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狸戦記(仮) =他の異世界知識が組み込まれた勇者=  作者: OPPA
第4章 対ゴーレム戦
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第53話 カロンシティの戦い(その1)

いよいよゴーレムとの戦闘・・・ではないようです。

「・・・ということで、カロンシティで敵を殲滅します」

ラムシュンドは、セント王城で、ダルムシュタット=セントラルにカロンシティに向い、敵を殲滅すると宣言したところだった。


(ちょっと言いすぎなのニャ)

海水によるヒャッケラキア殲滅作戦が不発になれば、撤退するしかないのである。


「武運を祈る!」

ダルムシュタット=セントラルはそれだけ言うと、腕を組んでしまった。しばらくの沈黙の後、ラムシュンドが席を立とうとすると


「すまん」

ダルムシュタット=セントラルが呟いた。思わず振り向いたラムシェンドとカートに


「我々の大陸・・・いや世界なのに何も加勢できない・・・すまん」

ダルムシュタット=セントラルは頭を下げた。


「だから、ラムシュンドと俺がいるのニャ」

そう言ってカートは口髭を舐めるように触った。


「ダルムシュタット=セントラルさんは国の再建をお願いします」

「分かった」

ラムシュンドの言葉に答えるダルムシュタット=セントラルは下を向いていた・・・目から出るものを見られたくなかったから・・・。


・・・


ラムシュンドとカートは、ノラドに運ぶ物資と一緒にノラドを目指すことになった。彼らについていくより、2人で歩いたほうがはるかに速いのだが・・・。補給物資は何とか確保したものの、物資の護衛を確保できなかったセントラル王国を支援するために、護衛を買って出たのであった。

「盗賊とかいニャい思うけど・・・」

他のメンバーからか慣れて、オークを串に刺して焼いているカートが呟いた。


「確かにな。だが、ゴーレムは出るかもな」

カートと同じく、ラムシュンドもオークを串に刺して焼いていた。

ちなみに、物資を運ぶ馬車の御者たちには、この作戦のために大量捕獲した魚が提供され、串に刺して焼かれている。セントラル王国では、魚、特に海の魚が大変貴重で、生は一生見ることすらないものだった。それが、サンダーボルトでショック死直後の魚が出てきたのだから、大変感謝されている。


「まさか、魚を食べることができるとは思わなかったべ」

「川の魚と似たような形なんだべな」

御者たちは、他に誰もいない街道で、両脇が3mの壁があることもあるのか、あまり心配してはいないらしい。実際には、彼らが壁の外に出た途端、仮死状態になってしまうにも関わらず・・・。


食事の後は、馬車を一塊にして、その中心に御者が寝ている。ラムシュンドとカートは、一番外側での就寝とした。見張りするにも2人では、昼間の戦力が足りないからである。


・・・


何事も無いまま、7日後、物資を積んだ馬車は無事にノラドに到着した。ノラドの南門にある見張り台から見えたのだろう、馬車の集団が南門に到着したときには、オーエン=ノラドニアが出迎えていた。


「ラムシュンド殿とカート殿、物資の護衛ありがとうございます!」

オーエン=ノラドニアは、実際に物資を運んできた御者たちが話始める前に、先頭を歩いていたラムシュンドとカートに向かって話しかけたのである。無理もない。通常、物資の輸送を護衛なしで行うことなどあり得ない。なので、ラムシュンドとカートが、物資輸送の責任者だと勘違いしたのであった。


「詳細はこちらに聞いてください」

ラムシュンドは、遅れてやってきた御者のリーダーをオーエン=ノラドニアに引き合わせるのだった。


・・・


「そのまま行かれてしまうのですか!」

オーエン=ノラドニアは北門を飛び越えて出ていこうとするラムシェンドとカートに驚いていた。


北門近くの街壁の上でカートは振り返り、

「引き続き、街の再建を頑張るのニャ」

そう言って、先に行ってしまったラムシュンドを追いかけるように外に降りていった。


「私も何か言った方が良かったのかな?」

ラムシュンドがカートの方を見ながら呟いた。


「気になるニャら、戻って来た時何か言えばいいのニャ」

そう言ってカートは口髭を擦った。


・・・


「やっぱり・・・」

カロンシティが見える丘のようなところに来たラムシュンドとカートは、街壁は勿論、原型をとどめている建物がほとんどない状況を見ていた。


(あれでは転移門も絶望的だな)

