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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
学園物語
281/372

アブドゥル大使と戦場の姫騎士3 ヒロイン断罪編

城のセレナーデの部屋から

「はぁ?お姉様が帰ってきたって?本当にしぶといわね、あのゴリラ女っ!」


セレナーデは持ってたティーカップを投げ捨てた

ガチャーンと割れる音とメイドのヒッ!と言う声に苛ついた。


「何よその目は?何か言いたげね?ふふっ…斬首ビヘップ」指でクイッと


メイドは土下座して命乞いをした

「お許しくださいセレナーデ様!申し訳ございません!お許しください、お許しください」


「うるさいわ、早く連れていきなさい」


伝言を持ってきた執事がそのままメイドを連れて出ていった


「アレナが生きてたなんて…やっぱり試練を越えたから?

国王おとう様はアレナを疎んでいたけど、でも怖がってたわ。お母様は『私は悪くない』しか言わないし、試練って何よ!

面倒ね、私が王位を継いだら2人とも処刑して試練の塔は封鎖してやるわ」


バタバタとドアの向こう側が騒がしくなった


「騒がしいわね、ペドロ達は今日は来ないの?

護衛騎士でもつまみ食いしちゃおうかしら、サロメン呼んで!

獣人の仔はまだ生まれないの?また狩りでキャンキャン鳴かせたいわ〜ゾクゾクしちゃう」


バン!とけたたましくドアが開いた


王直属近衛騎士「セレナーデ様、急ぎ玉座の間まで連行致します。失礼」


「ちょっと何よ!はぁ?離しなさい無礼者!やめっ…本気なの?痛いわっ離して!」


扉の向こう側には何人も騎士が待機していた

そして先に追い出した執事とメイドも拘束されていた



連れてこられた玉座の間には夕食後の時間だと言うのに沢山の人が集まっていた(20時頃)

暴れるセレナーデを騎士が押さえつける


「何よ!離しなさい!お父様っ陛下!この無礼者にやめるよう言って下さい!」


王「セレナーデ、そなたは私に試練を越えたのは本当は自分だと言ったな?アレナが嘘つきで自分を信じろと」


「ェッ!?…はい、それが?」


王「今しがた私も見てきた。試練の塔の前に青の精霊獣が顕現してアレナを守っている

いにしえの伝承にあった【口寄せの術】で呼ばれた精霊であろう?

『何人たりとも扉に近づく事を許さぬ』とな

そなたの精霊獣はまだ顕現せぬのか?試練を越えたのであろう?」


「お姉様が何故再び試練の塔に?…はっ」しまった!


宰相「再びと申しますか…。アレナ王女が再び試練の塔に入ったのは汚名返上の為ですよ。今度は塔の財宝でも持って帰って来るのではないですか?

アレナ王女は戦場で相まみえた強敵アブドゥル・アルラフマーンを懐柔して帰ってきたのです

かの騎士がまるで姫を守る騎士のようだったと…」


「はぁ?お姉様に負けて連れてこられたような奴がどうしたと言うの!」


近衛「アブドゥル・アルラフマーンを知らないとは無知にも程があります!!5年前の戦場で1人で5000人斬ったと言われてる悪魔です!

従えて帰って来るなど奇跡だ!それにアレナ王女のお姿は、まさに美しい戦姫でした!」


「それが何よ?お姉様の腹筋がその辺の騎士よりゴリゴリなのはみんな知ってるわよ」


兵士モブa「そのゴリゴリが美女に変わってたって言ってるじゃん!話聞けよ

邪竜殺しアルラフマーンがアレナ王女に惚れて付いてきたって話しですよ」ヒソヒソ


兵士モブb「あの美しさならアルラシードの怪物も惚れるのは仕方ないな」ヒソヒソ


兵隊長「アレナ王女様の本当のお姿は陛下の祖母オキーヌ様の生き写しでした。私もそのお姿を見ました!美しいアレナ様の本当のお姿を何人も目撃しています」


「はぁ?言ってる意味が解らないわ」


王「セレナーデよ、そなたはアレナを呪ったのか?」


「呪う?何のことです?」


兵隊長「しらばっくれるつもりか?

