旅路 シャルルの家族編
ジェイコブ「みんな元気でな…サザーランドに来てくれてありがとう」
スコット「こちらこそ、得難い貴重な経験をさせてもらった。
子爵も元気になったみたいだし、フェスティバルはまだ続くから頑張れ」
ジェイコブ「スコットには色々と助けられたな、優秀なのは成績だけじゃなかった。君をもっと見習おう
マリーウェザーもありがとう元気でな」
俺「春になったらカレッジでお会いしましょう、それまでお元気で」
俺は握手をもとめたけど、ジェイコブは俺の頭を撫でた。
モーリスやフレッド達とも別れの挨拶をする、そして
サイモン「お嬢さまぁ…うぅ…グスッ
僕も一緒に行きたかったぁぁうぁーん
お嬢様のいないカレッジは寂しくて死にそうですぅ
僕も連れて行って下さぁい!ふぇぇん
嫌だぁ置いて行かないでぇ、お嬢さまぁウゥゥ」
フレッド「サイモンの成績じゃ留学にいけないよ」
モーリス「進級できないと2回生になれないぞ」
シャルル「夏休み明けにテストがあるらしいな」
ステファン「え?テスト!」
スコット「モーリスとフレッドにはサイモンの勉強の手助けを頼んでいいかな?」
ジェイコブ「スコット心配するな、剣術クラブでも私がちゃんと世話してやる」
「皆さんサイモンをお願いしますね」
サイモンが俺に抱きついてきた…なんて弱っちい抱きしめなんだ!
アンナのほうがよほどキツく雑に抱きしめるからな!
誰よりもソフトタッチなサイモンとのハグを最後に俺たちは馬車に乗った
アンナも頭ボサボサの寝起き姿で見送ってくれる
タロウくんとルージュ、ランチュウ、クリオネも置いていく
ロバートさん、エマさん、ベルに、知り合いになった商人とかたくさんの人に見送られて俺たちは出発した。
早朝から行けば夕方には公爵領の領都にある
シャルルの領都屋敷に着くらしい
そこで一泊させてもらう
俺たちの馬車はスコットと俺、向かい側にシャルルとステファン
後ろの馬車にマリアンヌとヴラドや他の従者が乗り
さらに後ろに荷馬車があり、斬鉄がひいて御者台に麦わら帽子のデュランがいる。
大量にメロンやお土産を積んで重くなってしまった
アブドゥル大使は白馬に乗ってついてくる
ちなみにルーシェは影に入れて連れて帰ったけど、ディビッドはサザーランドに置いてきた
昼間はチョコレートハウスで働き
夜はビアガーデンにバーテンダーが足りないからそっちに回され、本人も一応楽しそうに了承してくれた。
オシャレなカクテルを作れる人がロバートさんとディビッドだけだからだ
所作や言葉遣い見目も麗しいディビッドはお客にも従業員にも人気だった…天職じゃない?
途中で休憩をはさみつつ進む
サザーランドって田舎だね、ほとんど麦畑となんかの畑ばっかり
小さな村に寄っても喫茶店もない小さな雑貨屋があるだけ。
コルチーノも田舎は似たりよったりだけどな
そこに貴族の馬車が立ち寄ると、みんなこっちを見てくる
隠れたり、逆に顔を出したりしてる
川の近くにある木の下で休憩する
馬たちが川の水を飲んでいる
ヴラドとデュランがテキパキと折りたたみテーブルと椅子をだしクロスをかけ
マリアンヌがアイスティーと冷えたメロンと焼き菓子を出してくれた
シャルル「旅が快適なのだが」
ステファン「アイスティーが美味しすぎる」
スコット「今日は日差しがあって暑いから冷たいものが美味しい」
「朝早かったから小腹がすいてました」
ミシェランド公爵領は縦長に南北に領地があって
上の方はミシェランド東部(北部じゃないの?)
下の方がミシェランド南部と呼ばれてる
今から向うのはミシェランド東部の大きな街でシャルルはそこに屋敷がある
王都は北寄りだから、シャルルとステファン南部の貴族は東部にタウンハウスを持ってるらしい
ミシェランドの地元話しで盛り上がるシャルルとステファン
村の子がいたからちょっと近寄って「こんにちわー」と挨拶をするけど、キャアキャア隠れられてしまった
後ろにマリアンヌがいるからだと思いたい
滲み出る魔王覇気っぽい何かに怯えてるんだろう
村人「まぁ、めんこいお嬢さまでねーか
ほれ見ろ、小僧も照れて隠れてねーで出て来いやぁ」
子供「じぃーちゃんやめろよ」
俺はアイテムボックスからお菓子を出して釣ってみた
バターの香りがして美味しそうなんだけど中々寄ってこない。ここは地元じゃなくてアウェイだしな
爺さんにお菓子を押し付けて戻った
スコット「マリー何してたの?」
「話しかけたら逃げられました、地元ではないので仕方ないですね。私達は他所の貴族ですから」
川には小魚がいて空気も水も綺麗だった
それからまた馬車で同じような田舎を進む
いつの間にかサザーランドを出ていたようだ
同じ風景過ぎて境目がわからないんだけど?丘をこえても丘みたいな
昼過ぎに次の村についた。
似たりよったりだけど、小さな宿屋があってそこの食堂でお昼を取るんだけど
ぶっちゃけ食べれる物がなかった…田舎料理過ぎて口に合わない
店員「最近砂糖が手に入ったんです、野菜の砂糖煮です」
ドヤ顔で出して来た人参の砂糖煮は他の調味料が一切なくて砂糖で煮ただけの料理だった…
鉄板ハンバーグとかに出てくる人参グラッセ?
