表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
学園物語
287/372

王太子の誕生パーティー 2回生 

マリアとアブドゥルが馬車でパーティー会場へ

「受け取ってください私の気持ちです」


跪いて指輪ケースをぱかっとする

馬車を降りた所のパーティー会場の真ん前でまさかのサプライズ


「ひ!」こんな所でプロポーズ??


アブドゥルが震える手で指輪を摘んで見せた

青く光る石がはめられた立て爪の指輪だった

さらによく見るとリング部分は白金ホワイトゴールド


「私の愛する婚約者マリアにプレゼントを渡したくて…昨晩徹夜で仕入れてきました」


マリア「…っこんな高そうな指輪どうしたの?凄いものが出てきたわ」


「私は今日この日のために生まれてきたのかもしれません。私のマリア愛してます結婚してください」


驚いて声も出ないマリア


拒否されないのを安心したように満足そうに笑んだアブドゥル

震える無骨な手でそっとマリアの手を取り指輪をはめた

正装をした厳つい異国の男が跪いて細くて白い指先に挨拶を落とす


ドラマのワンシーンのように絵になるアブドゥル大使とその婚約者マリア


周りで見ていた女生徒達ギャラリーが「んまあ!」とキャッキャしてる


アブドゥルは熱っぽい視線を送りスッと立ち上がるとマリアの腰に手をやり抱き寄せた

腰に回された大きな手がとても熱かった


「美しいマリア…貴女にまた会えた喜びに感謝します。私は貴女のために生まれてきました。貴女に愛を乞うひとになれて幸せです」


そのまま歩いて建物へと入っていく


「こんな高価なもの頂けないわ…パーティーが終わったら返します」コソッ


アブドゥル「んなっ!?マリアのために用意したものです!!」


マリア「私の指輪のサイズをなんで知ってるのよ?ピッタリだわ…けど普段使えないし。マリーウェザーが持ってるわけにいかないでしょ?アイテムボックスの肥やしよ(持ってる事忘れそう)…そうね、子爵邸の未来の嫁部屋にでも飾って下さる?」

そのまま未来のお前の嫁にやれば?


パーティーホールに入るところでアブドゥルが複雑なヤバい顔になってると気付いた。顔が怖いっ


マリア「アブドゥル大使、笑って入らないと、不機嫌な顔で私と踊るつもり?

…指輪をありがとう、その気持ちだけ受け取っておきますね。もぅ!私の唇か胸でも見て気分上げてください」


男とは単純に出来てるのだ、知ってるよ


言われた通り素直にプルンとした唇を見て、大きな胸を見たアブドゥルがニヤけて赤くなった顔でパーティーホールに入った


仏頂面よりマシだろ?


司会の声が救国の英雄アブドゥル・アルラフマーンの入場を知らせた

わぁーっと歓声が聞こえる

俺がパトリックとリチャードに話したアブドゥル英雄譚が広がって凄い噂になっていた

ドラゴンを退治して姫と結ばれたみたいな…なんかハッサムと話が混ざってる


マリアは商人の娘の設定なのだが、噂では亡国の姫になっていた。まあ俺は姫のように美しいよな?