無実の侍女を断頭台に送った事も証拠が出てきました。

獄中のアレナ王女に劇薬をかけたり、食事に毒を盛ったり、既に調べはついています」


「な、何よ!知らないわ!私じゃないわ!

私に懸想してる馬鹿が勝手にやった事を言われても困るわ」


宰相「厨房係が1人消えてます。その者は周りに大金が手に入ったと、病気の兄妹の為に薬を買いに行くと言ったきり戻ってこず、実家にも帰ってないそうです」


「は?厨房係なんて知らないわよ」


宰相「厨房係の青年は自責の念に耐えかねて教会で懺悔していたそうです『セレナーデ様の蛮行が終わりますようにアレナ様をお救い下さい』と」


「私を貶めるための嘘よ!それこそアレナお姉様の仕業ね。スクールにいる時によく使ってた手だわ!みんな第1王女の肩書に騙されてるのよ

ペドロ達に聞いたらすぐに解るわよ」


宰相「おやセレナーデ様はご存知ないのですか?」


王「ペドロ・フェルマと、誰だったかなマリオ・ムンランら他数の調書は既にここだ。みんなお前に命令されて仕方なくやった事だと自白したぞ

まあ投獄されたと聞くやすぐに実家から縁切りされておる。今はもう彼らは元貴族のただの平民たちだ」


宰相「エド・フェット・スクラントンの例がありましたから。どの家も連座で処刑されぬよう貴族籍から抜かれるのが早かったですな」


兵隊長「彼らは腕をひねっただけですぐにペラペラ話してくれました。試練の塔などセレナーデ様は近寄ってすらいないと。聞いてもいないのに関係ない事までたくさん。

スクールにいた時はクラスメイトだけでなく教師や護衛騎士、果ては馬丁とまで関係を持っていたとか?そこまでやって出来ないのなら石女だと彼らは笑って教えてくれました」


「石女ですって!そんなわけないでしょ!あいつ等信じられない!散々やっといて裏切ったわね!殺してやるわ!

下手に出来ないように避妊薬を取り寄せてるに決まってるじゃない!

短小包茎の早漏素〇ンどもが!」


王妃「セレナーデ!もうやめなさい!!

貴女はもっと優しい良い子だったじゃない、どうしてこうなったの?

アレナはあの熱病以降よそよそしくなってしまって、貴女だけが私の心配をしてくれたじゃない」


「ふふっお母様は本当に何もわかってないのね

私達が本当の双子だったらもっと仲良くなれたかもしれないけど

お姉様は本当は誰の子なの?メイドがお手付きになって、お母様より先に生んだから引き取って育てたのよね?」


王妃「何の事?…誰がそんな事を言ったの!アレナも私が生んだ子よ!貴方達は本当に双子の姉妹なのよ!」


「嘘よ、お姉様だけ誰にも似てないじゃない」


王「本当に双子の姉妹である。私も立ち会ったのだ。そっくりな声で2人分の産声が聞こえてきた」


「そんなの嘘よ!なら何で似てないのよ、それにお母様もお父様も無視してるじゃない」


王「……無自覚に呪ってるのか?

