに暮らしましたとさ


僕のマリー、塔から救い出してくれてありがとう僕たちも幸せに暮らそうね

だから、いつでも僕を奪いに来てね

第二王子のアイザック視点です

生まれつきお肌が弱くて離宮に放置だったので10歳なのに体が小さいです。そして、囚われたお姫様気質

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