ちなみにドレスはヴラドが用意したものです

黒目黒髪に白い肌のマリアは赤いドレスを着ると派手でとても目立つ


真っ直ぐにレイナルドの所へ向かった


アブドゥル「王太子殿下16歳おめでとうございます」


レイナルドは、ぽーっとこちらを見てほおけた顔をした後で、隣にいたスコットに「殿下?」と声をかけられハッとした


レイナルド「あぁアルラフマーン大使殿、今年も来てくれて嬉しい。そちらの令嬢レディは?」


アブドゥル「私の愛おしい婚約者のマリアです

アルラシードの自領の屋敷からわざわざ私を追いかけて来てくれたのです…その、私と離れたくないと可愛いお願いをされましてハハ」※そう言う設定


マリア「おめでとうございます」

カーテシーをしてニコッと笑う


レイナルドの取り巻きに戻ったジェイコブ、シャルル、ステファンは

マリアとアブドゥルとマーリンにサザーランドのフェスで会ってる。

マリアとマーリンは夫婦設定だったのだが…


ジェイコブ「英雄アブドゥルにマリアを盗られたんだな」ヒソヒソ

ステファン「ケンタッキー伯爵令嬢を母に待つ商人の娘じゃなかった?」

シャルル「マリーウェザーの従姉妹じゃなかった?」ヒソヒソ

スコット「マリアの出自は答えられない…察してくれ」コソッ


ルイーゼとジョナサンは綺麗な人だなぁと見守っていた


「美しいマリア殿…お会いできて光栄です」

レイナルドが手を差し伸べ、マリアの手に挨拶キスをしようとした所で、子供の甲高い声が聞こえてきた


「んまぁぁ!どこの誰かと思ったら隣国の山賊大使ではなくて?!また来たのね………ちょっと貴女誰よ!」


マディリーンの声が聞えてアブドゥルがビクッとした

そんな苦手なの?いや解るけどな


マリア「ミシェランド公爵令嬢ごきげんよう

アブドゥル・アルラフマーンの婚約者のマリアでございます。公爵令嬢にご挨拶出来て光栄にございます」


カーテシーしてニコッと笑うとマディリーンは顔を真っ赤にして睨んだ


マディ「何よ!ちょっと美人だからってレイナルド様に色目を使わないで!私はマディリーン・ミシェランドよ!レイナルド様の婚約者は私よぉ!貴女なんて私の足元にも及ばないわ!」


「は?」俺はアブドゥルの婚約者だって言ったよね?


「マリアは私の婚約者です」

アブドゥルが控えめに声をかけた


マディ「はあ?部外者は口を挟まないで下さる?」


レイナルド「ミシェランド嬢黙らないか!すまないマリア、グロステーレの貴族がみなこうだと思わないで欲しい」


アブドゥル「存じております。私たちはこれで失礼する。さあマリア行こう…私と踊ってくれますか?」


アブドゥルに腰を掴まれたまま、グイグイと離れた

よほどマディリーンが苦手らしい


レイナルド「クッ!パーティーを楽しんでいってくれ……ミシェランド嬢!離れろ!さっきから不敬だ」


横にも大きくなってきたマディリーンがレイナルドにしがみついていた。


マディ「レイナルド様に悪い虫がつかないよう私が追い払って差し上げましたわ!」


レイナルド「マリアは大使殿の婚約者だ!友好国に亀裂を入れるつもりか!そなたはもう帰れ!」


マディ「んまあ!まだチョコケーキを食べてませんわ」


レイナルドが「では食べてくるといい」とその辺の給仕にマディリーンを押し付けた


ジョナサン「マリアは亡国の姫と噂のお方だろう?家名を名乗られ無かったのはそのせいだな」


ルイーゼ「美しい人だった…どこかフリージアの君に似ていると思わないか?…あれから見かけぬな、白銀のフリージアは夢か幻だったのか?」


ジェイコブ「そうかルイーゼは知らないんだな。他言無用だがな、フリージアの君は実は――…」

シャルル「マリアはね実は―…」

ステファン「ケンタッキー伯爵令嬢を持つ娘でね、フリージアの君も親族だよ」


スコット「それは、あくまで噂だよ!」



アブドゥルとマリアはホールの中央に向う

ちょうど音楽が変わり、ゆったりした円舞曲ワルツが流れる


「マリアと踊れる栄誉を私に」


「救国の英雄のお誘い光栄ですわ」ノッてあげるよ


去年よりダンスが上手くなってるね…有名人になったからたくさんパーティー呼ばれるんだろうなぁ

俺のせいじゃないよね?まあ知らんけど


「マリア…まだ怒ってますか?」


何の話し?