あれは、ソースあるから食べれるんであって、これ無理
みんな一口でギブアップ
甜菜糖って手に入ってもまだ高いよね?もったいない
砂糖の使い方がわからないのかな?
スコット「マリー無理して食べなくていいからね?」
シャルル「夏フェスの屋台の料理が美味すぎたんだ」
ステファン「はぁ…鍋が食べたい」
ヴラドが唆してマリアンヌにパニーニをアイテムボックスから出させた。
フランスパンみたいなのに肉と野菜が入ったパニーニは美味しかった。
店員「感じ悪い客ね!出された物は残すのに、店に入って違うものを食べるなんて」
え、聞こえてるんだけど?
店長「こらやめないか!どう見てもお貴族様だろ!」
店員「だってお父さんの料理を残したのよ!悔しいじゃない」
若い女の子は娘だったのか
お父さんの料理でも不味くて食べられないよ
塩ゆでのほうがまだマシ
ってかそーゆーのは俺たちが帰った後にやってくれよ
シャルル「厶!不味くて食べられない」
ステファン「味見した?吐きそうだ」
スコット「ちょっと、そこまで言わなくても…」
ステファンがムッとして
「じゃあスコットは全部食べられるの?無理でしょ!」
スコット「うん、もうお店を出よう。水も温くて飲めないよ」
アチャー
しばらくウォーターサーバの氷水をみんなで飲んでたからな、氷水の爽快感を知ったら真夏のヌル水は無理だ。コップもちょっと汚れてるし
お会計をする時にボッタクられた
シャルル「ふざけてるのか!不味い上にこの値段?!」
ステファン「ほとんど食べてないよ!金なんて払えるか!」
店員「砂糖が高いのよ!このくらいの値段普通よ!
誰かぁ!衛兵を呼んでぇ!
貴族のくせに食い逃げよぉ!!」
シャルル「何だとぉ!言わせておけば!私を誰だと思ってる!」
ステファン「こんな店潰してやる!」
店員「キャァァ?!!蛮族に殺されるぅ!おとーさぁん助けてぇ!うえーん」(※大使に驚いた)
店長「やめろー!娘に触るなぁ」
大使「は?」
気を使って店の外にいた大使が、騒がしくて店を覗いて女の子がめちゃくちゃ怖がって尻もちついただけ
人が集まって来て村の自警団みたいな人達が走ってきて、なぜか大使を囲んだ
シャルルとステファンはバツが悪そうな顔をしていて、俺とスコットが執り成した。
執事服を着たしっかりした印象の見目が良いヴラドが間に入り、もちろんコルチーノの名前を出して平民を威圧する
スコット「お騒がせしてすみません!悪気は無くて、僕らは通りすがりですし。別に拐かしも店を潰す気も無いです」
自警団「いえ、お手を煩わせてこちらこそすみません!申し訳ございませんでした(汗)…だ、そうだがダツの旦那?」
店長「すまねぇコルチーノってあの有名な?」
店員「だって怖かったの!(※大使を指差す)」
自警団「この人は隣国からの偉い人だって!服を見ろ!ちゃんとしてるだろ?それにコルチーノの坊っちゃんとお嬢さまが隣国へ留学するから案内してるんだ」
店員「だって、お父さんの料理を貶したのよ!悔しくってムカついたの!」
自警団「仕方ないだろ?お貴族様は普段からもっといいもん食ってるんだ!ダツの旦那の飯は俺もうまいと思うけど、有名な大貴族様に出せるほどじゃない」
まるで俺とスコットが貶したみたいな言い方しないでくれる?俺とスコットは一言も不味いとか言ってないよ?
ステファン「あの人参の甘煮が美味いだと?なら食べてみろ!」
スコット「ステファン、もうやめなよ」
シャルル「スコット達は不味いとは一言も言ってないのに、僕らを庇わなくていい」
自警団のおっさんが人参グラッセを一口食べてその辺にペッとした
自警団「ヴェッ!…なんじゃこりゃ!」
スコットとシャルルとステファンはその辺にペッと吐いた行為にドン引きしていた。箱入りボンボン
店員の女の子に有罪判決が出て、自警団が親子に
俺らに謝罪する命令を下したけど、娘が親の仇のように悔し涙を流しながら睨む
顔は全然似てないんだけど…声かな?
「アンナに似てるから可哀想になってきました…
すみません、私達はカレッジのクラブで甜菜の研究開発をしてます
この甜菜糖は領地で色や味が微妙に異なるのです
このあたりの甜菜糖の味が知れると思って期待してた分、失礼な態度をとってしまいました」
俺は獣人保護区のピンクシュガーとサザーランドで栽培されてる黒糖を見せた
自警団「坊っちゃん達は王都の学生さんだったのかい、テンサイの研究開発だって?そりゃ凄い!」
店長「へぇー、それも砂糖ですかい?このあたりのは黄みがかった薄茶色なんでさぁ」
「おねーさん、あなたのお父様の料理を不味いと思ってゴメンナサイ。でもせっかくなら美味しく料理して欲しいわ、甜菜をミシェランドにもたらしたのは彼らなのよ?」
シャルルとステファンをしめす
店員「え?!そうだったの…知らなかったのゴメンナサイ」
「謝ってもらったから、もういいですわ。私達は小さいことは気にしませんわ、ハイこれで問題は無くなりましたね?私達は先を急ぐので失礼しま」
店員「ちょっと待ったー!お嬢さま教えて下さい!
