閉話 ある悪女の物語
とある国に金髪碧眼のお姫様がいました
とても美しいお姫様で国の宝だと平民にまで歌われるお姫様でした
ある時、弟王子が産まれてきました
お姫様は、自分が姉になる事と自分とよく似た瞳と髪を見て、この子も美しく育つだろうと大変可愛がりました
「だって、私が赤ちゃんだった頃とよく似ているのでしょ?自分をみているみたいだわ」
そして、その次に産まれた弟王子は髪も瞳も自分と少しも似ていなかったのです
自分達は父王と母に似ているのに、側妃から産まれた弟王子は、側妃によく似ていたのです
後ろ盾がしっかりしているから選ばれた取り柄のない側妃の弟は、母親に見た目も、そして中身も似ているに違いない、これは私たちの弟ではない
お姫様はそう思いました
お姫様は社交界の華でとても人気者でした
ある時は隣国の王様が妃にと望み
ある時は海の向こう側から噂のお姫様を見に大使が派遣されたり
数多の男達の求愛をそでにし越に浸っていました
社交界のどの貴族もお姫様を讃えます
お姫様が輝いているからこの国は明るいのだ、そう流浪の詩人にまで謳われていました
自分と同じ髪と瞳の弟が王太子になりお姫様は自分の事のように喜びました
自分とよく似た美しい髪と瞳を見て大変満足していました
しかし、自分の婚約が決まり力のある公爵家に降嫁が決まりました
それでも、社交界では美しい自分に皆が平伏し結婚するまではお姫様でいられました
そして、王太子である弟に茶髪の可愛い婚約者ができて王太子妃(暫定)と呼ばれ、皆がチヤホヤしました、お姫様に対しても挑発的で、癇に障りました
ある時
「弟は、私によくにているのにね
あなたは私がキライなのかしら?結婚が上手くいけばよいのだけど金髪碧眼はお嫌だったのね?」
お姫様の逆鱗に触れた王太子妃は、本人が行った嫌がらせが100倍になって噂され、あることないこと夜会の場で暴露され、婚約破棄されて社交界から追放されてしまいました
「あの子は、王太子妃には相応しくなかったのよ、気を落とさないで、あなたの傷つく顔は見たくないわ私まで悲しい」
お姫様は、自分の派閥から新しい王太子妃を選び、金髪碧眼の気の弱い公爵令嬢と従順な伯爵令嬢を選びました
そして、気に入らない弟王子を自分が追放した公爵家に婿に出そうと思いました
「私が悪かったの
あの娘が嫌がらせをしていても、黙っていたから増長してしまったのよ、公爵家を抑える事が出来るのはあなただけ、お願い助けてちょうだい」
泣きながら懇願する美しい姉姫の姿に、初めて頼りにされた喜びに、弟王子は自分が城から追い出されるとは思わずに、言われるがまま公爵家に婿養子になりました
お姫様が涙をながせば、誰もが心を打たれ泣きやんで下さいと言いなりでした
そして、社交界から追放した公爵家の令嬢は、弟王子と結婚して間もなく不慮の事故にあいました
正式に婿養子になった元弟王子は公爵家の血縁から新たな嫁をもらい立派に公爵家を盛り立てました
万が一、気に入らない弟が王太子にならないように母親である側妃を離宮に閉じ込めて(人質)、食い合わせで毒になるように、お茶会の場で少しずつ毒を盛り続け、生かさず殺さず飼い殺しにしていました
そして、王太子と王太子妃の間に女の子が産まれました
誰もが新しいお姫様の誕生に湧きあがり国中でお祝いになりました
産まれた子は金髪碧眼の体の弱い深窓令嬢でした
この時、自分はお姫様ではなくなったのだと、こころにポッカリ穴が空いた気がしました
公爵夫人になってしまった元お姫様は、以前のようにサロンを開いても、人数が集まらないことに気が付きました