「その、アレナ女王への想いは事は違うのです」


なんだその話ね、以心伝心を拒否るためのこじつけだよ

「もう怒ってないわ。私はそんな小さな事は気にしないもの…けど昼間の以心伝心だけは絶対にやめてね?授業にならにいわ……って言ってるそばからヤメロ!」


「申し訳ございません!言葉で伝わってるか不安になりました…が、本当に気にしていないようで安心しました。マリーウェザー様と心で繋がってる安心感で…うぅ」


「ひぇ、愛が重い!こんな所で泣くなよ、大使は目立つから見られるし、私が意地悪してるみたいじゃん。ほら泣きやみなさい、えっと、どうしたら泣き止むの?…わっ!?」


アブドゥルが曲に合わせてクルンと回りながらマリアを抱き上げた

いつの間にか曲が終わったらしい

抱かれながらスタスタと歩いてテラスへ向かった


途中で給仕からグラスを2つ受け取るとそのまま外へ出てそこで降ろされた。


グラスを受け取りクイッとあおる

「ゴクゴク(これ酒だ!)ふぅー…大使、落ち着いた?」


「ゴクゴクふはぁ…クククッ私は貴女に愛されてる」


え?嫌いじゃないだけで別に愛してないけど??以心伝心で伝わってるはずなのに、どこからその自信が湧いてくるの?怖っ


「そうだ、忘れないうちにこの高級そうな指輪返すよ…無くしても弁償出来ないし」


「無くしてもかまいません…マリアに持っていて欲しいのです」


「アイテムボックスの肥やしだよ?前にもらった髪飾りと一緒に子爵邸に飾って欲しいよ。この世にマリアの部屋はあそこだけだからさ?」


「マリアが帰ってくる部屋がこの世でただ一つ?……それが私の帰る場所と同じ?」


アブドゥルはその事実に全身が震えるほど歓喜した

実際にマリアは使ったことはないけど、子爵(アブドゥル父)が勝手に用意したマリアの部屋

アブドゥルはそこに宝石箱やケースを置いて飾る妄想を膨らませた

さらに、ドレッサーに座り髪をといて振り向くマリアの後ろ姿の妄想に胸が高鳴った

「私が責任を持って保管します!」


スルリと指輪を外して元のケースに戻し、髪飾りも返した

大人っぽい銀細工の髪飾りは白銀の髪のマリーウェザーには似合わない。黒髪のマリア専用だ


「マリア喉が渇きませんか?もう一杯持ってきますこのままお待ちを」


ご機嫌なアブドゥルがホールに入っていった


さて、レイナルドに挨拶したし

アブドゥルとダンスも終わったから、待たずにそろそろ帰るか…と思ったら声をかけられた


「マリア…先程は公爵令嬢が失礼な事をした」


振り向くとレイナルドが取り巻きを引き連れてテラスへ出てきた


「王太子殿下…」


「レイナルド…と呼んでくれぬか?」


「恐れ多くも王太子殿下のお名前を私ごときが口にできません、お許しくださいませ」


「そなたは特別だ!私はそなたの事をもっと知りたいのだ」


お前はマリアの何を知ってんだよ?「お戯れを…」


「マリア…私たちがもっと早く出会っていれば、そなたはアルラフマーン伯爵と結婚せずにここにいれるのに」ボソッ


恐ろしい事を呟く王太子レイナルドを放置して帰りたい

そんな事を考えていたから顔に出ていたようだ


「マリア…そなたともっと一緒にいたいと思うのは私の我儘だろうか?私と一曲踊ってくれぬか?」


我儘だろ身の程を知れボケナス!とは言えない


ジェイコブ「良ければ王太子殿下の次に私と」

ステファン「あっ抜け駆け!私と踊って下さい」

シャルル「ズルい!私と踊って下さい」

ルイーゼ「じゃあ私とも!」


レイナルド「君たちいい加減にしないか!マリアが困ってるだろ?さあ行こう」


手を差し伸べられ断れない空気になり退路が完全に塞がれた、仕方ないから手を重ねる


ホールに出てアブドゥルに助けてもらおうと思う。こんな時こそ以心伝心!"助けて大使!"


大使を探すとアイザックとスコットとジョナサンとサイモン、カトリーヌ、モーリス

褐色肌のカエザル王子、グラ、ルゥとカヤックまでいて話してるのが目に入った。


ニコニコと楽しそうに話してるし!