この砂糖を研究開発してるなら美味しい料理方法を知ってるでしょ!」
自警団「ひぃ!貴族のお嬢さまの言葉を遮るな!」
シャルル「僕らは別に料理研究をしてるわけじゃないのに」
ステファン「料理なんて作れるの?」
スコット「マリーは作り方を知ってるけど、もう充分だよ帰ろう」
俺は簡単にできそうな、人参のきんぴらや肉じゃがなど砂糖と醤油で作る。みたらし団子やパウンドケーキのレシピを伝授した。
砂糖だけだと、どうしてもスイーツよりになってしまう
店長「字が読めねぇ、何て書いてある?」
店員「ねぇ、この醤油ってのは?」
「大豆を醗酵させて作ったものです…西側の商業領地や港で売ってます」
店長「くっ手に入らない」
「少しなら置いていくので代替えとして塩をうまく使って下さいね。スイーツなら醤油はいりませんし
パイやキッシュにほんの少し入れると味に奥行きがでますよ」
店長がレシピの1つを作って欲しいと言うから、人参のきんぴらをデュランに作ってもらった。
デュラン「人参は薄切りにしたほうが早めに火が通ります…ごま油…はないので、胡麻をかけて仕上げです」
甘辛い味に慣れていない彼らは、クンクンにおいをおっかなびっくりかいでいて、デュランと俺はパクッと味見する
「デュランってやっぱり料理上手なのね、ビアガーデンでもキッチンを一人で回してたでしょ?」
デュラン「お褒めに預かり光栄です。が、ビアガーデンのはあらかじめ準備が整っていれば誰でもできますぞ?」
「まぁデュランったら謙遜して」
スコット「デュランは料理も出来るんだね、そう言えば魚も捌いてたよね?」
シャルル「そうだ、もらった魚もその場で切り身になっていたな」
ステファン「ジョッキーだし、料理も出来て、従者の仕事も出来るよね、畑も耕すし、収穫も上手だった!凄い!」
デュラン「ハハッ照れますね」
店員「素敵…私と結婚して下さい!」
店長「君、婿になってここで働かないか?」
自警団「貴族の従者を勧誘するなバカ親子!」
デレデレしてるデュランを冷めた目で見るヴラドとマリアンヌ
「困るわ、デュランは私のよ?アルラシード留学に付き合ってもらう大事な従者だもの、ねぇ?」
「もちろんですお嬢様」デュランはドヤ顔で返事を返した
期待の眼差しを俺に向けてくるデュランに、多分期待通りのセリフを言ってあげた
店員「レシピをありがとうお嬢さま」
店長「商人が醤油を持ってたら買うぞ!あんな赤黒い汁は見ても分からんから一生買わなかったな」
俺はニコニコ手を振って馬車に乗った。余計な時間がかかったから到着は夜になるかもしれない。
それが俺の最後の記憶だ
気がついたら夜中であたりは真っ暗だった
馬車に明かりがついていて夜道を進む
俺はスコットに抱っこされて寝ていたようだ
スコット「マリー起きたの?」
シャルル「本当に良く寝てたな」
ステファン「馬車が揺れても平気なの?」
「おにーさま足が痺れませんか?」
スコットは笑ってたけど足が痺れてるみたいだ
足をさするふりをして癒のルーンを刻んだ
シャルルとステファンには見えてないようだけど
俺が書いたルーン文字が吸い込まれるようにスコットの足に消えた
シャルル「君の従者が明かりを持っていなければ、その辺りで野宿していたかもしれない。もう間もなく着く、あの明かりが多分街だ」
それからすぐに街に入った
立派な門があって門番がいたけどシャルルの馬車の家紋を見てペコペコしてすんなり通してくれた
シャルル「王都ではしがない子爵家だけど、地元ではそこそこ有名なんだ」
大きな公爵領の地方条例かな?
そして、街に入ってしばらくゴトゴト進むと大きなお屋敷が見えてきた
ステファン「シャルルの屋敷に行くの久しぶりかも
ペクターはまだ生きてるの?」
シャルル「ペクターは犬なんだ、まだ生きてる」
馬車が門の前につくと、門番があけてくれる
シャルルの馬車に乗ってる御者が挨拶をして馬車を入れてくれる。そして、屋敷から使用人が出てきてマダムが出てきた。お母さんかな?
「ごきげんよう、ペネロペ・ブローニュと申します」
スコットが貴族の挨拶をする
「お初にお目にかかります、シャルルの友達の
スコット・コルチーノです。こちらは妹のマリーウェザーです。そしてこちらは隣国から特別親善大使のアブドゥル・アルラフマーン殿です。お伺いするのが遅くなってすみません」
俺も合わせてペコっとカーテシーする
大使も静かに頷くんだけどペネロペさんひっくり返りそうだ
ペネロペ「隣国の特別親善大使ですって?!!よっようこそミシェランドへ……ひっ!(※大使が頷いただけ)そ、それよりシャルルさん、ずいぶん遅くなったわね?ディナーはどうなさるの?」
シャルル「できれば欲しい」
ペネロペ「遅いから済ませて来たのかと思ったわ!
準備させるわね、皆さん夕食まで休んでくださる?」
スタスタと中に入る
ステファン「そうだった…シャルルの母君は5年前に亡くなったんだったね」
え?そうなの?じゃあ当時シャルル10歳?
今の人って後妻かなんか?
シャルル「第二夫人だった元男爵令嬢のペネロペが第一夫人になったのだ…
ペネロペには息子が2人いる、1人は7歳で今年の春に洗礼を受けたのだ、下は5歳だったかな?そうかマリーウェザーと同い年だったか」
スコット「洗練ってミシェランドで受けたの?」
シャルル「いや?王都の屋敷で受けていた、フッ
呼ばれなかったのだ。
当時は…エンド嬢の事故があっただろ?」
シャルルはチラッと俺を見て眉を寄せ笑った
なんかすまねぇ
今回は大人しくしてるぜ?
