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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
領主の娘 領地に行く
28/372

王城とは魔窟か?

朝のルーティンワークに人形のお着替えが加わって、アンナが楽しそうにしてる


朝食に疲れた顔をしたお父様が

「マリーちゃん、今日はお城に行くよ。準備してね」と溜め息をはいた


え、お城ですか?ついにお城に行くんだな俺!

騎士団とか見てみたかったんだよな!楽しみ楽しみとワクワクしてたら

『僕も連れてって』と隣から聞こえてギョッとした。ヒソヒソと

「はあ?何言ってんだよ、無理に決まってんだろ?連れてけないよ」

『お前、なんかやらかすだろ?それに、僕はお城には入れるんだよ。本物の闇の精霊と契約してる人間はいつも城にいるから、あそこは闇に寛容なんだよ』

ゾーっとする

「聞きたくなかった、城めっちゃ怖いんだけど?何、闇の精霊同士なら仲良いの?」

『僕は闇の精霊じゃない!』

「ハイハイ、穴の精霊さんね」

『変な呼び方するな!』


「マリーウェザー、そんなに人形が気に入ってるなら、お城に持って行ってもいいんだよ?

雪に埋もれてる間、お世話になった子爵家が王都でも売りに出したいって言ってたし、可愛い女の子が持ってるだけで宣伝になるね」


ぐぬぬ

「マリーウェザー、私と離れなければ大丈夫よ?無くさないように、お揃いのリボンを付けていくわよ」

フフフと楽しそうにお母様が笑っていて、置いていきたいと言えなかった。



ドレスのデザインに合わせたような人形の服。はたから見たら可愛らしくて、小さな子どもが人形を持ってても違和感がなかった


お父様とお母様と馬車に乗り、そう遠くない道のりをゆく

桜のようなフラグムの木は既に散り、緑の葉と赤い実がポツポツ見えた


「今年は雪もそうだけど、他にも予定が狂ってしまって春の宴に間に合わないかと思ったが何とかなったな」


「そうですわね、マリーウェザーが作った料理器具が王都の工房で作られているみたいですわ

ライスの粉から作るパンも、スチュワート商会が新商品として売りに出していましてよ。

ミネルヴァから表彰式の案内が来てましたわ

それから―――」


お母様に丸投げしてたアレコレをきく、俺がミネルヴァでアソンデル間に、組合の人に会ったり、話合いをしに街の組合本部に行ったり、権利を売ったりして、ソコソコ小金になったから、俺名義の貯金にしてくれたんだと

ただ、魔法陣関係はミネルヴァの先生たちも慎重にしてるようで、お母様も知らないようだったが、天然酵母をスチュワート商会が売りに出しているので微妙にグレーだ!

柔らかくなる魔法で作った、首から下げるパスケースは、完成していて明日持ってくる予定だ。


ママありがとう、やっぱ大変なんだな、子どもには任せられないアレコレ

夫がいないのに頑張ってもらいました。


あっと言う間に城に付いた

アンナは登城には教育不足だと自覚があったようでお留守番して、サイモンがギリギリ合格が出て俺の世話役に付いてきた。

寒いのに御者台に乗って、馬車の扱いを覚えたいと言っていた。ホントは家族水入らずの邪魔をしないように気を使ったんだと思う。

サイモンは時々、寂しそうにこっちを見てるからな、俺が(アンナに誘われて)人形遊びしてるときは寄って来ないし

サイモンの年だと、もう人形遊びはしないよな


お父様は、寄るところがあると先に行き

案内役の宮仕えの人が控室まで連れてってくれるそうだ

「マリーウェザー、お利口さんにしてるのよ?