レイナルドがエスコートの流れで指先に挨拶キスを落とす。まるでこっちを見ろと言わんばかりの自己主張だ


「世にも珍しい黒真珠の様な美しいマリアの瞳に魅せられました。私と踊って下さい」


「よろこんで」引きつる顔をぐっと笑顔に


腰に手を回されピッタリくっついて踊りだす

やたら顔を見てくる…怖っ


「やはり似てるな…そなたはフリージアと家族か親戚か?マリーウェザーの親戚なのか?」


ギクッ

「…私がどこの誰と似てるとおっしゃるのですか?」全部、本人おれだよ

 

「フム…失礼した、私の初恋の人に似ていたものだからついな」


フリージアが初恋だったの?!ひぇ


「それは…失礼ながら申し上げます、私は誰かの代わりになったりしませんわ」


「それは解ってる、そう言う意味で言ったのではないのだ。気にしないでくれ、ただそなたを見ると胸が締め付けられる」


「申し訳ございません。私はアブドゥル様の婚約者です」


「アルラフマーン大使殿より、もっと早くそなたと出会っていればと思ってな。そなたを私の側に置いただろう」


「……」

曖昧に笑って誤魔化した。

早く出会ってもお前は無理だよ?え?初恋拗らせてるの?ゾッ


「そなたは、アルラフマーン伯爵で良いのか?」


コイツうざっ!まるで自分のほうが良いだろと言わんばかりだな

王太子妃なんて絶対に嫌だ!王城まくつなんて行きたくない


「彼は英雄と呼ばれるだけの強くたくましい男よ、厚い胸板とバキバキの腹筋が…ほぅ」※演技


お前のひょろひょろな体で大使に勝とうと言うの?辞めとけ足元にも及ばない、早く負けを悟って欲しいよ


「クッ…私も10年後は」


ムリムリ、お前の10年後はせいぜい王様おとうさんだろ?高圧的で威厳はあるけど全然ムキムキじゃねーし

むしろ運動不足で腹出てるだろ?


「美しいマリア…私たちは出会ってしまったのだ。惹かれ合う運命なのだ」


ぐっと腰を寄せられ手に頬ずりされた

ビックリな事に、ひょろひょろに見えたレイナルドの手を振り払えない


女ってなんて非力なんだクソッ

こういう時は…おりゃ!


わざと足を踏んづけてやった、ヒール部分で思いっきり。

レイナルドが「うっ…」とか言って怯んだからクルリと回って抜け出してお辞儀した「大変失礼致しました」


そのまま踵を返して歩き出すと後ろから「待って」と追いかけて来た…ひぃ!


たまたま振り向いた方向にジェイコブがいた


そのまま真っ直ぐに向かってニコッと笑って手を差し出すと、ちょっと驚いた顔をしたジェイコブ。

照れたように顔を赤くしてから「レディ、次は私と踊って下さるのですね」と手を取ってくれた


追いかけてきたレイナルドに「婚約者でもないのに2回は踊れませんよ殿下」と代弁してくれた

未練がましく見てくるレイナルドをかわしてリードしてくれる


助かったぜ、さすがジェイコブ!