すると中からドドドドと音がしてゴールデンレトリバーみたいな犬が走って出てきた
ペクターだったかな?シャルルが帰ってきたからお出迎えかぁ
とか思ったら、シャルル通り越して俺んとこ来た。
シャルルが両手を広げてさぁ来いみたいなポーズ取ってたのにな?
キュンキュン言いながら押し倒された
俺にまたがりペロペロする…可愛いけど
「ちょっ、わっぷ!うぇぇ、臭ゃっ!わかったから!
シット!ダウン!言う事聞かないぃ助けてぇ」
スコット「マリー!」
ヴラドがスッと俺を持ち上げて高い高いする
犬はキュンキュン言いながヴラドの周りをぴょんぴょんまわる
「熱烈な歓迎ありがとう、ちょっと手綱は?
うわぁペトペトよ、お部屋で休みたいわ」
メイド「あ、ご案内します」
マリアンヌとデュランが俺とスコットの荷物を持ってきて、斬鉄は馬小屋に連れて行かれる前に人に化けて荷物運びを手伝う
大量にあるメロンやお土産を半分おろす
屋敷の使用人が斬鉄の馬力に腰を抜かすが、斬鉄は焦っていた
あの犬にジェラシーを感じていたからだ
(ペロペロなんて僕もしたかったのに遠慮してたのに!)
斬鉄「荷物は玄関に積んでおけばいいですか?」
使用人「あ、はい。ありがとうございます」
匂いを頼りに斬鉄は走った。
廊下にシャルルがいて犬と戯れていた
シャルル「ペクター!ヨシヨシなんだ寂しかったのか?
マリーウェザーは遊んでくれるかな?
小さい子にじゃれつくと驚かれるぞ!」
斬鉄「厶、僕が相手になります!えいっ!お嬢様に近づくなぁ!」
斬鉄がボディタックルをかましてしがみつく様子は
キャッキャウフフと犬と少年が戯れてるようにしか見えなかった
その頃部屋に入ったマリーウェザーとスコットにお客が来た(※ついでに大使もいる)
バンッ!
乱暴に扉が開いて腕組みをしたサイモンより小さめのムラマサくらいの男の子が声をだす
「ふん!お前達がコルチーノか!
うわぁぁ!!蛮族がいるぅぅ!!おかーさまぁぁぁ!!」(※大使を見た)
ヴラドが少年をトンッとドアの向こうに押して扉をパタンとしめた
ヴラド「近所の平民がまぎれこんだのでしょう
洗礼を終えていると言うのに躾されてない様子です」
大使が憐れでならない
案内してくれたメイドさんが平謝りして、スコットが元気な少年ですねと許した。
メイドが出ていくと俺は賢者の杖を出して
「洗濯魔法!」
部屋の中の全員を綺麗にした。1日御者台に乗って汗をかいたデュランのためなんだけどね
大使「マリーウェザー様!私のためにありがとうございます
私の事を思ってくださるのはマリーウェザー様だけです!」
「別に大したことしてないし、(デュランの)ついでにしただけだから、そう大袈裟に喜ばないで?」
スコット「マリーありがとうスッキリしたよ」
ヴラド「お茶を入れましょうか?」
「やめとくわ、もうすぐ夕食でしょ?」
するとまたバンッと扉が開く
先程の少年が今度は手下を連れてやって来た
幼児「キャァァ!蛮族だぁ!!」
少年「ほらな!言ったとおりだろ!やい!僕の家に勝手に入ってくるな蛮族!」
幼児「あー!お姫様が捕らえられてるぅ!お兄ちゃん助けないと!」
少年「あれはコルチーノって言う悪の貴族だ!見た目に騙されるな」
幼児「でも可愛いよ?」
急にフッと静かになった
マリアンヌが落とし穴に落として窓の外に出したようだ
外からギャーギャー聞こえてるんだけど
「マーリン…グッジョブよ!
なんて躾のなってない子供たちなの!コルチーノが悪の貴族?
ミシェランドの村の料理屋でも大貴族とか言われてたけど、平民の噂って貴族が流すもんでしょ?」
スコット「うん、なんだか僕らは歓迎されてないみたいだね。
春までシャルル達とは仲良くなかったし、カレッジで毎日接してる彼らはともかく
屋敷というより領地ではこれが本来の姿かもしれないね」
「ここは敵陣地のど真ん中という事を忘れてたわ!
平和ボケしてる場合ではないわね!」
マリアンヌ「どうするの?町ごと落とし穴にいれようか?」
「やめてよね討伐隊が組まれるわよ!
町1つ落とすのに、落とし穴使わなくてもどうにでもなる!
お婆ちゃまが敵陣でやってたじゃない
商人や平民を使って経済制裁して、実権を握ってた
オークションにもテコ入れされてたし
敵大将(サザーランド子爵)がいない夏の陣をたったの半日で征服したじゃないの」
スコット「うん、でも僕らに平民を従えるだけのコネと信頼とお金の使い方が備わってないよ…
そう言えばマリーは船着き場の子どもたちに銀貨をばら撒いてたね
屋台でご飯を買って食べてる様子を見に行ったんだ。
知らない場所で心細かったと思う、僕を見つけると皆んな挨拶しに来てね
お陰でサザーランドの人たちも甚兵衛を着てる子どもたちの事は孤児扱いしなかったよ」
え?俺はそんなに挨拶されてないけど?