そなたの恨みが呪いとなり美しいアレナの姿を醜く変えたのだ」


「は?私が呪った??そんな訳……キヤァァァ!!」


いきなりセレナーデに黒いモヤが纏わりついた

みんなどこから攻撃されてるのか解らなくてパニックになった


近衛「王をお守りしろ!」


兵隊長「どこからだ?探せ!王妃様、近寄ってはなりません!」


王妃「セレナーデどうしたの!セレナーデ!はっ…あなた顔が!!」


「私の顔が何?あれ声が違う??何このシミだらけの手、これが私?あぁ、顔に違和感が…誰か鏡を早くぅ私のぉぉ顔がぁ」


王「捕らえよ!魔女がセレナーデに化けておったわ!」


「魔女?私が?お父様っ私はセレナーデです!お母様助けてぇー」


王妃「イヤー!私のセレナーデがぁ―……」

その場で倒れ、近衛に抱きかかえられ運ばれていく


一瞬、窓ガラスに反射した姿が写った

艶のあった黒髪は白く濁ったグレーになり、顔にはシミとシワ、鷲鼻の醜い魔女の姿が


「イヤー!私の顔が!誰か助けて!誰かぁっ……」


ガンッと殴られて大人しくなった


宰相「これは一体どういう事だ?」


どこからか声がした「呪い返しにあってのでは?アレナ王女が本来の姿に戻ったようにセレナーデ様も」


王「あれが本来の姿だと申すのか!」


宰相「アレナ様にかけられていた呪いがセレナーデ様に返って醜くなったとも考えられます」


王「どうやったら解けるのだ!」


兵隊長「アレナ様の呪は、邪竜殺しの英雄アブドゥル・アルラフマーンが解いたのだと…

今はアレナ様と共に試練の塔の中でございます」


王「出て来たら即刻捕らえよ!」


兵隊長「しかし、アレナ様も一緒です!下手に刺激すれば危険です」


王「構わん、アレナごと捕らえよ!子なら第二夫人の男の子がいたであろう?バニラだったか?」


宰相「陛下!…私の孫がヴァニ様と年回りも良いです」


王「そうか考慮しょう」




一方その頃、試練の塔へ入ったマリーウェザーたち


ヴラド「次の角は右です」


「リアル迷路…トラップいっぱいあるし、本物のピラミッドの迷宮だな!ハム〇プトラシリーズの映画みたいだ」ワクワク


アブドゥル「私1人なら迷子になっていました」


ヴラドのコウモリやヘルハウンドを出して迷路を攻略中だ。飛ぼうにも天井まで壁だし低いから斬鉄にも乗れない


それよりもアレナの肉体ボディ全然疲れない!まさに戦姫だな

そんで恐ろしい事にアレナから見たアブドゥルは頼もしくて格好いいのだ。


俺の繊細な精神は、アレナの強靭な肉体に引っ張られてる…いや早くない?

変身してからまだ2時間ちょいだよな?

アブドゥルの眼帯も厨二病こじらせた感じじゃなくて本物の渋い隻眼の騎士に見える。あるぇ?

そのうち「抱いて」とか言い出しそうな自分が怖い


ヴラド「今更ですが、入口付近の落とし穴から下層へショートカットできたみたいです

ヘルハウンドでわざとトラップを踏み抜いてみました。

この階から敵が出現します…おそらく毒蛇です」


アブドゥル「アスランハブです!」

ザシュっと天井からぶら下がってるヘビを切り落とした。

マリアンヌもムラマサで壁やすみにいるハブを切っていく


「ハブの毒か…エリクサーで解毒出来るかな?」


トモエ「エリクサーランクCで解毒可能です」


「じゃあ予め飲んでおこう。アブドゥル大使ハイこれ

噛まれないのが一番だよ?万が一もあるし」


アブドゥル「アレナ様…これは浮気になりますか?中身がマリーウェザー様だから大丈夫でしょうか?」


「何の心配してるんだよ、蛇に噛まれるぞ」


アブドゥル「仮にアレナ様が蛇に噛まれたとして、私が傷口から吸出します!…が、それは浮気に入るのかと思いまして」


入らないからその時は速やかに毒を吸い出してほしいです、って言おうとしたら隣から反論があった


ヴラド「は?心配せずとも私がやります!野生のハブの毒くらいで私は死にません

毒に汚染された血液ごと吸い出します」


マリアンヌ「お前ら気持ち悪ぅ!なあ、あいつら傷口舐めるって!そんなんで蛇の毒は解毒されないぞ馬鹿バーカ!」


斬鉄「毒が回りきる前にする応急処置じゃないですか?」


マリアンヌ「昔から人間がよくやってるけど、だいたい死んでるぞ?」


「なら俺が噛まれないように蛇退治してくれよな…キャァ!Gっぽい虫が!」バ〇サンでも炊きたい


アブドゥル「あれはスカラベです…遺跡によく出ます」


賢者の杖を出して「ライトニング」を連発する

気絶したり麻痺した蛇や虫ががポトポト落ちてくる


それから、仕掛けを解いたりして進んでいく。

両サイドのろうそくをつけないと開かない仕掛け扉があったり、スライド式のパズルを解いたり、謎かけ問題で選択肢のレバーを引いたりと長いので割愛する

道にはスケルトンが飾ってあって雰囲気あって良かった。

動くかな?動くかな?あれ?動かないの?なんだオブジェかよ、みたいな定番のドキドキ演出がね!