カロンシティのどこかに南の島に繋がる転移門があるはずなのだが、瓦礫の山と化したカロンシティで見つけるのは難しそうだった。


「どっちから始めるのニャ?」

「西側の巣から始めよう」

「分かったニャ」

カートの問いに答えるラムシュンド。西側の巣から攻撃するのは大した意味はない。強いて言えば、東風が吹いていたからである。風下から攻める・・・獣の常識であった。


・・・


巣の見える所に来ると、ゴキブリのようなものが巣から出入りしているのが見えた。黒い霧が巣の中から継続的に出てきている。どうやら、地下の巣を拡張した結果、掘り出した土を捨てに来ているというのが実態のそうであった。巣の脇に炭鉱のぼた山のような山が出来ていたのである。


今回、海水はラムシェンドが収納したものを使うことにした。

「では、作戦通りニャ」

そう言ってカートがサムズアップする。それを見たラムシュンドは多少顔を引き攣らせながらも、巣の入り口に走って行って、着いた直後に

「エリア プリフィケーション」


を発動、巣の内部にある黒い霧が消えていく、

(よし、邪魔な黒い霧が消えたニャ)

「海水ニャ!」

カートの号令の直後、ラムシュンドはアイテムボックスに回収していた海水を全て巣の中に放出した・・・当然、巣の中は海水が鉄砲水のごとく流れていく。

(黒い霧を除去しておいたからニャ)

にやけるカートであった。


「全部出したぞ」

ラムシュンドの言葉に、我に返ったカートは


(見えるニャ・・・巣の形が見えるのニャ)

カートは巣の中を範囲として

「エリア サンダーボルト」

を発動させた。強烈な光が巣に吸い込まれるように流れていく。カートは、何者かに捕まれ、体が宙に浮くのを感じた。


「早く逃げるんだよ!」

ラムシュンドに捕まれ、運ばれていくカート。直後に激しい爆発が起こったのである。


・・・


「何とか助かった・・・」

爆風に吹き飛ばされながらも、何とか退避に成功したラムシュンドとカートは、巣のあった方を見ると・・・


「あちゃ・・・」

「やりすぎニャ」

ヒャッケラキアの巣は跡形もなく吹き飛び、巨大なクレーターが出来ていた。その大きさは、先日の洞窟より遥かに大きく、一番外側はカロンシティに掛かっていた。


「早くもう一か所やるぞ」

ラムシェンドは、そう言うと、カートを引っ張ったまま東に向かって走り出した。


・・・


「何かいるニャ」

カートがカロンシティを指さしながら言った。


「たぶんゴーレムだろう・・・」

「人見たいに見えるニャ」

2人はカロンシティを囲むように待機していたゴーレムであった。巣への攻撃がカロンシティまで掛かってしまったので、もしかするとゴーレムにも被害が出たのかもしれない。瓦礫を排除するゴーレムの姿が見えた。


「この世界の人だった動いているわけがないからな」

本当にゴーレムなのか心配そうに見ていたカートにラムシュンドが言った。


・・・


カロンシティの東側にあるヒャッケラキアの巣の近くまで来たラムシェンドとカートは、何事もなかったかのように時たま巣から出てくるヒャッケラキアに呆れていた。

(あれだけ激しくやったのに、我関せずなのか?)

西にある巣のことなど関係ないと言わんばかりの様子に呆れるラムシェンドであった。


「ゴーレムもこニャい・・・」

今回の作戦をゴーレムが理解していたら、右側の巣が襲われることを考えそうに思ったのだが・・・ゴーレムは命令に従順だったのである。彼らは、カロンシティから出ようとしはしなかったである。


・・・


巣の前まで走り出すラムシュンドとカート。ついた途端に、ラムシュンドの

「エリア プリフィケーション」

で巣の中に充満する黒い霧を消し去る。

カートは、アイテムボックスから海水を巣の中に放出したのち、魔力を込めて

「エリア サンダーボルト」

を放つ。脇にいたラムシュンドの顔が引き攣ったと同時に、先ほどを上回る光の壁のようなものが巣の中に突入していった。


「逃げるニャ」

カートの声を合図にラムシュンドとカートは全速力で巣から離れていく、爆発の爆風に吹き飛ばされながらもなんとか巻き込まれずに済んだ。


「魔力込めすぎ」

ラムシュンドは魔力を使い果たしてぐったりしているカートに言った。

ゴーレムは命令に従順です。

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