ヴラド「お嬢様は屋敷でフィギュア作ってましたから、出歩くときもマリアさんになってましたし」
マリアンヌ「出現率の少ない珍獣だな」
スコット「お祖母様から聞いたけど、船着き場の子どもたちのために学校を作るつもりなの?」
あ、スコットに話してなかった
「はい、フェスのアルバイトが全然使えなかったので最低限の読み書きと言葉遣いにマナーと
給仕の真似事くらいは出来るようになって欲しいです
船着き場の子どもたちってまだ若いし仕込めばそれなりに使えるかと思いまして
寮付きの学校を作れば孤児を収容できますし
先生になる人を探すのは大変そうですけど、短期ならミネルヴァにいると思います
養殖の研究所に派遣してもらって、臨時のアルバイトで先生して欲しいですね
給食の調理や配膳係、シーツ洗いなど、生徒に学ばせつつ仕込んで、船着き場の主婦も雇えばいいですよ
宿屋で働くには敷居が高いけど、学校なら働いてもいいと思う主婦はいると思います
乳幼児の託児も兼ねておけば子供の近くで働けますし安心ですね」
スコット「マリーはそんな事まで考えてたの?
でも、もう働いてる子もいるよね?
お店も手伝いがいなくならない?
働いてる子は学校行かないの?」
「3部制にすればいいのです、朝だけ、昼だけ、夕暮れから寝るまでの時間です
孤児のために昼だけ給食を用意して後は、働いてる大人なら自分で賄えばよいのです」
スコット「なるほど、それならどれかの時間帯で勉強できるね
ただの炊き出しを給食にするなんて、よく考えたね
それならみんな学校に勉強しに来るかも」
調理師やパティシエやマッサージ師やネイリストも育てるつもりだけど追々かな
高学年向けは専門学校だな2年後サイモンのお世話を離れてヨハンが手伝ってくれないかなぁ
お婆ちゃまの高級エステに取られそうだけど、週一は無理でも月1くらいで講義できないかな?
コルチーノのネイルサロン!貴族女子相手に絶対に儲かるぜへへ
「カレッジで過ごした経験を活かしましょう、おにーさま」
スコット「マリー、今度は僕に押し付けるつもり?」
「一緒にやりましょうよ!船着き場の子どもたちって、おにーさまに懐いてるじゃないですか!」
スコット「あれは…」
するとまたバタンと扉が開いた
今度は母親つきで仁王立ち
「うちの子が何かいたしました?
外に放り出さなくてもよろしいのではなくて!
こんな時間に外に出すなんて非常識だわ!」
幼児「違うよお母様、気がついたら外にいたの」
少年「あいつらが何かしたはずだ!この悪の貴族め!怪しい術を使ったんだな!正義の鉄槌だ!」
ヴラドが冷めた視線で前に出る
「我々は部屋から出ていません
言いがかりはやめていただきたい、わかったら大人しくしていろ」
ペネロペ「はい、申し訳ございませんでした失礼します」
幼児「お母様?」
少年「おかぁ…母上に何をした!」
ヴラド「か・え・れ!」 パタン
キャンキャン吠えながら子どもたちが扉の向こうへ押し出された。
そしてすぐにメイドが謝りながら入ってきて
「お食事の準備が出来ました…ひっ!」(※大使を見ただけ)
「何もしてないわ大丈夫よ、ありがとう案内してくれる?」
メイドは俺とスコットを見てホッとした
大使が憐れでならない
マリアンヌとヴラドとデュランは使用人のいる控室で食べるらしい
俺達はテーブルに座るけど大使だけものすごく離された席に座らされる
もう可哀想でしかたない、隣国の使者にこの扱いってやばくない?
これでメニューまで違ってたら大使はブチ切れていいと思う
ヴラドを使って王都中に諸行を触れ回ってやる!
と思ったけどシャルルとステファンが入ってきて思い出した
ここシャルルの実家やん
正気に戻った母親と息子達が入ってきて凄い顔で大使を睨んでた
少年「コルチーノの手下の蛮族め!」
シャルル「ロドリゲスやめないか!子爵夫人は何を躾けてるのだ」
ロドリゲス?!なんて名前だ!やめろよ
ロドリゲス?アハハないわー!
スコット「マリー?なんでそんな機嫌がいいの?面白いことあった?」
「申し訳ございません、カトラリーが光っても笑う年頃なのです」アハハ
スコット「先程はどうも
ご挨拶がまだでしたねスコット・コルチーノと妹のマリーウェザーだ
ロドリゲスくんと君は?」
幼児「ベンニーですあの、マリーウェザーは何歳ですか?」
「5歳ですわ、どうぞよろしく」
シャルル「ベンニーは幼名だろ?ビックベンが正式名だ、ちゃんと挨拶しろ
すまない、弟はマリーウェザーと違ってまだ幼いのだゆるしてやってくれ」
「こ…ちらこそ(ニコニコ)
親しみを込めてベンニーとお呼びすればいいかしら?」
ビックベンって俺が小学生なら鼻から牛乳ふいてるぞ!
ベンニー「うん、マリーウェザー(ポォ)」もじもじ
それからロドリゲスとビックベンはとにかくコルチーノに構いたがったし、大使を邪魔者扱いする
シャルルがそこの席でいいのか気を使ってきくと、大使は小さく「構わない」と答える
もういっそのこと部屋で食べたらいいのに?
気配を消しても隠しきれないゴリラ感
ロドリゲスはステファンの事を覚えていたけど
爵位が下だから下に見てマウント取り出すし
悪口の内容もだいたい当たってるけど、ステファンは優秀ぶってカレッジの話をしてる
ステファンはロドリゲスに突っ込まれると俺かスコットに振ってくる
ステファン「マリーウェザーが優秀すぎるんだよ!