ヴラド「本物の髑髏ですよ」ボソッ 「え?」



ここを降りましょうとヴラドが言うのが、どう見ても奈落の底へ繋がる真っ暗な落とし穴


「階段はないの?」


ヴラド「この下に大きな空間があります」

コウモリの超音波で下の部屋の中を調べたらしい


ヴラド「普段入ってるのに何が気になるのです?虫や蛇の気配もありませんが」


え?マリアンヌの落とし穴ってみんなにはこう見えてるの?怖〜っ

俺にはマリアンヌの落とし穴って、フワッとしてて出口の向こう側が避けて見えるから全然怖くないんだけどね


俺は翼アイテムがある

アブドゥル大使がそのまま飛び降りるって言うから

「しっかり捕まって」とヴァイスと2人で支えて飛び降りた

決して自分一人で降りるのが怖かったからじゃないよ?ヴラドとマリアンヌが大使に触りたくないって言うし


思ったより穴が深くて、自然の洞窟を利用して作ったような壁にスケルトンがぶら下がってた

ゆっくり降りてるとアブドゥルが話しかけてきた


「すみませんマリーウェザー様」


「今はアレナですよ。まあダンジョン内なら構いませんが…どうしました?」


「私は…私にはグロステーレの商家の娘マリアと婚約した事実があります」


「うん?」また別の婚約話が上がってるのかな?


「それなのに、今どうしようもなく貴女に惹かれています。目の前の貴女に心が揺れています」


なんの話だよ!


「聖女様でもなく、マリアでもない…今の貴女に心惹かれています…私は罪人つみびとです!どうか私を罰して下さい

私が貴女を愛するわけにはいかない」


「え…」 ドクン


その時マリアンヌが「おらぁ!!」と大使の腹にパンチした

「ゴフゥ?!…何をする」


マリアンヌ「罰してやったぞ!糞ゴリラなんてさっさと落とせ!お前も臭くなるぞ」


マリアンヌが大使の手を払って蹴り落とした

ヴァイスがバランスを崩してアブドゥルごと暗闇の穴の底に見えなくなった


マリアンヌにお姫様抱っこされながらサッサと降りる


まさかアブドゥル大使からあんなセリフが出てくるとは思わなかった。何とも思ってなくても言われた方は多少は傷つくんだなと思ってしまった


逆に暗い穴の底からヴラドの綺麗過ぎるのに陰のあるイケメンの顔が浮かび上がってきて、そこらへんのスケルトンよりホラーだと思ったのも内緒だ


開けた場所に出てきたら、奥にひときわ豪華な王様ファラオの棺っぽいのがあった

手前に6体分あり、その周りに甲冑の騎士が並ぶ


その甲冑の一体がガシャンと動いた


「ボス戦だ!

あっ、聖女アバターじゃないからターンアンデッドが出来ない。トモエ!」


トモエ「御意 ミラーフォース」


マリアンヌ「ムラマサ行くぞ!」

ムラマサで甲冑の首を跳ね上げた


ヴラドは壁にかけてあった飾りの剣を手に取り甲冑を切り捨てる


するとゴゴゴゴコと棺がそれぞれ開いて布で巻かれてるミイラが出て来た


斬鉄が俺の側にいて、近くにあった石版をプールのビート板のようにブンブン投げ飛ばした


アブドゥルが名乗りを上げてファラオと対決してる

ミイラが何かモゴモゴ喋ってるようだけど、布ごしだから、ここまで聞こえない。呪いの言葉じゃなければ放っておいていいかな?

財宝の在処ありかだったら聞いておいてほしい


手前の棺から出た6体の内2体が魔法使メイジのようだ、しわくちゃの枯れ枝のような手が杖を持っていた。

そこから黒いモヤを出して斬鉄の方に向いた


「斬鉄危ない!ライトニング!アイシクルショット!」賢者の杖を振る


斬鉄「母上ありがとうございます!えい!」


ドゴン!

メイジの1人が感電してる間に斬鉄が強烈なアッパー食らわせて壁までふき飛ばした


隙かさずマリアンヌが首を跳ねた

連携が取れてきたな、うん。


するとファラオの包帯が燃えだした

けどダメージ食らってる様子がない、自ら包帯を取るために燃やしてるのだろうか?