サイモン、目を離さないでね、危ない時は大人の人を呼ぶのよ?いいわね」

「「かしこまりました」」


控室でお茶を飲んで待っていると、お父様といつかの禿げた宰相様が入ってきた

あの時より疲れ気味だな、禿げが進行してそうだ


「ごきげんよう、コルチーノ婦人

お久しぶりでございます、お変わりありませんねいつ見ても大変お美しい」

「ごきげんようおチビさんたち、元気だったかな?」

とお母様が挨拶を交わしていた、お父様と何やら話していたけど、子どもには聞かせたくない類の話しかな?警戒と言うか、緊張感がある


何処かへ移動するみたいだ

右手でサイモンと手を繋ぎ、左手にフリフリドレスのマリアンヌ人形を抱えて歩く

振り返り微笑ましそうに見る人もいれば、苛ついた感じでフン!みたいな人もいる

目立つ人形を持ってると、いらぬ視線を集めるな、置いてくればよかったぜ

城の奥に進むに比例して化け物率が上がる


謁見の間ではなく、隣の控室かな会議室みたいなところに入った

すぐに人払いがされ案内された奥には

王冠を被ったライオン


そ、の、横に、黄色いイボイボゾウガエルと表現したらいいのか、今までの化け物が小枝にしか見えない本物の化け物がいた


サイモンが手を握り返してきて、はじめて自分が力いっぱい繋いだ手を握り締めていたことに気がついた


化け物なのに、青い目でこちらを見て赤い口紅でニヤリと笑った気がした


両親が挨拶をしている

続いてしなければと、サイモンから手を離して人形を左手に抱えたまま

「ご機嫌麗しく

お初に御目文字いたします

マリーウェザー・コルチーノでございます」

とカーテシーをした


席に案内されたが、薄い紫色の紅茶は飲む気にはなれなかったし、お菓子にも手をつけようと思わなかった


「緊張してるね? 小さいのにここがどこだかわかっているんだ、賢い子じゃないか、遠慮なく食べていいんだよ」

ワハハとライオンが笑ってるけど、隣の化け物が強烈すぎてライオンが霞んでしまう


『おい、解毒しといたから飲んどけ!』

膝の上に抱えたままのマリアンヌから声がした


見ると、紅茶は普通の色に戻っていた

一口飲んで、ケーキを一口食べて「美味しいです」と笑っておいた


両親たちが何の話をしてるのか、全然頭に入ってこなかった。化け物から視線を感じる、怖いんだけど!俺、頭から丸呑みされない?


執事見習い服のサイモンは壁際に立ち、緊張した顔で話をきいていた


「ごきげんよう」

最後の挨拶が終わり、部屋を出る

お家に帰るまでが遠足です気を抜けません!


サイモンと手を繋ぎ、お父様はそのまま仕事にお母様と帰ろうとした所で城の侍女にお茶に呼ばれた

今しがた飲み食いしたよね?帰ろうよママ!と見上げたら困った顔で了解していた



案内された先に化け物がいました。隣にモブ顔王太子殿下


「先程は、あまりおしゃべり出来なかったでしょ?私、貴方達ともっと仲良くなりたいのよ」


「王妃様のお呼びとあれば喜んで」

とママが淑女の令をしていたので、急いで合わせて令をした

「まあ、本当に可愛らしい子だこと」

とテーブルに案内され、人形を抱えて座る


「お久しぶりです、コルチーノ伯爵婦人

マリーウェザーまた会えて嬉しいよ、可愛い人形だね」


「ごきげんよう殿下

娘のお披露目においで下さり、ありがとう存じます」

「ごきげんよう殿下

先日はありがとう存じます」


「殿下じゃなくて、レイナルドって呼んでいいよ?」


「レイナルド!