新入生代表だったんだよ!」
ペネロペ「まぁ、では生徒会に入ってるのね?」
スコット「僕らは入ってません、隣国の」
ペネロペ「んまぁ!成績優秀者は生徒会に入るのよ!ご存知なかったのね?
学年代表などとうそぶいて!これだからコルチーノは!フッ」
ロドリゲス「嘘ついたの?最低だな!」
シャルル「ロドリゲス!
マリーウェザーは学年代表でスコットもすごく優秀だ!2人とも生徒会は断ってるから入ってないのだ
勘違いするな子爵夫人」
ベンニー「マリーウェザーはもうカレッジに入学してるの?5歳なのに?」
「誕生日が来たら6歳ですわ、ベンニーの1つ上かしら?」
ベンニー「僕も6歳になったらカレッジに行きたいですお母さま」
ペネロペ「何を言ってるのよ、あなたはまだ洗礼式も終えてないでしょ?
聖句も覚えられないのに何を言ってるのよ」
ロドリゲス「おい、マリーウェザーは聖句を言えたのか?」
スコット「マリーは4歳で洗礼式をしたんだ、聖句もカンペ無しで覚えてたよ」
「もう流石に忘れましたわ」
ロドリゲス「ほらな!偉そうに生意気だ!また嘘だろ?」
「4歳の頃ですから、ロドリゲスさんは4歳を覚えてるの?それに聖句は忘れましたが、入学式の時の挨拶なら言えますよ、聞きたいですか?」
ロドリゲス「言ってみろ!」
ベンニー「僕、聞きたい!」
俺は長々と息をすって語る
語り終ると拍手が聞こえてきた(※大使の)
ベンニーが凄い凄いと褒める
ペネロペとロドリゲスは保けた顔をさらしている
ステファン「それまだ覚えてるの?!」
シャルル「考えたのもマリーウェザーだったか?」
スコット「あの時は大変だったねぇ、もう昔の事みたいだ」
「入学式の挨拶なんて思い出深い事はなかなか忘れませんわふふふっ
拝聴ありがとうぞんじます」
クソガキ共に俺の凄いところを見せつけたかっただけだ!
それが悪かった
変に懐かれてしまった、食事が終わるやいなやガキどもが俺の所にくる
ロドリゲス「マリーウェザー、今から僕の部屋に来ないか?
洗礼式を無事に終えたから部屋を移ったのだ!」
ベンニー「マリーウェザーは僕と遊びたいよね?あ、僕の方がちょっとだけ背が低い…ウッでも、まだ5歳で同じでしょ?
お兄ちゃんの部屋は散らかってるんだよ」
ロドリゲス「ベンニーの子ども部屋にマリーウェザーは行かない!」
ベンニー「むぅ!マリーウェザーは僕のなの!」
ロドリゲス「マリーウェザーはまだ誰のものでもない!」ドンと弟を突き飛ばす
ベンニー「うわぁーんお兄ちゃんが叩いたぁ」
ロドリゲス「叩いてない押しただけだ!」
ベンニー「このぉ!えい!」
ロドリゲス「痛っ!このこの」
俺はスッとスコットに持ち上げられる
スコット「マリー重くなったね…あ、大きくなったね!」
「わたくしも成長してますから」
シャルル「すまない2人共、やめないかロドリゲス!ビックベン!」
「プクク…気にしてませんわ、幼い子がいると大変ですもの」
スコット「マリーも幼いのに…あんまり可愛い顔で笑うとまたまとわりつかれるよ」
ステファン「知らない間に家の雰囲気も変わってしまったな…シャルルの性格がひねくれたのは子爵夫人とその息子のせいかな?」
シャルル「私は捻くれてなどない!
ゆっくり食事出来なかっただろ?口直しにお茶を持っていかせる。
明日はすぐに領地に向けて出発しよう
必要なものは次の街でも買えるから
祖父母は、まだまともだから…すまない」
スコット「お気遣いありがとう」
廊下で斬鉄が犬と戯れていた
斬鉄も動物に好かれるんだなカワユス
シャルルのお父さんは王都で仕事してて
ミシェランドの東部屋敷に後妻が住んでて
領地には祖父母がいる
俺はスコットと同じ部屋にしてもらった
豪華な夫婦のゲストルームで一緒に寝かせてもらうんだけど、なぜか大使が付いて来た
自分の部屋にいればいいのにな?
バンッとまた扉が開いた
ロドリゲス「マリーウェザー!遊びに来た!うわぁっ蛮族なんでいるんだ!」
ベンニー「マリーウェザー僕と本を読もう!」
メイド「坊ちゃま!先にノックして下さい
失礼しますお茶をお持ちしました
湯浴みの用意をいたします」
ロドリゲス「最新のカードゲームだ!僕が教えてやる!マリーウェザーは知らないだろ?ふふん」(※トランプのこと)
スコット「へぇー君も持ってるの…あ」
ロドリゲスが悔しそうにスコットを見た
最近買ってもらったばかりのお気に入りの玩具のトランプだったようだ
「ベンニーもできるの?」
ベンニー「お兄ちゃんが触らせてくれないから
マリーウェザーも小さいから触れないよ?」
ロドリゲス「マリーウェザーは触っていい!ベンニーは駄目だ!」
ベンニー「うぇん!なんで僕が触ると駄目なの!マリーウェザーはいいのに!
マリーウェザー僕と絵本読もう!文字の絵本なんだ!」
スコット「あ、それマリーがツァネフ叔父さんの商会に売った文字表の絵本バージョンじゃない?」(※親父の弟)
ベンニー「マリーウェザーが絵本を描いたの?」
「去年、侍女のために一覧表を作りました」
ベンニー「マリーウェザーは絵を描けるの!凄い凄い!何か描いて」
ヴラドに紙とペンを出してもらってペクターをサラッと描いたら2人共キャッキャ喜んだ
アレも描けコレも描けとうるさくて遠慮がない
そうか、普通の貴族の子どもってこんなんか…なんかカルチャーショックだ
俺はさぞお利口さんの大人しい深層令嬢なんだな、まぁ大人しい女の子のふりだし問題ないな!