アブドゥルはびっくりして動かない


「アイシクルショット!アブドゥル!」


俺の攻撃でアブドゥルがハッと気づいてファラオを袈裟斬りにしようとした

だがガシャンと甲冑が2体間に入りファラオの代わりに切られた


炎が消えて何年も寝てたミイラには見えないムキムキの褐色肌の美男子が現れた


「おりゃ!」

俺はノータイムでグングニルを投げた


だいたいこういう時って敵もなんか喋るよな、そんな暇は与えん!強そうだし先手必勝


そしてアレナの身体能力はやっぱ凄かった

グングニルが猛スピードで真っ直ぐにファラオの心臓を貫いた


ファラオ「ゴハッ!?あ゙あ゙ぁ゙ーゴボッゲボッ…」


ファラオの美しい顔が醜く歪み化物の顔になって、血を吐き散らしバタンと倒れた。口や心臓の穴から真っ黒な煙が出て来て体がドロリと黒く溶けだす


「ハッ!そのモヤモヤに触れるな!!」


アブドゥルが一番近くにいたから黒い煙に包まれそうになったが

ヴァイスが自慢の脚力で突っ込んでアブドゥルを庇った


ヴァイス「アァァァ!?」

アブドゥル「ヴァイス!」

トモエ「呪いです!」

マリアンヌ「呪いだ!近寄るな!」


黒い煙に包まれ渦巻くと、少年姿だったヴァイスがムキッとした老人になった


ヴラド「チッ!呪いに気づきませんでした、これで最後だフン!」


ヴラドが棺から出て来たミイラと甲冑の残りの首をゴキンと折って袈裟斬りにした。


「嫌な気配がしたんだよ、ヴァイス大丈夫か?」


ヴァイス「母上ぇ…」


アブドゥル「そんな(ゾッ)ヴァイスが爺さんになってしまった!」


「映画に出てきそうなナイスミドルのちょい悪オヤジみたいだよ?だからべそかいて泣くなよ。解呪出来るかな?」


解呪のルーンを刻むと黒いモワモワが体から出てヴァイスは少年に戻った


そして、モワモワっとした黒い煙は消えずにユラユラモワモワ漂う…まるで獲物を探してるようだ。


瓶にいれようと思う

フラスコ型の瓶の蓋開けて、瓶底の方の内側の空気を温めると気圧差?で空気が入るって習ったけど…


「おぉ!スルンと吸い込まれるように瓶に入った凄っ!」


マリアンヌ「ねぇ今の何したの?どうやって瓶に入れたの?魔法使った?」


「幼児でも出来る科学だよ」ドヤ顔


ヴラド「危険なので私がお預かりします」


「ありがとハイ。竜宮城の玉手箱みたいだな」



それから宝箱探すぞ!と見て回る

ファラオの棺の前に祭壇があり

そこに映画に出てきそうな聖杯が沢山並んでいた、映画ではシンプルなヤツが本物で命の水か何だったよな


素通りしたところでヴラドが声をかけてきた

「持って帰らないのですか?」


「いや別にいらないし。どれが毒でどれが当たりか分からん、全部毒の可能性もあるし全部ただの飾りかもしれんだろ?」


ヴラド「欲がないのか有るのか」


アブドゥル「本当に興味ないのですね…高値で取り引き出来そうですが」


「逆に呪われそうだよ。あれ?…よく考えたら俺ら墓荒らしの盗っ人じゃん」 


ヴラド「今更です」


斬鉄「母上!ファラオの棺から透明な水晶玉が出てきました…わっ!ちょっと光りました!」


占いに使いそうなボーリング程の水晶玉が入ってた

斬鉄が持ち上げると中に静電気ライトみたいなのが浮かび上がった


「触って大丈夫?へぇー、ルームライトとかラブホのオブジェみたいだな」


ヴァイスが触ったらより白っぽく光った

そこから面白がってみんなで触る


マリアンヌが持ち上げると全体的に黒く濁った


ヴラド「汚い色ですね、心の中みたいだプクク」


マリアンヌ「お前はどうなんだよ!」


ヴラドが触ると赤黒く濁った


マリアンヌ「ドス黒い血みたいだ!アハハッ

あー腐ってやがるのかぁ気持ち悪ぅー!お前の心の方がバッチィ色だな」


「こらこら喧嘩しない!

