第60話 ミラとミレット
大陸の瘴気を無事消し終わったラムシェンドとカートは大陸を旅しています。
大陸に残った瘴気を消していく旅をしていたラムシェンドとカートであったが、ようやく瘴気を大陸から消し去ることに成功した。大陸の北東にある岬に立った2人であったが、
「やっと瘴気を消えたし・・・今後どうする?」
ラムシェンドがカートに言った。そう・・・この2人は元々この世界に住んでいたわけではない。元の世界に帰ることが出来る訳でもない。大陸に残った3つの国に行けば、一生困らないだけの面倒は見てもらえそうではあるのだが・・・。この世界の人達にとって、地下資源のようなものでしかない魔石を大量に持っていた2人は、それをこの大陸で販売するだけでも暮らしていけるだけの収入がありそうだった。更に世界で、魔物の肉を食べることが出来るのは、ラムシェンドとカートのみであり、瘴気を消していく旅で、残った魔物を大量に仕留めた結果、一生食べても大丈夫なほどの貯肉があったのである。アイテムボックス内では時間経過が止まるので、実は、一生分の資産と食料を手にしていたラムシェンドとカートなのであった。
・・・
知り合いと呼べるようなものもいないので、気ままに旅をしていた。今も残る3ヶ国からは、時たま使者が来るが、気ままに旅をすると言って帰ってもらっていた。
「王宮なんて堅苦しいのは嫌いなのニャ」
「その意見に賛成だ」
カートの言葉にラムシェンドが賛同する。最近は、そう言うことが多くなってきた。街に着いたときには宿に泊まるが、元々タヌキと猫なので宿にこだわりはない。むしろ、鬱陶しいというのが本音であった。
「ニャあ・・・あれはトリティードではニャいか?」
前方に見える街をカートが指さした。
「ああ。そうだな。1泊しかしなかった街だけどな・・・」
ラムシェンドも思い出したらしい。
「前泊まった宿に行って、ミラとミレットがどうなったか聞いてみようニャ」
そう言うと、カートは走って街に行ってしまった。
「おかしなことになっていなければいいのだが・・・」
ラムシェンドは、かつて、大量の魔石を売った金を渡した母子が、無事に暮らせているのか疑問に思っていたのである。
・・・
ラムシェンドが街についたとき、何故か豪華な馬車が待機していた。
ラムシェンドが街に入ろうと門番に声を掛けようとしたとき、門番が一斉に敬礼したのである。
(まさか・・・)
一瞬身構えたラムシェンドの予想通り、
「この国を・・・いやこの大陸の救世主であるラムシェンド様に敬礼!」
街を上げての大歓迎になっていたのである。
(カートのやつ・・・)
結局、ラムシェンドは、豪華な馬車に乗せられて、見覚えのある宿に着いた。中に入ると、食堂の真ん中にカートがいる。その隣には、大変着飾った服を着た、いかにも金持ちと判る少女。としてテーブルの反対側には、これまた、高級なドレスを着た貴婦人が座っていた。
「遅いニャ!」
カートの言葉に無性に腹が立ったラムシェンドは、
「お前、ミラとミレットの様子を見に行くのではなかったのか!」
思わず怒鳴ってしまったのである。すると、カートの隣とテーブルの反対側に座っていた女性が立ち上がり、ラムシェンドに向かって歩いてきた。
(まさか・・・)
ラムシェンドはその顔に見覚えがあった。
・・・
「この大陸救世主であるラムシェンド様。そして私とって神ともいえるラムシェンド様。お久しぶりでございます。ミラでございます」
貴婦人はそう言ってお辞儀をした。
(ああ・・・やっぱり)
すっかり金持ちになったミラは貴族のような身なりであった。呆然と立ち尽くすラムシェンドに、ミラの隣に立った少女が
「私に2人いる神様の一人であるラムシェンド様。ミレットです」
そう言ってミラに倣うようにお辞儀をした。
何故か、カートはその様子を楽しそうに眺めている。
・・・
「・・・ということなんです。」
ラムシェンドが席についた途端、ミラとミレットは従業員用の部屋に消えてしまった。そして、数分後、この宿の従業員の制服を着た2人が出てきたのであった。すっかり混乱しているラムシェンドにミラが事情を説明したこころである。
なんのことはない。この街はセントラル王国が解放されたころには、すっかり街道の宿場町として復活し、大陸北部への支援物資を運ぶ中継点として栄えていたそうだ。そして、豊富に存在した魔石を使い、街の暮らしは急速に豊になり、停滞していた農業までも活性化したらしい。気分次第ということらしい。そんな中、ミラはミレットと共に、この宿の従業員として雇われることになり、暮らしは以前と変わらないくらいにはなったそうだ。そして、魔石で得た大金は、この街にある孤児院の運営費になっているという。ミラとミレットの申し出をトリティード伯爵が認めた結果であった。
「でも、先ほどのドレスは?」
どうみても、金持ちにしか見えない姿をしていたミラとミレットに納得がいかないラムシェンドであったが、
「伯爵様がくれたの。孤児院のお礼だって」
ミレットが言った。トリティード伯爵は、ミラとミレットが貴族と会ってもおかしくないくらいの衣装一式を記念に渡したのだという。
「さっき乗せてもらった馬車は?」
ラムシェンドは納得いかない感じで質問すると、厨房の奥から、予想外の人物が現れた。
「救国の英雄、ラムシェンド様。馬車くらい、ご用意させていただきますぞ」
何と、料理人に化けていたトリティード伯爵であった。
「私は、料理研究が趣味でしてな。今日は、ラムシェンド様、カート様に私の研究成果を堪能していただこうと、用意させていただいたのです」
トリティード伯爵はそう言うと、何故かカートにウインクした。
(こいつら・・・)
ラムシェンドは内心納得できないものを感じながらも、トリティード伯爵の用意したフルコース料理を食べることになった。
「この世界の人達は、皆親切でいい人なのニャ」
カートはそう言うと、グラスに入っていたワインを飲みほした。
新しい小説書き始めました。
ジュアル=ラィシカーラクセンの冒険=異世界転生?した自家用パイロットの数奇な人生=
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文明の栄えた世界が欲しい神様によってコピーした世界が出来た。そして、その世界では一人の自家用パイロットの記憶が国王の息子に組み込まれた。だが、運命のいたずらで追われる身になってしまう。コピーされた世界は、滑走路が謎の遺跡と化しており、ターミナルはダンジョンと化していた。