小さなお嬢さんは緊張してるのよ?そういうのはもう少し仲良くなってからになさい

ごめんなさいね、あなたのお披露目が楽しかったようなの、何か特別な事をなさったのかしら?」


「特別?何も、よくあるお披露目ですわ

冷えてきたので帰る前にホットワインを出しましたの、殿下も飲まれまして?」


「飲んだけど、酔ってたわけじゃないんだけどね・・・」


受け答えは、お母様にしてもらって、黙って座っていた。早く終われーと念じたが


「レイナルド

小さなお嬢さんを庭に案内なさい

ソワソワしないの、あなたは落着きがないわね!お嬢さんを見習いなさい」


お母様がサイモンを見て、サイモンが頷く


部屋のテラスから外に出て庭を殿下の後を付いていく、東屋に向かっているらしい。帰り道を必死で覚える


「ここまで来たら大丈夫だよ、お母様は怖いけど、はじめて会った人に意地悪しないよ?」


『毒入り紅茶出しといて何言ってんだよ』

俺は人形の口を抑えて

「すみません、お城は緊張します」


「よかった、挨拶しか喋ってくれないかと思ったよ。もっと普通に話していいよ?緊張しないで」


と、サイモンからさり気なく離して、肩を抱き、東屋のイスまでエスコートされた。サイモンは少しだけ離れた所で立っていた

長椅子に並んで座わらされ話しかけられる


「君にまた会いたいと思っていたんだよ、あの時の事が忘れてられなくてね。君の回りは輝いていたんだけど、今日は普通だね?そのお人形のせいかな?

ああ、取ったりしないよ見せて?」


『気をつけろよ、コイツただものじゃないぜ』

同じこと思った!

じゃあ黙っててくれる?何で喋るの!


「大事なものなの、少しだけ、です」


「ふーん、どれ、悪いものじゃないかな?

はい、ありがとう返すよ」


『ふぅ~』

ふぅ~、なんだったの?

『僕の感だけど、多分こいつ少しだけ見える奴だぜ!』

やっぱり?じゃあ喋るのやめて静かにしなさいよ!ドヤ声で語ってんじゃねーよ


「――――そんなわけで、母上は、あんまり賛成していないけど、僕は君の方がいいよ

父上と相談してみるけど、君の気持は・・・まだ流石に早かったね

ゆっくりでいいから考えておいて?」


「え、あ、はい、考えます?」

ヤバ!何の話だろう聞いてなかった


頭をなでなでして髪の毛を一筋手に取りキスを落とすとにこりと笑った

モブ顔のくせに、何してんだ?自分がイケメンだと勘違いしてそう、うわー

王子様だしなチヤホヤされてそう


それから、最近読んだ本の話とか、ミネルヴァの研究室に綺麗だけど強そうなオネエさんがいる話とか

フラグムの木をスルスル登るメイドがパクパク実を食べるとか、そんな世間話をした

笑いを取るつもりはないけど、会話はそこそこ楽しんでもらえただろうか?

流行とかの話は、男の子にはつまらんだろうと気を使ったのと、俺もそんな知らない

メアリー先生の受け売りだけ少し話して終わった


お母様が迎えに来て、王妃様は忙しいから挨拶は済ませたと馬車まで案内してもらった


帰る途中に、目立つ金のイボイボゾウガエルとすれ違った、怖くてもう見れないよ!すれ違いさまに「ごきげんよう」と声をかけられてお母様が


「ごきげんようマージョリー殿下」

と淑女の令をしたので、急いで無言のまま合わせた。見えなくなってから

「前王のお姉様でいらっしゃるのよ」とだけ教えてもらった


馬車に乗ってからサイモンがお母様に「帰ってから報告します」と言っていたので粗相がなかったかの確認だろう、雑談くらいは怒られないかな、心配になってきた



夕食の後にお父様の部屋に呼ばれて行くと

「マリーウェザーの婚約が決まった、レイナルド王太子と陛下が推しててね

マリーウェザー、お城でたまに王妃教育受けようか?」


「嫌です!

あ、じゃなくて、えーっと、どうして? き、急にそんな話になりますの?

そうだ! マリーはお父様と結婚しますのよ!」


「そうか、そうか、マリーは私が好きなんだね

女の子は可愛いなぁ。でもね、どうしようかな、断るとちょっと面倒なんだよね

発表は、カレッジに入ってからにしてもらおうと思っていたんだけどね」

お父様がハァー、と深く息をはいて


「マリーウェザー、君はカレッジを卒業してるんだよ、行ってもいないのに不思議だね?