幼児でも簡単に遊べるトランプの神経衰弱をする
「ベンニーは私と組みましょう」
赤くなってもじもじするビックベン
意地悪そうな顔をして「ふん!泣かせてやる!」
どこかの兄貴のような事をほざくロドリゲス
俺はニコニコしながらロドリゲスの鼻っ柱をへし折る
可哀想なロドリゲスはガードを6組取っておしまい
ベンニー「やったー!マリーウェザー勝ったねやったー!こーんなにいっぱいだよへへへぇ
お兄ちゃん少なーい!」
ロドリゲス「ウゥゥ!ズルいぞ!マリーウェザーはズルしてカードを知ってるだろ!うわぁーん」
「一度めくった場所を覚えてるだけです」
ロドリゲス「マリーウェザーは次は僕と組め!めーれーだ!」
ベンニー「ヤダ!マリーウェザーは僕と結婚するの!」
ロドリゲス「コルチーノとは結婚出来ないぞ!」
そうなの?
ベンニー「僕はマリーウェザーと結婚するの!
お兄ちゃんはシャルル兄上がしっきゃく?したらミシェランドの誰かと結婚して領地を継ぐんでしょ?」
シャルル失脚するの?
ロドリゲス「ちょっ!兄上の客の前で言うなよ!」
ベンニー「だってお母さまがっ……んんー」
ロドリゲスがベンニーの口を塞ぐと引きずって行く
「ヨダレをつけるな!もう帰るぞ!」
スコット「何だったのかな」
「異母弟に地位を狙われる兄の図?
よくある事ですけど、身近で見たくないですね」
スコットは苦笑いして
「マリー…はっきり言葉にするとそうだね」
「ウチは仲良くて良かったですわ」
シャルル「君たちが羨ましいな全く」
お前いたんか!いつから聞いてたの? 開いたドアの影から出て来た
スコット「元気な弟たちだね」
シャルル「どうしたら君たちのように仲良くなれるのか知りたいよ
派閥も違う異母兄妹なのにな
コーネリアス様は優秀だけど、色々あるだろ?」
スコット「それは無くはないけど…僕は兄上によく遊んでもらったよ
弟たちも君に遊んでもらいたいんじゃないか?
マリーと遊んでる時は楽しそうにしてたから」
スコットの生い立ちもかなり悲惨だからな
よく捻くれずに立派に育ったな!
シャルル「私と遊ぶとペネロペが怒るのだ…もう今更だ。
嫌われてるのに仲良く遊ぼうなどと思わないさ
それより明日からの予定についてだが
カカオ倉庫を建設中の祖父母から手紙が来ていた
スチュワート商会の傘下の商会が来てるようだ
スコットたちも関係ある話だろ?」
スコットと手紙を見せてもらった
スチュワート商会の傘下の商会は倉庫街にしたいのかな?
シャルルの故郷ブローニュ子爵領はワインも有名でブドウ畑とオレンジ畑が広がっていてそこそこ大きな町もある
甜菜とメロンの種もあげてるから祖父母が農民に渡していて収穫した甜菜を加工する工場も建設してると手紙にあった。
話のわかる祖父母で良かったです
田舎に大倉庫をたてて人が来るか心配してたけど、集まって来てると手紙に書いてあった。
「では、アルラシードでカカオを買ったら送っても良さそうですね
乾燥させて製粉出来たらそのままカカオパウダーとして売れますよ」
シャルル「カカオパウダー?」
スコット「砂糖と香料を混ぜるとチョコレートになるんだよね」
「そうです
砂糖とバターとドライオレンジや干しぶどうを混ぜて固めるだけで美味しそうです」
シャルル「それで固まるのか?」
「あえて固めないで柔らかいままにして、カカオパウダーで粉っぽくして食べる"生チョコ"はマデリーンお嬢様の一押しですよ?
カカオパウダーだとケーキやクッキーなど加工がしやすいです
カカオ自体は甘くないので自宅の料理人に好みの甘さにしてもらえばいいのです
冬はミルクと砂糖とカカオパウダーで"ココア"なんて温まりますよ
私は甘差控えめの"ビターチョコ"が好きですけどね」
シャルル「フム、サザーランドやコルチーノのチョコは全て甘々だったな」
スコット「クリームやクッキーやアイスもみんな甘かったね」
「婦女子は甘いほうが好きですから甘いほうがよく売れます」
シャルル「マリーウェザーが女子じゃないみたいな言い方だ」
「好みの問題です私は辛党ですから」
スコット「マリーは"カレー"や香辛料を使った料理が好きだよね」
「おにーさまは甘党ですよね
辛いのもよく召し上がりますけど」
スコット「マリーの考える料理が美味しいから、また兄上と皆で夜食が食べたいね」
スコットが頭を撫でる
「はい、また作りましょう
砂糖でカラメルプリンやクレームブリュレなんかも美味しいです」
シャルル「ハイハイ仲良い所見せつけるな嫌味か?」
ステファン「あ、みんなここにいたの!何の話?」
「冬はホットココアで夏はアイスココアの話です」
ステファン「ココア?」
シャルル「カカオのドリンクだそうだ」
ステファンが欲しがったからヴラドを呼んでこさせてマリアンヌと2人で厨房を借りてアイスココアを作らせた
目ざといロドリゲスとウロウロしてたビックベンがこれ見よがしに来て一緒にココアを飲んだ
2人はシャルルをチラチラ見ながらアピールしていた
どう見ても遊んで欲しそうだけどシャルルは無視してる
「素直にならないとお兄様に遊んでもらえないわよ?」
ロドリゲス「ブブッ!」
ベンニー「わっお兄ちゃん汚っ」
「シャルルは明日また領地に立つのよ?」
ロドリゲスはチラチラとシャルルを見てるが一本踏み出せない
「さっきのトランプを出しなさい
みんなで大富豪をしましょう、私が2人と組みますわ」
ロドリゲス「え!?」
「ルールが難しいから私と組みましょう」
スコット「シャルルが泣かされる…」
シャルル「私はカードごときで泣かない!」
ベンニー「僕もゲームする!マリーウェザーまた僕としようねー」
ロドリゲス「マリーウェザーは僕と組むんだ!」
「2人と組むわよ、2人共勝たせてあげましてよ?