そして、自分が産んだ子どもは国のお姫様ではないのです
お腹を痛めて産んだのに夫に似た容姿の女の子は、少しも可愛いとは思いませんでした
こころの喪失感は埋まりませんでした
公爵夫人になってしまった元お姫様は、自分に似ている女の子が産まれるまで頑張りました
跡継ぎの(夫に似た)男児が産まれて屋敷の人達は喜びましたがちっとも嬉しくありません
次に産まれた女の子も夫に似ていて少しも可愛いとは思えなくて、つい階段から落としてしまいました
次の女の子も夫に似ていて不慮の事故に・・・
元お姫様の悲しみにくれる美しい姿に、夫である公爵は「麗しの姫の為ならなんでもしよう、だから離れて行かないでおくれ」と言いなりでした
屋敷の使用人の中に、金髪碧眼の男爵家の四男が働いており、出掛けるときは護衛に連れて行きました
ようやく自分に似た金髪碧眼の女の子が産まれ、よく一緒にいた護衛はいつの間にかいなくなっていました
その頃には、王太子だった弟が王に即位しており
自分が選んだ王妃様に、とてもよく似たお姫様が3人と弟に似た王子が一人いました
深窓令嬢だった最初のお姫様は、すっかり元気になって我が儘に育ちました、自分が社交界の華だと謳い、皆がチヤホヤしないと体調が悪くなったのはお前のせいだと罵り、自分が女王になるのだと毒花になっていました
「自分が女王だなんて、はしたなくてよ・・・見るに耐えられないわ」
そして悲しい事に、毒花お姫様は不慮の事故に合いました
自分に似た王子が王太子になれるように、邪魔なお姫様を次々に隣国に嫁がせ、この国からお姫様がいなくなりました
元お姫様の公爵婦人は、晴れやかな気持ちになりました
そして、時がたち
元お姫様の公爵夫人は、自分が選んだ気の弱い公爵家の娘が慈愛の国母と呼ばれ国民から慕われて、幸せそうに笑っているのを見ました
何故たがその慈しみの笑顔がとても気に入らなく思いました
慈愛の国母様は、不慮の事故にあい国民は悲しみに包まれていました
元お姫様の公爵婦人は、自分が産んだ金髪碧眼の女の子を国母にしようと思いました
自分に似た我が娘と
自分に似た弟の息子を婚約させることが出来ました
そして、邪魔な婚約者候補を次々に排除していきました
ある時は、お茶会で粗相を罵り
「マナーを学んでいない方なのね、あなたの親は何をしているのかしら?豚の方がまだかしこいのではなくて?」
ある時は、ダンスパーティーで自分と服を被らせて罵り
「あらあら、流行りなのはわかるけれどね、貴女にはまだ早いのではなくて?
貴女が着ると服の品が落ちるわね、気分が悪くなるわ」
またある時は、根も葉もない噂を流したあげく暴漢に襲わせて、未遂に終わったにも関わらず
「あの娘は、浮浪者どもに乱暴されたのですって、でも平気そうな顔ね
元からそういう娘だったのよ、きっと
嫌だわ不潔ね、気持ち悪いわ、私のサロンの方には近寄らないで欲しいわ」
他の候補者を徹底的に排除して、自分の娘が王妃になれるように尽くしました
そして、また時がたち
自分の娘が王妃になり
その王妃の産んだ金髪碧眼の子どもが王太子になるように画策しました、今回も側妃が産んだ腹違いのお姫様を産まれて間もなく、隣国に留学させて、そのまま隣国の王族の婚約者にして国から追い出しました
元お姫様の公爵婦人は、美しい金髪碧眼の王太子に「お祖母様」と呼ばれ大変満足しました
「あなたは、私の誇りよ」その微笑みは年をとっても尚、他と一線を画しました
そして、元お姫様の公爵婦人の娘は見た目も中身も母親にそっくりに育ちました
ある悪女の物語でございます