何だろうね?これルゥにあげよう。占いの小道具にすればいいや。大きさもちょうど良いしな。

触れば色が変わる水晶なんて、みんな信じるよきっと!」


アブドゥル大使も触ってみなよと、軽く俺が触ると球場のスタンドライトみたいにピカ―っと光った


「わぁっ!おっと結構重い、眩しい……え!?

コレはスキルガチャだ!……ん?しかも選べるぞ」


ヴラド「スキルガチャ?」


マリアンヌ「何が?お前には違うものが見えてるの?ねぇ?大丈夫?ねぇ!ねぇ!」


挑戦者チャレンジャーにしかスキルガチャは出せないのか?……ちょっと黙ってて!今見てるからっ」


【口寄せの述】猪八戒・沙悟浄・玉龍

【空蝉の術】道具や動物を使って自分の幻を見せる※声や気配はそのまま

【擬態】別人・壁・背景などに紛れる※声や気配はそのまま

【因明護身法】九字を切るor印を組む(※臨兵闘者皆陣―…)攻撃&防御に使える

【アイアンボディ】鋼鉄の体

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【ヒール】

【ハイヒール】

【エクストラヒール】

ハイヒールの上位版 MP1000消費

火傷・皮膚病・口内炎・胃腸炎・頭痛・鉄欠乏症貧血・痔・水虫・癌も完治

欠損部位・壊死・切断された手足が生える・潰れた目も修復される・五感が戻る


※ただし生まれつき無いものは再生しない

ガリガリがふくよかになったりしない、逆もしかり

再生した部分の経験値0 つまり、お箸は練習がいるし字も汚い、早く走れない等、リハビリや練習がいる。眼球は視力が落ちるが一週間程で徐々に回復し視力1,5くらいまで上がる



「いいのあんじゃん!コレにする、おりゃ!」


『ピロン♪ 聖女マリーウェザーはエクストラヒールを覚えた』


「やったー!エクストラヒールGETだぜぇ!

ここのダンジョン良さげだな、スキル選べたしスゲェ!

なあ、これって聖女アバターじゃなくても使えるんじゃね?そうだ、エクストラヒール!」


目立つ光の魔法陣エフェクトが出てアブドゥル大使の戦場で負った火傷の痕が綺麗さっぱり治った

→感動して抱きつこうとする

→ヴラドとマリアンヌに邪魔される


その後アブドゥル大使も水晶に触った

【以心伝心】をGETした


嫌な予感しかしない


アブドゥル「これでマリーウェザー様といつでも繋がれる!」


ひぇ


【以心伝心】

言葉によらずに、互いの心から心に伝えること。言語では説明できない深遠・微妙な事柄を離れていても相手の心に伝えてわからせること



「ちょっと待ったぁー!

使ってもいいよ?どうせ止めても使うんでしょ?

だけどさ日中とか学校で使われたら授業妨害だからね?

月に一度の寝てる時間くらいにしてよ!

なんて恐ろしいスキル取ったの、他にいくらでもあっただろ!身体強化系でも取っとけよぉー!

……あっ早速使いやがったな!うぉぉぉ解ったからヤメテー愛が重い

今の俺はアレナだから!愛を押し付けんな浮気だ!ヤメロー!」


アブドゥル「ふっ嫌がってるフリですか?それに浮気だとは思っていませんね。

あぁ~…私への愛を確かめることが出来ましたフハハ

私の想いを受け止めて下さってるのですね」ギンギン!


