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俺の異世界冒険記!  作者: ワシュウ
領主の娘 領地に行く
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洗礼式 レイナルド視点

久しぶりに城から出る

馬車のカーテンは閉まっていて窓の外を覗くこともない

今日は、僕の何人目かの婚約者候補の洗礼式に呼ばれている


この国は7歳までに洗礼式をする

この国の臣民として認められるために行うものだ

跡継ぎ問題で産まれてすぐにする場合もあるが、普通は聖句を本人が言えるようになったら神官を派遣して執り行う


前回の婚約者候補の洗礼式は酷いものだった

アレが嫌だコレも嫌だとわがままだけに足らず、僕をみると挨拶もなしにいきなり

『あなたが私の婚約者ね、ありがたく思いなさい!これであなたも盤石よ』と鼻息荒くのたまう


常識のある家では躾のなっていない子どもは、お披露目しないものだ

道理をわきまえない子どもなんて家の恥だからだ


あんな恥知らずの相手をさせるなんて、母上にも困ったものだ

派閥の調整にのみ重きをおく政治的手腕は見事だけど、そこに僕の意志は尊重されない


今日の伯爵令嬢は4歳だったな、最近まで辺境に籠もっていた田舎者だと言う、どんなわがままがでるか・・・ハァ、疲れそう早く帰りたい



馬車をおりて、護衛に囲まれ会場に入る

庭も手入れされ、流行りの噴水が設置されている

少々、時間に遅れてしまったようだ、わざとだけど

明るいホールには既に人が集まり、舞台の上で神官が洗礼式を執り行っていた

今、まさに聖句を読み上げている後ろ姿がその子だろう


よく手入れされた髪は絹糸のように艶めき

陶器のように美しく白く柔らかそうな肌

幼い声は透き通るように響き、聖句をしっかりと読んでいる

成長したら聞くことのできなくなる幼子の声が、とても儚く感じて、つかの間の特別な時間のように思えた


僕は自分の目が信じられなかった


色とりどりの光るモヤみたいなのがあの子の周りに集まると弾けては光の粒になって落ちていく

あの子が聖句を読み終えて、聖典を台に置き

神官から輝く聖杯をもらい

ゆっくりとこちらに向いてから聖杯を傾ける


聖杯に使われる清酒は、聖樹とよばれるユグドラシルウッドの樹液から作られる

よき働き者には甘く

怠慢な者には酸っぱく感じると言う

こどもの舌には少し苦いのに


「甘くて美味しいです ありがとうみなさん」

そう言うと、輝く笑顔で挨拶をした

そしたら、この部屋に暖かく柔らかい光の粒が駆け抜けた

苦いはずの聖杯が美酒のように見えて、幼い顔には見栄も嘘も感じられなかった


洗礼式が無事に終わり

昼食を兼ねたお祝いのパーティが行われる


側近たちに

「今見たものが信じられない、皆はどう思う?」 と奇跡を見た興奮を隠しきれず聞くと


「え? 可愛い子でしたね、お気に召しましたか?」

「確か婚約者候補の1人でしたか?」

「田舎者だとの噂でしたが、反対派閥のやることは情けない」

「この伯爵家は前伯爵婦人が色々やらかしてるからな、今は中立派だが」

「どうします?挨拶していきますか?」


奇跡を目の当たりにしたのに、まるで何も見えていなかったかのようだ

側近たちが何かを隠してるようには思えない


僕は、洗礼式を見たら帰ってもいいと言われていたけど

あの子と話してみたくなったからそのまま参加することにした



「ようこそお越し下さいましたレイナルド殿下

洗礼式でお帰りになると思っておりました

妹に代わりご挨拶申し上げます

今日はごゆるりとどうぞ」(何しに来た帰れ)


「スコット久しいな

そなたの妹の洗礼お祝申し上げる」


「もったいないお言葉です

忙しい殿下のお時間を頂いて大変恐縮でございます」(帰れ)


「妹君は何という名前なのかな?

遅れてきてしまって聞きそびれてしまったのだよ

ぜひ挨拶がしたいのだけど

忙しいのかな?」(妹に会わせろ)


「殿下のご多忙は存じ上げております

妹もぜひ殿下にご挨拶したく、この日のために練習してまいりましたので僕からは

4歳のまだ幼い妹ゆえ、人の影に隠れてしまうと見つかりませんね」(遅れてきたお前に会わせるか)


その時、グラスが鳴る音がした

(※フォークでグラスをカチカチ叩いて注目!ってやつ)


「淑女・紳士の皆さま

今日は、我が子の洗礼式にお集まりありがとうございます

改めて紹介します

私と妻マルリーンの子のマリーウェザーです

精霊のお導きで4歳で洗礼式を迎えることができました

さ、マリーウェザーご挨拶出来るかな?」


「皆さま ごきげんよう

マリーウェザー・コルチーノと申します

今日は わたくしのために お越し下さりありがとう存じます

皆さまにも精霊の祝福があらんことをお祈り申し上げます」

あの子が綺麗なカーテシーをすると

洗礼式のときのように、何かが弾けて輝く粒が暖かな風とともに駆け抜けた


すぐさま側近に

「あの輝きは何だ?」と聞く


「輝く?ような可愛い子ですね(笑)」

「4歳なのに賢そうな子じゃないですか(笑)」

「コルチーノ伯爵の教育のたまものですな」

「最近までハインツ辺境伯の所にいたんだろ?」「コルチーノ伯爵婦人がしっかり躾けていたのだろう」

「マルリーン様は才女だろ、ウチの妹が同窓生でな」

「今日の酒は美味いな!コルチーノ伯爵は跡継ぎでもないのに奮発したな」

「あちらも婚約者候補の1人と自覚があるのだろう」


やはり、あの輝きは僕にしか見えないのか

何だ、あの子は

話してみたい、あの子にもあの輝く粒が見えているのだろうか

大人たちに囲まれても物怖じしないで、ニコニコと笑ってる

あの子のことで僕の胸がいっぱいになった

スコットとレイナルド殿下は知り合いです

互いに洗礼式に出ていて、前伯爵婦人が殿下の側近にとプッシュしていました。


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