ホッとした顔をすると、ジェイコブは申し訳無さそうな顔をしてた


「すまない、レイナルド様は初恋の君がまだ忘れられないらしい…マリアはその、そなたは美しいから恋多き人なのだろう。殿下は不器用なのだ悪気はない」


「本音を言うと、ちょっとしつこかったので助かりました…不敬になるので内緒にして下さいませ」


「ハハッ王太子を相手に肝が据わってるな

今宵そなたに会えて嬉しい、私はそなたともっと親しくなりたい、いやそのっ男女の仲になりたいと言ってるわけではなく、友達だ!そう、そなたと友達になりたい。…ふぅ

またサザーランドのフェスに来るのであろう?」


「今年の夏はマリーウェザー様はリヒテンシュタイン侯爵領へ行かれるそうですわ」


西側領地は王都を挟んでサザーランドと正反対の位置にある


「何だと?スコットはサザーランドのフェスに来るのだぞ!?」


「お嬢様はリヒテンシュタイン侯爵令嬢と海へ行く約束をなさっていました。今年の夏は海へ行くようです…スコット様とは別行動をなさるのよ、妹離れかしら?」


「なぜそなたがそんな顔をするのだ?」


「マリーウェザー様はとても寂しがってましたから…寂しそうな小さな背中を見ていたら私の胸まで締め付けられますわ」お兄ちゃん…


「そうなのか。その元気を出せ、スコットがマリーウェザーを大切に想ってる事には変わらぬ。殿下のいないところでよくマリーウェザーの話をしている」


「ジェイコブ様から見たスコット様の様子が聞けて良かったですわ。マリーウェザー様に伝えておきます」


「同じ寮なのであろう?スコットは寮では部屋にこもりきりなのか?」


「スコット様は夕食後に帰宅しますし、湯浴みをしたら課題をなさいます。朝も早く出られますから。それに休日も殿下に付き合うので朝からいません…まるで激務の夫のようですわ。同じ家に住んでいても会えない事もあるのです」


ジェイコブは衝撃を受けた顔をしている

自分もそうだが普段から、レイナルドの夕食まで付き合っている。内心帰りたくても帰れないスコットの姿が思い浮かんだ


「マリーウェザーは本当にサザーランドのフェスには来ぬのだな。クラスが違っただけでこうも会わなくなるとは思わなかった

フェス限定フィギュアは父上の商会の職人にも作らせるが…工芸品のようだと言っていた。ハッ…こんな所でそなたに言うことでもないな、すまない」


ジェイコブは今がパーティー中である事を一瞬忘れていた。それほどにマリアの寂しそうな顔に夢中になっていた


音楽が終わる頃になる


「サザーランド子息ゆっくり出口に向かってください、殿下が今にもこちらへ来そうです。この面倒事は私の手に負えません」


「…ジェイコブと呼んでくれ、私たちは友達になれるだろ?」


「貴方様はマリーウェザー様の友達ですよね?お嬢様をよろしくお願いします」


気の所為でなければお前まで恋しそうに見つめないでくれよ!


音楽が終わるとスッと離れてさっとお辞儀して小走りに出口に向かった。名残惜しそうに見てくるジェイコブ

その後ろから「マリア待て」とレイナルドの声が聞こえた気がした…ひぇ


振り返らずに人をかき分けて歩くと「こっちだ!」と誰かに手を引かれた


それはルイーゼだった


カーテンの影から庭に出られた。窓を開けて、カーテンを少しだけ広げて細工してくれたらしい


「ありがとうございます…このまま馬車に向かいますわ」


掴んだ手を離そうとしないルイーゼ


「そなたは…マリーウェザーだろう?」


ギョッ!?何いってんだ「違いますマリアです!」


ルイーゼは知ってる

フリージアの君がマリーウェザーが変身した姿だと。

この会場にマリーウェザーがいない事と、スコットが噂を誤魔化そうとする姿に推測される

もしかしたらマリアもマリーウェザーではないか?ルイーゼは自分で推測した答えに驚愕した

もうマリアから目が離せない

マリアの姿にマリーウェザーの仕草を探して答え合わせをしようと必死だった

笑った時の顔や話すときの唇の動きや足の運びを熱っぽい目で見つめる

(※175話「シンデレラボーイ」参照)


「フリージアもマリアもマリーウェザーだろう?どうなっているのだ?そなたがアルラフマーン大使殿と婚約するなんて、そこまでして王太子妃になりたくないのか?そなたは…」