試験の結果も見せてもらったけど、圧力の低い文字は子どものものだったしねぇ

本当に皆の前で試験を受けたの?ミネルヴァでも意見が割れていたんだけどね

新しい新発見があったのかな?それも関わってるの?

雪でいない間に分けがわからないよ本当に」


「私は、いつの間に卒業しましたの?」


「入学試験・定期試験・卒業論文に卒業試験

全部終わっているんだって、実技をするには身長が足りないと言われてね、カレッジにはマリーウェザーが乗れそうな小さい馬がなくてね

書類選考は全て通ってしまったのだよ、マリーウェザーを落とすとなると、ギリギリ合格してた子たち皆が落第になってしまう」


「おとうさま

カレッジとは学校とは集団生活を身につける場であると思いますの

勉強なんて、一人でもできますわ

学友や先生と共に過し、日々の中で信頼関係を築いていき、仲間を増やして立ち向ったり

イベントを成功させて達成感などを得るのは学び舎が1番です。間違っても指摘してくれたり修正が許されるのは学生までです

社会性や協調性を学んでからでも遅くはありませんわ、たった一度足を踏み入れただけで卒業なんて、あんまりですわ!

王妃や側妃になる方は青春がありませんのね?嫌ですわ!」


お父様ポカンとしてから

「4歳でそこまで言えたら気に入られちゃうよ、マリーウェザー、本当に行きたくないなら黙っていたらよかったのに」


言い訳が過ぎたぁぁ!どーしよー

と焦っていたら手元のマリアンヌから声がした

『泣け、泣き落としだ馬鹿め!ほら泣け!フリでいいから泣け!僕が涙の粒を用意してやる!』


「え? え、え〜ん

行きたくないよぅ、うぇーん、えーん!お城怖いようえーん」

ポタポタと水が頬をつたう


「き、急に泣き出してどうしたんだ!

涙まで流して、本当に嫌なのかい?王太子妃だよ?凄い栄誉なんだよ?」


「えーん、うぇーん、

おとうさまいつもお城行くとしんどそうだからイヤー

禿げたらイヤー、お城の人たち怖いからイヤー

うえーんえんえーん」


『大根が過ぎるぞ下手くそめ!』

ボタボタと服を濡らしたところで、部屋からだされた


「マリーウェザー

一応この件は、お断りしておくけど

時間の問題だよ? 私に出来るのは時間稼ぎくらいだ、心の整理をつけておくんだよ、いいね?

それから、他言無用だよ?スコットまでならいいけど、屋敷の使用人達の前では駄目だよ?

どこで誰が聞いていて、誰と繋がってるかわからないからね!アンナにもメアリー先生にも言っちゃ駄目だよ?」


「グズ、グズ、はい」


部屋に戻ったらアンナが待っていた


「お嬢様どうしたの! 服も顔もベチャベチャですよ!湯浴みの用意ができてます

さあさあ、行きましょうか

マリアンヌは、ここに置いといて!」


風呂で眠くて、こくこく船をこいでいた俺は、出たらすぐに寝かされた


真夜中に目が冷めたら、マリアンヌが俺の顔をのぞいていた


ぎゃあああ


『叫ぶなよ!こっちが驚くだろう!』


「真夜中にフランス人形が枕元にいたらチビるぞ、やめろよ!」


黒いモヤモヤが出て中学生男子の実体化になる

「お前の下手くそ演技、笑えたぞ!うえーんだってワハハ!」

腹をかかえて笑いだして楽しそうだ。


「ハイハイ、ナイスアシストでした!お涙どーもありがと! それより、あれって王妃? なんなの!あれ!」


『お前にはどう見えてたんだよ?カタカタ震えてたな・・・』


「俺には貞子も裸足で逃げる化け物に見えた」


『・・・・』中学生も絶句だった


「ラスボスがいたら、あんなんだろうな頭から飲み込まれるかと思った・・・こう、バクンとな」

手でワニの口を真似してみた。

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