ヴラド「ふん!」

マリアンヌ「殺す!」


アブドゥルが2人からパンチ食らって「グハァ!?」と吹き飛んだ


ヴァイス「アブドゥル様!」

斬鉄「母上ー!」

トモエ「ミラーフォース!」


「あっトモエのミラーフォースのおかげで以心伝心が防げた?!うわぁぁんトモエちゃーん、俺汚されちゃったよぉぉん」


トモエ「大丈夫です汚されてません。一方的な思いは受け取り拒否が選択可能です」


アブドゥル「グッ…そんな!心はそこまで嫌がってなかった!」


俺はわざとらしく涙をこぼした

「今のお前が好きなのは褐色肌で同系統のアレナだろ?それはマリーウェザーへの思いじゃないわ」


「違っ!そんなはずはない!」


「以心伝心で本心は隠せないだろ?お前は"褐色肌なら差別とか気にせず国で暮らせる"とか考えてたな!この野郎!」


「ぐはぁあ!ほんの少しだけチラッと頭をよぎりましたマリーウェザー様!申し訳ございませんでしたぁ」


「今の私はアレナ!

アレナ・ザドム・コルドバータよ

確かにアレナは強くて美人で足も長くてお尻も引き締まってるわ

英雄と一緒に戦っても遜色ない…アブドゥルがアレナを好きになっても不思議じゃないもの」うるうるの瞳から涙がホロリ


「アレナ様…私は」アレナの涙から目が離せない。アブドゥルの胸が切なく締め付けられた


「アブドゥル愛してるわ抱いて!」


光の速さで弾かれたようにガバッと熱い抱擁とブチュッと濃厚な口付けをする

アブドゥルがアレナの頭と腰を手でしっかりと抑えつけて、離さないとばかりに自分の腰も擦り付けた


チュッチュヌチュヌチュと口付けた



マリアンヌとヴラドが動こうとすると白くて細い手が伸びてきた

見覚えのある艶で輝く白銀の髪が視界に入った


それは、15歳のマリーウェザーだった


「2人とも落ち着けよ、好きにやらせてあげなさい。あれでちょっとは気が済むだろ」


マリアンヌ「は?あれ?」


ヴラド「マリーウェザー様?!ではあっちは?」


俺は賢者の杖を振った

「賢者の杖で幻を見せたんだよこれぞ"空蝉の術"だよな。現実はほら」



ヴァイス「ブッハァ!ハァハァ!アブドゥル様、僕ですヴァイスですよ!オエッペッペッ緊張しすぎて口乾いてヨダレが超臭いです!舌も突っ込めばいいってもんじゃ無いですよっオエッ」バシバシ叩く


アブドゥル「は??なぜヴァイスがいる?……はっ聖女様!?」


「アレナとキス長かったな。

アレナは一旦おしまい!強靭な肉体に精神が引っ張られてたんだ、以心伝心でアレナの心情が伝わっただろ?お前とアレナは相性良いんだよ。

もしかしてこれがゲームの強制力か?」


アブドゥル「そんな!もう一度以心伝心!

グゥゥ…私は…私がマリーウェザー様を傷つけた?!……浮気して申し訳ございませんでした」


「ふん小賢しいこの童貞が!アレナの魅惑の肉体にチ〇コギンギンなくせに!

ソレでマリーウェザーが好きだと?図々しい奴だな。どうにもならない性欲と後ろめたさなんぞ伝えて来るな青二才が!お前に二股は100年早いわ」


アレナよりでかい胸を自分の腕に乗せて腕組みして、土下座して丸くなったアブドゥルをはるか高みから見下ろす

「お前が好きなのはマリーウェザーじゃなかったのか?」


浮気現場を目撃されたアブドゥルから以心伝心が途絶えた。


こうして、一途なアブドゥルの想いを掻き乱して以心伝心を有耶無耶にできた。

アレナの姿をしていても中身はマリーウェザーだから俺からしたら全然浮気じゃないよ?

けどまあ盲目的な愛し方も人それぞれだが、恋愛に紆余曲折はつきものだ。多分


どこから浮気になるかは個人差あるけど、後ろめたいって事はそう言う事だろ


どの口が言う?特大ブーメランな自覚はあるよ


ヴラドが一歩踏み出す前にマリアンヌが抱きついてきた。

ほんの数時間アレナになってただけなのに、マリアンヌの温もりが懐かしくて泣きそうだ


「僕のマリーウェザーに戻った!焦げ茶の瞳も肌も筋肉も僕はヤダ!お前はお前だろ?

マリアはお前の色違いだからいいけど。もっとギュッとして!僕は寂しかったの!