マリア「待て早まるな!」


影からヴラドが出て来てルイーゼを眠らせた

一瞬、手刀で首切るのかと思ったのは内緒ドキドキ

近くのベンチに座らせて側にグラスを転がしておけば酔っぱらいの出来上がり


ヴラド「ルイーゼの処遇はどうしますか?…消しても誰も困らないでしょう?」


「やめてあげろ!」


影からマリアンヌまで出て来た


「ややこしくなるから出てくるなよ」


マリアンヌ「マリアは僕の嫁だったのに…つまらない、つまらない、つまらない!もう我慢するの嫌だ!」


ヴラド「先輩!」


「マーリン落ち着けよ…」マリアンヌから魔力が膨れ上がる

足元が黒い落とし穴になった…次の瞬間真っ暗だった。


何も見えないけど自分がぼんやり光ってるのが解る

そして暗闇にマリアンヌの顔が浮かんでいた


「マリアンヌどうしたの?急に落とし穴に入れるなよ…お前もダンスしたかった?踊る?」


『……』


「何で黙ってるの?…言ってくれないとお前が何考えてるか分からないよ」


『……』


「ほらおいでー…寂しかった?」両手を広げておいでのポーズ


『……』


「毎日一緒に寝てるだろ?」猫型マリアンヌとな


『……』


「本当に何だよ…帰るぞ?」


『……』


「マリアンヌ?」


『…もう僕の事好きじゃないの?僕の事飽きた?』


「飽きてないよ大好きだよ?」


『だってお前と2人で話す時間がなくなった!猫の時にしかお前に触れないのにお前すぐ寝る!夢で会えても現実のお前は僕を見ない!!嫌なの!寂しいの!

僕が居なくてもお前はいいんだ!そんなのつまらない!つまらない!馬鹿!僕は何の役にも立たない!僕なんて必要じゃない!僕がいなくても楽しそうなそんなお前なんて嫌い!大っ嫌い!』


俺は驚愕した

毎日モフモフを堪能して抱っこして寝てるから勝手に満足してた…

マリアンヌは俺と話せる少ない時間を楽しみにしてるのに、俺はすぐに寝るから寂しかったのか


「ゴメン…お前に寂しい思いさせてた。お前が我慢できなくなるまで気付かなくてごめんな。何も言わずにいなくなってたらと思うと怖いよ」


今まで付き合ってきた彼女達と自然消滅してたのって…俺のせいか


『うあーん…馬鹿バカ!違う!僕の気持ちがわからないお前なんて嫌い!』


「俺が悪かった、こんな事させるまで気付かなくてごめんな。俺は寝る時にお前と寝れて安心して満足してたんだよ、これからはすぐ寝ないように沢山話そうな。休みの日は、たまに2人で出かけよう…だからやり直させてくれ!ずっと大好きだよ」


いつの間にか幼女マリーウェザーに戻ってた



『マリーウェザー……嫌いって言ってごめん本当は大好きなのに嫌いって言ってごめん』


「お前が嫌ってないって知ってるよ。俺もいつも大好きだよ寂しい思いさせてごめんな?

毎日一緒に寝てるからお前は寂しくないって思ってたんだ…だってお前はずっと一緒にいると思ってたから。お前がいつか離れてくかと思ったら怖くなった…俺馬鹿でごめん、大事に想ってるよ、側にいろよ」


『僕は側にいてもいいの?役に立たない僕なんか必要なの?僕の事まだ好きなの?お前は…吸血鬼に取られたと思ってた』


心臓がえぐられるようだ…

ぐぉぉ!二股なんてやっぱ俺には無理!


「…うぇーんマリアンヌぅごめんなさーいぃ!ぶぇーんグチュルうぇーんえーん、マリアンヌぅ大好きだよごめんなさーいびぇーん、マリアンヌごめんなさーい、マリアンヌが一番好きぃー!いなくならないでぇ!寂しいよぅわあぁーんわぁぁーん」


泣いて泣いて誤魔化した…

女の子や小さい子が泣いて謝るアレ


マリアンヌがアワアワと表情を変えて抱っこする。

あやしたり、撫でたり、背中をトントンしたりチュッチュッしたり色々する


ただ、途中で止めようと思ってもえっぐえぐがしゃっくりみたいに止まらなくなった。

これじゃまるで本当に子どもみたいだ



泣きつかれて寝たようだった


気づくと朝だった、部屋にカーテンの隙間から朝日が差し込んでてめちゃくちゃスッキリ爽快。

でも目が腫れてる感じ?