ステファンのためにルールを紙に書いておくわ
3が最弱、2が最強でその上に不変のジョーカーがいます――……」
そして
「さて、ルールはわかりましたね?
お子様達は追々理解したらいいです。ヴラドガードを配って」
ヴラド「かしこまりました」
ガードが前に来たらすぐに手に取るロドリゲスとベンニーとステファン
俺はクソガキの後ろに来てカードの配置を助言する
「貰ったら右からでも左からでもいいから順番に並べるのよ、ホラ同じカードがきたら同じ所に入れて
見やすくしておきなさい
コレはここ!コレはこっち!ホラしっかり持ってないと大事なカードを落とすわよ?
はい、次のカードが来たわ、早く取る!それは違うわこっちよ!」
ベンニー「え??あ、ハイ?えっと??」
ロドリゲス「ハイ、え、こうですか?」
ステファン「夢が壊れるのが早かったね、マリーウェザーは深層令嬢じゃなくて恐怖の女王様だよ?」
ベンニー・ロドリゲス「「え!?」」
「ふふふっ冗談を言って笑わせてるのよ
ダイヤの3を持ってる人からスタートよ!」(※ローカルルール)
そして
俺「ベンニー!10のダブルよ!」
ベンニー「は、ハイ!」
ロドリゲス「あ、Jのダブル出せます!」
ステファン「何だと!」
俺「ふふん他に出せる人はいないでしょう?
ベンニーQのダブル!からの〜4で上がりよ!」
ベンニー「やったぁー!1番だぁ!」
ロドリゲス「あ、5が出せる!上がりだぁ!」
シャルル「くっ、8だ!」
ステファン「1だ!他にいない?」
スコット「あ、僕は2だよ…ジョーカーだす人いる?じゃあ6のダブル…みんな出さない?」
シャルル「くっ1とジョーカーでダブルだ!」
ステファン「パス、スコットもパス?」
スコット「2とジョーカーで切る!はい7!上がりぃ!」
シャルル「くっ9!」
ステファン「10で上がりだぁ!」
ロドリゲス「兄上が負けた?!」
ベンニー「シャルル兄上が負けたの?マリーウェザー」
「こうやって兄弟の屍をこえていくのよ ふっ」
スコット「マリー!シャルルが泣くから」
シャルル「僕はこの程度で泣かない!くぅやしぃ」
「子供たちよ、兄の悔しそうにしてる顔をよく見ておきなさい!
10年後、20年後もネタにしていいわよ?ホホホ」
ステファン「マリーウェザーって苛めっ子だったの?!」
「嫌だわ、私は5歳よ?
いじめとは強者が弱者を戯れに遊ぶものですわ
さて再戦しますか?」
スコット「もうマリー意地悪しないの!
ヴラドを呼んでこさせて、シャルルにつけるよ」
「くっ手強いけど大丈夫よ!
カードを2枚貰うから勝てるわ!兄とて容赦はいらない手加減無用。最弱カードを下げ渡しなさい!」
ベンニー「ハイ、お母さま!…じゃなかったマリーウェザー様!」
自分でやっといてなんだけど、ペネロペさんて普段からこんなんキャラなの?
スコットがヴラドに手加減無用と言っていて
ヴラドがニヤリと笑って俺を徴発した
そんな徴発には乗らないよ?
「ふふん、いいわよ?
ここまで這い上がってこれるかしら愚民どもめ!さっさと最強カードを寄越しなさい!
王者による搾取の時間よホホホ」
シャルル「誰だよ慈悲深い深層令嬢って言ってたの
まるで恐怖の支配者じゃないか」
ステファン「コーネリアス様は暴君って呼んでたねスパルタ女王とか」
大変遺憾なことに、俺とベンニーは勝負の途中でウトウトし始めてしまった。
マリアンヌが俺を抱っこして暖かくて気持ちよかった
ロドリゲスがなんか一生懸命話しかけてくるけど、遠慮なく寝たった
ロドリゲス「マリーウェザー!寝るなぁ起きてよ!ベンニー!ベンニー!起きろ」
ベンニー「ううん…スゥー、スゥー」
シャルル「もう寝かせてやれ…寝顔は無垢で可愛いのにな」
ステファン「ずっと馬車で寝てたのにまだ寝るんだ」
スコット「馬車も疲れるから」
メイド「あのぉ〜湯浴みの用意が出来てます」
スコット「あ、忘れてた!ありがとう ヴラド
マリーはこのまま寝かせておいて」
ヴラド「かしこまりました」
その後、スコット達は湯浴みの後にデュランの作った夜食をつまみながら
ポーカーして遊んでたそうだ。
君たちも大人の真似したくなる年頃だよね