以心伝心って何だよ精神汚染か?」


「うん」

スキル経験値入った時に頭がスッキリした

マリーウェザーのレベルが上がったに違いない


恋愛経験のないアブドゥルが以心伝心で必死に無理やり思いの丈を俺の心にぶち込んできて、童貞丸出しの熱い想いが重くてしんどかった。

言葉で伝わらない時は行動で努力するものだろ?以心伝心なんてズルだよな

マリアンヌが軽いわけじゃないけど、この抱擁が心地よい


「母上!」

斬鉄が後ろからギュッと抱きついてきた


「心配させたな」


マリアンヌの肩越しにヴラドと目が合ったのに静かに目を閉じた


惚れた晴れたが疲れた…早く幼児に戻りたいなんてわがままでごめんね



「ダンジョン攻略したし帰るか」

メソメソ女々しいアブドゥルをヴァイスに運ばせ、来た道から戻るつもりで上を見上げたら

壁から透けた幽霊がワラワラ出てきた


『助けて…聖女様…』

『お願い…助けてください』

『あぁ聖女様』


トモエ「ミラーフォース」


「ヒッ…すまない、これただのコスプレなんだ。迷わず成仏しろよ」


マリアンヌがズイッと前に出る、溢れ出る負のオーラにお化け達が一瞬怯んだ

ヴラドの陰から眷属コウモリが出てきて幽霊を襲った


「マリアンヌ、ヴラドちょっと待て!獣人の幽霊だ。話を聞こう…獣人保護区へ連れて行こうか」


ヴラド「は?幽霊を連れて行くんですか?」切り捨てるように冷たく言い放った


機嫌悪いなぁ


「とりあえず話を聞くだけだよ

そこのウサ耳幽霊のお嬢さん話を聞かせてくれる?」


今の俺はアバターじゃなかった。身体能力の高いアレナでもない、エクストラヒールをGETしただけの雑魚なのを忘れてた


スタスタとマリアンヌから離れて不用意に比較的可愛いウサ耳幽霊に近付いた


縋りついてきた亡者の念を舐めていた、ゲログチョの幽霊達にあっと言う間に纏わりつかれる「キャッ…」


トモエ「御主人様!」

マリアンヌ「マリーウェザー!」


手を伸ばしたマリーウェザーが幽霊達に引きずり込まれるように壁の向こう側に消えてしまった


すぐにトモエが召喚されて消えたからマリーウェザーが無事なのがわかった


斬鉄が消えた壁に拳をぶつける

自然の洞窟を利用して作っただけに硬い


斬鉄「母上が壁の向こう側に!」

拳が血だらけになっても必死で壁を殴り引っ掻く


ヴァイス「斬鉄やめろ!」


ヴラド「アブドゥル!こんな時こそ以心伝心で居場所を探れないのか!」


マリアンヌ「あっ、早く以心伝心しろ!」


マリーウェザーがつい先程アブドゥルのメンタルをコテンパンにしたせいで以心伝心が使えなかった


アブドゥル「すまない…出来ない」


ヴラド「チッ使えない無能が!…眷属召喚」

陰からおびただしい数のコウモリが出てきて天井へ向かった


その時マリアンヌの腰に付いていたムラマサから声がした


「トモエがいるのはおそらく城の地下です…枯れた地下水脈の洞窟からここに繋がってます

戦姫の変身を解いたので母上の溢れ出た聖女の波動が彷徨える死者を呼んだのでしょう

終末の魔王の波動に怯んでも縋るほどの強い怨念です」


ヴラド「チッその地下水脈はどこだ?」


ムラマサ「…枯れても地脈は陽の気です。陰の気の方は阻まれます城から入りましょう」


アブドゥル「なら私は通れるのか?」


ヴァイス「その洞窟が狭ければ二度手間です城から行きましょう」



試練の塔からおびただしい数の蝙蝠が飛び出した。

それは夜空を覆って星が見えないほどだった


扉の周りにいた兵士たちや城の人々が恐怖に叫び逃げ出した

扉の前でとぐろを巻いていたデイビッドも驚いた


蝙蝠を一匹捕まえて聞いた

デイビッド「どうなっておる?」

蝙蝠『マリーウェザーが攫われた城だ』


その時、地面が大きく揺れ城が崩れ始めた

人々が逃げ惑う中、デイビッドは城へ向かった

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