「マリー起きたの?おはよう」


そして隣に寝てたのはマリアンヌじゃなくてスコットだった

チュッと朝の挨拶をされて頭を撫でられる


「おにーさま、おはようございます」


「マリーが寂しいって気付かなくてごめんね。マリーは楽しそうにクラスに馴染んでるって聞いてたから、僕がいなくても寂しくないって思ってたんだ。自分で考えて決めた事だし仕方ないって思って。

そう言えばマリーが寝てから帰ってるから僕は毎日会ってるけどマリーは僕に会ってなかったんだね。こんなに泣くまで寂しかったなんて…可愛いマリー、クラスが離れてるけど僕はずっとマリーを大切に想ってるからね。イイコイイコずっと大好きだよ」


「おにーさま」うるっときた


布団の中でギュッと抱きしめられて、おでこにちゅーしてくれた


「私は罪人つみびとです…全然イイコじゃないです…うぅ」

(※コルドバータ城を壊した事がトラウマ)


「マリーはイイコだよ。…もしマリーが罪人なら、僕が一緒に背負ってあげるからね。マリーは一人じゃないよヨシヨシ。それにマリーに救われた人はたくさんいるでしょ?優しいマリー」


瞼にキスをして涙をぬぐう

心のザワザワが落ち着いてくる。お兄ちゃんセラピーか?凄い効果だよ


スコットはジェイコブとヴラドに指摘されて気付いたそうだ


俺もマリアンヌに同じ事してたからスコットの気持ちもわかる。マリアンヌはボッチで俺しかいないけど、マリーウェザーは隣のクラスで楽しそうにしてるからスコットは自分の方が寂しいと思っただろうな。


目が腫れてパンパンだったからスコットが濡れタオルをもらってくると部屋から出た


「マリアンヌどこ?」


足元が膨らんでマリアンヌが出て来た

プイッと不貞腐れてるようなバツが悪そうな顔をしてる…猫なのに。


俺は飛びついて抱きしめた

「お前がいなくなったかと心配したじゃん!」


『昨日の事覚えてないの?お前吐くまで泣いてたんだぞ…お前が壊れたかと思ってびっくりした

僕が嫌いって言って意地悪したから?もう言わないから壊れるなよ。何をどうしたらいいか分からなかった。エリクサー飲ませようとしてもお前ゲボゲボ吐くし』


「泣きゲロなんて子供あるあるだろ…ゲロで喉詰まらせないように気をつけてくれたらいいよ」


そんなんにエリクサー使うなよ勿体無い!とは言わない。どうにかしようと頑張ってくれたんだと思うから


『…ケロッとしてるお前見て安心した、今の今まで本当に嫌われて捨てられるんだって怖くて仕方なかった。(ガクガクブルブル)

お前から流れてくる魔力は変わらないけど、あんな事したからもう一緒にいない方がいいかもって思ったら…胸が張り裂けそうに苦しかった。

自分でした事だけど後悔してるよ、お前を試そうとしたんだ』


「大丈夫だよ嫌ってないよ大好きだよ」


『猫の姿で一緒に寝れるだけでも幸せだって、僕、今が当たり前みたいに思ってたんだ。お前と出会う前の僕はどうやって存在してたのかわからない。

我儘言ってごめん反省してるよ、お前は人間で僕とは時間の長さが違うって知ってたのに、お前に僕の気持ちが伝わらないってイライラしたんだ。

寝る前のほんの一瞬でもお前には長く感じてるんだろ?今まで通りでいいから側にいてもいい?

もう我儘言わないから捨てないでマリーウェザー』


なんか勝手に反省して納得して解決してる?

とりあえず震えて泣いてる猫を抱っこしてあげて撫でる、お兄ちゃんの抱っこセラピー気持ちよかったから


「ヨシヨシ、イイコイイコびっくりさせてごめんね。我儘言っていいんだよ、俺お前に我儘言われるの嫌じゃないよ嬉しいんだよ。我慢させてごめんな、人間の俺に付き合わせてお前の気持ちわからなくてごめんな。お前のことずっと大事に想ってる信じてくれよ」


『マリーウェザー…あんな事した僕を許してくれるの?』


「許すも何も泣きゲロなんて幼児あるあるだから、本当に大したことじゃないよ?」


元は嘘泣きだし…罪悪感でいっぱいだよ。幼児の回復力が半端ないな、泣いて寝たら気分とストレスもスッキリ


いや、元カノ達と自然消滅の衝撃はまだちょっと胸にのこってるけどな!

二股の問題も一切解決してないし!


(※アブドゥル大使とルイーゼを放置して帰った事を忘れてる。アブドゥルにはヴラドが「先に帰りました」しれっと誤魔化した)


後で知ったけどパーティーから帰宅後、俺はスコットの部屋で寝てたらしい

ヴラドとデュランはマリーウェザーがいなくなったなんて一言も言ってなかった


マリアンヌの慌てようから、もしかしたらゲロ吐いて痙攣でも起こしたのかな?




昨晩の回想―…

マリアンヌがアワアワしてマリーウェザーを自室の部屋に寝かせてたらアンナが入ってきた


マリアンヌ「アンナ!マリーウェザーが壊れた!」


アンナ「キャッ?!びっくりした!マーリンさん?何をっ…あっ!

お嬢様が寝ゲロ?!大変だわ!マーリンさんパニックになるのは解りますが落ち着いて下さい。もー!!ちょっと邪魔ですから端っこに行って」


小さい子のゲロなんてそこまで珍しくもない。

ジャンプしすぎただけで吐く時は吐く

アンナはつい最近まで双子の赤ちゃんの乳ゲロの世話もしてた

ヨハンを呼んできてチャッチャとマリーウェザーを拭いて着替えさせて、熱が無いか確かめてからスコットの部屋に寝かせた。

アンナとヨハンがささっとゲロの始末やシーツを剥がして新しいのと交換してる間にスコット達が帰宅する


マリーウェザーが寝ながら吐いたと聞かされて、みんなで見に行くとスヤスヤ寝てる

ジェイコブからマリーウェザーが寂しがってると聞かされていたスコットは涙のあとを見てショックを受ける

デュランとヨハンとアンナが子供は泣きすぎてえずいて吐く事がある、熱もないし病気とかでは無いだろうと慰めた

スコットが心配して夜中何度も起きてマリーウェザー様子を見てたらしい。

幼児はそのまま朝までぐっすり寝て全回復した




それから俺はスコット、サイモン、アンナ、ヨハン、猫型マリアンヌ、ヴラド、デュラン、斬鉄を連れてピクニックに来てる。

俺とスコットが家族みうちと認識してるメンバーだ。


ここはカレッジの山の裏側にある公園みたいなところで、王都が一望できる隠れたデートスポットだった。

お兄ちゃんが誰と来たのか気になったけど、レイナルドが夜景を見せてスコットに自慢したらしい

「私は将来良い王になりたい」とな。


ジェイコブが気を利かせて「明日の休みは殿下に話しておくから妹と過ごせ」と言っていたらしい。いいヤツ


木陰にシートを広げてミニテーブル出してオヤツ置いてのんびりしたり、ボール遊びしたり楽しかった。

デュランが器用に軽い木でフリスビーを作ってくれた。もちろん投げて遊ぶ。斬鉄が犬のように走って取ってくれる


ヨハンは木陰でスケッチを描いている


シロツメグサの花冠をアンナが作って俺にかぶせた。アンナの乙女チックな一面を見た!

俺は花に虫ついてないか気になったけど…乙女チックじゃなくてごめんよ。一応喜んで皆に見せびらかしたよ?「アンナが作ってくれたの嬉しい」って。

作り方を習ってマリアンヌの分も作ってお揃いにした。


「黒猫の頭に白い花冠は似合ってるわ」『にゃー』


スコット「マリーはそうしてると本当に花の妖精みたいだね、世界で一番可愛いよ」


俺の聞きたい言葉が聞けて満足だ


「おにーさまは世界で一番素敵な私のおにーさまですわ」


デュラン達が「今度は兄の為に国盗りしそうですな」とボソッと呟いていた


しないよ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